2007年12月27日(木)掲載

◎「招き子」をネット販売 江差歴まち商店街
 【江差】江差町歴まち商店街協同組合(室谷元男理事長)は、来年の干支・子(ね)にちなんだ粘土製マスコット「招き子」の先行予約販売を、同組合のホームページ(HP)で始めた。31日深夜に姥神大神宮前の「壱番蔵(いちばんぐら)」で開かれる年越しイベント「第14回新春“夢”」の会場でも販売する。

 「招き子」は、愛知県在住のペン画家・柄澤照文氏が制作。かわいらしいデザインと鮮やかな色合いが人気を呼んでいる。昨年の作品で十二支を一巡した。ことしの作品からサイズが一回り大きくなり、背中には「福」「笑」「幸」など縁起の良い文字も。

 1個400円。HPでは50個限定で予約販売を受け付ける。イベント会場では400個を販売する。会場では、柄澤氏デザインの招き子(300円)、札幌市の切り絵作家・みとままゆこ氏がデザインした漆塗りの置物「開運干支・子」(1500円)も販売する。 

 イベントは午後11時開場。1月1日午前零時には、第29回江差追分全国大会優勝者の木村香澄さんによる「ソーランBeat」の歌声で新年を祝う。同20分からは江差町江差追分協議会のメンバーが新春を祝う「きり声」を披露する。紅白のもちまきも行う。問い合わせは江差商工会TEL0139・52・0531。HPアドレスはhttp://homepage1.nifty.com/esashi/(松浦 純)


◎海洋構想機構を設立…まちづくり3カ年計画策定
 函館市は、本年度から2010年度を計画期間とする「まちづくり3カ年計画」を策定した。新函館市総合計画(07―16年度)に示した施策を計画的に推進するため、具体的な事業を記した実施計画に当たる。国際水産・海洋都市構想の推進機構の設立や函館弥生・西小の統合に伴う校舎改築などのほか、西尾正範市長の公約として始まった「創意ある学校づくり推進事業(校長先生の知恵の予算)」を10年度以降も継続することなどが示された。

 市企画部によると、今回のみ4カ年分の計画となり、来年度以降、3カ年の実施事業をローリング方式で見直していく。今回の4年間で想定される建設事業費総額は703億8300万円で、そのうち市の事業費は480億7500万円。08年度からの事業については、予算編成に反映させる方針。

 新規事業として、自治基本条例制定(08年度)、市立病院の改革プラン策定(同)、恵山コミュニティーセンター整備(08―09年度)、弥生小学校統合校舎の改築(08年度以降)、養護老人ホーム「清和荘」の民営化・移転(09年度)などを示した。

 新総合計画の重点プロジェクトのうち「人が輝く『人づくり』」の事業として、国際水産・海洋都市構想関連では、推進機構設立(08年度)や、本年度からの継続事業として総合研究センターの整備が盛り込まれた。また、小学校卒業まで医療費助成の拡充(同)や「知恵の予算」の実施継続を明記。「まちが輝く『活力創造』」では、新幹線時代を見据えたまちづくり構想を本年度内に策定することや、中心市街地活性化計画の改定(同)に着手することなどを示した。

 08年度中に終了する方針の事業は大学センターの設置、旧図書館本館の活用方策、旧ロシア領事館の復元、函館駅前公益施設用地の活用方策の各検討事項など。

 このほか継続事業として、箱館奉行所の復元整備(10年度まで)、縄文文化交流センター建設(同)、貿易振興のため韓国やロシアなどの市場調査に取り組む。

 同計画詳細は市企画部のホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/kikaku/)から閲覧ができる。(今井正一)


◎公債費比率18・5%…桧山管内7町 2006年度決算
 【江差】檜山管内7町の2006年度普通会計決算がまとまった。歳入に占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率が、全道平均の16・5%を上回る18・5%で、05年度より0・8ポイント上昇した。江差、奥尻、せたなの3町では、小規模市町村の地方債発行が制限される基準の25%に迫った。中でも江差町は、07年度決算から3年間程度は、基準の25%を超えることが確実とみられており、危機的な財政状況が浮き彫りになった。

 同比率は、江差町が起債制限ぎりぎりの24・9%。1828ある全国市町村の中で47位、道内180市町村の中でも14位にある。奥尻町は24・7%、せたな町は22・8%。 

