2007年1月10日(水)掲載

◎福島町長選、村田氏が無投票再選
 【福島】任期満了に伴う福島町長選は9日告示され、午後5時の締め切り時点で、無所属で現職の村田駿氏(61)以外に立候補の届け出がなく、無投票再選が決まった。村田氏は、前回に続いて2期連続の無投票当選。

 町福島にある村田氏の後援会事務所には、同5時すぎに当選の一報が入り、詰め掛けた大勢の支持者から大きな拍手が起こった。

 村田氏は「花束が重く、ずっしりと感じる」と責任を痛感した様子で「これからの(町の)経済状態は非常に厳しい」と、周辺自治体との連携や、特に松前町と観光面での協力態勢を整える考えを強調。住民と協働のまちづくりを進めるため、「新年度には町づくり基本条例を制定したい」と2期目に向けての抱負を語った。

 村田氏は同町出身で、1973年に同町役場入り。水産商工課長や総務課長などを経て2003年に初当選。05年には官民一体で町財政を建て直す「福島町自立プラン」を策定し、本年度の予算に反映させた。(小泉まや)


◎「函館市つどいの広場」利用好調、開設5カ月で2000人超
 函館市が市内の函館医療保育専門学校(柏木町1、水落敏博校長)内に開設した、子育て支援のための「函館市つどいの広場」が人気を集めている。母親同士が情報交換したり、子育て経験のある保育士に育児相談したりできる環境が好評だ。昨年7月中旬の開設から5カ月余りで来場した親子は延べ2000人を超す。15日からは同校講師陣による初の子育て講座を企画するなど、育児不安の軽減、ストレス解消の場としての役割が高まっている。(宮木佳奈美)

 市の委託を受けて同校が運営。ゼロ歳から就学前の子供と親が利用できる。校内1階の音楽室を改装した約230平方?の部屋に、遊具や縫いぐるみ、絵本などがあり、保育士2人が常駐。保育士や看護師を養成する同校講師のノウハウを生かし、保育士を通じてアドバイスも得られる。

 従来、育児支援の役割を担ってきた「子育てサロン」や「子育てサポート教室」は利用できる時間や日にちが限定される。一方、広場は月曜から金曜の午前10時から午後3時まで、いつでも好きな時間に来られるのが特徴。

 昨年7月21日の開設からの利用者数(延べ人数)は、同月236人、8月357人、9月503人、10月585人、11月398人、12月311人の計2390人。子供は1歳児が最も多く655人、次いで2歳児246人、ゼロ歳児226人と続く。1日当たりでは平均16人、最多で33人。

 同校は「立地条件や交通の便がいいので、市内各地から訪れる。初めてでも抵抗なく交流できる場が求められていたのでは」とみる。

 開設から5カ月余りで、広場が橋渡し役となり、一部では母親同士が家を行き来する仲に。また「おむつが取れないと幼稚園に入れないのか」など、子供の健康や発育の状態について相談を受け、同校講師にアドバイスを仰いだり、保健所など他の関係機関につないだりした。

 同校は「子育ての悩みを抱える母親はたくさんいる。話さなくてもSOSのサインに気づき、いかに悩みを引き出すかが重要」と広場の役割を指摘。他の関係機関との連携を密にした支援体制が必要とし、「広場が全市的に広がり、他の地域に開設されたとき、ここがモデルになれるよう心がけたい」と話している。

 15日から18日までの4日間、水落校長をはじめ同校講師陣による「第1回子育て講座」を開く。時間は午前11時から同50分まで。筆記用具を持参。受講中、子供は広場で預かる。申し込みはつどいの広場TEL090・6697・5078。

 講座名と講師は次の通り。

 ▽15日=「母と子のほほえみ」(水落校長)▽16日=「たのしく子育て」(滝本貴・保育科教員)▽17日=「乳児の栄養」(舘山圭子・看護科長)・「小児の感染症」(西川美恵・看護科教員)▽18日=「母と子の健口(けんこう)」(山村万里子・歯科衛生士科長)


◎06年道警函本管内、110番受理件数減少
 10日の「110番の日」を前に、道警函館方面本部がまとめた2006年の管内110番受理件数によると、総数は2万5557件で、過去5年間で最多だった05年を1147件下回った。12月が少雪だったため主に交通事故関係の通報が少なく、全体の件数減少につながった。ただ、苦情・相談の件数は増加傾向にあり、受理件数全体の約2割を占めた。同本部は「緊急性のない内容は、警察相談専用電話を利用するなど、正しく適切な110番通報を」(地域課)と呼び掛けている。

 通報内容の内訳は、交通事故の通報など交通関係が7618件で最多だったが、05年より179件減少。次に多かった苦情・相談は7309件と05年を708件上回って7000件を突破。次いで事件などに関する情報で、前年より295件少ない4577件だった。

 目立って減ったのは12月の受理件数。05年は3718件だったが、06年は851件少ない2867件。このうち、交通関係は05年の1258件に対して703件で555件も減少。05年は大雪で事故通報や違法駐車などの苦情が多かったが、昨年は雪が少なく通報全体が減った。

 また、携帯電話からの通報は2万1056件。05年は2万2076件で件数自体は1020件減少したが、全体の受理件数に占める割合は05、06年とも約6割と大きな増減はなかった。

 05年3月から、110番通報の受け付けは、各署ごとから本部一括受信に変更。「相談では署の加入電話に直接電話する人が増え、110番件数自体は減少している」(同課)。だが、依然急を要しない通報内容も多いという。

