2007年12月14日(金)掲載

◎企画「工匠を夢見て」C函館工業高校建築科
 明治44(1911)年に定時制の函館区立函館工業補習学校として発足し、大正10(1921)年に同区立工業学校に改称すると同時に、全日制の建築科が誕生した。これまで同科の卒業生は4000人を優に超え、現在函館市内やその近郊で、建設会社や設計事務所の経営者・役員などとして活躍している人が多く、就職やインターンシップの受け入れも積極的だ。

 入学後2年間は、家屋の構造を知るための軸組み模型づくりや、力学に関する実験などを通して、基礎知識を頭と体にたたき込む。最終年には、生徒の意思を尊重しながら、家具や歴史的建築物の調査、資格取得といったテーマに沿って、課題研究を進めていく。

 その中のひとつが、ボランティア活動。市の公共施設などに出向き、ペンキ塗りや補修作業に汗を流す。校舎内では味わえない屋外での学習機会は、生徒が生き生きとした表情を浮かべる瞬間で、ものづくりの楽しさを感じながらも自然と地域貢献の精神をはぐくんでいる。

 向井地康弘教諭(51)は「選択肢が広がった分、専門の道に進む生徒は少なくなった」と頭を悩ませる。それでも、OBを中心に地元の30社前後がインターンシップを受け入れており、「厳しい景気と多忙の中で非常にありがたく、長い歴史を刻みながら得た何よりの宝」と感謝の言葉を口にする。

 田村亜美さん(18)は、自動車の設計に従事する兄の姿にあこがれて、建築設計の道へ。「理想を現実に近づけていけることが何よりのやりがい」と魅力を語る。家族や友人からの声援を胸に、自らの手でマイホームを新築するのが夢で、「足腰の悪くなった祖父母のために、バリアフリー構造の家でいっしょに暮らしたい」と希望を大きく膨らませている。(おわり)(浜田孝輔)


◎市民オペラ・本番直前のゲネプロ
 15、16両日に函館市民会館で上演される函館市民オペラの会(金山正智会長)第17回公演「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディンク作曲、全3幕、日本語上演)の本番前最終通しけい古(ゲネプロ)が11、12日の2日間にわたり同会館大ホールで行われた。本格的な舞台装置を前に、衣装に身を固めたキャストがオーケストラの演奏に合わせて歌い踊り、本番さながらの緊張感と熱気に包まれた。

 「ヘンゼルとグレーテル」は、有名なグリム童話に基づいたメルヘンオペラの傑作。欧米ではクリスマス時期に上演されるのが恒例となっている。

 今回の公演では主役のヘンゼルとグレーテル兄妹、父ペーター、母ゲルトルートが公演日ごとに入れ替わるダブルキャストとなる。ヘンゼルは石丸典子さん(15日)と秋山理架子さん(16日)。グレーテルは、島聖子さん(15日)と次藤正代さん(16日)。ペーターは戸田貴志さん(15日)と瀧川幸裕さん(16日)。ゲルトルートは水島真澄さん(15日)と福田尚代さん(16日)が演じる。魔女の前田治さん、眠りの精の堀川智美さん、暁の精の野寺美友紀さんは両日出演する。

 12日に行われたゲネプロでは、2日目のキャストが本番同様のセットや照明の中でこれまでの練習成果を披露。オーケストラと歌が合わない部分で繰り返し練習するなど最終チェックに余念がなかった。

 指揮者で音楽監督の大坂吉明さんは「誰でも知っているストーリーなので、小さい子どもでも十分に楽しめる内容。今までオペラを見たことのない人にこそぜひ足を運んでほしい」と呼びかけている。

 開演時間は、15日が午後6時半、16日が同2時。チケットは指定席2500円、自由席2000円、子ども自由席1000円(小学生以下)。なお今回から新たに設けられた親子自由席券は大人1人と小学生以下の子ども1人のペアで2500円で販売している。入場券はいずれも当日500円増し。チケットは函館市民会館、函館市芸術ホール、松柏堂プレイガイドで扱っている。問い合わせは函館市文化・スポーツ振興財団TEL0138・57・3111。 


◎道の「マリンビジョン」 新たに福島など3地域
 道開発局は12日、道内各市町で策定する水産業を核とした地域振興方針「地域マリンビジョン」のモデル地域と推進地域に福島など渡島・檜山管内の3地域を新たに指定した。地域の特性を生かしたビジョンの独創性や熟度などがそれぞれ評価された。今後、技術的助言や情報提供などで各地域のビジョン実現を推進する。

 地域マリンビジョンは、道開発局が2004年に策定した、道内の水産業と漁村の将来像を示す「北海道マリンビジョン21」構想の実現に向け、地域で取り組む計画。策定した各市町を対象に、05年度から毎年同開発局が募集しており、これまでにモデル地域(手本になる地域)に4地域、推進地域(熱心に取り組む地域)に檜山管内の奥尻、松前江良を含む3地域が指定された。3カ年事業のため、最終募集の今回は12地域が応募、専門家らによる講評委員会が審査を行った。

