2007年12月4日(火)掲載

◎ホテル恵風、イカ釣りの集魚灯で電飾
 函館市恵山岬町の「ホテル恵風(けいぷ)」(西巻勝幸支配人)は、敷地内でイカ釣り漁の集魚灯を再利用したイルミネーションを点灯している。海に面した斜面一帯にやわらかな電球の光が並び、ライトアップされた灯台、その背景にイカ釣り船の漁り火がきらめき、夜の岬は幻想的な雰囲気に包まれている。

 同ホテルは構想から2年掛かりで市内外の漁協から使用済みの集魚灯を収集。昨年までのイルミネーションファンタジーに代わり、エコロジーをテーマに「岬あかり2007―08」として今年初めて実施した。

 集魚灯は高さ40センチ、直径25センチのガラス製。敷地内に約200個配置し、廃船にも取り付けた。本来、産業廃棄物として捨てられるが、西巻支配人ら従業員が汚れを落とすなどしてよみがえらせた。ホテル正面には表面にカラフルな蛍光塗料で絵を描き、積み重ねたイルミネーション「光のケーキ」も設置し、宿泊客らを迎えている。

 来年2月末まで毎日午後5時から同10時まで点灯している。(宮木佳奈美)


◎原油の高騰受け、道南でも福祉灯油広がる
 原油高騰でガソリンや灯油、さらに石油関連製品の値上げが市民生活を圧迫する中、低所得者などを対象に灯油購入費を自治体が一部助成する「福祉灯油」事業が道南でも広がりを見せている。近年、同事業を続けている八雲町と今金町のほか、本年度は新たに厚沢部町が初めて取り組む予定。このほか、桧山管内の2町が実施に向けた検討を進めている。(新目七恵)

 灯油価格は道内最大の共同購入団体、生活協同組合コープさっぽろ(札幌)が1日から全道一斉に17円値上げし、札幌地区では定期配達で1リットル当たり96円、函館地区は同98円となったほか、石油元売り最大手の新日本石油(東京)も卸価格を同日出荷分から引き上げた。函館消費者協会によると、3日現在の函館、北斗市内のガソリンスタンドにおける1リットル当たりの灯油平均価格は99・20円。

 現在、道では市町村の福祉灯油を含む冬期の福祉関連事業費の半分を助成。道によると、ことしは福祉灯油を再開させる自治体などが増え、3日現在で道内50の市町村が実施する予定だ。

 八雲町では1997年から、今金町では2001年度から実施。いずれも高齢者世帯などが対象で、八雲では1世帯当たり年額5000円を一括給付。今金では1世帯当たり200リットルの助成券を交付し、ことしはすでに予定枠(200世帯)の9割超となる190世帯前後の申請があるという。同町保健福祉課は「町財政は厳しいが、高齢者らを取り巻く生活状況を考えると止められない」としている。

 厚沢部町は11月の道の助成追加募集を受け、初めて申請。現在、福祉灯油を含めた冬場の生活支援策を検討している。同町保健福祉課では「灯油の値上がりは、燃料代をはじめ衣料品など町民生活全般に影響する」と申請理由を説明している。

 こうした道南での福祉灯油の広がりについて、函館市福祉部の政田郁夫社会課長は「道の助成制度は函館市のような中核都市は対象外。市内では高齢者世帯だけで約7万人となり、現在の財政状況では市単独の事業導入は難しい」と話している。


◎窃盗少年に「無罪」審判
 元交際相手の女性の携帯電話を盗んだとして、盗みの非行事実で函館家裁に送致された函館市内に住む飲食店従業員の少年(19)に対する審判が3日、同家裁で開かれ、板橋愛子裁判官は「捜査段階での少年の自白調書の信用性が疑わしい」として、刑事裁判の無罪判決に相当する「不処分(非行事実なし)」の決定を言い渡した。

 少年は3月中旬ごろ、当時交際していた同市内の女性(22)方で、女性名義の携帯電話1台(約1万円相当)を盗んだとして、6月14日に窃盗容疑で函館中央署に逮捕された。その後、20日間以上の拘置を経て函館地検が7月4日、「保護処分相当」の意見を付けて同家裁に送致していた。

 少年の付添人の山本啓二弁護士によると、少年は当初、「携帯電話は交際中の彼女に買ってもらってからずっと自分が使ってきた。盗んではいない」と犯行を否認。しかし、取り調べで同署の捜査員から「お前の話は通らない」「裁判になっても勝てない」などと言われ、いったん容疑を認めたという。

 審判で板橋裁判官は「事件後に被害品の携帯電話で少年と被害女性が連絡を取り合っていたことは不可解」とし、女性が盗まれたとする3月中旬には、この携帯電話が修理に出されていて被害者の手元になかったことなどを挙げ、「被害女性の供述は信用できない」と指摘した。

 この日行われた記者会見で、付添人と同席した少年は「狭い取調室で警察官に怒鳴られたり、机をたたかれたりしたことが怖かった」と話し、「警察がもう少し調べてくれれば、こういうことにはならなかった」とした。山本弁護士は「警察は客観的な証拠の調べが不十分で、自白に頼った手抜き捜査と言わざるを得ない。検察のチェック機能も働いていなかったことは残念であり、問題だ」と語気を強めた。

