2007年11月29日(木)掲載

◎2007年クリスマスファンタジー・メーンツリーが会場に到着
 ことしで10回目を迎える「2007はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)のメーンツリーが28日、主会場となる金森赤レンガ倉庫(函館市末広町)岸壁に到着した。通り掛かった観光客らがさっそく記念写真を撮るなど、12月1日の開幕を前に、会場はひと足早くお祭りムードに包まれた。道南スギを使ったツリー作りなどのほか、開催期間に合わせた遊覧ヘリコプターの運航といった初の取り組みも予定されている。

 同ファンタジーは函館の冬の目玉イベントを創出しようと1998年にスタート。姉妹都市のカナダ・ハリファックス市から毎年届けられる大小のもみの木が、クリスマスツリーとして会場を華やかに彩る。

 ことしは16日に20メートルのメーンツリー1本と中型のインフォメーションツリー15本、小型のサブツリー30本が市内浅野町の作業場に到着。枝を切りそろえ、飾りつけ作業などを行ってきた。メーンツリーはこの日の午前中に作業場から船で海上をけん引され、約20分で現場に到着し、関係者らの手で係留された。

 神奈川県横須賀市から函館観光に訪れていた斎藤宣司さん、和子さん夫妻は、突然海に現れた巨大なツリーに驚き、「ツリーだけでも偶然見ることができたてよかった。次回はファンタジーの期間に合わせて函館を訪れたい」と話していた。

 実行委ではライトアップなどの調整を続け、30日に最終点灯リハーサルを行い、1日午後5時からのオープニングセレモニーに備える。(小川俊之)


◎「明治館」横に市民ツリーも
 クリスマスファンタジー主会場から約150メートル離れた「はこだて明治館」横では、函館の森林の再生と活用を考える会(木村マサ子代表)が道南スギを使ったクリスマスツリーを設置した。木村代表は「市民で作り上げるツリー。飾りたいものやメッセージがあれば付けてほしい」と呼び掛けている。

 同会は道南で手入れが行き届いていない森林の再生を考え、森からさまざまなことを学ぼうと活動を展開。ツリーの設置は5年前から同ファンタジー期間に合わせて実施し、訪れた市民らがメッセージなどを取り付けるため、「市民ツリー」として親しまれている。

 ことしは市教委などから函館山にある学校林の枯損木(こそんぼく)の使用許可を得て、同所からスギ13本を切り、高さ約2メートルのツリーや木馬、ベンチを作製した。設置作業は会員8人が木を立て、約20メートルのツリーロードを形にした。しっかり固定されたのを確認し電飾を取り付ける。

 木村さんは「学校林の間伐材の利用方法を探る面でも、ことしのツリー設置は大きな意味がある」と話している。(山崎純一)


◎江差できょう「まんぷく茶屋」
 【江差】江差町本町の法華寺通り商店街にある「寄来所(よっこらしょ)」は、空き店舗を利用した買い物客や住民の交流拠点だ。運営には商店主だけでなく、商店街を地域全体で元気付けようと、多くの住民が手弁当で参加している。29日には食品店や菓子店が自慢の商品を実演販売する「第8回まんぷく茶屋」も開かれ、師走が迫る商店街を活気づける。(松浦 純)

 商店街の中心にある空き店舗を借り受けて「寄来所」がオープンしたのは2001年。05年からは「法華寺通り商店街組合」(三国幸吉会長)が運営している。

 普段は買い物客の休憩所として開放し、大勢の住民でにぎわう「江差夜市」「まんぷく茶屋」など、商店街の行事や町内会活動などの拠点としても活用。商店街が主催する多くのイベントでは、通りに店を構える商店主だけでなく、本町周辺に住む高齢者や住民もボランティアで協力、地域全体で「寄来所」を盛り上げている。イベントの収益も運営経費などに充てている。

 こうした取り組みについて、食肉店を営む三国会長は「イベントを楽しみにしている高齢者や子供も大勢いる。寄来所を中心に経営者と住民の交流を深めることで、親しまれ、足を運んでもらえる商店街になれば」と語る。

 ただ、不況の波は容赦なく押し寄せ、同商店街を含む「上町(うえまち)」と呼ばれる地域では、廃業する店舗も相次ぐなど「シャッター通り」の様相が強まってきている。町内北部を中心に相次ぐ大型店の出店も商店街の衰退に拍車を掛けている。上町周辺の高齢者は「若い人は車で買い物に出られるが、高齢者が頼りにするのは地元の商店街」と語り、行く末を案じる。町も「市街地の機能が郊外にシフトする中で、既存の商店街の位置付けや活性化の在り方を真剣に考えるべき時期」とする。

 三国会長は「商店街が意気消沈していれば江差全体の灯が消える。寄来所の活動を通じて、町のにぎわいや経営者のやる気を引き出したい」と心意気を語る。29日の「まんぷく茶屋」は午後3時から同8時。飲食店、食料品店、菓子店が自慢の商品を全品300円で提供する。ビールや焼き鳥などの販売も行う。


