2007年11月6日(火)掲載

◎ありがとう五稜郭分館(4)/箱館奉行所/7つの大きな甕発見
 箱館奉行所の復元に伴い、今月末で閉館する市立函館博物館五稜郭分館。箱館戦争、五稜郭について史料を展示する最後の特別展の中で、最近になって五稜郭内から発掘された7つの大きな甕(かめ)は、ほかのコーナーとは違った雰囲気を醸し出している。

 このかめは2005年6月から同10月に実施された箱館奉行所史跡整備の発掘調査で見つかった。いずれも高さ約80センチ、直径約50センチ。口から胴にかけて膨らんでおり、口の端は折り曲がっているなど形はほぼ同じ。

 7つは奉行所庁舎跡の2カ所から発掘された。南西側にある内玄関式台跡からは、口が上を向き、埋設されたままの状況で2つ、このほか同付近から一つ分の破片が見つかった。

 また、すぐ近くの玄関式台跡では4つ分の破片が見つかった。状況からいずれも口は上に向けられ、縦横2つずつ並んでいていたとされる。

 かめは信楽焼きとみられる。それぞれ外側や底に違った墨書があり「文」「拾壱」「上口」などと書かれている。

 発掘調査では、形が成していたかめの中は空と推測されている。これらのかめについては記録されている古文書などは無く、何に利用されていたかは不明という。

 かめの前には郭内で出土した輸出入品などが展示され、全館で五稜郭構造に関する資料は195点展示されている。


◎来月イルミナシオン映画祭、上映作品とゲスト決まる
 函館の変遷を紹介してきた市立函館博物館五稜郭分館。主に展示されてきた箱館戦争に関する史料からは、函館を舞台にしたさまざまな人間ドラマを垣間見ることができる。一方で、戦争が近代戦への過渡期に入っていることも伝えている。

 12月7―9日に函館山展望台クレモナホールと、「十字街シアター」(函館市地域交流まちづくりセンター内)の2会場で行われる「第14回函館港イルミナシオン映画祭2007」(実行委主催)の上映作品が、このほど決まった。初上映(プレミア上映)となる9作品をはじめ、ショートフィルムを含む計29作品の公開を予定。ゲストには国内で注目を集めている監督、俳優らがずらりと顔をそろえている。

 今回は、日本を代表する美術監督、映画監督で、89歳を迎えた現在も現役で活躍を続ける木村威夫さんの特集を組む。木村さんが美術監督を務めたオール函館ロケ作品の「硝子のジョニー 野獣のようにみえて」(1962年)など4作品を上演。木村さん本人と同作品主演の宍戸錠さんをゲストとして迎える。

 プレミア上映作品は「アリア」(坪川拓史監督)、「人のセックスを笑うな」(井口奈己監督)、「瘤広場(仮題)」(木村威夫監督)、「実録・連合赤軍―あさま山荘への道程(みち)」(若松孝二監督)、「TOCHKA」(松村浩行監督)、「ねこのひげ」(矢城潤一監督)、「練鑑Bros.2 Straight to heaven〜天国へまっしぐら」(柏原寛司監督)、「クリアネス」(篠原哲雄監督)、「4 HANDS」(白井康彦監督)。各作品の監督がすべて来場を予定している。

 また、今回から新たな会場となった十字街シアターでは、5作品のプレミア上映などに加え、インディーズ監督によるショートフィルム7作品を上映する「ショートフィルム・マシンガン」など独自の企画を展開する。

 そのほかの主なゲストは次の通り(敬称略)。

 監督=小林政弘、若松孝二、林海象、中江裕司、あがた森魚、井口奈己

 俳優=根岸季衣、永作博美、渡辺真紀子、細田よしひこ、大西信満、小林三四郎。

 同映画祭についての問い合わせは実行委函館事務局TEL0138・22・1037。 (小川俊之)


◎渡島支庁などでウォーム・ビズ始まる
 地球温暖化防止を目的に、室温設定を抑えて温室効果ガスの排出を減らす道の「ウォーム・ビズ」活動が11月から始まった。渡島支庁でも、職員が重ね着するなど取り組みを始めている。灯油価格が高騰し、暖房費の節約意識が高まる中、同支庁では「暖かい服装で過ごし、暖房設定温度を1度下げて」と一般家庭にも活動の協力を呼び掛けている。

