2007年11月7日(水)掲載

◎ありがとう五稜郭分館(5)/函館氷/堅硬透明 ほんのり甘み
 市立函館博物館五稜郭分館最後の特別展で最後に目に入るのは、1869(明治2)年、日本初の天然氷として作られた「函館氷」に関する史料11点だ。先人の偉業を改めて伝えている。

 函館氷は三河(愛知)の中川嘉兵衛が製氷。600トンもの氷を切り出し、関東方面で販売。五稜郭の外掘で製氷されたため「五稜郭氷」とも呼ばれた。81(同14)年には内国勧業博覧会で竜紋の賞牌(しょうはい)を受け、「竜紋氷」とも知られるようにもなった。

 当時、医療用などの氷は値段の高い輸入氷に頼るところが大きかったため、函館氷は大きな恩恵を与えた。品質は堅硬透明、ほとんどにおいはなく、ほんのり甘い味があったという。

 氷を切り出すのこぎりは長さ約2メートル。刃の芽は場所によって違う。作業服はかなりの厚みがある。当時の様子を紹介する図絵には大勢の人が描かれ、冬の函館にとって大きな労働の場であったことを感じさせている。(おわり)

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 特別展「さよなら これが五稜郭分館だ!」は30日まで(月曜休館)。開館時間は午前9時から午後4時半(観覧は同5時まで)。入場料は一般400円、大学・高校生200円。小、中学生100円。問い合わせは同館TEL0138・51・2548。


◎歯磨き、食生活改善…“いい歯”になろう あす「いい歯の日」
 子どもの歯、しっかり守って“いい歯”にしよう―。渡島保健所によると、2006年度の八雲、長万部両町を除く渡島管内9市町の3歳児1人当たりの平均虫歯本数は1・60本で、道内平均(1・21本)に比べて多いことが分かった。同保健所では、共働きなどの家庭環境、歯科衛生意識の低さなどを要因に挙げ、「乳歯は成長過程で大事な役割を持つ。歯磨きや食生活の改善で予防を心掛けて」と呼び掛けている。あす8日は「いい歯」の日。

 いい歯の日(11月8日)は、日本歯科医師会が口腔(こうくう)保健の啓発周知日などとして1993年に定め、関連団体がPR活動などを行っている。1歳半と3歳児対象の歯科検診は、国が自治体に実施を義務づけている。

 同保健所によると、近年、歯科保健知識の普及や予防製品の充実などを背景に、全国的に子どもの虫歯は減少傾向にある。道南圏も微減しているが、都市部に比べ、歯科環境や対策は遅れ気味という。

 道が集計した道内180市町村の歯科検診(同年実施分)結果をみると、3歳児の平均虫歯本数は管内で鹿部町が5・42本(全道179位)と最も悪く、次いで森町(2・29本)、松前町(1・95本)など道内平均以下の町が目立つ。函館市は1・52本、北斗市は1・66本。各自治体の乳幼児数で平均値に差は出るものの、「ここ数年は心配な市町が道南圏には多い」(同保健所)という。

 同保健所の沼田栄子歯科衛生士は「乳歯が生えそろう3歳児は発達段階の中でも大事な時期。虫歯は生活環境が影響するので、親の仕上げ磨きはもちろん、歯磨きの習慣づけも意識してほしい」と話している。

 具体的な予防策としては@歯磨きA食生活の改善B歯質の強化―を挙げる。同保健所の新里勝宏歯科医師は「何となく磨くのではなく、コツをつかんで効率の良い磨き方を実践してほしい」と説明し、「年齢問わず、かかり付けの歯医者を持ち、定期的にチェックすることも大事」と話している。(新目七恵)


◎役場で刺激臭…安全ピンはずれクマ撃退スプレーが拡散
 【江差】6日午後4時ごろ、江差町中歌町193の江差町役場2階で、執務スペース内に置かれていた市販の「クマ撃退スプレー」の安全ピンが外れて、トウガラシを主成分とするガスが誤って噴射された。刺激臭が拡散した役場内は一時騒然となり、職員らが目や鼻に痛みを訴えた。

