2007年12月29日(土)掲載

◎年賀状区分け作業急ピッチ
 函館中央郵便局(函館市新川町1)では、年賀状の区分け作業が急ピッチで進んでいる。1時間に3―5万枚を区分けする機械を24時間フル稼働させ、機械で区分けできないものは職員や短期職員(アルバイト)が手作業で、元旦の配達に間に合わせるように慌しく処理している。

 手作業は年賀状専用の区分け棚を設置し、女子高生などの短期職員165人や職員が交代で作業に当たっている。郵便番号や住所を確認しながら、15分で400通を目安に区分けする。同局で配達される分としては1日18―20万通を処理する。

 元旦に届くために25日までの投かんを呼び掛けたが、年々「遅出し傾向」となり、大晦日まで忙しい状態が続くという。同局で来年の元旦に配達する枚数は、ことしよりやや多い約150万通と見込んでいる。(山崎純一)


◎「育児支援事業」利用ゼロ…函館市 抜本見直しへ
 函館市は本年度から子育て中の家庭にホームヘルパー(訪問介護員)を派遣する「育児支援事業」を行っているが、一切利用されていないことが28日までに分かった。子育ての不安や、ストレスを抱える親の支援を目的に取り組みを始めた事業だが、実際は支援が機能しておらず、抜本的な事業展開の見直しが求められる状況になっている。

 同事業は、育児や家事の負担を軽減することによって産後のうつ、育児ノイローゼ、児童虐待の防止を図るのが狙いで、特に周囲に相談する人や外部との接触が少ない育児中の親をターゲットにしている。

 国の交付金対象事業で、ヘルパーの委託料など約120万円を予算計上し、5月から取り組みを始めた。

 ただ、本人からの申請を受けて支援を行うのではなく、市側で支援の必要な人に事業を紹介、さらに本人の了解を得て実施する仕組みとしているため、事業が広く周知されていない。

 市立函館保健所で行っている相談業務や医療機関などの情報から、保健師が育児に悩む保護者にヘルパー派遣事業を紹介しているが、いずれも断わられている状況だ。市でヘルパー養成研修を行い、28人のヘルパーを確保したが、今のところ派遣は一度もない。

 事業を推進する子育て推進課は年明けにも市立同保健所と協議し、利用しやすいような仕組みづくりなど、新たな対応策を練る方針。利用につながらない要因について、同課は「他人を家に入れる抵抗感や、家庭の事情を知られる不安感もあるかもしれないが、基本的には市としての事業展開の問題点などを分析していきたい」としている。(鈴木 潤)


◎イオンに計画中止要請…函館市
 函館市は28日、同市西桔梗町に大型店開発計画を持つイオン(本社・千葉市)に対し、経済界とともに計画中止を求める要請活動を実施したことを明らかにした。27日に山本真也都市建設部長らがイオン北海道(札幌)を訪れ、同社の三宅篤北海道開発部長に要請文書を手渡した。市は昨年秋から、同社に出店計画の取り下げを口頭で申し入れるなどしているが、文書での要請は初めて。郊外型の大型店出店を規制する改正まちづくり3法が11月末に施行されたことを踏まえ、市の反対姿勢を改めて明確にした。


 同社は、西桔梗町の市街化調整区域約11万5000平方メートルに大型ショッピングセンターの開発計画を持ち、2001年に立地の可否について事前審査を申請した。当時、市の開発審査会は開発許可の立地基準に該当すると回答したが現在、計画予定地の土地取得は一部で進んでいない。

 今回の要請は同3法の全面施行を受けたもので、山本部長、函館商工会議所の古川雅章専務理事、函館市商店街振興組合連合会の渡辺良三理事長らが同社を訪れた。

 市は「開発計画の申し出から6年が経過し、社会経済情勢も大きく変化した。大規模集客施設の市域郊外での立地は、コンパクトなまちづくり推進に影響が大きい」と要請。経済界は高野洋蔵会頭、渡辺理事長連名で「超大型店出店は商店街を死の危機に追い込み、地域コミュニティーの崩壊につながりかねない」とし、ともに開発計画の早急な中止を求めた。

 同社は「要請の趣旨は理解した。本社にも連絡をする」と返答したが、出店に向けて土地取得などの動きは継続する考えを示した。

 今回の活動について、古川専務理事は「3法施行もあり、以前とは状況が違う。郊外の大型店は、市街地への影響が大きいということを地域の声として、機会あるごとに要請していきたい」とし、山本部長は「市の姿勢に変わりはない。今後もイオンの動向を注視していく」としている。

 大型店をめぐる最近の動きでは、昨年8月に同会議所など経済界が市と市議会に対し、大型店出店計画凍結を求める陳情を行い、市議会はことし3月に採択。北斗市、七飯町も函館と歩調を合わせており、大規模集客施設の出店に反対する動きがある。一方で、市街化区域内では8月末にオープンした港町のショッピングセンターや、戸倉町では複合型商業施設計画が進められている。(今井正一)


◎不起訴のトラック運転手 一転起訴…八雲 4年前の衝突事故
 八雲町の道道で2003年12月、大型トラックと乗用車が衝突し、乗用車の女性とその娘が重傷を負った事故で、函館地検は28日、大型トラックを運転していた男性運転手(33)を業務上過失致傷の罪で函館地裁に在宅起訴した。男性運転手は業務上過失致傷の疑いで書類送検され、不起訴処分になっていたが、函館検察審査会が1月に「不起訴不当」と議決。同地検が再捜査した結果、男性運転手の無理な追い越しに起因する過失を認めた。

