2007年12月31日(月)掲載

◎「函館花いっぱい道づくりの会」が北のまちづくり賞「奨励賞」を受賞
 今年度の「北のまちづくり賞」奨励賞に、2004年から函館新道沿線で花の植栽活動を行っている函館市の「函館花いっぱい道づくりの会」(折谷久美子代表)が選ばれた。折谷代表は「活動開始からわずか4年でこのような素晴らしい賞をいただけるのは本当にうれしい。構成団体のみなさんと、行政や企業などの連携と協力があってこその受賞」と喜んでいる。

 「北のまちづくり賞」は、住む人が「楽しく」「快適に」「豊かさを実感できる」活動を行っている団体を対象に、2年に1度北海道が選出するもので、今年度は全道から20団体の応募があり、5団体が受賞した。

 このうち最高賞にあたる知事賞は札幌市の「ていね夏あかり実行委員会」が受賞。続く奨励賞に「函館花いっぱい道づくりの会」と札幌市のNPO法人「カルチャーナイト北海道」、花新聞ほっかいどう賞に釧路市の「釧路芝桜の会」と登別市の「キウシト湿原保全の会」が輝いた。

 函館花いっぱい道づくりの会は、函館の玄関口となる国道5号函館新道(石川・桔梗地区)沿線の植樹ますで花を育て、函館を訪れる人たちをおもてなしの心で迎えようと、NPO法人や地元町会、沿線の小中学校、スポーツ少年団など15団体により発足。現在は21団体が所属し、函館道路事務所、函館市土木部、市住宅都市施設公社とボランティア・サポート・プログラムを結び、毎年延長約600メートルの両側に1万本以上の花を植樹している。

 発足当初から構成団体に加わる地元4町会は、それぞれに受賞を喜ぶ。石川町会の山●敏昭会長は「沿道を花でいっぱいにすることで交通安全や防犯にもつなげたい」。桔梗町会の青坂栄一会長は「町会の枠を越えて協力体制が生まれたことがうれしい」。桔梗北町会の鈴石克己会長は「今後も活動を継続するために努力したい」。桔梗西部町会の神田俊彦会長は「花を育てることを通じて、心の豊かさを育てたい」と熱い思いを語る。

 また構成団体の中核として活動する「NPO法人スプリングボートユニティ21」に所属し、発足当初から精力的に活躍してきた折谷代表は「花の植栽を通じてたくさんの素晴らしい出会いを経験できたことが一番の宝物。今回の受賞でさらに結束を強めるとともに、これからも楽しく息の長い活動を続けていくことができればうれしい」と喜んでいる。

 北のまちづくり賞の受賞式は来年1月31日に札幌市で行われる。(小川俊之) (●は漢字ののつくりが立つ崎です)


◎東日本海フェリー/あすから「ハートランドフェリー」に変更 
 【江差】奥尻や利尻・礼文などの離島航路を運航する東日本海フェリー(札幌市、蔦井孝典社長)は1月1日から、社名を「ハートランドフェリー」に変更、シンボルマークや6隻あるフェリーの船体塗装も定期整備に合わせて一新する。

 新社名は、同社が航路を持つ奥尻や利尻・礼文の離島を「ハートランド」と名付け「思いやりの心が根付いた自らの地域を住民が誇りに思い、島を訪れる観光客にもその魅力に触れて欲しい」(同社)との願いを込めた。

 また、同社と経営破たんした旧東日本フェリーは提携関係にあったが、経営を継承した新会社とは経営上の関係が無くなり、類似した社名で利用者の混乱を招くことも多く、これまでのイメージを一新する新社名の採用に踏み切ったという。

 「H」の文字をあしらった新しいシンボルマークは、「ハートランド(HeartLand)」、「北海道(Hokkaido)」「ハートフル(Heartful)」「ホスピタリティ(Hospitality)」の4文字を重ね、海に浮ぶ航跡をデザインした。

 同社は今後、6隻あるフェリーとともに、来年5月から利尻・礼文航路で就航する新造船の塗装を、新ロゴマークを基本に、航路がある各地域にある花や植物にちなんだ配色で統一する。江差―奥尻航路の「アヴローラおくしり」(2248トン)は、秋のブナ林を思わせるオレンジ色、せたな―奥尻航路の「ニューひやま」(2258トン)は、初夏の奥尻島を彩るエゾカンゾウをイメージした黄色を基調とした配色とし、定期整備に合わせて塗り替える。(松浦 純)


◎市営競輪包括委託/日本トーターを選定
 函館市は、来年度から実施する市営函館競輪開催業務の包括委託の受託業者に車券販売・払戻機の専門メーカー、日本トーター(東京)を選定した。委託業務は競輪場の清掃や警備、機械の保守、イベント開催など約60業務。委託期間は3年間で、年間1億3500万円の経費を節減し、収支改善や累積赤字の解消を目指す。


 市競輪事業部によると、車券販売やバンク清掃などをしている市の臨時従事員約200人の雇用は市が継続する。3年間で約半数が退職し、車券販売業務の減員は機械化などで対応する。いずれは臨時従事員も包括委託業者に雇用されていく見通し。