 2階には約50人の職員らがいたが、けがはなく、マスクやタオルを口、鼻に当てるなどして事務に当たった。

 スプレー(直径約5センチ・高さ約20センチ)は、登山用品店などで販売されており、トウガラシエキスから抽出した刺激成分のカプサイシンが主成分。4―9メートル先のまで噴射する。ヒグマが生息する山林内で作業を行う際、職員が安全のために携帯していた。

 スプレーは布製のケースに納められ、安全ピンが取り付けられているが、何かのはずみで外れたらしい。町は「お騒がせして申し訳ない。管理を徹底したい」と話している。


◎「安易な利用」判断難しく…市消防本部 昨年の救急車搬送 最多1人で22回
 函館市消防本部に昨年1年間で10回以上、救急車の出動要請をした市民は4人で、最多は1人で22回もの搬送があったことが分かった。同本部は「軽微な例での出動要請もある。ただ、ケースは多様で、病気かどうかの最終判断は医師に委ねなければならない」と話し、疑わしくても出動、搬送せざるを得ない状況を説明した上で、「救急講習や広報を通して、市民に適正な利用を呼び掛けていきたい」としている。

 救急搬送は全国的に軽微なケースでの出動や、逆に搬送しなかったことで重症になる事例が問題となっている。

 同本部は「かすり傷程度のけがや風邪による発熱など、自分で通院できるような事例のほか、出血の多さや赤ちゃんのけいれんを見て気が動転した母親など、やむを得ないと思われるケースまでさまざまある」と語る。だが、単純にけがの状態や症状を見て判断するのは難しいという。

 1年間に22回運ばれたのは30代の男性。「持病があり、自宅からの出動要請と店舗など外出先からの要請があり、到着や搬送をして同じ人物と分かった」という。このほか、21回搬送された50代の男性もいる。

道内では、救急隊員が「常習的な利用」とみて通報者を運ばなかったために亡くなったケースもある。奈良県では救急搬送中の妊婦が病院をたらい回しにされた末に流産したり、飲酒後に転倒し、頭を打った男性を救急隊員が軽傷と判断して運ばず、結果的に意識不明となって消防が訴えられた事例もある。

同本部救急課は「歯が痛い、数日前に打った腰が痛い、などの出動では搬送を断ることもある。ただ、腰が痛い、頭が痛いといっても、考えられる病状はさまざまで、一概に『不適切な利用』とは言えない」と語る。

この問題は5日の市議会決算特別委で、井田範行氏(市民クラブ)が取り上げた。市消防本部の昨年1年間の救急搬送人員は1万2705人で、前年とほぼ同じだが、井田氏は「10年前と比較し5割増、20年前と比べ約2倍となっており、タクシー代わりや安易な利用はないか」とただした。同本部はこうした事情を説明、市民に適正な利用を呼び掛けていく考えを示した。(高柳 謙)


◎冬の函館の魅力PR…京浜東北線に車体広告
 JR東日本・京浜東北線で、函館市の観光をPRする写真広告が車体に張り付けられた電車が運行している。写真は冬の函館観光として「ハリストス正教会」「夜景」など4種類。12月1日まで埼玉・大宮―神奈川・大船駅間を運行し、首都圏在住者に「ロマンチックな冬の函館」へのあこがれをかき立てている。br>
 1編成10両の車両を使用し、広告1枚の大きさは縦176・5センチ、横68センチで、1両につき計8枚を乗降口横にそれぞれ張り付けた。経費はデザイン料を含めて約770万円。市がJRに車体広告を出すのは、昨年の山手線に続き2回目。

 広告は冬の澄み渡った空気の中で輝く夜景と、空と雪と壁のコントラストが映えるハリストス正教会、五稜郭公園でライトアップされた「五稜星(ほし)の夢」、ベイエリアの夜空に輝く「はこだてクリスマスファンタジー」のメーンツリー。12月から始まるイベントに合わせて、冬の函館の魅力を伝えている。

 市観光課は「昨年も高い宣伝効果があった。新幹線利用客も多い大宮を起点とする京浜東北線にすることで、新幹線開業を見据えて、函館の良さを首都圏でPRしたい」と話している。(今井正一)