2007年12月18日(火)掲載

◎クリファン会場のツリー雪化粧
 冬型の気圧配置となった17日、函館市は断続的な雪となり冷え込んだ。函館海洋気象台によると、市内では3日ぶりの積雪となり、午前中に3?を記録。午後3時までの最高気温は氷点下0・1度で、路面は滑りやすい状態になり、ゆっくり走る車が多く見られた。

 同市西部地区にあるクリスマスファンタジーの会場では、久しぶりに雪化粧したツリーが観光客を楽しませた。神戸から訪れたという主婦2人は「昨夜の点灯式も華やかだったが、やっぱりクリスマスツリーは緑と白がきれい。自然な雪で見るのは初めて。風情が違う」と喜んでいた。 (山崎純一)


◎24日から故・岡村昭彦さん写真展
 昭和30―50年代にベトナム戦争をはじめ、世界各地の戦場や飢餓の現場などを取材し、「南ヴェトナム戦争従軍記」(1965年、岩波新書)の著者としても知られる、函館ゆかりの国際報道写真家、故・岡村昭彦さんの軌跡をたどる写真展が24日から、函館市地域交流まちづくりセンター(函館市末広町)で開かれる。主催するNPO法人はこだてフォトアーカイブス・はこだて写真図書館の津田基理事長は「世界的に活躍した地元ゆかりの写真家の存在を多くの人に知って欲しい」と話している。(新目七恵)

 東京出身の岡村さんは1953年、24歳の時に上磯町(現北斗市)のトラピスト修道院に客室係として住み込み始め、翌54年に函館市内の書店「栄文堂」経営者の娘と結婚。約3年間を函館で過ごした後、報道写真家としての活動をスタートさせた。

 64年、南ベトナム前線での写真が米雑誌「LIFE」で特集され、翌65年には米海外記者クラブ賞を受賞。北アイルランド紛争やビアフラ戦争(ナイジェリア内戦)など精力的に取材を進め、戦争の実態を写真やペンで鋭く訴え続けたほか、晩年はホスピスなどにも先進的に取り組んだ。85年、56歳の時に敗血症で死去した。

 今回はベトナムを中心に、岡村さんの活動全体を振り返る写真約100点を展示する。津田理事長は「岡村さんにとって函館での時間は、落ち着いて世界を見て、外への興味を蓄積させた貴重な時間だったのでは」と説明し、「殺伐とした今の時代、ヒューマニズムをもとに、理念を持って活躍した写真家がいたことを忘れないでほしい」と話している。

 写真展は来年1月12日までの午前9時―午後6時(12月31日から1月3日まで休館)。入場無料。問い合わせははこだて写真図書館?0138・27・1018。


◎函館市も福祉灯油実施へ
 灯油価格の高騰が市民生活を直撃している中、函館市も低所得者を対象にした「福祉灯油」を導入する方針を固めた。灯油購入費の一部を助成する制度で、約1万6000世帯を対象に、1世帯当たり年間5000円を助成する方向で調整している。市福祉部は「原油高騰で打撃を受ける低所得者の生活に配慮した」と話している。(鈴木 潤)

 ガソリンや灯油などの石油製品は高騰を続け、市の石油製品小売価格調査によると、12月の家庭用灯油1リットル「(ホームタンク用)の平均価格は103・09円まで上昇。1982年の調査開始以降、最高値となった。

 こうした背景から第4回定例市議会でも、福祉灯油の実施や石油製品高騰に向けた対策を求める一般質問が相次いだ。西尾正範市長は当初は慎重な姿勢を示していたが、国が自治体への支援方針を打ち出したことから、「国の動向を見ながら、年内には一定の方向付けをしたい」と答えた。

 17日には連合北海道函館地区連合会(渡部正一郎会長)が函館市に、福祉灯油の導入や支給枠拡大について緊急要請をした。渡部会長や函館市議によると、市は導入に向けて助成対象や金額、財源確保などの調整をしている。

