2007年11月8日(木)掲載

◎湯の川温泉が道観光戦略会議モデル地域に
 官民一体となって北海道観光の活性化策を検討する道の3カ年事業「道観光戦略会議」のプロジェクトの1つ、「食の連携・クオリティーアップ」のモデル地域にこのほど、函館湯の川温泉が選ばれた。道内3カ所目。宿泊施設関係者や農協、漁協、函館市などが連携し、12月20日から3月末まで、同温泉内の11施設で地元食材を使った1万円のオリジナル会席フェアを実施する。7日には関係者が集まり、メニュー料理の試食会が行われた。

 同会議(会長・南山英雄道経済連合会会長)は2005年8月に観光事業者、関係団体などで発足。北海道観光の課題を11に分け、06年から各プロジェクトの取り組みを進めている。その中でも「食」は重要テーマに位置づけられ、これまでに胆振管内洞爺湖温泉(06年12月―07年8月)、釧路管内川湯温泉(07年5月から)の2温泉街で各種フェアを展開している。

 今回の選定は、プロジェクトリーダー、ヒロ中田さん(リクルート北海道じゃらん編集長)が「人気の温泉地であり、豊富な食材を生かせる場所」との理由から提案。道の担当者などがこれまでに2度来函し、地元メンバーとフェアの内容を検討してきた。

 フェアでは、津軽海峡産マグロや函館産のアンコウ、道南産米ふっくりんこなど指定した6種類の食材を必ず使い、各施設が独自にディナーメニューを考案。「スペシャル会席」として1万円で提供する。

 試食会は湯の川観光ホテルで行われ、関係者ら15人が出席。各施設の料理人らがメニュー内容を発表し、「マグロと道産牛ヒレ肉のあぶり焼き」や「ふっくりんこ真昆布ロール寿司」など10品を試食して意見を出し合った。ヒロさんは「メニューの書き方を工夫し、客に期待感を持たせて」などとアドバイスしていた。

 試食会は湯の川観光ホテルで行われ、関係者ら15人が出席。各施設の料理人らがメニュー内容を発表し、「マグロと道産牛ヒレ肉のあぶり焼き」や「ふっくりんこ真昆布ロール寿司」など10品を試食して意見を出し合った。ヒロさんは「メニューの書き方を工夫し、客に期待感を持たせて」などとアドバイスしていた。

 フェアは宿泊料金別。ディナーのみも可。

 フェアに参加する施設は次の通り。

 湯元 啄木亭、想い出づくりの宿 飛天、夢窓庵、湯の川グランドホテル、湯の川観光ホテル、湯の浜ホテル、湯の川プリンスホテル渚亭、竹葉 新葉亭、割烹旅館 若松、旅館 一乃松、大黒屋旅館 (新目七恵)


◎本紙掲載「Let’s Try理科実験」が本に、10日発売
 本紙に毎週土曜日掲載の「Let’s Try(レッツトライ)理科実験」を執筆する市立函館高校教諭の渡辺儀輝さん(41)が、同コーナーで取り上げた内容を大幅に加筆修正した単行本「なぜ救急車が通り過ぎるとサイレンの音が変わるのか」を執筆した。10日に宝島社から発売される。新書判、224?で価格は735円。

 渡辺さんは南茅部高校に勤務していた1999年11月から、身近な道具を使用してできる実験を通して理科をわかりやすく紹介する同コーナーをスタート。以来毎週欠かさず継続し、最新の掲載(3日付)では407回を数える。

 掲載内容は渡辺さんのホームページですべて公開。7月下旬にこれを見た同社が出版を打診し実現した。修正に当たっては「大人までが読み物として楽しめるように」(渡辺さん)と、身近にある物を取り上げた。音源が移動する時に音の周波数が変化する「ドップラー効果」は救急車を例に、空気の状態によって音の伝達速度が変化することについてはヘリウムガススプレーで声が変わることを例に解説した。

 執筆時間は8月の約1カ間、午前3時ごろに起床し毎日2―3時間を確保した。「高校では授業があったり責任ある業務を任されているので、本職をおろそかにしたくはなかった。大変だったが、新聞用に作った時のことを思いだすなど、あっという間だった」と刷り上がった本を手にとって感無量の表情。

 函館新聞への執筆は今後も継続する。「道内どこに転勤しても書き続けます」と気持ちを新たにしている。 (小泉まや)


◎函病、新たな専門外来検討
 函館市議会の決算特別委員会(村井正幸委員長)は7日、民生常任委員会の所管分を審議した。井上芳郎病院局長は、大動脈瘤(りゅう)に対応する専門外来を市立函館病院に新たに開設する考えを示した。時期などは未定だが、心臓・血管外科に開設し、週1回の診療を基本に検討を進めている。