 モデル地域に指定された福島地域の計画は、コンブの製品化やスルメのブランド化に向け、産学官が連携して取り組むなどの内容。推進地域には函館臼尻地域と砂原地域が指定され、函館臼尻は水産物の衛生管理体制の強化など、砂原は水産物のレトルト食品の開発などに取り組む内容。

 道開発局農業水産部では「地域マリンビジョンの支援を通じ、道内の水産業の地域振興を進めたい」と話している。認定書の交付式は福島・砂原が14日、函館臼尻が25日に行う予定。(新目七恵)


◎「理事」新設に厳しい意見…函館市議会総務常任委
 函館市議会の総務常任委員会(井田範行委員長)は13日、付託された議案6件を審議。行財政改革推進のため、新設する特別職「理事」をめぐり、各委員からは、行改は必要不可欠であるとしながらも、厳しい意見が相次いだ。採決の結果、公明、共産両党と無所属の竹花郁子氏は反対したが、民主・市民ネット、新生クラブ、市民クラブの3会派が賛成し、原案通り可決した。

 小柏忠久総務部長は、2008年度からの5カ年計画で、事務事業の見直しによる職員650人の削減や、病院局をはじめとする企業会計全体の在り方の決定などの視点から陣頭指揮を執る理事が必要であると説明。年度ごとの目標値を定め、行革を進めるとした。

 小谷野千代子氏(公明党)は、「職員に汗をかいていただきたいというのであれば、市長や副市長、部長ら幹部が汗をかくべき」とし、志賀谷隆氏(同)も「現状の市民生活を考えると、特別職設置は言語道断。機構改革や人事など(西尾市長の施策は)非常に場当たり的だ」と非難した。

 高橋佳大氏(共産党)は、「つい最近、収入役を廃止したばかり。(議案の修正も)朝令暮改でちぐはぐで、市民感情が許さない」などとし、黒島宇吉郎氏(新生クラブ)は「有能な管理職が市にいないと判断されても仕方ない」と述べた。

 一方、小野沢猛史氏(市民クラブ)は「断固として行革をやって結果を出すのには、1人で大丈夫なのか。もっと給与を上げてもいいのではないか」と反論した。

 採決の結果、多数会派が賛成に回ったため、19日の本会議でも可決される見通しとなった。

 このほか、同委員会では、付託された陳情4件のうち、市立函館博物館に関する陳情を採択、3件は継続審議とした。(今井正一)


◎舞台は沖縄 1月に公演…「杜の賑わい」で子ども歌舞伎
 国内屈指の実力とされる「函館子ども歌舞伎」(市川団四郎主宰)が来年1月26、27日に沖縄県宜野湾市で開かれる「第108回杜(もり)の賑わい・沖縄」(JTB主催)に特別出演し「白浪五人男」を演ずる。関係者は「演技力が認められての出演依頼はうれしい限り。子どもたちも大舞台にふさわしい演技をしてくれるでしょう」と話している。また、JTB北海道函館支店(本町6)では函館から熱演を応援するツアーを企画、参加者を募集している。

 「杜の賑い」は、JTB創業70周年などの記念として、地域にある郷土の祭りや伝統芸能を一堂に会し、旅の中で楽しんでもらおうとするオリジナルイベント。1981年から毎年、全国数カ所で開催しており、昨年5月の第103回は函館市民会館で開かれた。

 この時出演していた函館子ども歌舞伎を、来場していた演出家鷹の羽辰昭さんや、「杜の賑い・沖縄」実行委員らが、子どもたちの名演技にほれ込み、沖縄で25年連続開催する「杜の賑い」に特別出演を依頼し参加が決まった。函館からは小学2年から5年までの子ども10人のほか関係者の計24人が参加する。

 函館子ども歌舞伎はことし3月に福岡・小郡市、8月に東京・新宿で公演、大成功を収めている。後援会の小玉陽造会長は「全国で好演を褒められてきたおかげで、再び大きな舞台に呼ばれることができ、支える立場としてうれしい」と話す。廣瀬等事務局長は「華やかな舞や、夏川りみさんの歌が続く中、セリフと人情味がある本土の伝統芸能が披露されると、訪れた人は大いに喜ぶでしょう。子どもたちもこれまでと違う土地や雰囲気で演じることは成長につながるのでは」と期待を込めている。

 ツアーは1月25日に函館を出発、同日に首里城公園を見学、26日に海洋博公園見学や「杜の賑い・函館子ども歌舞伎特別出演公演」を観覧するなどの内容。28日に帰函する。旅行代金は1人8万8000円。募集は40人、最少25人で催行。問い合わせは同支店TEL0138・56・1714。 (山崎純一)