2007年12月9日(日)掲載

◎江差追分を世界に発信…洞爺湖サミットに向け12日に外国人記者団ツアー
 【江差】東京駐在の外国人記者に本道の魅力をPRする「北海道洞爺湖サミットプレスツアー」の一行が12日、渡島、桧山管内を訪れるが、江差町では保育園児と小中学生の総勢27人が“民謡の王様”とされる「江差追分」の合唱で記者団を歓迎、その魅力を世界に発信しようと張り切っている。8日には江差追分会館で、子供たちが真剣な表情でリハーサルに臨んだ。(松浦 純)

 江差追分の合唱は12日、ホテルニューえさしで行われる記者団の歓迎会で披露する。南が丘小学校の1―4年生8人、江差中学校の1、2年生4人に、11月のお遊戯会で江差追分に初挑戦した町立五勝手保育園の園児15人を加えた計28人が出演する。独特の合いの手を入れる「ソイがけ」は、第7回江差追分少年全国大会優勝者の中島琴美さん(江差中2年)が務める。

 小中学生は町内で江差追分を習っている子供たちが中心。同保育園では合唱への参加が決まってから、ほぼ毎日のように特訓に励んでいる。

 9月の第45回記念江差追分全国大会では、記念アトラクションとして行われた子供たち91人の江差追分大合唱が大好評だった。プレスツアーに合わせて、江差追分の魅力を伝える“大使”として、大会で活躍した子供たちに白羽の矢が立った。

 8日のハーサルは江差追分会の杉山由夫師匠が指導を担当。同会館のステージに並んだ子供たちは、尺八の音色に合わせて「かもめの鳴く声にふと目を覚まし―」で始まる、江差追分の“本唄”を何度も練習。会場を訪れた保護者が熱心に見守った。

 杉山師匠は「出来栄えはまずます。本番も大丈夫でしょう」と太鼓判を押す。町産業振興課の小田島訓参事も「子供たちの歌声を通じて江差追分を世界に向けてPRすることができれば」と意気込む。プレスツアー当日は、第29回江差追分全国大会優勝者の木村香澄さんの江差追分、道指定無形民俗文化財の「江差もちつきばやし」も披露される予定。


◎宍戸錠さんら撮影秘話を披露…イルミナシオン映画祭
 第14回函館港イルミナシオン映画祭2007(実行委主催)2日目の8日、函館山展望台クレモナホール(函館山山頂展望台内)と十字街シアター(函館市地域交流まちづくりセンター内)の2カ所で合わせて13作品が上映された。このうち函館ロケ作品の「硝子のジョニー 野獣のように見えて」上映後には、主演の宍戸錠さんと美術監督の木村威夫さんが来場し、撮影の裏話などを披露した。

 「硝子のジョニー」は1962年のモノクロ作品で、当時の函館競輪場や函館駅前などの様子がふんだんに画面に登場し、観客を沸かせた。トークゲストの宍戸さんは「函館での撮影は、この作品の数年前の『ギターを持った渡り鳥』以来だったが、この作品ではこれまでの『エースのジョー』のタフで格好良いイメージとは違う、新たな宍戸錠の一面を出したかった」と当時の心境を語った。

 また、12月6日が宍戸さんの誕生日だったことから、トークの途中でバースデーケーキが登場。会場全体からバースデーソングで祝福されると、宍戸さんは「最高の誕生日になりました」と笑顔を見せていた。

 この後、午後8時45分から行われた映画祭・公式パーティーでは、ゲスト参加の俳優や監督らも多数駆け付け、一般参加者と映画談義に花を咲かせていた。

 最終日の9日はクロージング・プレミア上映となる「実録・連合赤軍〜あさま山荘への道程(みち)」(若松孝二監督)など両会場で10作品が上映される。(小川俊之)


◎2年連続3000人減…函館市の人口
 函館市がまとめた11月末現在の住民基本台帳によると、外国人登録を除く人口は29万316人で、1月からの累計で3163人減少したことが明らかになった。昨年1年間に減った3559人と比べ、ペースはやや緩やかだが、2年連続で減少数が3000人を超えたことになる。ことしは道外への流出傾向が強く、このペースで推移すると来年1月末にも29万人を割り込む可能性が出てきた。

 市の人口は、合併直後の2004年12月は29万9612人だったが、05年末は29万7038人、06年末は29万3479人と減少が続いている。

 転出入の差で割り出す「社会増減」は1月から11月末までに、転入者1万188人(前年同期1万201人)、転出者1万2511人(同1万2644人)で、計2323人(同2443人)の減。転入者数が転出者数を上回った月は4月と10月の2カ月だけだった。

