2007年12月12日(水)掲載

◎企画「工匠を夢見て」(2)道立函館高等技術専門学院・建築技術科
 2年間にわたるカリキュラムの7割以上を実技の時間に費やし、即戦力の建築大工を養成する。休み時間や授業終了後には、かんなやのこぎりといった工具の手入れに精を出す学生が多く、その姿勢は礼儀作法にも表れている。技術こそ発展途上だが、卒業時には職人としての心構えがほぼ一人前に育つ。

 1998年4月の庁舎新装とともに、1年制だった建築科からより専門性の高い2年制の学科へと変更。毎春、主に道南の高校を卒業した約20人が、一流の技能士を夢見て入学してくる。教科時間は、2年間で2800時間。その内訳は学科が761時間、実技が2039時間と、より実践的な内容が組まれている。

 学院の特徴とも言えるのが、創作実習の「インターンシップ」。1カ月にわたり、受け入れ企業先で現場ならではの雰囲気を体験できる。そこで培った教訓を胸に学院へ戻ってから、気を引き締め直す学生も少なくない。

 8年間の大工経験を経て、現在は後進の指導にあたる阿部達也専門員(30)は「入学直後はあいさつや礼儀を教え込み、徐々に社会人としての自覚を促している。勉強を積むにつれて方向性も定まり、面白みを持ってくるのでしょう。ニートやフリーターが問題視される中、よくやってますよ」と、日々成長を遂げる学生の姿に目を見張る。

 卒業を間近に控えた大清水利誌さん(19)は、「幼ないころから、おばあちゃんに家を建ててあげるのが夢だった」と入学のきっかけを口にする。「インターンシップでは、教えられたことを確実にやり遂げようと、いい意味での緊張感を味わえた。大工としてやっていくことしか考えていない」。祖母と約束した家とはいかないまでも、木製の日用品は間もなくプレゼントできそうだ。(浜田孝輔)


◎スウィートキャンドルプロジェクトが21、22日にイベント
 2009年の函館と横浜の開港150周年を記念する事業「はこだてスウィートキャンドルプロジェクト」(函館港利用促進協議会、函館開港150周年記念事業実行委員会主催)が21、22の両日、同市豊川町のはこだてクリスマスファンタジー会場で開かれる。1000個のキャンドルを会場でともすほか、ありがとうメッセージやフォトメッセージなどの企画を用意し、市民1人1人に心温まるクリスマスを過ごしてもらう。

 市港湾空港部の職員を中心に実行委を組織し、「開港を手掛けた先人へ感謝の気持ちを贈ろう」と準備を進めている。横浜市が09年の祝祭に向けて05年から取り組んでいる「キャンドルカフェ」に倣い、函館市でも開港記念事業を実施する。

 同イベントは、高さ約30センチの透明な筒の中にろうそくを入れ、ろうそくを囲む透明なカバーに油性ペンでメッセージを書き、明かりをともす。会場には1000個のキャンドルを設置し、輝やく明かりに包まれたすてきな会場を生み出す。参加料は1人300円。実行委の船山大介さんは「友人や家族、恋人と一緒に来場し、キャンドルの明かりですてきな夜を過ごしてほしい」と呼び掛けている。

 また、ドコモ北海道函館支店とNTT東日本函館支店が協賛し、普段なかなか伝えることのできない思いを4トントラックの大画面(170インチ)で伝える「フォトメッセージ」を企画。応募は携帯電話(各機種対応)からのみで、写真を添付し指定のメールアドレスに送信すると、詳細の応募方法が書かれたメールが返送される(以下、同封の手順に従う)。メッセージは全角20文字以内(絵文字は不可)。

 両日の午後5時から同6時半(ツリー点灯式会場前)と、同7時から同8時半まで(BAYはこだてイベントスペース内)の2回に分けて一枚7秒間放映し、多数応募の場合は抽選。ドコモ函館支店の大橋英史さんは「家族や友人、恋人へ日ごろ言えない感謝の気持ちや愛のこもった思いを画面を通じて伝えてほしい」と話している。送信先アドレスは、pms@photo-messe.mobi。時間は24時間受け付け(最終日は午後8時まで)。(小橋優子)


