2007年11月4日(日)掲載

◎ありがとう五稜郭分館(2)/箱館戦争1/戦死した藩士の軍服など
 1955年に開館した市立函館博物館五稜郭分館。開館当時の展示は1階に五稜郭と箱館戦争、2階は考古や美術の資料が展示されていた。68年に発生した十勝沖地震で資料は被害を受け撤去され、以降は五稜郭と箱館戦争の展示を中心にした函館の歴史を伝える博物館となった。

 現在開かれている特別展でも1、2階に箱館戦争の資料が多く展示されている。1階では新政府軍の指揮官が着用していたものと思われる陣羽織、「すっとんきょう」な形から「とんきょ笠」と名付けられた鉄砲隊の笠のほか、戦死した藩士が着用していた洋式軍服などが目を引く。

 洋式軍服は1869(明治2)年5月11日の箱館総攻撃の際、桔梗野の戦いで戦死した新政府軍薩摩藩士恒吉休右衛門が着用していた。いくつかの弾痕も残っている。隣りには、会津藩士の土子定国が戦死した時に使用していた血染めの采配などが展示されている。

 同館の保科智冶学芸員は「藩士や高官位の人が着用していたため、戦死後に体が野ざらしにされず、このように残ったと思われる」と話す。

 このほか1階には、榎本武揚や大鳥圭介らの書簡、大砲の仕組みの解説図、七重浜で撃沈した新政府軍艦朝陽の竜骨などが並ぶ。同館の中心的役割の一つ、箱館戦争の記録が凝縮されている。


◎ガソリン高騰 広がる自衛策…省燃費グッズなどドライバーに浸透
 厳寒期を前に函館市内・近郊でもガソリン価格が高騰し、家計を直撃している。1日現在でレギュラーガソリン(フルサービス)の1リットル当たりの平均価格が146円台(函館消費者協会調べ)に上昇し、近年まれにみる高値となった。こうした中、自家用車など車両に取り付ける「省燃費グッズ」や燃費を向上させる「エコドライブ」が注目され、ドライバーの間でガソリンを節約する自衛策が浸透してきている。(宮木佳奈美、水沼幸三)

 函館市内のスーパーオートバックス函館(昭和3)は昨冬から「省燃費グッズ」の専用コーナーを設置し、30種類の関連商品をそろえる。近年のガソリン価格の上昇に比例して需要が急増し、ことしの行楽シーズンの売り上げは例年の4、5倍に増えた。

 価格は3000円台から5万円台で、車内の電圧を一定に保つことで省エネ効果があるというバッテリーに取り付けるタイプが売れ筋。ガソリン1リットル当たりの走行距離が2―4キロ上昇するという。

 五十嵐久泰店長は「冬季は渋滞によるノロノロ運転や、エンジンスターターの使用で燃費が悪くなる。今後さらに需要が増えるのでは」とみる。買い物に訪れていた市内中道1の福祉ハイヤー会社経営、工藤敏浩さん(37)は「春ごろから省燃費グッズを取り付けているが、頻繁に車を使うなら効果的だと思う」と薦める。

 一方「エコドライブ」は地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出抑制が目的だが、燃費向上にもつながるとして、いまや輸送業界では常識だ。佐川急便函館店(本庄保店長)は「運送料に転嫁できないので1年前から徹底している」と話す。函館帝産バス(岩塚晃一社長)では「サービスが低下しない程度に、必要時以外はエンジンを切るようにしている」という。

 エコドライブを推進する日本自動車連盟(JAF)函館支部ロードサービス隊の香川博隊長は「発進時が最もガソリンを消費するため、ゆっくり加速するだけで個人差もあるが2、3割程度の節約になる」と指摘。ポイントとして▽アクセルの踏み加減を一定にする▽停止時は早めにアクセルから足を離す▽不要なアイドリングはやめる―などをアドバイスしている。

