2007年12月3日(月)掲載

◎ユーラップ川にサケ遡上ピーク
 【八雲】八雲町の遊楽部(ゆうらっぷ)川でサケの溯上(そじょう)がピークを迎えた。河口から15―20キロの上流では、子孫を残そうと傷だらけの身を躍らせて前進する姿が見られる。

 サケは伏流水がわき出る場所で産卵するため上流を目指す。上流に行くと水深は浅く、川底の石は大きくなる。メスをめぐるオス同士の戦いもあり、体からは銀鱗がはがれ落ち、まさに死力を尽くす最後の勇姿になる。ここにたどり着くまでの苦労は想像もつかない。

 上空では「ほっちゃれ」と呼ばれる息絶えた死がいや、産卵後の卵を狙う鳥が飛び交うなど、生命をめぐるドラマが展開されている。(山崎純一)


◎函館市、合併から3年/「市民全体で我慢必要」
 函館市は2004年12月1日に渡島東部旧4町村と合併し、丸3年を経過した。漁業を基幹産業とする4町村地域が加わり、日本一の沿岸漁業の都市が形成された。ただ、吸収合併された4町村地域の住民からは「水道料金が安くなったこと以外に、合併して良くなったことはない」などの声が聞かれる。だが、4地域にとどまらず、住民が果たせる役割を発揮し、我慢することも必要な時代だ。

 4地域の住民の「不満」は大きい。「過疎化に歯止めが掛からず、定住人口を増やしてほしい」(南茅部、35歳男性)、「椴法華という地名がなくなったのが一番寂しい。そのほかに変化はない」(椴法華、65歳女性)、「高速のインターネット通信がなく、営業に致命的」(恵山、50代男性)などさまざま。

 合併時に1万7134人いた旧4町村の人口は、今年10月末時点の住民基本台帳で7・2%、1240人減って1万5894人となった。

 旧恵山町長を務めた工藤篤さんは「合併するしないにかかわらず、人口減や少子高齢化が進展するのははっきりしていた。これらの問題は日本中の地域が抱えている」と断言する。合併の住民説明会でも、このまま町が存続すれば住民負担の増加などで大変なことになることを訴えたが、なかなか全町民には届かなかったという。高速インターネット環境が整備されない問題も、合併と直接、因果関係はないだろう。

 人口が減り続ける中で、地域の活力や住民サービスをどう維持していくかが課題。決定打はないが、旧戸井町長を務めた吉沢慶昭さんは「現状維持を目指したのが合併。地域でできることは地域でやり、我慢するところは我慢する。地域の力で届かない部分を行政が補っていく必要がある。これは全市的に言える」と、住民と行政の役割分担や連携を強調する。

 合併4支所の職員は304人から本年度は210人に減った。行財政改革は加速され、今後は支所の5課1教育事務所体制の再編も想定される。そこで「再編されても、支所が担う業務や住民サービスをどう維持していくかが課題」(市役所職員労働組合)だ。職員減で5分かかった待ち時間が10分になるかもしれないが、それは市役所本庁舎でも同じ。

 全市的な視点に立った中での4地域の振興は、やはり漁業対策で、西尾正範市長も「水産振興計画の策定や製氷貯氷施設を整備したほか、ガゴメやウニ、コンブなどの増養殖事業など、今後とも進めていく必要がある」と語る。

 旧4町村地域の人口減少率や高齢化率は、旧市内より高い。市地域振興室は「一方で、4地域では地域コミュニティーが旧市内より厚い。地域の連帯やコミュニティー維持対策が今後必要になるだろう」と話す。

 西尾市長は「漁村が都市のようになる必要はなく、それぞれの独自性を生かしたまちづくりをしていきたい」と語る。行政と住民が連携し、観光と漁業という地域が持つ長所や特性を伸ばし、新市全体の魅力を高めていくことが求められている。(高柳 謙)