 過去の建設事業などによる起債償還がピークに達する江差町では、一般会計は改善傾向にあるが、上下水道事業などの起債が占める割合が大きく、町の試算によると、07年度決算から3年間程度は同比率が25%を超えることが確実な情勢だ。このため、08年度は起債制限の適用、09年度には国の指導による財政健全化計画の策定義務付けが予想され、年明けから本格化する新年度予算編成でも、厳しい対応を迫られそうだ。

 同比率は、一般会計、特別会計、企業会計を含めた、歳入に対する地方債の元利償還の割合を示す指標。小規模市町村では、18%を超えると地方債発行に国の許可が必要になる。25%以上35%未満では、国庫補助金を伴わない事業に充てる地方債の起債制限を受け、起債による独自事業が困難になる。本道では06年度決算で知内町など13市町村が25%以上の基準を超えている。

 また、08年度からは、地方公共団体財政健全化法の本格運用で、同比率が25%を超えると財政健全化計画の策定が義務付けられ、35%超で財政再建団体になる。

 管内7町の歳入は約374億9291円(対前年度比2・1%減)、歳出も約369億8133万円(同2%減)と微減。一般財源に占める人件費など、義務的経費の割合を示す経常収支比率は、05年度より2ポイント減って84・7%。地方債残高は約537億1251万円(同2・9%減)、積立金残高は約117億1210万円(同1%減)。(松浦 純)


◎引き下げ求める声も…函館市の特別職給料
 市長や副市長の給料月額、議員報酬などの諮問を受けた函館市報酬審議会の本年度2回目の会合が26日、市役所会議室で開かれた。前回の会合で委員から要望があった市の財政状況について、事務局の市人事課が説明。委員からは「財政状況は相当厳しく、市民感覚として保留や引き上げは考えられない」「現行水準が妥当と思う」などの意見が寄せられた。

 市長の給料は中核市35市中16位、副市長は28位、議員報酬は35位。市の財政状況は、歳入の増加が難しい中で生活保護など扶助費の割合が伸びており、歳出削減を図るために職員削減を中心とした行財政改革を一層進める必要があることが説明された。また、中核市37市(当時)中、函館市は住民1人当たりの市職員の人件費が1位、人口1000人当たりの職員数も1位であることが示された。

 委員からは「歳入が増える見込みがなければ歳出を減らすしかなく、必要があれば給料の削減を考えるべきだ」「民間の厳しさを考えてほしい。今の行革はあらゆる面からの見直しが必要。下げるべきものは下げるべき」との意見があった。

 一方で「交付税削減などは他動的な側面がある。議員報酬などは10年間据え置きで、上げてあげたいという気持ちもあるが、現状では難しい。特別職給料も市長は10%、副市長は8%カットをしており、この点を考慮したい」との声もあった。

敦賀敬之議長が「大方の意見が示されたが、さらに1回開き、答申案の方向性を示したい」と述べ、来年1月16日に3回目の会合を開くことで合意した。(高柳 謙)


◎障がい者・高齢者対象に灯油無料でお届け
 NPO法人(特定非営利活動)全国精神障がい者地域生活支援センター(函館市石川町、能登正勝理事長)は来年1月から、生活保護世帯や高齢者や障がい者世帯などを対象に、灯油の宅配を無料で行うサービスを開始する。

 現在函館市内では、100リットル以上など一定量を超えなければ灯油の宅配に応じない場合がほとんどで、ポリタンクなどにより少量の灯油を購入するには、自ら運搬しなければならないケースが多い。また灯油価格自体が高騰する中、配送料がさらに家計が圧迫しているため、同センターでは今回初めて宅配サービスを実施することになった。預かったポリタンクを持ってガソリンスタンドなどで灯油を代理購入して届ける。

 対象となるのは生活保護世帯、障がい者世帯(障がいの区分問わず)、高齢者世帯など何らかの理由で自力で灯油の運搬が困難な世帯。対象地域は合併前の旧函館市内地域(七飯町・北斗市の一部は相談に応じる)。br>
 金額は18リットルあたり1800円(価格が変動する場合がある)で、ポリタンクは各自が用意する。宅配数量は1回につき36?まで。

 予約開始は来年1月7日からで、予定配達日は1月10日から毎週木、日曜日の2回。予約希望者は午前10時から午後4時まで同事務局(TEL0138・46・0600、ファクス0138・46・2720)に申し込む(木、日曜は事務局休み)。(小川俊之)