 下がる気配のないガソリン価格。こうした今すぐ実践できる“節約術”はさらに広がりそうだ。


◎「一生懸命 地域で活動」…民主・逢坂氏 函館入り
 民主党道第8区総支部(金田誠一代表)は3日、函館市内の函館ハーバービューホテルで党臨時大会を開き、逢坂誠二衆院議員(48)=比例代表=を次期衆院選8区候補に正式決定、平出陽子道議に代わり、逢坂氏の同総支部代表代行就任を承認した。逢坂氏は「政権交代という大きな目標を皆さんと担えることは大変光栄。8区に大きな足跡を残した鉢呂吉雄衆院議員、金田代表の大きな背中に一歩でも追いついていけるよう頑張っていきたい」と述べた。

 記者会見で、逢坂氏は地方の抱える問題点について「国民の生活そのものが危うい状況。生きていくための最低限の基盤がこの地域にうまく提供されているのかを検証し、国政レベルで直す必要がある」とした。地方交付税の削減など地方財政の現状には「地域の実態を知らない誤った財政削減論による地方いじめだ。より深刻に受け止め、自由度の高い、責任の持てる財源を地方に渡していく」と述べた。

 同席した党や連合、金田誠一後援会関係者らは年内解散も視野に、週明けにも合同選対本部準備室を設置、早急に逢坂氏のバックアップ体制を築き、地域での浸透を図るとした。

 逢坂氏は「現職の国会議員として時間の許す限り、地域の皆さんと会うことを基本としたい。政治家は寄って立つ基盤がなくては、リアリティーが生まれない。一生懸命地域で活動することで、(移入候補であることは)払しょくされるだろう」と述べた。

 臨時大会には、地区選出の道議や党道代表の鉢呂氏、連合渡島地域協議会の渡部正一郎会長ら関係者が出席。鉢呂氏は「次の衆院選は政権交代を現実のものにする極めて重要な選挙。そのために道内小選挙区で全部勝たなくてはならない。8区でこれまで全勝している金田さんの後を、逢坂さんがしっかり担い、勝たせることを誓いたい」と述べた。(今井正一)


◎鉢呂氏「一国も早く衆院解散を」…連立政権参加要請で
 民主党道代表の鉢呂吉雄衆院議員は3日、党道第8区総支部臨時大会の中で、福田康夫首相が小沢一郎党代表に連立政権参加を申し入れをしたことについて「国民のための政治を断行するには、一刻も早く衆院を解散し、国民の皆さんの投票による民意を受けた政治が行われるべき。大連立の要請をきちんと断って、与野党逆転の政権交代を実現する段階だ」と述べた。

 また、新テロ対策特別措置法案を審議している特別委員会に触れ、給油転用問題や、守屋前防衛事務次官をめぐる問題が不透明だとし、「与党側は解明せずに会期末に強行採決する姿勢だが、党として同意することにはならない」とし、政局が解散含みで予断を許さない状況であるとの認識を示した。


◎スケトウダラ漁始まる
 【乙部】日本海に冬の訪れを告げるスケトウダラ漁が3日、乙部沖で始まり、未明から乙部船団(松崎敏文船団長・17隻)と豊浜船団(明石晃司船団長・13隻)の計30隻が出漁した。

 豊浜漁港はこの日午前4時すぎ、餌を付けたはえ縄を積み込む出港準備で活気付いた。大漁旗を掲げた漁船は、漁業者の信仰を集める「諏訪神社」の真下の入江に集まり、神酒を海に注ぎ大漁を祈り、漁場を目指した。

 一方、漁を終えた乙部船団は午後1時すぎに帰港。乙部漁港に陸揚げされたスケトウは形も良く、松崎船団長は「思ったより漁があり、まずまずの初日」と話した。

 桧山沿岸のスケトウ漁は道内でも数少ないはえ縄漁だが、近年の日本海ではスケトウの漁獲が急減。桧山沿岸でも1993年度の漁獲1万7770トンが、昨年度は過去20年で最低の5273トンに激減した。

 近年の不漁は資源減少に加え、温暖化に伴う水温上昇や海流の変化による影響が大きいといわれる。乙部沖では例年は1月下旬まで漁を行うが、沿岸の水温が高いとスケトウは浅海の産卵場に近寄らず、はえ縄の届かない冷たい深海に身を潜めているという。ベテラン漁業者は「これまでの知識や経験が通用しない。夏は暑くて冬は寒い。そんな当たり前の気候でなければ海も良くならない」と、海の異変を肌で感じている。(松浦 純)