 函館中央署の高崎寛美副署長は「審判の内容は承知していないが、警察としては適正に捜査している」とコメントした。


◎エアトランセ再建計画案、函館発のチャーター便運航
 地域コミューター航空会社「エアトランセ」(函館市高松町511)の江村林香会長が3日、函館市内で記者会見し、函館―仙台線を15日から運航再開するほかに、函館から国内空港に向けたチャーター便の運航を経営の柱に据えていく方針を明らかにした。

 同社が、早期の黒字化を目指すための再建計画案として示した。国内大手航空会社と、各空港の施設使用などに関する契約を締結したのを受けて発表した。

 料金は搭乗者数(最大18人)にかかわらず、函館からの運航時間1時間で1機20万円を目安としている。行き先は道内にとどまらず、本州にも乗り入れることができ、滑走路1100メートル以上をもつ空港が対象となる。発着地は函館に限らず、片道だけでも可能で、機材回送料金(片道運賃の半額)が別途掛かる。

 乗り合い便は1日2往復で搭乗率40―45%を目指し、年間1億8000万円以上の売り上げを見込む。チャーター便は、仙台便運休後から問い合わせがあり、すでに来年分の予約が数件入っているという。

 江村会長は「道内路線を無理に設けるよりも、ニーズに合わせた運航をした方が、函館の人にも喜ばれるのではないかと考えている」と述べた。(浜田孝輔)


◎イルミナシオン映画祭ミニガイドMAP作成、周辺の飲食店紹介
 函館山展望台クレモナホール(函館市元町19)、十字街シアター(同市末広町4)の2会場で7―9日開かれる「第14回函館港イルミナシオン映画祭2007」の実行委はこのほど、会場周辺の飲食店などを紹介した「ミニガイドMAP」を作成した。実行委では「映画とともに、MAPを活用して函館の街も楽しんでほしい」と呼び掛けている。

 同映画祭ではこれまでパンフレットや公式プログラムの中で、会場までのアクセスを示した地図を掲載していたが、周辺の飲食店の情報をまとめたMAPを作るのは初めて。10月に山形で行われた国際ドキュメンタリー映画祭会場で、情報MAPが配られているのを見た実行委の國立大喜さんの提案で製作がスタートした。

 A3判1枚の両面を使い、表面には映画祭のスケジュールと会場へのアクセスを掲載。裏面に「函館イルミナシオン的オススメ飲食店MAP」として、十字街地区を中心に33店舗の紹介を詰め込んだ。

 掲載店舗は「通常のガイドブックには載っていないような穴場の店にもこだわった」と國立さん。店の特徴はすべて1行にまとめ、「コメントが短いため店の実態が分かりにくい部分もあるが、逆に『どんな店なんだろう』と興味を持ってくれる効果に期待」と話す。

 700部発行し、期間中は両会場で無料配布する。國立さんは「初めての試みなので不備な点もあると思うが、利用者の声を聞き入れて、来年以降はさらに充実したMAP作りを心がけて生きたい」としている。

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 実行委は8日午後4時からクレモナホールで上映する1962年公開の函館ロケ作品「硝子のジュニー 野獣のように見えて」に60歳以上50人を招待する。希望者は往復はがきに氏名、住所、電話番号、生年月日を記入し、〒040―0053 函館市末広町4―19 函館港イルミナシオン映画祭実行委員会(函館市地域交流まちづくりセンター内)「硝子のジョニー 野獣のように見えて」係へ。4日締め切り(消印有効)。問い合わせは同事務局0138・22・1037。(小川俊之)



◎市がポータルサイト「函館タイケン観光案内所」開設
 函館市は、市内近郊の体験型観光を実施している施設や情報を集めたポータルサイト「函館タイケン観光案内所」を開設した。「はこだて湯の川温泉泊覧会(通称・オンパク)」のプログラムを一部通年化し、「オーダーメードオンパク」「いつでもオンパク」としてホームページ(HP)上で予約を受け付ける。市観光課は「オンパクメニューを通年化することで、函館観光の弱い部分である体験型観光の充実を図る」としている。(今井正一)

 オンパクは昨年秋から3回実施し、潜在的な体験型観光ニーズの掘り起こしを図っており、参加者からも「満足度は高い」として評価されている。ただ、開催期間が約2週間と短く、観光客の個別ニーズに対応するのが難しいことなどが課題となっていた。

 こうした状況を受け、「オーダーメードオンパク」は希望日の2週間前まで、「いつでもオンパク」は同1週間前までに申し込むことで、各自の希望に沿う形で対応できる態勢を取る。それぞれ、オンパクで人気を集めた「女将(おかみ)の日本舞踊」や「名人に教わる一緒にそば打ち体験」、「元町洋風建築探訪」など、日程次第で実施可能な計14種類のメニューを用意した。

 また、同サイトでは工芸やイカ釣り体験など、体験型観光を実施している団体、施設の情報も集約した。

 事業費はHP開発費などで約180万円。函館湯の川温泉旅館協同組合に委託した。

 問い合わせは同組合事務局TEL0138・59・3789。HPはhttp://hakodate-taiken.com