2007年12月2日(日)掲載

◎クリスマスファンタジー開幕
 函館の冬を代表するイベント「2007はこだてクリスマスファンタジー」が1日、函館市末広町の赤レンガ倉庫群などを会場に開幕した。ことしで10回目の節目を迎え、海に浮かぶ20メートルの巨大ツリーを中心に、25日まで連日多彩なイベントが繰り広げられ、ベイエリアを幻想的な“光の魔法”が包み込む。この日は五稜郭公園でも光のイベントが始まった。

 午後5時過ぎから行われた同ファンタジーのオープニングセレモニーでは、JAL(日本航空)の客室乗務員で組織するハンドベル隊「ベルスター」が登場し、「ウイ・ウイッシュ・ユー・アー・メリー・クリスマス」など3曲を披露。続く点灯式では、西尾正範函館市長や在日カナダ大使館のクリスティーン・ナカムラ広報担当参事官らがカウントダウンに合わせてスイッチを押すと、ツリーの電飾が一斉にきらめいた。同時に海上から花火が打ち上がり、美しい光のコラボレーションに観客から大きな歓声が沸いた。

 メーン会場ではスペシャルライブも行われ、今年度のクリスマスファンタジーのイメージソング「僕の一番好きな人」を歌う4人組みバンド「ステンレス」と、実力派女性ボーカリスト「MAO/d」が登場。迫力のあるサウンドで会場は熱気に包まれた。

 ツリーのイルミネーションは25日までの期間中、毎日午後4時半から同5時45分までと、同6時から翌日午前2時まで点灯される(金、土曜日と22―24日は翌日午前7時まで)。(小川俊之)


◎五稜星の夢スタート、電灯2000個 幻想的に
 五稜郭公園では、国の特別史跡・五稜郭跡を光で彩るイベント「五稜星の夢(ほしのゆめ)」(実行委主催)が始まった。五稜郭タワーの展望台からは、巨大な星を眺めることができ、来場客は幻想的な風景に感嘆の声を上げていた。

 このイベントは、市民のボランティア約30人でつくる実行委(宮下俊雄実行委員長)が1989年から毎年企画。堀の内周約1・8キロにわたって約2000個の電球を取り付け、点灯することで五稜郭の星形を浮かび上がらせる。

 この日は午後5時になると同時に電球がともされ、花火が打ち上げられた。この“星と花”の共演に、同タワーに詰め掛けた市民や観光客からは歓声が起こった。東京から観光で来た瓜生靖典さん(26)は「初めて見たが、とてもきれいで感動した」と喜んでいた。

 点灯時間は来年2月末までの午後5時―同10時。実行委は「雪が積もると、さらに光が映えて見えるはず。ぜひ足を運んでほしい」と呼び掛けている。(浜田孝輔)


◎函館学講座、クリスマスファンタジーを考察
 本年度9回目の函館市内の8高等教育機関による合同公開講座「函館学2007」(市高等教育機関連携推進協議会、市主催)が1日、地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれた。函館大学の日野隆生准教授がマーケティング論の視点から、「はこだてクリスマスファンタジー」によるまちづくりについて講義。同ファンタジーに来場した人を対象に実施した調査結果を基に、冬の一大イベントを考察した。

 調査は2003年から05年の3年間、同ファンタジー開催期間中に、来場者に聞き取り形式で実施。05年の調査では「また来たい」と答えた人が91・8%に達し、「函館=クリスマスの街」のイメージを7割以上が想起したことなどを示した。

 日野准教授は「つまらないと思ったら、もう来ない。高い満足度がリピーターにつながっている」とし、核となる要因としてカナダ産の巨大なツリーや、ベイエリア周辺の雰囲気、毎日実施される点灯式などを含めた「感動効果」を挙げた。

 その上で、「行ってみなければ分からない感動がある。きょうから毎日点灯式があり、クリスマスファンタジーが冬季イベントの代表であることは間違いない」とした。また、企業や行政などが一体となって取り組んでいるイベントであることにも触れ、「クリスマスファンタジーをつくっているのは我々住民。どんな商品でも10年たつと古くなるので、今後も工夫が必要」と話した。(今井正一)


◎上期観光入り込み322万人、夏場の落ち込み響く
 函館市はこのほど、2007年度上期(4―9月)の観光入り込み客数(推計値)を発表した。入り込み客数は前年同期比2・6%、8万5000人減の322万人で、上期の入り込み数としては過去10年間で最少だった。特に道外客の落ち込みが激しく、同4・2%、9万人減の205万3400人、宿泊客数もほぼ同数が減少した。市商工観光部は国内での観光需要の低下、地域間競争の激化を要因として挙げ、「稼ぎ時のゴールデンウイークや夏場の落ち込みが響いた」としている。

 同部は、道内では旭山動物園(旭川市)のブームが続き、来年7月にサミットが開催される洞爺湖に関心が高まっていると分析。修学旅行が春から秋にシフトしていることなども理由に挙げている。月別では5月の落ち込みが最も激しく同9・3%、5万5600人減の54万4500人。7月も同5・6%減少した。9月は函館―青森間の高速フェリー就航や2回の3連休などもあり、回復基調だった。

 交通機関別でみると、航空機は国内便が機材の縮小、国際便は台湾チャーター便の便数減などが響き、同8・0%、3万5300人減の40万3400人。JRも津軽海峡線の利用が落ち込んでいる。

 宿泊・日帰り別では、約6割が宿泊客で構成比に変動はないものの、実数は大きく減少。市と函館国際観光コンベンション協会が行った観光アンケート(06年度)では、滞在中の宿泊客消費額は約3万8000円で、このまま減少数9万人を当てはめると約34億円の損失となる。

 例年、下期(10―3月)は変動が少なく、過去10年は平均158万人で推移。本年度も500万人台を回復するのは厳しい状況にある。しかし、大手広告代理店電通・消費者研究センター(東京)が3月に首都圏で行った調査によると、旅行先魅力度ランキングで函館が国内3位になるなど、各種観光調査では依然として評価は高い。

 同部は、函館の広告付き電車を首都圏で走らせるなど、国内客誘致にも力を入れており、「新幹線時代を見据えて、道南の松前、江差などの周遊ルートPRや、青森との広域観光の連携強化などを検討する必要がある」としている。(今井正一)


◎星形の手回しオルガン、五稜郭タワーでお披露目
 函館市内在住のオルガン職人、谷目基さん(40)さんが制作した星形の手回しオルガンが1日、五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)のアトリウムでお披露目された。訪れた市民はパイプを通して流れる独特の音色に耳を澄まし、聴き入っていた。

 グランドオープンから1周年を迎えた同タワーの新たな目玉にしようと、同社(中野豊社長)がことし2月、谷目さんに制作を依頼。五稜郭という場所柄を意識して、原材料にエゾヤマザクラの木を用い、星形の形状だけでなく、人形や笛の数を「5」にするなど、9カ月掛けて仕上げた。谷目さんにとっては22台目の作品になる。

 谷目さんはオルガンで、「フニクリ・フニクラ」や「ハッピーバースデートゥーユー」などの曲を演奏。「アトリウム内は音の響きが良く、作ったかいがあった。気軽に回して、かわいがってほしい」と話していた。(浜田孝輔)