2007年12月7日(金)掲載

◎五稜郭公園、電飾キラキラ
 冬型の気圧配置が続いた6日、道南地方は昼ごろまで雪となったところが多く、函館海洋気象台によると、函館の積雪は午前5時25分に23センチを記録した。

 五稜郭公園はほぼ凍結した堀とともに白一色になっているが、夜になると堀に付けられた電飾が灯る「五稜星の夢(ほしのゆめ)」(実行委主催)が開かれ、雪が街やイルミネーションのさまざまな明かりに反射し、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 東京から観光で訪れた阿木亜由美さん(22)は「綿帽子をかぶったようなツツジがかわいい。寒さを我慢して見る価値あるきれいな景色」と話していた。

 同気象台によると、道南各地の11月から5日までの降雪量の合計はほとんどの地域で平年より多くなっており、函館は58センチで平年の40センチの約1・5倍、八雲町八雲は126センチに達し平年の47センチの約2・7倍、同熊石は86センチで平年の約2・9倍となっている。(山崎純一)


◎イルミナシオン映画祭きょう開幕
 「第14回函館港イルミナシオン映画祭2007」(実行委主催)が7日開幕する。9日まで函館山展望台クレモナホール(函館山山頂展望台内)と十字街シアター(函館市地域交流まちづくりセンター内)の2カ所で初上映(プレミア上映)となる9作品をはじめ、ショートフィルムを含む計29作品を公開。俳優の宍戸錠さん、根岸季衣さん、永作博美さん、映画監督の若松孝二さん、木村威夫さん、歌手のあがた森魚さんなど豪華なゲストも予定されており、3日間にわたり華やかな“映画の祭典”が繰り広げられる。(小川俊之)

 今回は日本を代表する美術、映画監督で、89歳を迎えた現在も現役で活躍を続ける木村威夫さんの特集を組む。木村さんが美術監督を務めたオール函館ロケ作品の「硝子のジョニー 野獣のようにみえて」(1962年)など4作品を上映。木村さん本人と同作品主演の宍戸さんをゲストとして迎える。

 また、このほどフランスで開かれたキノタヨ映画祭で最優秀観客賞に輝いた坪川拓史監督(長万部町出身、東京在住)の作品「アリア」が、7日午後2時からクレモナホールで上映される。上映後には坪川監督自身によるトークも予定されている。

 今回から新たな会場となった「十字街シアター」では、5作品のプレミア上映などに加え、インディーズ監督によるショートフィルム7作品を上映する「ショートフィルム・マシンガン」など独自の企画を展開する。

 7日午後5時35分からクレモナホールで行われる開会式では、過日発表された今年度のシナリオ大賞(ぐらんぷり・「引きこもる女たち」藤村享平さん)の表彰式を行うともに、2004年度のシナリオ大賞グランプリの「あたしが産卵する日」(栗原裕光作)を映画化し、来年春に全国ロードショーを予定している「うた魂(たま)♪」のダイジェスト版が上映される。

 入場料は次の通り。

 【クレモナホール1回券】大人1200円(当日1500円)学生1000円(同1200円)

 【一日券(両会場共通)】大人2500円(同3000円)学生2000円(同2500円)

 【3日間通し券(両会場共通)】大人5000円、学生3000円(前売のみ)

 また、7日午後9時からはFMいるか2F「カフェ・ペルラ」でオープニングパーティー「牛頭BAR(ゴズバー)」が開催される(料金2000円)。8日午後8時45分からは展望台レストラン・レガートでゲストを交えての「映画祭・公式パーティー」を開催(100名限定、料金3000円)。さらに公式パーティー終了後は、まちづくりセンター1Fで「牛頭BAR」が開かれる(料金2000円)。