 国が支援方針を打ち出したが、市は大部分を自主財源で賄うことを想定している。市財務部は「予備費や経費節減などで何とか財源を手当したい」と話している。

 道南でも福祉灯油は広がりを見せ、低所得者世帯や高齢者世帯を支援している。八雲町は1世帯当たり年額5000円を一括支給し、今金町は200?「の助成券を交付。北斗市は市社会福祉協議会が主体となって行っている。12月議会で木古内町は05年度まで行っていた制度を復活させることを決めたほか、七飯町も実施を決めた。


◎市議会議運が採決、費用弁償を定額制から実費支給に見直し
 函館市が市議会議員に支給している費用弁償について、市議会議会運営委員会(能川邦夫委員長)は17日、定額制から交通費など実費相当の支給に改めることを決めた。額などの詳細については市が各種委員会の実態と整合性を取り、条例改正案を提出してもらう方針を確認した。

 条例に基づき、本会議や委員会に出席した議員に1日当たり5000円を支給している制度で、1981年から始まった。農業委員会や教育委員会、選挙管理委員会などの行政委員会では、旅費条例に基づき交通費を実額支給している。議員もそうした方向となる見通しで、能川委員長は「来年の2月定例会に条例改正案を提出してもらい、新年度からの実施を目指したい」と話している。

 費用弁償の在り方の見直しは、市内の男性が提出した陳情「開かれた函館市議会のために」の審議で行われた。採決では、市民クラブが「議員報酬、政務調査費と合わせ、全体の中で見直しをすべき」と慎重な姿勢を示し、他の4会派は「願意に賛成する」とした。採決は市民クラブ2人のうち1人が退席したが、全会一致で採択された。

 道内では今年、札幌や旭川、帯広、釧路などで費用弁償を廃止している。

 また、阿部善一議長が諮問した、分かりやすい議会のための一問一答制の導入については「各議員の裁量や判断に任せ、試行的に実施してもいいのではないか」などの意見があり、弾力的に対応していく方針を確認。一般質問で、答弁の用意がある部局の理事者だけの本会議出席を求めた諮問は「市長が判断すべきもの」として阿部議長に答申した。 (高柳 謙)


◎知内小、リングプル回収し車いす寄贈 今回で4台目
 【知内】先輩が築いた伝統を引き継ぐ―。空き缶のリングプルを回収し、合計重量660キロで車いすと交換できる制度を利用、福祉貢献活動に力を入れる知内小学校(大澤照雄校長、児童151人)がこのほど、4台目となる車いすを町内の高齢者介護福祉施設「知内しおさい園」(吉田多加嘉施設長)に寄贈した。贈呈式には児童会長の小辻裕康君(12)ら児童5人と大澤校長が出席。施設利用者が見守る中、小辻君が「多くのボランティアの協力で車いすを用意することができました。大事に使ってください」と手渡した。(田中陽介)

 同小は1999年からリングプル回収を開始。当時、静岡県の資源回収業者がリングプルを車いすに交換していることを知り、PTAや役場、商店街などの支援を受けながら児童が回収に励んだ。

 ところが、翌2000年3月にこの業者が廃業。集めたリングプルが無駄になるのでは―と児童らは落胆したが、江別市の商店街有志が同様の事業を受け付けていたため、なんとか回収を続けることに。

 この際、落ち込んだ子どもたちの様子が新聞などで報じられたため、町内外から同校にリングプルの提供が相次ぎ、01年3月に初めて交換に必要な660キロを達成。その後も回収作業は代々引き継がれ、02年、04年と規定量に達し、その都度、車いすを同施設に寄贈し続けてきた。リングプル回収は同小伝統の取り組みとなっている。

 贈呈式で大澤校長が「函館や札幌など、町内外の多くの皆さんが協力してくれた結果。来年には新・知内小学校が開校するので、散歩がてら遊びに来てください」とあいさつし、吉田施設長から小辻児童会長に感謝状が贈られた。

 施設利用者は温かい拍手で感謝を示した。児童たちは「いつまでも元気でいてください」と笑顔で答えていた。

 吉田施設長は「福祉社会への貢献を目的にするこのような活動は本当に素晴らしい。子どもたちをはじめ、賛同してくれた皆さんに心から感謝したい」と話している。同校では現在60?のリングプルを回収済みで、今後も継続して集めていく。問い合わせは同校?01392・5・5026。