 ウォーム・ビズは国の方針に合わせて、2005年から道が独自に実施している。期間は11月から翌年4月末までの6カ月間で、職員に暖かい服装での執務を勧めるほか、企業や一般家庭への啓発やパネル展などを通じて、取り組みの広がりを図っている。

 同支庁では、各課の入り口に活動実施を知らせるチラシを掲示し、来庁者にPRしているほか、管内市町村や各出先機関にメールや文書で参加を呼び掛けた。これを受け、市内新川町の函館地方合同庁舎でも電灯の間引き点灯などを行っている。

 同支庁地域振興部の藤井淳係長は「まだ暖かいので職員の服装はあまり変わらないが、厳冬期にはベストやカーディガンを活用してほしい。職員が率先して取り組むことで『暖房に頼らない暮らし』の実践を促したい」と話している。また、市民に向けては、暖房を1度下げることで1世帯当たり灯油年間約130?「(約1万1000円)の節約になることから、「省エネにもなるのでぜひ実施して」と呼び掛けている。

 こうした取り組みは管内の企業にも広がっている。北海道電力函館支店(鈴木裕文支店長)も3年前から実施しており、同支店の担当者は「女性は膝掛けを用意するなど活動は浸透している」と話す。また、北海道ガス函館支店(伊藤広路支店長)の販売開発グループによると、「冬は余計に着込むなど社員の意識は高まっている」という。 (新目七恵)


◎函館市が職員の再就職先公表を検討
 函館市議会の決算特別委員会(村井正幸委員長)が5日始まった。2006年度市一般会計決算など16件を上程し、初日は総務常任委員会所管分を審議した。市職員の退職後の再就職について、小柏忠久総務部長は「行政の公平性や透明性、信頼性を確保するため、離職後2年間は再就職先を届け出る要綱の作成を早急に検討したい」と述べた。市は再就職先を定期的に公表する考え。

 本間新氏(市民クラブ)への答弁。本間氏は、市の出資団体や補助金交付団体に退職職員が長年、再就職している実態を指摘。国家公務員は退職後2年間、関連する団体への再就職が禁じられ、道や札幌市などは再就職先を届け出ることを要綱で定めていることを挙げ、市の対応をただした。

 小柏部長は「再就職先を市があっせんすることはない」と述べた上で、市役所時代に培った知識や経験、人脈などを民間企業が評価し、市に適任者を照会してくるケースがあることを明らかにした。

 関係者によると、出資団体や補助金交付団体に再就職した元職員は、常勤の幹部職員として職務に励んでおり、本間氏は「市民に誤解を与えてはならない」と述べた。

市は再就職の届け出を任意とし、早期に要綱を策定する方針。出資団体と補助金交付団体については退職時の役職と就職先、そこでの役職を定期的に公表し、民間企業への再就職者は件数と人数を公表する考え。

地方公務員の再就職に関する規定は現在、国会に改正地方公務員法が提出され、離職後2年間の再就職先の届け出や、退職職員による現職職員の就職の働きかけ禁止などが盛り込まれている。

市が提出した資料によると、10月1日現在で、出資団体では7団体に9人、補助金交付団体には17団体に30人のOBが再就職している。民間企業では、2002年度から06年度までの退職者で把握している範囲として48社(団体)に63人いる。 (高柳 謙)


◎さくら・鍛治統合、新保育園は鍛治保育園敷地内に
 函館市は市立さくら保育園(五稜郭町17)と鍛治保育園(鍛治1)を統合し、2009年度から民営化する新保育園の建設場所を、現在の鍛治保育園の敷地内とする方針を固めた。08年度中に市議会の議決を経て正式に決定する。

 市の計画では、鍛治保育園の敷地1464平方メートルに加え、隣接する民有地約180平方メートルを購入して、園舎を新築する。旧園舎は新園舎完成後解体する。

 新保育園の経営には複数の事業所の申し出があり、市は選考委員会を設置して検討。同選考委が選出した社会福祉法人共愛会を移管先に内定している。

 現在、さくら、鍛治の両保育園の園児の定員はそれぞれ50人、70人で、統合・民営化後の定員は90人となる。

 両保育園の統合、民営化は04年に策定した市のアウトソーシング推進計画に基づき実施。市内の保育園の民営化はこれまで05年度から桔梗保育園を皮切りに順次行われ、さくら、鍛治で5例目となる。 (鈴木 潤)