 チケットはチケットピアやローソンチケットなどで扱う。問い合わせは同事務局TE:0138・22・1037。


◎「アリア」が仏映画祭で最優秀観客賞。長万部町出身の坪川監督インタビュー
 長万部町出身の映画監督、坪川拓史さん(35)=東京在住=の新作「アリア」が、フランスで11月に開かれた日本映画専門のキノタヨ映画祭で最優秀観客賞に輝いた。映画は昨年8月、函館市や長万部町内などでも撮影され、道南の風景が登場する。7日開幕の「第14回函館港イルミナシオン映画祭2007」での上映前の6日夜、函館入りした坪川監督に受賞の喜びなどを聞いた。

 坪川監督は2005年、自主制作映画「美式天然」でトリノ国際映画祭(イタリア)のグランプリと観客賞を獲得。長編2作目となる「アリア」は、妻を亡くしたピアノ調律師(塩野谷正幸)が、年老いた人形遣い(小松政夫)から頼まれた「あるピアノ」を探すロードムービーで、函館の喫茶店や長万部の旭浜などの風景が多く織り込まれている。

 同映画祭は仏での日本の芸術作品の普及などを目的に昨年から開催。今回は13作品が参加し、観客の投票から受賞作を決定した。グランプリは市川準監督の「あしたの私のつくり方」で、最優秀観客賞は準グランプリに当たる。

 「アリア」はことし1月の完成後、数々の海外の映画祭に参加しているが、受賞は初。坪川監督は「純粋に観客に選ばれて初受賞でき、うれしい」と喜び、「これまでの映画祭では泣きながら感想を話してくれたり、人種も国籍も関係なく評価してくれる人がいた。それぞれの感じ方で観て欲しい」と語った。

 イルミナシオン映画祭へのゲスト参加は昨年に続き2回目。「生まれ育った場所で撮影した映画が、子どものころ初めて映画に触れた函館の街の映画祭で上映され、不思議な思い」とし、「日本での上映はまだ未定。この機会に多くの人に足を運んで欲しい」と話した。 (新目七恵)


◎小さな親切作文コンクール、付属中2年の中村君が道内で唯一の入選
 第32回「小さな親切」作文コンクール(社団法人「小さな親切」運動本部主催)で、道教大附属函館中学校2年の中村賢明(けんめい)君が入選し、道内でただ1人の栄誉に輝いた。見知らぬ中年女性に親切にし、自分の気持ちが温かくなった経験、そこから学んだ思いやりの大切さを文章にまとめ評価された。6日に同校で同運動函館支部の小笠原孝支部長が「これからも小さな親切を実践し、広めてください」と賞状を伝達。中村君は「入選は奇跡。『おばさん』に感謝したい」と喜んでいる。(宮木佳奈美)

 同コンクールは小中学生を対象に、親切について考え、思いやりの大切さを感じてもらう狙いで毎年開催している。中村君は国語の授業の一環で応募。「おばさんとの出会い」と題し、ことし2月ごろ、部活動の帰りに50代の女性からバスの乗り方をたずねられたときの出来事を原稿用紙3枚にまとめた。

 女性に声を掛けられ、最初は「普段バスに乗らないので分かりません」と立ち去ってしまったものの、自分も同様に道が分からなくて助けられた経験があることを思い出す。引き返して近くの店舗で乗り方を聞いてあげると、とても感謝され、女性からお金を差し出しされた。

 中村君は「慌てて返したが、こんなに感謝されたことに何だかうれしくなった」と、温かい気持ちになって帰宅したという。

 「最近の僕は自分のことで精一杯で、人を思いやる気持ちが少しなくなっていた」。自身を振り返るきっかけを与えてくれた女性に感謝し、「他人に思いやりや優しい心を持ち続けていこうと思う」とつづっている。

