2007年12月26日(水)掲載

◎トラピスチヌ修道院でクリスマス・ご降誕のミサ
 函館市上湯川町の「函館トラピスチヌ修道院」で25日、「クリスマス・ご降誕のミサ」が開かれ、事前に募った一般市民らが神聖な典礼を体験した。

 函館湯の川温泉旅館組合(金道太朗理事長)が今月から、市の受託事業として運営するポータルサイト「函館タイケン観光案内所」を通じて参加者を公募。同日は午前零時からの「夜半のミサ」と、同9時半からの「朝のミサ」の2回行われた。

 このうち、「朝のミサ」には約30人が参加し、修道女が参列する聖堂の一角の「信者聖堂」に招き入れられた。参加者は、司祭による聖書の朗読に耳を傾けたり、修道女とともに賛美歌を合唱するなどして、イエス・キリストの誕生を祝った。

 金道理事長は「貴重な体験ができる場を与えられたのは、非常にありがたいこと」と述べ、同修道院は「参加者から多くの喜びの声をいただいており、今後もできる限りのことはしていきたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎クリスマスファンタジー閉幕
 1日から25日間にわたり、函館市内の赤レンガ倉庫群で華やかなイベントを繰り広げてきた「第10回記念2007はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が25日、幕を閉じた。最終日は地元の子どもたちやグループによる歌、ダンスステージなどが行われ、厳しく冷え込んだベイエリアを熱く盛り上げた。この日は来年から同ファンタジーに登場する新キャラクターのお披露目も行われ、1年後の再会を約束した。(小川俊之)

 この日午後6時から行われた最後の点灯式には、同ファンタジーの歴代実行委員長9人がサンタクロースの格好で勢ぞろい。第1回の実行委員長で同ファンタジーの発案者でもある星野勉さんが「ボランティアの力によって10回目も無事終えることができた。来年もぜひ足を運んでほしい」とあいさつ。9人が一斉に点灯ボタンを押すと、メーンツリーは鮮やかなイルミネーションに包まれた。

 続いて「スタジオジョイ」メンバーによるダンスパフォーマンス、「アクターズスタジオ函館校」によるボーカルステージなど多彩なイベントが行われ、閉幕へ向け最後の盛り上がりを見せた。

 午後8時からいよいよ同ファンタジーの最後を飾る消灯式がスタート。ステージには毎年イベントを盛り上げてきたサンタクロース、トナカイ、スノーマンなど5つのキャラクターが登場。ここに、来年から新キャラクターとして登場するサンタクロースの「ニッキー」とトナカイの「ファンファン」が迎えられ、新旧交代のセレモニーが行われた。

 最後は会場全体で「ユー・レイズ・ミー・アップ」を合唱する中、メーンツリーの灯りが弱められていき、完全に光が消えると同時に盛大に花火が打ち上がり、最後を締めくくった。


◎鳴海さんコンブでしめ飾り
 【福島】福島町日向460で鉄工所を経営する鳴海健児さん(68)は、特産の養殖真コンブで大きな宝船を仕立てたり、コンブとスルメを組み合わせた正月のしめ飾りを作り、近所の話題を集めている。鳴海さんは「年の瀬が迫る中で自然にアイデアが浮かんだ。自分の故郷の魅力を縁起物として表現したかった」と話している。(田中陽介)

 鳴海さんは仕事先で町内の阿部幸夫さん(66)ら地元漁師、水産加工場関係者らと接することがあり、コンブやスルメを譲り受ける機会も多かった。そうした中で、「地域の活性化のために、自分が持つ手の職で何かできれば」と考え、コンブを使ったものづくりに取り組んだ。ことし4月には町役場にコンブの宝船を届けた。宝船は道南の漁業の活性化のさきがけとなった「北前船」をモチーフに、コンブを器用に巻き付け大きな帆船を仕上げた。

 その後も、知人の結婚式に祝船として贈るなどした。「届けたときに喜んでもらえることが何よりもうれしくて」と、七飯町の昆布館、函館新聞社にも各1隻ずつ寄贈している。函館新聞社に贈られた宝船は全長85センチ、高さ75センチ、幅25センチの大きさ。

 さらに、独自のしめ飾りも考案。全5種類で、サイズは大きいもので縦75センチ×横35センチ。市販の飾りの紙部分を業者から購入し、コンブを折りたたみ、スルメを上にのせた。シンプルな仕上がりだが、浜の雰囲気が自然に伝わる。

 しめ飾りは年の瀬までに350個製作する予定で、仕事の合間を縫って作業を進めている。妻のテツ子さん(61)も夜遅くまで手伝っている。

 出来上がったしめ飾りは福島大神宮(常磐井武宮宮司)でお払いを受け、近所や同神宮、仕事仲間、全国各地の同級生に送っている。「福島が懐かしい」「立派なものをありがとう」という感謝の電話が相次いで入っている。

 鳴海さんは「座ってばかりの作業だから足が痛くて、(先日)生まれて初めて整骨院に行ったよ」と冗談を交えながら、「これなら正月が終わっても食べられるから最高だ。皆の喜ぶ顔を思い浮かべると足の痛さも気にならない」と話している。


◎来年1月30日に「浜のかあさん料理コンテスト」
 渡島支庁が本年度独自に取り組む「埋もれたお魚発見事業」で、漁業に従事する女性を対象にした「浜のかあさん料理コンテスト」が来年1月30日、七飯町で開かれる。地元水産物を使った多彩な伝統・創作料理が登場する予定で、審査員5人を一般募集している。

