2007年11月9日(金)掲載

◎岩澤さんの会社敷地内の庭園でイルミネーション点灯
 函館市花園町19で西洋骨董や輸入雑貨を販売する「イワサワ オブ ロスガトス」のオーナーで、岩澤総業社長の岩澤ケイ子さん(82)は、子どもたちを喜ばせようと、同社敷地内の庭園に12月25日のクリスマスに向けてイルミネーションを装飾した。8日には花園保育園(遠藤勝子園長)年長組の園児25人を招き、にぎやかに点灯式を行った。日ごとに寒さが増す中、輝くイルミネーションが温かく、優しい空間を作り出している。

 岩澤さんは、30年前から米国カリフォルニア州ロスガトスを年1回訪問し、西洋の美術品や装飾品を購入。その度に、現地の人が自宅の庭に点灯するイルミネーションの美しさに引かれ、「かわいらしい装飾で地域の子どもたちを楽しませてあげたい」と、2000年から毎年、敷地を利用した装飾を行っている。

 ことしは10月下旬から岩澤オーナーと従業員、作業員ら約10人で取り付け作業を開始。市民、特に子どもたちが見て喜ぶような配置を考え、一生懸命に取り組んだ。

 2メートル以上のほうきを抱えたスノーマンやサンタクロース、ディズニーキャラクター、トナカイなどの巨大なエアバルーンを展示したほか、首が左右に動くトナカイや汽車などのかわいらしい電飾などを120点余も展示した。日が暮れ始めると、赤や緑、黄色などの電飾が暗闇の中で引き立つ。

 点灯式では、岩澤オーナーの掛け声で徐々に庭園が光の輝きに包まれ、園児たちの「かわいい」「きれい」の声が飛び交った。来場した大崎慎也ちゃん(6)は「車のバルーンがお気に入り。キラキラ光ってきれいでした」と大喜び。岩澤オーナーは「とにかく子どもたちが楽しんでくれれば何より」と目を細めていた。

 点灯は12月25日まで毎日続く。時間は午後3時から同10時(エアバルーンは午前10時から)。敷地内に入って見ることができるのは午後6時まで。(小橋優子)


◎処分ペット 年1千匹超…市立函館保健所
 動物に癒やしを求める人が増え、全国的なペットブームとなっている半面、飼い主の飼育放棄などで市立函館保健所(函館市五稜郭町)に持ち込まれ、殺処分される犬や猫の数は年間1000匹を超えていることが分かった。道内では年間約1万匹にも上り、道は8日までに、ペットの適正な飼い方を求める「動物愛護管理推進計画」の素案をまとめ、来年度の施行を目指している。動物の病気などを理由に保健所に持ち込むケースもあり、同保健所では「飼う責任を自覚して」と飼い主のモラル向上を呼び掛けている。

 同保健所によると、2006年度に持ち込まれた犬は130匹、猫は1008匹で、そのうち犬94匹、猫1004匹の計1098匹が殺処分された。近年の処分数はほぼ横ばいで、03年度は犬猫合わせて1032匹、04年度は同981匹、05年度は同1178匹だった。渡島保健所にも06年度、合わせて30匹が持ち込まれている。

 一方、新たな飼い主などが見つかり譲渡されたのは全体の1割にも満たず、06年度は犬猫合わせて40匹にとどまった。この傾向も数年変わらず、03年度は同76匹、04年度は同93匹、05年度は同77匹となっている。

 同保健所は「犬が高齢になり、世話が大変になったなど、飼い主の都合で持ち込まれるケースもある」としている。

 道自然環境課によると、札幌、旭川、函館、小樽を除く40の道立保健所では昨年度、犬猫約1万3000匹が持ち込まれ、そのうち9800匹が処分された。同計画素案では、元の飼い主への返還率を上げるなどし、処分数を来年度から17年までの10年間で半減させることなどが示されている。

 同保健所でも新しい飼い主への譲渡数を増やそうと、インターネットなどでの情報提供を準備中だが、「まずは飼い主が新しい引き取り先を探したり、病気なら最後まで看取るなどしてほしい」と話している。(新目七恵)


◎修学旅行 江差に来て…観光コンベンション協会 青森で誘致活動
 【青森】青森県からの修学旅行生を江差町に誘致しようと、江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)の役員らが6、7の両日、県内の小学校や旅行代理店を訪ね、中世から歴史的にも深い結び付きがある江差への訪問を呼び掛けた。

 打越会長、西海谷望事業開発部長、下畑洋平誘致宣伝部副部長と協会事務局職員が、弘前市や五所川原市などの小学校13校、青森市などの旅行代理店9社を回り、観光パンフレットや資料を手渡して、体験観光のメニューやモデルプランを説明した。