◎函館市議会、市立3病院 健全化に全力
 第4回函館市議会定例会は11日、前日に続き一般質問が行われ、5氏が登壇した。市立病院の今後の経営方針や医療体制についてただす質問が相次ぎ、西尾正範市長は市を挙げて病院事業の健全化に取り組むことを強調した。

 茂木修氏(公明党)、斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 総務省の公立病院懇談会で示した「自治体病院の経営改革についてのガイドライン案」では、経営効率化、再編・ネットワーク化、経営の見直しの3点を基本とした改革プランを来年度中に策定し、進ちょく状況などを公表することが求められている。

 同プランでは、当該病院の果たすべき役割や一般会計負担金の算定基準(繰り出し基準)などを明確にする必要があり、井上芳郎病院局長は「救命救急センターを持つ函館病院は、渡島、桧山管内の3次医療圏をカバーする道南の中核病院として、恵山、南茅部の2病院は地域密着型の医療機関としての役割を引き続き担うものと考える」との考えを示した。同改革プランの策定については「3病院の役割と地域に与える影響を考慮しながら広く意見を聴き、総合的な検討を進めたい」とした。

 今年4月から函病が試験的に導入している医療連携システムについて井上局長は「来年1月に地域の診療や病院も加わった道南地域医療連携協議会の設立が予定されており、来年度の本格運用を目指したい」とした。

 このほか、日角邦夫氏(民主・市民ネット)、丸尾隆子氏(共産党)、能川邦夫氏(民主・市民ネット)が質問した。(鈴木 潤)


◎スケトウ漁獲枠汚職 収賄で前水試場長を起訴
 道南の噴火湾が舞台となったスケトウダラの漁獲枠をめぐる贈収賄事件で、函館地検は11日、当時の道漁業管理課長で前道立函館水産試験場長、奥野英治容疑者(58)=函館市日吉町1、11月21日付で参与に異動=を収賄の罪で函館地裁に起訴した。一方、贈賄容疑で逮捕された森漁協の松居俊治組合長(59)=森町港町=は、函館区検が贈賄罪で函館簡裁に略式起訴し、同簡裁から同日、罰金70万円の略式命令が出された。

 起訴状などによると、奥野被告は道漁業管理課長として道内の漁協を指導、監督する立場を利用し、2005年4月27日、札幌市内の飲食店で、森漁協にスケトウダラの漁獲可能量(TAC)の配分に便宜を図った見返りなどとして、松居組合長からわいろと知りながら現金120万円の貸与を受けた。

 同地検は、両者間の現金の受け渡しについて、「『贈与』ではなく『貸与』だった」と認定。その上で、奥野被告から05年4月、家族のトラブルを口実に金銭を要求し、松居組合長がそれを断れない立場だったとし、松居組合長を「公判請求するほど悪質とはいえない」と判断した。松居組合長は同日、罰金70万円を納付して釈放された。

 調べに対し、奥野被告は「小遣い銭やパチンコなどで遊ぶ金が欲しかった。これまでに世話をした松居組合長であれば金を貸してくれると思った」と供述。松居組合長は「漁獲枠の配分でお世話になった。今後も有利な取り計らいをしてもらいたかった」と話し、いずれも起訴事実を大筋で認めているという。


◎大中山老人大学生が雪だるま120個制作、ろうそく灯す
 【七飯】七飯町大中山コモン前で11日、高さ約30センチの雪だるまが約120個並べられた。夜にはろうそくが灯され、小さな雪だるまは温かみのある明かりで周囲を包み、付近の人たちを楽しませていた。

 雪だるまは、大中山老人大学(林一道学長、学生72人)の学生が世界平和、同施設の繁栄、同大学の仲間の健康を祈り、初めて作った。10月ごろに計画し、雪が新雪から固まりやすい状態になり、風がないことでこの日に実施した。

 朝から江沢忠世話人(82)ら数人がバケツで形を取り、同施設入り口の左右約50メートルに並べた。「思ったより作業が進み、予定の108個より多く作った。風はなく、ろうそくもきれいに輝いてよかった」と話す。

 朝から作業を見ていた近所の人が、雪に明かりが入った様子を見物に訪れた。「きれいだね」「ご苦労さま」のねぎらいを受けた江沢さんは「来年も場所や並べ方を工夫してやってみたい」と話していた。ろうそくの明かりは12日も灯される。(山崎純一)