 転出入先別の実態をみると、近隣2市1町間では函館市が295人の減少となり、昨年1年間の525人減と比べ、圏域への流出数は収まりつつある。逆に、渡島管外へは1028人、道外へは1438人で、昨年より増加傾向だ。

 一方、出生と死亡数から算出する「自然増減」は、出生数1792人(同1755人)、死亡数2868人(同2962人)で計1076人(同1207人)の減少。1995年以降、自然減の状態が続いているが、昨年よりわずかに出生数は上向いている。戸籍の回復など、その他の増減では計236人増だった。

 市企画部は「道内では札幌を中心とした石狩支庁管内、道外は首都圏への転出が目立つ」とし、自動車関連産業が集積する愛知県への転出も多いことから、雇用機会を求めて函館を離れる傾向も強まっていると分析している。

 少子高齢化の改善が見込めない状況での人口流出は、地域の活力低下につながりかねないだけに、雇用環境の改善に向け、近隣市町と一層の連携を図り、函館圏域として企業誘致などに取り組む必要がありそうだ。(今井正一)


◎“ユニークな学び舎”卒業…公開講座「函館学」
 本年度の合同公開講座「函館学」(函館市高等教育機関連携推進協議会、同市主催)の第10回講座と修了式が8日、市内戸倉町の函館高専で開かれ、全日程を終えた。10回の講座で延べ1300人余が受講。7回以上出席した79人に修了証が授与された。

 この日の講座では、同高専の韮沢憲吉教授が「函館のまちで近代化遺産を探そう」と題して講演。市内桔梗―七飯町峠下間の国道5号沿いの赤松並木など、土木学会が選奨した市内の土木遺産や、武田斐三郎、廣井勇、小野基樹といった江戸末期から大正にかけて活躍した土木技術者の功績を紹介した。

 函館山に残される砲台跡についても触れ、「軍事遺産でありながら土木遺産としての価値もある。観光資源しての活用も可能では」とし、「土木遺産は社会基盤の生成、発展の過程を伝え、人間環境の進むべき方向を示してくれる」と意義を唱えた。

 講座終了後、修了式が行われ、鹿部町の清水智夫さん(60)らに同協議会の長谷川淳副会長(同高専校長)から修了証が手渡された。清水さんは「どの講座もユニークで勉強になった」と話していた。

 同公開講座は大学や同高専など市内の高等教育機関が連携して運営。9月8日から「湯の川温泉」や「路面電車」「都市景観」など、函館に関わるさまざまなテーマで講座を開講し、大学の教授や市職員らが講師を務めた。(鈴木 潤)


◎観光客数 前年比2%減…渡島4−9月
 渡島支庁は8日までに、本年度上半期(4―9月)の管内観光客入り込み状況をまとめた。総数(延べ人数)は前年同期比2%減の約694万人で、調査を始めた1997年度以降では2番目に少なかった。同支庁はゴールデンウイークや夏休み期間を中心とした道外客の落ち込みなどが主な要因とし、「道外へのPRに力を入れていく必要がある」としている。

 観光客の内訳は道内客363万人(前年同期比0・5%減)、道外客331万人(同3・6%減)。日帰り客471万人(同1・7%減)、宿泊客218万人(同4・8%減)。

 市町別では、管内11市町のうち函館市をはじめ7市町が減少。全体の約半数を占める函館市は、国内航空線やJR津軽海峡線の利用者減などで同2・6%減の322万人。大沼公園など観光地がある七飯町は同5・8%減の116万人。知内町は21・0%減と管内で最も減少率が大きく、7万人にとどまった。福島町は6万人(同8・6%減)、鹿部町は18万人(同1・0%減)、森町は52万人(同1・7%減)、長万部町は44万人(同2・9%減)。

 一方、北斗市は温泉施設利用者数の増加や夏祭りの開催期間延長などで、同4・6%増の47万人。このほか増加は松前町(46万人、同4・2%増)、八雲町(33万人、同5・5%増)、木古内町(3万人、同31・5%増)。

 同支庁商工労働観光課では「昨年開業した五稜郭タワーなど主要観光施設の開業効果が一段落したことも影響したのでは」と分析している。外国人宿泊者数は同2・0%減の約4万4000人。台湾からの国際チャーター便の乗り入れ減などが影響した。(新目七恵)