 委託業者の選定はプロポーザル(公募)方式で行った。現地説明会に8社が参加し、実際に企画提案書を提出したのは3社だった。運営計画や実施体制、経費の見積もりなどを提案。有識者で組織する審査委員会(5人)で総合審査し、受託候補者とした。

 日本トーターは青森や四日市、豊橋競輪などの受託実績があり、その点も評価の一つとなった。車券販売機メーカーで、函館競輪の販売機などは別メーカーだが、同社が保守・管理をしていく。委託業務の再委託も認められており、市は可能な限り地元業者と契約を結ぶことを求めている。

 包括委託により、年間1億3500万円の経費節減が見込まれ、競輪事業部の職員も17人から来年度は12人に削減される。市が議会に示した収支試算では、売り上げの増加と包括委託、本年度から暫定的に始まった交付金(負担金)の還付制度などで収支を改善。来年度からの単年度黒字、2011年度の累積赤字解消を目指している。(高柳 謙)


◎元町観光駐車場電車通り側/1、2階を月決めに
 函館市は新年度から、市元町観光駐車場(末広町20)の1、2階部分を月決め駐車場として活用する。第4回定例市議会で条例改正案と補正予算案を可決した。料金は1台月額7500円とし、年間440万円程度の収入を見込んでいる。

 同駐車場は基坂沿いに2カ所あり、貸し出すのは電車通りに面した側。もともとは旧市立函館病院の駐車場として活用され、函病移転後の2001年4月から観光駐車場となった。現在は3階部分だけを観光客や一般市民向けに時間制で貸し出し、1、2階部分は大型連休や一部繁忙期を除き閉鎖している。

 市観光課によると、月決めで91台分あり、8割程度の稼動率を見込んでいる。年間で約700万円、指定管理者への委託料を差し引いて440万円ほどの収入になる。基本的に午前6時から午後10時までの使用となり、遅れる場合は事前に指定管理者に連絡することで警備員が対応する予定。

 補正予算700万円で本年度、駐車場内を補修し防犯カメラを設置する。閉鎖している1、2階部分の管理を新たに指定管理者に委託するため、来年2月定例市議会に補正予算案を提出する。

 同課は「遊休資産を有効活用することで財源確保を図る。周辺への通勤者などに需要があるのでは」と話している。(高柳 謙)


◎記者回顧(10)・高校野球
 函工高硬式野球部がきらめきを放った夏だった。春に続いての道大会決勝進出は快挙と言っていい。甲子園出場こそかなわなかったが、アマチュア野球好きなわたしに大きな興奮と刺激を与えてくれた。

 春の道大会で函工高が活躍したことから、夏も函館支部勢の躍進を確信していた。本当は応援席にいたいが、陣取るのは声を出すこともままならないカメラマン席。ならば心の中で応援と、縁起を担いだ。

 10年余りの高校野球取材を通じ、高い勝率につながってきた宿泊先での生活パターンを分析した。それは「白いポロシャツの着用」「毎朝のひげそり」「大会期間中に洗濯をしないこと」。そのために10日分の下着やポロシャツ、4枚刃のカミソリを用意した。

 函工高の戦いぶりは痛快だった。初戦で北海道栄にあっさり先制、逃げ切りで勝利を収めると、立命館慶祥(札幌)には3点差を跳ね返す鮮やかな逆転勝ち。準決勝では東北楽天の高校生ドラフト1位右腕・寺田龍平の札幌南に9回サヨナラ勝ち。“ザ・高校野球”という試合の連続に心が躍った。

 昨秋から大幅にベンチ入り選手が入れ替えられるとともに下手投げのエース・本庄惇也投手の大活躍。「ここ10年で一番弱いチームだが不思議と勝ち運があるんだ」と小早川賢輔監督がことあるごとに言葉にしていたが、好チームだったのは言うまでもない。

 取材は1人。スコアブック記載と写真撮影を同時にやるのは気が重い。ただ今季は本庄投手の存在が萎えそうになる気持ちを支えてくれた。跳ねるような躍動感あふれる投球フォームは絵になったし、力ももらった。反面、多彩な球種を持つため、カメラマン席(横位置)からシンカーなのかスローカーブなのか判断するのは難しく、記者泣かせだった。

 今季の公式戦16試合目は、南大会決勝の駒大苫小牧戦だった。失策をきっかけに序盤から強打線につかまる。「スコアブックに本庄の球種、カウントの記号をあと何イニング記すことができるのかな」。そんな寂しい気持ち抱きながらファインダーをのぞいていると、ついにその時が来た。4失点を喫した直後の8回。マウンドにその姿はなかった。思わずスコアブックに目をやった。記し続けること1684球目となった最後の球種は…。シーズンが終わりに近づいているという現実が切なかった。

 あと3カ月もすれば球春が巡ってくる。オーシャンスタジアムのカメラマン席で直射日光とグラウンドの照り返しを1日8時間浴びることになる。その場所はドラマのクライマックスを肌で感じられる特等席。何歳になろうと辛抱しようではないかと思っている。(岡部彰広)