◎道南の食材使用「はこだてぷりん」12月1日から販売
 函館を代表するお菓子に―。店舗や商品の企画開発を手掛けるアイ・エス・エム(函館市鍛治1)は、道南の食材にこだわった「はこだてぷりん」を12月1日、函館市内で発売する。パッケージに「ハイカラさん」のイラストを施し、函館の異国情緒あふれるレトロな雰囲気を表現。函館市内のJR駅や空港の売店などで販売し、新たな函館土産としてPRする。

 「地元の人が食べて自信を持って薦めてもらえる函館らしいお土産品をつくりたい」と、同社企画開発担当の坂上顕也さんが中心となって試作を繰り返し、半年かけて商品化した。駒ケ岳牛乳(森町)など道南の食材を使用しているのが特徴。さらに味の種類を増やす予定で、旬の果実や野菜を使ったプリンを季節ごとに売り出す。

 1日に発売するのは牛乳の風味豊かな「レトロみるくぷりん」、同社が市内で展開する移動式カフェ「ブレスカフェ」のブレンドコーヒーを使用した「異国かふぇおれぷりん」、カラメルソースを練り混ぜた「ほろにがカラメルプリン」、数量限定で七飯町産のリンゴジュースを使用した「りんごぷりん」の4種類。1個350円。4個入りのお土産パックは風呂敷に包み、レトロな演出で提供する。

 食べ終わった後にも函館を思い出してもらえるように、容器の瓶に五稜郭タワーなどの名所のイラストをデザイン。空き瓶にろうそくを入れてともすと、イラストの影が浮かび上がるようにし、アロマキャンドルとのセットで売り出すことも予定している。問い合わせは同社0138・86・6681。(宮木佳奈美)


◎西部地区フォローアップ委、デマンドバス運行実験を来年度実施に向け協議
 函館市の「西部地区のまちづくり構想」に基づく各施策について、さまざまな角度から提言する「西部地区フォローアップ委員会」(星野裕委員長、委員5人)が28日、市臨海研究所で開かれた。市は函館バスと協議を進めている西部地区の坂道一帯を巡回する「デマンドバス」の運行実験について、来年度に実施したい意向を示した。

 デマンドバス運行は2005年度に実施した西部地区住民アンケートで、日用品の買い物に不便を感じる理由に「坂道」を挙げた人が多かったことから検討。移動に不便な地域と店舗や電停付近などを巡回させる計画で、函館バスと経路の設定や事業化する際の採算ラインなどについて協議している。

 委員からは「実証実験をまずやってみてから、(事業化に向けての)評価と判断に時間と手間をじっくりかけるべき」との意見が出された。デマンドバスが実現することで「長期的に見れば、出歩く機会が増えることで、交流や地域の活性化にもつながる」と期待する声もあった。

 また、本年度実施した西部地区7町の空き地調査の結果、空き地総数は291カ所で、その状況は未利用の空き地が77カ所、売り地18カ所、駐車場196カ所となっていることが分かった。市は所有者に対し意向調査を行っている最中で、流通促進に向けた調整を進めている。空き家についても来年度、家屋調査を実施し、改修経費やリフォーム案を市が所有者に提案し、流通を促す考えを明らかにした。

 委員からは各施策の発信、周知方法や景観の在り方、市民の目線を大切にすることなど、さまざまな提言がなされた。(今井正一)


◎経済建設常任委、クレーン撤去足踏み状態
 函館市議会の経済建設常任委員会(小山直子委員長)が28日開かれた。旧函館ドック跡地の大型クレーンの撤去差し止めを求める市民団体からの陳情にかかわり、市が現状を報告。渡辺宏身港湾空港部部長は、工事についての問い合わせが約10社から市土地開発公社に寄せられているとし、「ヒアリングを実施しているが、事業者の技術力や資金力を勘案すると、再度のプロポーザル(提案型公募)を実施する状況にはない」とし、足踏み状態にあることを明らかにした。

 クレーン撤去問題は、昨年実施したプロポーザルで候補業者となっていた会社が今年7月になって請け負いを辞退。市は解体撤去の方針に変わりはないとしているものの、具体的な方法や業者が決まらないまま宙に浮いている。

 渡辺部長は「地元業者として函館どつくの協力、支援をいただきながら、新たな手法を検討しなくてはならない」と述べた。この陳情は状況に進展がないとして、継続審査とした。

 このほか、継続調査案件の市屋外広告物条例の改正について協議。都市建設部は西部地区一帯の都市景観形成地域、石川新道沿道の2地域の独自基準と、違反した設置業者への勧告や業者名を公表する罰則制度を設けることなどの素案を示した。12月に市民から意見を求めるパブリックコメントを実施する方針。

 委員からは、公表制度の実効性について質問があり、同部は道や札幌市などでも同様の制度実施していることを挙げ、「抑止力として一定の効果は果たせる」とした。(今井正一)