 能登谷公氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 同病院は、病状に特化した専門的な診療を推進しているが、専門医の医師の確保に苦慮している。最近では、医師の退職などで産婦人科や精神科の診療を縮小したほか、糖尿病、リウマチ科、腎臓内科の専門外来を閉鎖している状況。井上局長は「専門外来の配置は医師の専門性をアピールし、患者の獲得に一定の効果がある。医療法の規則などを順守し、受診がスムーズが行える体制を整えたい」と今後の見通しを述べた。

 能登谷氏は、道内の一部公立病院で実施している土曜の診療実施を提案。井上局長は「現在の医師数からして負担になる」と当面、実施は難しいとの見方を示した。

 また、昨年6月から市立函館病院で実施した院外処方の実績は、今年3月までの数値で15万4412件と全体の92・28%を占めたことが報告された。

 各委員の質疑後、同委員会は2006年度市一般会計など16件の決算を認定することを決め、審議を終了。12月定例会の本会議で村井委員長が審議経過を報告し、採決する。 (鈴木 潤)


◎来年1月スロバキア国立オペラ公演
 オペラ鑑賞を身近な娯楽の一つに提供しようと「スロバキア国立オペラ公演2008・椿姫」(日本スロバキアオペラ交流委員会主催)が、来年1月12日午後6時半から函館市公民館(青柳町12)で開かれる。同公演のため立ち上げた「函館スロバキア・オペラ交流の会」(天明伸哉代表)が共催。天明さんは「海外でオペラは庶民の手軽な娯楽。日本でも身近に感じてもらえれば」と来場を呼びかけている。

 来函するのは、スロバキア中部にある都市バンスカ・ビストリツアを拠点に活躍する「バンスカ・ビストリツアの国立オペラ座」。1999年以来毎年、本道などで公演を開いている。函館では初開催。

 同オペラ座の日本公演を世話する日本スロバキアオペラ交流委員会の長谷川洋行代表(小樽)は、日本では敷居の高いと感じられる外国の一流オペラは本来、誰でも楽しめる娯楽であることを知ってもらおうと活動している。長谷川さんと親交を持つ天明さんが共感し、函館公演を提案、実現した。

 公演が決まり、天明さんは10月にスロバキア、ハンガリーなどを4カ国を訪問。計5回オペラ鑑賞しきた。観客のほとんどは一般市民。「映画より大衆娯楽。中年層の女性が多く驚いた」と話す。また歌を聞くと、現代の音楽に通じるものがたくさんあることを感じたという。

 函館の公演は舞台装置を特に設けず、ソリストたちがピアノの音のみで歌う。2部構成で第1部は「椿姫」を披露。日本でなじみあるもので歌手の技量を堪能し、オペラへの親しみを深めてもらう。第2部はオペレッタやミュージカルの名曲12曲を歌う。

天明さんは「函館には15年以上の歴史がある市民オペラもあり、ファンは多いと思う。今回の鑑賞を足がかりに、函館市とスロバキアの交流が深まり、市の活性化に役立てれば」と期待している。

入場料は3500円(当日500円高)。前売り券は市内の松柏堂プレイガイド、函館新聞社事業部(港町1)、FMいるか(元町18)で発売中。公演の問い合わせは天明さんTEL0138・51・9339またはTEL090・2479・3257。 (山崎純一)


◎貿易ビジネスセミナー「アジア市場に商機」
 函館圏域の貿易振興を考える「中国(上海)・シンガポール貿易ビジネスセミナー」が7日、函館市美原の渡島合同庁舎で開かれた。海外との貿易促進や地場産品の販路拡大支援を目的に、渡島支庁と函館市の共催。講師に海外駐在経験がある道職員を招き、現地のビジネスにかかわる考え方や、動向を探った。

 講師は、北海道・北東北三県シンガポール事務所に勤務した道経済部産業立地課の中川賢一主査と、ほくほくフィナンシャルグループ(北陸銀行上海事務所)に派遣経験のある同経済交流課の匂坂圭子主査が務め、それぞれ、現地のビジネスにかかわる考え方を伝えた。

 中川主査は「シンガポールでは北海道はブランドとして知名度がある」とし、飛躍的な経済成長を続けるアジア市場には大きなビジネスチャンスが広がっているとした。同国は、ASEAN主要都市と2時間圏内で結ばれている地理的な優位性があることや、外国企業に対する政府の姿勢など「アジアの統括拠点として、安心してビジネスができる環境」と紹介した。

 また、現地のビジネスフェアに参加する際の留意点として「出展する目的をはっきりさせ、アフターフォローをしっかり行うことが重要になる。日本人とは考え方が違うので、自分の言葉でマーケットに訴えることが大切」などと語り、商談を切り開く上での必要な姿勢を伝えていた。

 セミナーではこのほか、支庁と市の貿易担当者が、行政の取り組みを紹介。市商工観光部貿易振興担当の清水大令参事は、函館や道内の貿易は整備途上であるとして、「輸出者のポテンシャル(潜在能力)を向上させるのが絶対条件。行政の役割は民間と両輪であり、知恵を絞ってやっていきたい」と述べた。 (今井正一)