◎シートベルト着用率、函館が全道ワースト返上
 今年のシートベルト着用率の全国調査で、函館市は90・6%となり、全道18地点中最低だった記録を返上したことが道警函館方面本部のまとめで分かった。前年比10ポイント増の大幅アップで、2002年の調査開始以来、90%の大台を超えたのは初めて。一方、隣接する北斗市が88%で全道最下位に転落したほか、依然として全国(95%)や全道(93・9%)平均には及ばず、道南の運転モラルに課題も残した。

 調査は警察庁と日本自動車連盟(JAF)が毎年10月に実施。道内18カ所のうち、道南では函館市西桔梗町の道道函館上磯線(産業道路)と、北斗市本町の国道227号の2カ所で各500台を調べた。

 同本部交通課によると、函館で運転者がシートベルトをしていたのは453台で90・6%。同地点は02年62・6%、03年70%、04年68・6%と全道ワースト記録が続いており、05年は88・6%と若干向上したが、昨年は79・8%で全道平均(91・7%)を10ポイント以上下回った。

 北斗市の着用率は、近年少しずつ改善の兆しを見せていたが、昨年は86%と函館市に次いで下から2番目の低い水準。今年は昨年よりも2ポイント増加したが、全道、全国平均を大きく下回り、全道ワースト1となった。

 後部座席同乗者のシートベルト着用は、現行法では努力義務とされているが、改正道交法の施行で来年6月までに着用が義務化される。函館、北斗両市の着用率は、全国(8・8%)や全道(8・3%)平均を上回ったが、ともに14%にとどまった。

 道警函本管内(渡島・桧山と後志管内の一部)の今年の交通事故死者(11月末現在)28人のうち、4輪乗車中の死者は16人。このうち、シートベルト非着用だったのは半数の8人で、中でも4人は「車両の破損状況などから、着用していれば生存していた可能性が高い」(同課)という。

 長万部町の国道5号で11月22日、ワゴン車がスリップして路外に逸脱した事故では、シートベルトを着用せずに後部座席に乗っていた70代の女性が、事故の弾みで後部座席の窓を突き破り、車外に放出されて亡くなった。シートベルト非着用だった場合の致死率は、運転席が約46倍、助手席が約10倍、後部座席は約4倍に上る。

 同課は「事故が起きてからシートベルトを『していればよかった』では遅い。自分や同乗者の身を守る“命綱”であることを再認識してほしい」と訴え、今後は取り締まりを強化しながら、後部座席のシートベルト着用も呼び掛けていく方針だ。(森健太郎)


◎第3回オンパク報告会、過去最高3235人も参加率は低下
 先月11日に閉幕した「第3回はこだて湯の川温泉泊覧会(はこだて湯の川オンパク)」(実行委主催)の開催実績がまとまり、参加人数は、前回比1%増の3235人で過去最高を記録した。定員3637人(同2%増)に対する参加率は88・9%と、同0・9ポイント低下した。期間後半に雨天にたたられた格好で、開催時期の見直しを迫られそうだ。

 湯の川観光ホテル(函館市湯川町2)でこのほど開かれた報告会で発表。実行委(刈田眞司委員長)のメンバーや実施プログラムの講師、参加店などから約50人が出席し、次回以降に向けた改善点や意見を出し合った。

 参加者1534人から集めたアンケート結果によると、性別では男性が同4ポイント増の20%で、年齢層は「50代」が同1・8ポイント増の24・9%でトップ。参加人数は、「2人」が同1・3ポイント増の45・3%、「3人以上」が同4・3ポイント増の31・3%と数字を伸ばした。

 「どのようなプログラムに参加したいか」との問いには、「食べ物を主体に楽しむプログラム」が21・2%で最多。このほか、「音楽会などの文化イベント」が14%、「自然を楽しむエコツアー」が11・6%、「道南各地にお出かけするツアー」が10・5%と続いた。

 出席者からは、「中止する場合の連絡方法を徹底してほしい」「インターネット予約が多いようだが、高齢者向けの方法を考えるべき」「参加者を対象にした宿泊料金に値ごろ感が必要」などの意見が挙がった。刈田実行委員長は「総じて評価の高い声が多かったが、実行委員会の自己満足に終わらないよう、寄せられた意見を次の糧にしていきたい」と話した。(浜田孝輔)