 同コンクールは全国4万5384人から応募があり、中学の部3万669人のうち、入選は中村君を含む50人。


◎富岡男性殺人 長男の少年院送致決定
 函館市富岡町で昨年10月、母親(46)と共謀して同居する無職の男性(当時41)を殺害し、遺体を自宅近くの空き地に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われたものの、札幌高裁が1審判決を破棄、函館家裁に移送された母親の長男(17)の審判が6日、同家裁であった。板橋愛子裁判官は「刑罰より周囲からの援助や指導が必要」として、長男を中等少年院に送致する保護処分の決定を言い渡した。

 板橋裁判官は「被害者には極めて重大な落ち度が認められる上、長男の成育環境などが犯行動機に影響を及ぼしたことも否定できない」と指摘し、「長男を少年院に収容して、長期間の矯正教育を施すことが相当である」とした。

 11月中旬に開かれた控訴審判決で、札幌高裁は長男について「暴力や虐待が存在する環境で育ったため、判断能力の未熟さが強く現れている」と認定。「刑罰を科すよりも、保護処分で健全育成を図るべきだ」とし、1審の函館地裁判決(懲役2年6月以上3年6月以下の不定期刑)を破棄し、再び同家裁での審理を命じる異例の決定を下していた。母親については既に懲役5年の実刑が確定している。

 決定などによると、2人は度重なる男性からの家庭内暴力に耐えかねて殺害を決意。昨年10月19日未明、自宅で睡眠薬を飲ませて眠らせた男性の胸を小刀で刺し、ネックレスなどで首を絞めて殺害した。その後、遺体を近くの空き地に遺棄した。

 審判終了後、記者会見した長男の付添人の弁護士は「公判を進める中で、DV(ドメスティックバイオレンス)の本質が裁判所に認知され、刑事罰が回避されたことは評価できる。ただ、保護処分が2年以上の『相当長期』に及ぶという判断は残念だ」と述べた。

 長男の減刑を求める署名活動を展開してきたNPO法人(特定非営利活動法人)ウイメンズネット函館の古川満寿子理事長は「今回のように追い込まれたDV被害者が加害者にならないために、より多くの人にDVの問題を理解してもらう必要がある」と話した。


◎12日のサミット外国人記者視察ツアーで松前神楽を披露
 【福島】来年7月に開催される北海道洞爺湖サミットに向け、在京外国人記者にサミット会場の視察と、本道の自然や食、文化の魅力を感じてもらおうという「プレスツアー」(同サミット道民会議主催)が12日、渡島、檜山管内で行われる。函館市内のホテルでは文化芸能発表として、福島町の若者たちが伝統を継承する「松前神楽」が披露されることが6日決まった。同神楽保存会の常磐井武宮会長(61)は「地元の子どもや青年らが頑張る姿勢が評価されたと思う。小さなまちで300年余続く神事を全世界に広めたい」としている。

 渡島支庁から町役場を通じて、同保存会に出演要請があった。松前神楽の伝承活動を続ける地域は福島のほかにもあるが、他地域は神職が演技者を務めるのに対し、福島は小中学生、高校生、20代の若者らが中心となっているのが特徴だ。

 最年少の福島小3年、中塚隆太朗君(9)は松前神楽が大好きで、自宅では発砲スチロールで神楽の頭をつくり、緑色の風呂敷をつけて舞い遊ぶほど。父親の徹朗さん(49)と各種イベントに足を運ぶうちに、その魅力に引きこまれた。

 隆太朗君は11月から常磐井会長の下、本格的に練習を開始。常磐井会長は「楽しみながら真剣に取り組んでいるから振り付けの覚えも早い。とにかく練習熱心」と目を細める。

 他のメンバーの田中真実さん(13)と笹井奈保さん(14)、乳井英一さん(24)、小鹿拓磨さん(23)、佐藤拓海さん(23)、北野時雄さん(75)も、新たな後継者の登場を歓迎。「当日は、皆で楽しみながら伝統の松前神楽を披露したい」と意気込み、「これがきっかけで、来年のサミット会場でも松前神楽を披露できればうれしい」と期待を膨らませている。 (田中陽介)