 同課は「通報件数は24時間受け付けの110番通報が広く浸透していることの表れ」としながら「警察業務以外の相談も多い」と指摘。「他の相談機関を利用するなど、緊急性が高い通報の妨げにならないようにしてほしい」と話している。

 「110番の日」に合わせ、同本部、函館中央、西両署など、管内警察署は10日、中高生による「1日警察官」や街頭啓発などを実施し、「正しい110番通報」をPRする。(原山知寿子)


◎仕事始め、井上市長が訓示
 道南の各自治体は9日、一斉に仕事始めを迎えた。このうち、函館市役所では、井上博司市長が幹部職員250人を前に訓示した。地方自治体を取り巻く状況や厳しい経済情勢など、市の直面する課題に触れ「市長、幹部だけが頑張ってもできるものではない。職員、市役所全体が一丸となって進めなくては成し得ない課題」と、行財政改革の一層の推進に向けた決意を述べた。

 さらに「高度、多様化する市民ニーズに的確に対応するため、行財政基盤の強化が求められている」とし、新幹線時代を見据えたまちづくりや、観光に頼らない「国際・水産海洋都市構想」の取り組みなどを説明。

 財政状況については、夕張市の財政破たん以後、全国的に住民の自治体運営に対する関心が高まっているとし、「限られた財源で効率良い行政運営をするかが大きな課題」と話した。また、職員に対しては「一人ひとりがアイデアを出し、市の新たな課題とすることが大切。職員自らが市の状況を認識してもらいたい」と意識改革を求めた。(今井正一)


◎低気圧、保安林3500本倒れる
 7日に道南地方を襲った低気圧で、函館市亀田中野町の水源涵養(かんよう)保安林のスギとトドマツ約3500本が倒れる被害があった。市水道局が管理する土地で、場所は新中野ダムの手前約1キロ。一時は道道赤川函館線を倒木が覆ったが、沿道部分は水道局が撤去した。土砂流出の危険性はないという。被害額は調査中。

 水道局によると、被害があったのは新中野ダムと笹流ダムの水道水源域約2848ヘクタールのうち、同局が所有・管理する2・56ヘクタール。樹齢44年の人工林で、直径20―40センチ、高さ約20メートルという。

 同保安林は水を蓄え土砂流出を防ぐ機能を持つ。ただ、水道水源域全体の中での被害面積は小さいことから、大きな影響はないという。今後、残りの倒木処理を進めていく。

 強風が吹き荒れた7日午後4時半ごろから倒れ始め、倒木で電線が切れるなどし、赤川地区の一部で停電となった。

 倒木被害は井上博司市長が9日の定例会見で明らかにした。市長は「風倒木の処理や復旧など、どう回復させるかを総合的に検討中」と述べた。


◎企画・函館で歩む(4) 石川真理愛さん
 口ずさんだメロディーを曲にし、後から詞をつけて歌にする。函館市北美原の主婦石川真理愛さん(55)は、2年ほど前から音楽活動を開始。昨年は演歌「夜明けまで」のCDを自主制作した。「CD制作はファーストステップ。もっと大きな夢に向かっています」。ことしの飛躍に胸を膨らませている。

 福島町生まれ。函館に移り住んで14年目。音楽は子供のころから好きだったが、楽器演奏などの活動はしていなかった。しかし、18年前に何げなく口ずさんだメロディーをつなぎ合わせ、処女作「夜景の街で逢いたい」を作った。曲は大好きな函館をイメージ。「いつかは音楽活動をしたい」と夢を抱いた。

 男の子3人に恵まれたが、2年半前、夫哲彌さんが59歳で他界。それから1年。子供も成長しており、好きなことをやってみようと、音楽活動に取り組み始めた。

 自宅付近などでウオーキングしていると、自然にメロディーが浮かぶという。口ずさんだものを心にしまっておき、前後にさびをつけ、詩を考えて歌を完成させる。

 メロディーはあるが、譜面づくりは勉強中。現在、習っているピアノの先生にメロディーを聞かせて譜面にしてもらう。さらに札幌在往の編曲家が曲に磨きをかける。「ここまでこれたのも皆が助けてくれたおかげ」と感謝しきり。

 音楽活動を開始して1年、約10曲が出来上がった。その中から「夜明けまで」のCD化を決めた。男性に別れを告げられた女性が、その男性と一緒に居た間の出来事に感謝し、前向きに生きようとする気持ちを歌う。メロディーは、散歩で歩く北の大地をイメージさせ、耳に優しく聞きやすい。地元のラジオ番組でも紹介され、反響があったという。

 さまざまな出会いを通じて成長していることを忘れない。「目標に向かって前進させてもらっている空気を感じる」。夢は「大好きな吉幾三さんに歌ってもらえる曲を作ること」。売り込みなど、並み大抵でないことはよく分かっている。それでも「夢が大きい分だけ懸命に努力できる」と前向きだ。「もし会えたら…。その時の心の準備はしています」と乙女心をのぞかせる。

 最近は曲づくりに励み、さまざまなコンテストに応募している。聞いてくれる人にはCDをプレゼントする。「函館の小さな街の中での小さな活動でも、人とのつながりで大きくなることがある。何を始めるにも年齢は関係ない。同世代にも勇気を与えられたら」と笑みがこぼれる。