 同事業は管内の珍しい魚介類を使った名物料理などを発掘し、食を活かした渡島観光の魅力づくりと、地元水産物の普及推進を図るのが狙い。

 コンテストの参加者は、管内14漁協女性部を通じて募集中。すでに10漁協から18点の応募メニューがあり、「生干しゴッコのバター焼き」や「サメのともあえ」などさまざまな料理が予定されている。

 審査で選ばれた優秀作品はホームページ掲載などを通じて観光業界にPRするほか、レシピ集を作成して観光活性化に活用する。審査員長には元ホテルクラビー札幌料理長で、道地域づくりアドバイザーなども務める貫田桂一フードディレクターを招くほか、畑秀叔渡島支庁長なども審査員を務める予定。

 一般参加の審査員希望者は、住所、氏名、年齢、電話番号などを記入し、はがき(〒041・8558 函館市美原4丁目6ノ16 渡島支庁水産課漁政係あて)かファクス(0138・47・9210)、電子メール(tsushima.kouki@pref.hokkaido.lg.jp)で応募する。会場は同町西大沼の大沼プリンスホテルで当日の送迎あり。時間は貫田さんの講演を含め、午後2時10分―午後4時半45分。問い合わせは同課TEL0138・47・9481。(新目七恵)


◎函館市議会、福祉灯油実施の補正予算案可決し閉会
 第4回函館市議会定例会は25日、本会議を再開し、低所得者を対象に灯油購入費を支給する福祉灯油の実施を盛り込んだ一般会計補正予算案を原案通り可決、閉会した。

 灯油価格の高騰が市民生活に影響を及ぼしている状況を受けた措置。対象は本年度の市民税非課税世帯の中で、75歳以上の高齢者がいる世帯、18歳未満の子どもを養育するひとり親世帯、障害児・者世帯などで約1万6000世帯。1世帯当たり5000円の灯油購入費を支給する。生活保護受給世帯は冬季加算に燃料費が盛り込まれているため対象外。一般会計補正予算案では総額約8000万円を計上した。

 能登谷公氏(市民クラブ)と松宮健治氏(公明党)、丸尾隆子氏(共産党)が支給額や対象者の選定経緯などをただしたのに対し、岡田芳樹福祉部長は「他都市の実施状況を見て総合的に判断した」と答弁した。

 さらに、高齢者の支給対象年齢を75歳以上とした理由については、財政負担額を考慮して判断したと説明。仮に65歳以上を対象にした場合、約1万世帯増加し、5000万円増の財政負担が見込まれるとした。

 さらに、「(支給対象の)本人の申請を受けてから1週間程度で支給したい。周知方法も複数の手段を講じ、申請の手続きもなるべく簡素化していきたい」と述べた。(鈴木 潤)


◎記者回顧(5)第二の記者人生
 「なんでわざわざ函館に来たの?」

 取材先でよく尋ねられる言葉だ。「もっといろいろな人と出会いたい」と、帯広で2年5カ月勤めた新聞社を辞め、ことし10月末から函館で第二の記者人生をスタートした。

 函館は中学校の修学旅行以来約10年ぶり。土地勘がなく、もともと方向感覚も鈍いため、取材先までたどり着くのに地図を片手に悪戦苦闘、慣れない言葉のアクセントに四苦八苦する日々。一方で、「人に話を聞き、記事を通じて読者に伝える」という根本的な仕事は変わらず、独自の歴史と文化を持つ土地の地元新聞記者として、やりがいと面白さを感じている。

 担当は渡島支庁。道政、国政、農業、漁業…と取材範囲は広いが、「自分にしか書けない記事」を探そうと、“町ネタ”も拾っている。中でも印象深かったのは、11月22日にちなんだ「いい夫婦」の取材だ。

 入社して2週間ほど経った11月初め。官公庁の発表ものではない、まちの話題を書きたいと思い、「いい夫婦」探しを始めた。商店街や町会などに電話を掛けまくり、市内宝来町で長年スナック喫茶「ミス潤」を経営する川上昌さん(68)、光枝さん(67)夫婦にたどり着いた。

 雪がしんしんと降り積もった11月19日の午後9時過ぎ、店に足を運んだ。「いらっしゃい」と優しく声を掛けてくれたのは、着物姿の光枝さん。「何が聞きたいんだい」と少しぶっきらぼうに尋ねる昌さんも、実父で初代経営者の故・淳作さんの時代から撮りためたアルバムを手に、店の歴史を熱っぽく語ってくれた。

 1932年に開業した「ミス潤」は、戦争、台風など激動の昭和をくぐり抜け、平成の今も常連客らに憩いの場を提供し続けている。昌さんの言葉の端々には店へのこだわりがにじみ出ていた。明るい光枝さんが「最近の若い客は飲み方が変わった」と寂しげにこぼした言葉も胸に残った。

 取材を終え、帰途に就いたのは翌日午前零時過ぎ。携帯電話を車に忘れたことも気づかずに取材に熱中してしまい、着信履歴を見て慌ててデスクに電話したところ、「携帯に出ないのは記者として失格だ!」の怒鳴り声。がっくりしながら帰宅し、徹夜で記事を書き上げた。

 出来上がった記事は100行余の大作。整理記者が考えた「2人で支え合い40年」の見出しもうれしく、川上さん夫婦や店の客など周囲からの反響も良かった。

 全国紙ではなく、地方紙でしか書けない記事があると思う。それは地元に生きる人を取り上げ、さまざまな思いを紙面で伝えることだ。今後も1人でも多くの人と出会い、その声を拾い上げていきたい。(新目七恵)