2007年12月13日(木)掲載

◎企画「工匠を夢見て」(3)函館工業高等専門学校・環境都市工学科
 地元経済の振興、そして地域の特性を生かした産業創出のため、道南域で実績を積み上げてきた産学官連携の一翼を担う機関として、発展してきた。高度な技術者の育成にも定評があり、現場での実践的な能力を発揮するための研究機材も豊富で、学生は知識と技能を兼ね備えるための勉学に日々いそしんでいる。

 全国に62校設置された高専の国立第1期校として1962年に開校した。創設された3学科のうちのひとつ「土木工学科」が95年に「環境都市工学科」に改称され、2004年には専攻科が設けられた。

 学科の教育目標には、「創造力と実行力を持った技術者」「問題解決のためのデザイン能力を持った技術者」など6項目を掲げる。5年間のカリキュラムでは、一般科目はもちろん、1年時から測量の実習が始まる。その後、学年を重ねるごとに実習の比率は高まり、基本知識の講義を受けては実験を繰り返し、その都度レポートの提出が課せられる。

 青森出身で、専攻科1年の西舘愛さん(21)は「もともと自然や動物に興味があり、人間や構造物との共存について学びたかった」と話す。両親からは働き口の少なさを心配する声を掛けられると言い、「構造物と環境との調和を図りながら、何のために作るのか、という技術者としての初心を忘れることのないように心掛けていきたい」と、就業に向けた抱負を語る。

 コンクリート工学・構造などに関する分野を担当する澤村秀治教授(48)は、同校の卒業生でもある。「授業後や休日にも、研究室に足を運ぶ熱心さには感心させられる」と学生のやる気に一目を置きながら、「技術力と洞察力とのバランス感覚が重要」と、未来の技術者の背中を温かい目で見守っている。(浜田孝輔)


◎JR函館駅で遺愛女子中学、高校の生徒によるクリスマスキャロリング
 函館市若松町12のJR函館駅で12日、函館遺愛女子中学・高校(野田義成校長)の生徒によるクリスマスキャロリングが開かれた。館内に響き渡る美しい歌声に、乗降客らは足を止め、そっと耳を澄ましていた。

 JR北海道函館支社(小笠原憲生支社長)が、同駅内を開放するクリスマスイベントの一環として毎年企画している。生徒45人が披露したのは、「きよしこの夜」や「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」など11曲。息の合ったハーモニーが館内を神聖な雰囲気に包み込み、聴衆からは温かい拍手が送られていた。

 野田校長は「幸せな気分を伝える場にしようと毎年、快く引き受けている。函館を訪れる観光客の良い思い出になってくれれば」と話していた。

 なお、同駅では、16日に同中学校のハンドベル・クワイアによる演奏会、22、23両日にはヤマハエレクトーン教室の生徒によるコンサートが開かれる予定。(浜田孝輔)


◎棒二森屋で福袋詰め
 棒二森屋(井上裕司店長)は12日、新春の縁起物「福袋」の袋詰め作業を開始した。同店の従業員が仕事の合間を縫って25日までに作業を完了し、初売りの来年1月2日に備える。

 用意する福袋は前年と同じ250袋。バッグや家庭用品、健康器具など約20品を5つのパターンで組み合わせ、1袋に7、8品、金額にして3万円以上の商品を詰めている。1袋1万500円。

 また、購入者を対象にした抽選会が、引き渡しの当日に行われ、家電や羽毛布団などがもれなく当たる。なお、予約は11月末からすでに始まっており、販売数の3割に達していることから、同店では「早めのご予約を」と呼び掛けている。

 福袋の引き渡しは、初売りの午前9時―午後3時。予約に関する問い合わせは専用ダイヤルTEL0120・888・152。(浜田孝輔)


◎サミットに向けプレスツアー、江差追分など鑑賞
 来年7月に開催される北海道洞爺湖サミットに向け、在京外国人記者に本道の食や文化の良さを感じてもらう「プレスツアー」(同サミット道民会議主催)が12日、桧山・渡島管内で行われた。台湾、スペイン、ロシアなど7カ国9機関から11人が参加。函館の夜景や伝統的建造物を視察したほか、江差追分や松前神楽など伝統芸能を鑑賞し、道南の魅力を体感した。

 プレスツアーは本道の魅力を世界に発信してもらうことを目的に実施。今回は2泊3日の日程で道南のほか、後志、札幌管内などをめぐる。11月下旬には釧路、十勝で行っており、今後、網走などでも予定されている。

 一行は午前に桧山入り。上ノ国町の国指定史跡「勝山館」を視察した後、江差町のホテルニューえさしで町内の児童らによる江差追分の大合唱で歓迎を受けた。函館市内では五稜郭タワーや函館山からの眺めを楽しむなど各所を見て回り、夕食会場の函館国際ホテルでは、福島町の松前神楽保存会(常磐井武宮会長)による「松前神楽」を鑑賞した。

 米国の通信社ヨーロピアン・プレスフォト・エージェンシーのエバレット・ブラウンさんは「江差追分に感動した。冬の寒い時期に人々の心を元気付ける歌声ですね」と話し、台湾の中央通信社東京支局長の張芳明(ファンミン・チャン)さんは「初めて函館の夜景を見たがやはり素晴らしかった。台湾人は日本・函館の観光客の多くを占めるので、その実情を探りたい」と語っていた。

 一行は今後、同サミット会場となるウィンザーホテル洞爺(胆振管内洞爺湖町・豊浦町)や後志管内のニッカウヰスキー余市工場などを視察し、14日に帰路につく。(松浦 純、新目七恵)


◎見晴公園通の一部区間で供用開始
 函館市の湯川橋地区土地区画整理事業に伴い整備が進められている都市計画道路見晴公園通の一部区間が12日、供用を開始した。新しい道路は、幅員16メートルの片側1車線で、セブンイレブン見晴公園通店前付近から、道道函館上磯線、函館南茅部線と合流する128メートルの区間。道道との交差が完全な十字路となったことで、湯川橋付近の渋滞解消が期待される。

 旧道は、湯川橋手前で上磯線と合流し、信号機がなく幅員も狭いため、付近の交通渋滞が慢性化していた。市内湯川町3丁目の約1・8ヘクタールの区域で進めてきた区画整理事業と合わせて、上磯線への合流地点を見直すことにより、榎本町方面から函館空港や湯の川温泉街、南茅部の各方面へのスムーズな通行が可能となった。

 市土木部は「車両の円滑な通行や歩行者の安全確保、渋滞緩和が期待できる」としている。

 区画整理事業と見晴公園通の整備は、来年度中に、現在工事中の榎本橋の拡幅で完了を予定。湯川橋に合流する旧道も利用可能だが、工事完了後は、廃道とする予定。(今井正一)