 JR青森駅から鉄道を利用した場合、2時間余りで江差に到着できるため、「木古内を起点に江差を経由して、道南各地や道央に向かうことも容易。江差が拠点だった北前船による日本海交易や松前藩との関係を学ぶことも意義深い」と説明し、協力を呼び掛けた。

 県内での誘致活動は4年目。協会事務局によると、誘致活動の成果で、2005年度からの2年間、県内の小学校計4校が日帰りで江差を訪れたほか、旅行コースに江差を組み込むことに前向きな姿勢を示している学校も増えているいう。打越会長は「継続的な誘致活動が実を結びつつある。地域経済の活性化につながる町内での宿泊の実現に向け、働き掛けを強めていきたい」と話している。(松浦 純)


◎ホタテやイカの廃棄物有効利用 進む研究 事例紹介…水産ゼロエミッション研究会
 道内で初開催となる「第6回水産ゼロエミッション研究会」=同研究会(千葉県)主催=が8日、北大函館キャンパス内の函館市産学官交流プラザで開かれた。ホタテやイカなどの残さを利用した研究事例の発表、総合討論で、水産副次産物や廃棄物の有効利用に理解を深めた。

 道内では、水産副次産物にかかわる研究が盛んで、さまざまな技術や再利用方法が生まれている。北大大学院水産科学研究院の高橋是太郎教授は「ホタテやイカの事例を紹介するが、有効利用はゼロエミッションのごく一面でしかない。総合的な社会システムに踏み込んだ考察は、まだまだこれからになる。道内で2回目の開催も視野に進めていきたい」とあいさつした。

 特別講演では函館市内で進められている研究事例を中心に発表。このうち、道立工業試験場(札幌)環境エネルギー部の作田庸一部長は、同試験場で1991年から取り組むホタテのウロや貝殻の再利用方法を紹介した。

 道内では2005年に約45万トンの水産廃棄物があり、貝殻44%、ウロ6%など、ホタテ関連が半数以上を占めた。作田部長は2000年から森町内の施設で使用されている、ウロ中の重金属カドミウムの分解プラントの仕組みを説明した。

 また、ホタテ貝殻の特徴を「石灰石と比べ緻密(ちみつ)な構造で、化学組成も鉄やアルミニウムが少なく、白色度が高い」とし、さまざまな場面で利用されている実例を解説。アスファルト舗装用の充てん剤として利用すると「わだちができにくい」、道認定のリサイクル製品として全国販売されている黒板用のチョークは「強度があり、書き味も鮮明」などとした。

このほか、特別講演では、イカ墨インクの開発事例や、ヒトデ粉砕物から生まれた土壌改良材などを紹介。同研究院の三浦汀介教授が「持続可能な水産業とは」と題して基調講演した。(今井正一)


◎臨海研究所へ視察相次ぐ
 函館市が国際水産・海洋都市構想の研究拠点として整備した市臨海研究所(大町13)に、観光客や市民の見学のほか、地方議会や省庁、町会関係者らの視察が続いている。4月の開所から7カ月間で視察は約40件。海洋都市構想というまちづくりに関する調査研究と、古い建物を復元整備し、自由に見学できる公開型の施設という2点が関心を集めているという。

 大正末期に建てられた旧函館西警察署の庁舎を忠実に復元し、時代の先端を行く水産・海洋の研究施設として整備した。同構想は水産・海洋の学術研究機関の集積を図り、新産業の創出などを目指す。

 同研究所によると、地方議会の視察は県議会では宮崎や鳥取、愛知、広島、岡山など、市議会では岡山、下関、横浜、静岡などのほか、内陸の松本からもあった。

 各議会の建設委員会や文教委員会のメンバーが訪れ、景観形成指定建築物を有効に活用している事例研究や大学連携、産学連携の先進事例として調査しているという。

 議員から寄せられる質問は、入居している6研究機関の成果のほか、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業の経済効果や今後の展開、地球温暖化に関連し、函館でも普段は見られない魚が取れている例はないか、といった内容が多い。

 議会や省庁だけでなく、身近な団体では市内各町会の女性部や大学の留学生グループ、中学校の体験学習の一環での見学・視察がある。

 同研究所の高日出人所長は「函館の地域性や優位性を活用した国際水産・海洋都市構想に対し、非常にいい評価を受けている。市民にも徐々に構想の理解・浸透が進んでいることを実感する。研究所が構想をアピールする象徴となるよう、さらに努力したい」と話している。(高柳 謙)