2007年12月15日(土)掲載

◎中央ふ頭のサイロ解体
 函館中央ふ頭(函館市海岸町)の市有地にある太平洋セメントのサイロ3基の解体作業が進んでいる。土地の賃貸契約終了に伴い、原状回復する規約に基づく作業。サイロは1954年に建造され、現在に至っている。市民からは50年以上の歴史を持つサイロがなくなることを惜しむ声が聞かれる。

 市港湾空港部などによると、当時のアサノセメントが建造し、97年まで使用していた。建造時から市と土地の賃貸契約を交わし、1年更新で本年度の賃貸料は約513万円。2783平方メートルの敷地に、底面積190平方メートルのサイロ3基や付随する倉庫などがあった。

 同所にあった太平洋セメントの事務所移転に伴い、同社が今年8月24日に土地の賃貸契約解消を市に申し入れた。市も内部協議を経て9月25日、さら地に原状回復して引き渡すよう求め、同社も同意した。

 同社は一時、サイロの売却を検討し、旧函館ドック跡地の大型クレーン保存運動に取り組む石塚與喜雄さんに打診。石塚さんも購入に向けて活用策を検討したが、貸付地の転貸や借り受け権利を譲渡してはならないことが規約にあり、売買は成立しなかった。

 石塚さんは「他人の土地と建物なのであまり強く言えないが、サイロは産業遺産となる可能性があった。残す方向でもう少し検討してもらいたかった」と話している。(高柳 謙)


◎除雪 市民協同…函館市 計画見直し今冬検討
 本格的な降雪シーズンを迎え、市道の除雪を所管する函館市土木部維持課は、除雪業務への市民理解を求めている。2004、05年度と2年続いた大雪を教訓に、出動基準の見直しや生活道路の除雪に柔軟性を持たせた計画を策定したが、昨年度は少雪のために検証ができなかった。同課は「市民協働の除雪」を呼び掛け、「本年度が実質的な計画検証の冬になる。市民生活への影響が少なくなるよう、適切な冬道管理を行いたい」としている。

 市内の降雪量は、04年度が320センチ、05年度が449センチで、2年連続で最大積雪深が60センチを超える大雪となった。特に05年度は、除雪費の決算額が、当初予算額を約1億5300万円も超える約4億2800万円で、多額の費用を要した。市民からの苦情も多く、計画を大幅に見直したが、06年度は降雪量が224センチ、最大積雪深が21センチで、除雪よりも滑り止め対策の出動が多かった。

 同計画では、市内を25エリアに分割し、1エリア内で学校や病院、福祉施設付近など10―20ブロックに細分化。各エリアにはそれぞれ、除雪用の重機を配置して、各ブロックの優先順位に従い、計画的な面的除雪を行うことで、市民の「いつ除雪が来るのか」といった問い合わせにも目安を知らせることが可能。また、圧雪深や気温の状況で路面が「ザクザク」状になると予想される場合には、予防出動もできる体制となっている。

 国道や道道など幹線道路と違い、市道は住宅地内など生活に密着した路線が中心。学校など公的施設周辺の歩道除雪用に、小型機械の貸し出しもしているほか、企業や団体に協力を呼び掛け、除雪ボランティアも募っている。

 冬期間の注意点として同課は、▽わだちやそろばん状の路面の原因となるため、車道に雪を捨てない▽道路から自宅前までの除雪の協力▽作業の妨げとなる路上駐車や看板などの物を置かない▽除雪車に近寄らない―などを呼び掛けている。また、歩行者に対しては「外出時には、転倒防止のため滑らない冬用の靴を履いてほしい」と話している。

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 同課は市民向けに市内3カ所を雪捨て場として開放している。開放時間は午前9時から午後5時まで。問い合わせは同課TEL0138・46・2981。東部4支所管内は各支所建設課へ。

 ▽新川公園三角グラウンド(上新川町18)、2トントラックまで搬入可能▽古川町資材置き場内広場(古川町336先)▽土木部維持課向かい広場(赤川1)(今井正一)


◎4つの方針柱に具体施策…産業政策検討会議
 函館市の経済活性化策を検討する産業政策検討会議(議長・谷沢広副市長)が14日、市役所で開かれた。これまで下部組織で繰り返してきた議論を基に、新年度から実施すべき取り組みを中心に4つの方針と具体施策を最終報告書としてまとめた。今後、各関連部局で予算化に向けて協議を進める。

 同会議は、企画、商工観光、農林水産、土木、都市建設、港湾空港の各部長で構成。下部組織の若手職員で構成する検討チームのアイデアを基に、関連部局の課長らでつくるワーキンググループが報告書を取りまとめた。

 最終報告では、▽函館ブランドの形成▽中心市街地の活性化▽企業誘致活動の推進▽既存制度の見直しを含めた効果的・効率的な支援策の展開―の4つの方針を柱に、16の具体施策を盛り込んだ。これらの施策の連携により、地域経済の活性を促す。

 また、新年度に新機構として発足予定の経済部に、産業政策担当のセクションを設置し、各産業間の連携推進や強固な基盤構築を図ることなどが盛り込まれた。各関連部局が予算化を検討し、新年度から実施可能な施策を展開する。

 谷沢副市長は「結果の出る政策が求められている。若手職員ら庁内検討チームの意見も今後、改めて検討し、各部局で協力しながら進めてもらいたい」と述べた。(今井正一)


◎函館ラ・サール中・2年 原田君…国連協会・全国中学生作文コンテストで外務大臣賞
 財団法人国連協会(東京)が主催する「第47回国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト」で、函館ラ・サール中(フェルミン・マルチネス校長)2年の原田拓弥君が、最高位に当たる外務大臣賞に道内で初めて輝いた。文章力や構成力、国際的な視野に優れている点が評価された。同賞など特賞4人は来春、米国ニューヨークの国連本部視察旅行を行う予定で、原田君は「環境問題を話し合う場を国連に設置するという自分の考えを発信したい」と意気込んでいる。

 同コンテストは、中学生に国際理解・協力について考える機会を提供する目的で実施。応募テーマに沿った自分の経験などを400字詰め原稿用紙4枚以内にまとめる。今年は全国から2269点の応募があり、予選・審査を経て32点が入賞。道内からは原田君のほか、道教育大附属函館中2年の鈴木翔君が佳作に選ばれた。

 原田君の作品は「国連改革〜もしも僕が国連職員なら」との題で、「環境」を21世紀のキーワードと捉え、「環境問題などの国際的な問題を、世界中の国々や人々が真剣に話し合い、協力し合い、克服していくことはとても意味のあること」と訴え、国連に「地球環境理事会」の設置を提案している。

 受賞について、原田君は「大変うれしい。国連職員の方の意見を聞いてみたい」と話している。

 19日には、同校で伝達式が行われる。(新目七恵)