 起訴状などによると、男性は03年12月15日午後8時ごろ、八雲町上八雲の道道で大型トラックを運転中、前を走る大型クレーン車を追い越した際、対向してきた乗用車と正面衝突し、乗用車を運転していた母親(45)と娘(17)が脳挫傷などの重傷を負った。

 この事故は大型トラックが追い越した後、乗用車が対向車線にはみ出す形で起きた。現場は片側1車線の見通しの悪いカーブで、事故当時の路面は凍結していたという。

 同地検は04年9月に男性の過失を立証する十分な証拠がないとして、嫌疑不十分で不起訴処分としたことに対し、女性側が昨年3月に同審査会に不服を申し立てていた。

 同地検は専門家による鑑定を依頼し、再度、事故現場を実況見分した結果、「男性が見通しの悪いカーブ手前で無理な追い越しをしたため、被害女性が驚き、慌てたことで対向車線にはみ出してしまった」などとして、男性運転手の過失を認定した。

 調べに対し、男性は大筋で起訴事実を認めているが、「相手の過失もあると思うので、(自分だけが)罪に問われるのは納得できない」と話しているという。同地検の石井隆次席検事は「現場の再捜査で新たに得られたブレーキ痕などの証拠から、男性の過失を認定できると判断した」と述べた。


◎経常収支は88・8%…渡島・2006年度普通会計決算
 渡島支庁は28日までに、渡島管内11市町の2006年度普通会計決算をまとめた。財政の弾力性を示す指標の経常収支比率の11市町平均は、全道平均の91・1%を下回る88・8%で、05年度より0・4ポイント減少したが、警戒ラインとされる90%を4町が超えた。実質公債費比率(歳入に占める借金返済額の割合)では、知内町が小規模市町村の地方債発行が制限される基準の25%を超える25・2%となるなど、依然厳しい財政状況が続いている。

 経常収支比率は木古内町が96・2%、福島町が94・5%、森町が94・1%、八雲町が91・6%で、財政の硬直化が顕著となった。

 実質公債費比率は25%以上35%未満だと、国庫補助金を伴わない事業に充てる地方債の起債制限を受けるほか、08年度から本格運用する地方公共団体財政健全化法により、25%超は財政健全化計画の策定が義務づけられる。知内町の同比率が高いことについて、同支庁は「過去の大型事業の償還分が多いことなどが理由」(地域振興部地域政策課)としている。

 管内11市町の歳入総額は約2009億円(対前年度比2・7%減)、歳出総額は約1993億1900万円(同2・5%減)と微減。地方債残高は約2600億円(同0・2%減)、積立金銭高は約292億円(同13・1%増)だった。(新目七恵)


◎記者回顧(8)凶悪な事件即発
 「お前が事件を持ってきた」―。入社以来1年余り担当したスポーツから警察担当になったのは6月中旬。先輩記者からこう揶揄(やゆ)されるほど、自分が警察担当になってからは道南で事件、事故が続発した。

 残忍な殺人事件、痛ましい死亡事故、海水浴場での水難事故…。特に高校生の集団暴行死事件、警察官と暴力団員の銃撃戦は、将来も絶対に忘れられない取材になった。

 8月26日午後11時10分ごろ、「公園で男性が倒れている」という情報をつかみ、函館市昭和町の現場に直行した。捜査員の数がとにかく多い。一帯は立ち入り禁止となり、異様な空気が漂っていた。重大な事件が起きたことは十分に理解できた。「何があったんですか」と聞いても、捜査員は「分からない」の一点張り。函館西署に確認したが情報を得ることができなかった。その後、被害者は市内の男子高校生ということが判明した。

 7人の少年による犯行だった。「集団で一人の命を奪う卑劣で身勝手な行為。許されない」。そんな怒りを抱えながら事件の真相を追った。市内の別の公園が一連の暴行の第一現場だった。その公園で被害者をよく知る少年(15)に会った。ところが、まるで他人事のような反応だった。聞けば聞くほど憤りを感じ、遺族のことを思い悲しくなった。公園の近くにいる人、通り掛かる人、ちょっとした情報でも得ようと、とにかく聞き回った。有力な情報はほんのわずかだった。

 約1週間、公園と同署を往復する日々。動機などは分からず、「何も聞けませんでした」と情けない報告が続いた。真相にたどり着けないことに無力さを感じ、同時に悔しかった。焦りと疲れだけが重なっていった。

 9月10日深夜には七飯町で拳銃を突きつけ車を奪う強盗事件が発生。「どうしてこんなに事件が続くんだ…」と思いながら現場に向かった。この事件が銃撃戦に発展するとは思ってもいなかった。

 「警察官が被弾した。すぐに現場へ」。先輩記者の声からも緊迫感が伝わる。何が何やら分からず、今度は銃撃現場の昭和町に車を走らせた。「銃撃戦? あり得ない。函館でそんなことが…」。現場には数十台のパトカーが止まっていた。近所の人らで周辺は騒然としていた。情報は錯綜(さくそう)し、事態が把握できない。「パーンと乾いたような音がした」「怖くて震えた」。付近住民のそうした声を拾うのが精いっぱいだった。

 警察担当だった約半年はあっという間に過ぎ去った。無力感にさいなまれる日々だったが、被害者の遺族や友人の悲痛な叫びは鮮明に耳に残っている。その悲しさや無念さを伝えることが、警察担当の仕事なのだと、今は思っている。(小林省吾)