◎有効求人倍率0・54倍…道南の雇用情勢
 函館公共職業安定所は26日、11月の渡島・檜山管内における雇用情勢を発表した。求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率は、前年同月比0・04ポイント減の0・54倍と、5カ月連続のマイナスだった。また、来春の新規高卒者の求人数は同6・8%増の1483人で、就職率は同5・3ポイント増の57・3%となっている。

 月間有効求人数は、新規や繰越求人の動向から、同5・0%減の4863人、月間有効求職者数は同2・4%増の9063人。新規求人数は、同10・5%減の1786人で、先行指標となる新規求人倍率は、前年同月と同じ0・94倍だった。

 新規求人を産業別でみると、運輸業が同30人増の112人、医療・福祉が同26人増の296人。しかし、卸売・小売業が同78人減の389人、製造業が同60人減の204人、飲食店・宿泊業が同54人減の151人と、前年にあった新規出店などの反動がうかがえる。

 新規求人に占める常用パート求人の割合は34・6%で、同0・3ポイントの低下。離職者は同363人減の1051人で、内訳は事業主都合(リストラ)が同157人減の360人、自己都合が同214人減の660人などとなった。

 また、来春に高校卒業を予定している4325人(同8・7%減)のうち、求職者は同5・8%減の1226人で、求人倍率は同0・14ポイント増の1・21倍。就職者数は、同4・0%増の703人に上り、内訳は、管内が同11・2%増の258人、道内が同0・8%増の126人、道外が前年同月と同数の319人だった。(浜田孝輔)


◎記者回顧E新聞記者2カ月目
 大学時代から憧れていた新聞記者に10月、やっとなれた。前職は陸上自衛官。入社2日前まで帯広駐屯地にいた。

 大学卒業を控え、新聞記者を志し新聞社や通信社などおよそ50社を受験したが、落ち続けていた。周囲が「内定がとれた」と浮かれている中で、「このまま卒業したら無職になる」とあせった。大学構内に張られた「自衛隊幹部候補生募集」のポスターを見ていた時、ちょうど募集官に声をかけられ採用試験を受験。合格して入隊した。

 2月に、帯広駐屯地に赴任。小銃や機関銃などを整備する部隊に配属された。機械が好きなこともあって、整備部隊での仕事は楽しかった。しかし、どうしても夢があきらめられず、函館新聞のホームページにあった記者募集に飛び付いた。

 入社するまで「新聞記者は社会正義を追求する格好いい仕事」だと信じて疑わなかった。だが、そんな思いは入社して1カ月で消えた。1枚の写真を撮るため、一言のコメントを得るために寒い中、長時間待ち続けることもよくある。新聞づくりに携わってみて、地味で地道な作業の積み重ねで新聞が出来上がっていることを体感した。

 入社して約1カ月間は函館市役所や渡島支庁担当記者の指導を受けながら、文化祭や収穫祭、表彰式などの取材を経験した。すべてが初めてのことばかりで驚きの連続だった。

 12月に正式に担当が決まった。警察担当記者、いわゆる「サツ回り」となった。事件や事故があれば、食事中でも寝ているときでも容赦なく携帯電話が鳴る。いつも電話が手放せない生活を送っている。

 19日午前5時、携帯電話の着信音で飛び起きた。「競馬場近くで火事」との連絡。カメラやノートなどが入ったかばんをひっさげて現場に急いだ。現場について驚いた。先輩記者がすでに到着し取材を始めていた。先輩はジャージ姿。「しまった」と思った。ネクタイを締め、革靴を履いて現場に向かってしまった。カメラやノートもすぐに出掛けられるようにひとまとめにしていなかった。後悔することばかり。とにかく現場に早く。サツ回りの基本をあらためて教えられた。

 「取材がなっていない」、「原稿が遅すぎる」と怒鳴られる毎日が続いている。書いた原稿は原形をとどめないほど直される。残るのは句読点と固有名詞ぐらい。どうすればちゃんとした記事が書けるか分からず毎日もがいている。「つらい」とか「楽しい」とか感じる余裕もない。

 新聞記者になったときの喜びと謙虚な気持ちを忘れるな―。上司から贈られたこの言葉の意味をかみしめながら、函館を走り続けたい。(水沼幸三)