2007年1月15日(月)掲載

◎蓴菜沼でワカサギ釣りにぎわう
 【七飯】冬休み最後の日曜日となった14日、各地のレジャー施設は大勢の親子連れでにぎわった。オープンが遅れていた七飯町西大沼の蓴菜(じゅんさい)沼のワカサギ釣り場でも、子供から大人までが道南の冬の風物詩を楽しんでいた。

 同沼のワカサギ釣りは2000年の開業以来、毎年4日にオープンしていたが、ことしは暖冬の影響で氷が固まりきらず、13日にようやく営業開始。初日から開幕を待ちわびた客が訪れ、13日は約80人、14日は約250人が訪れた。

 運営する大沼漁協の組合員は「正月には氷はまったく無く、暖冬の予報ばかりで営業できないかと心配していた。ようやく子供の歓声が聞かれるようになった」と安どの表情をみせていた。

 北斗市から親と共に訪れた小学生のグループは「暖かい方が好きだけど、雪遊びやワカサギ釣りができず退屈だった」と話し、じっと銀鱗が掛かるのを待っていた。

 一方、函館市金堀町10の函館市民スケート場でも、親子で歓声を上げる姿が多く見られた。同スケート場によると、13日は子供のグループが多く、来場者は1273人。14日は親子連れの姿が目立ち、午後3時半までに1400人が訪れたという。(山崎純一、田中陽介)


◎企画・「函館発オンリーワン」ガゴメ研究の今(下)未利用海藻
 都市エリア発展型でのテーマのひとつに「第2、第3のガゴメ(トロロコンブの仲間)」の発掘がある。ガゴメに限らず未利用海藻に着目し、有効成分の抽出や機能性成分の精製メカニズムの解明などどを進め、海の緑化や資源回復を目指している。「函館には海藻だけでもまだまだ未利用資源が眠っている」と北大大学院水産科学研究院の安井助教授は話す。コンブの仲間は世界に約110種。そのうち20数種から30種類は北海道沿岸にあり、函館近海では約10種が生息するという。ガゴメの生息域が近海に限られるのも、道南海域が豊かであり、海藻の宝庫であることの証しだ。

 近海にはマツモ、カヤモノリ、ダルスなど、未利用、消費者に知れ渡っていない海藻が数多く存在する。中でも注目されるのがウガノモクだ。ガゴメのように近海固有の海藻ではないが、その名付け親は、函館商業出身の海藻学研究の草分け的存在である遠藤吉三郎博士(1874―1921年)。学名を「シストセーラ・ハコダテンシス」といい、広く大森浜一体を指した「宇賀浦」から名付けられた。まさに、函館の名を冠した未来のエリート候補だ。

 味はヒジキに近く、食べることも可能だが、ほとんど利用されていない。茎から伸びた小枝に気泡が3―6個連結し、海中では浮き立つ状態になる。藻体は大きいもので3メートルほどに伸び、5―7月に成熟期を迎える。

 安井助教授は「ウガノモクはフコイダンのほか、フコキサンチンなどの海藻油も豊か。邪魔な海藻というかもしれないが、ハタハタの産卵場になるなど、豊かな海をつくるのに欠かせない存在」と話す。

 未利用海藻の発掘は、機能性成分の効果的抽出のほか、海藻を餌とするアワビやウニなど魚介類の養殖を一体として考え、生物生産システムを目指す「連鎖型マリンガーデンシステム」の構築が狙いだ。

 函館には、水産研究に特化した北大大学院水産科学研究院をはじめとする各高等学術機関、研究機関としての道立工業技術センターがそろい、さらに民間のものづくりの技術、マコンブ漁で鍛えた一流の漁師の腕など、水産・海洋都市としてのオンリーワン素材が集積している。

 各機関が進める研究の中で「海藻」だけに絞っても、健康増進、医療への応用、新たな食生活、新産業創出までさまざまな可能性を秘めている。個々の研究成果が漁業者に還元され、浜が活気づき、「海」をキーワードにした函館市の発展につながることが期待されている。(今井正一)


◎台湾チャーター便運航実績、下半期の利用伸び悩む
 2006年の函館空港と台湾を結ぶ国際チャーター便利用実績(1―12月、速報値)がまとまった。利用便数は前年比22・1%減の649便、利用客数は同25・8%減の9万4620人だった。1―6月は好調を維持していたが、下半期は中華航空が7月に、台北と新千歳空港を結ぶ定期航空路を開設した影響などから利用が伸び悩んだ。

 06年は中華航空、エバー航空、マンダリン航空の3社が運航。主に台北、高雄を結ぶ路線がある。函館便は04年に大幅な伸びを見せ、05年には過去最高の約12万7589人が利用。同地域から、通年で観光客が訪れるようになった。

 上半期の1―6月は、便数が同19・7%増の407便、利用客数が同17・4%増の5万8206人。4月を除き、前年同期を上回るペースで推移した。しかし、下半期の7―12月は、便数が同50・9%減の242便、客数が同53・3%減の3万6414人と振るわなかった。

 ただ、来月には、台湾のエバー航空が参入し、2、3月の2カ月で計57便の運航を予定。また、3月には定期航路開設も視野にマンダリン航空がテストフライトを予定するなど、巻き返しの明るい材料もある。

 昨年末には中国広東省からの観光ツアー客も訪れており、定期便が就航した韓国と合わせて、今後、東アジア地域からの需要が多くなると予測されている。

 市観光課では「民間でも、中国語や韓国語の表記を増やすなど、大きな広がりはないかも知れないが、国際チャーター便の運航で市全体に国際化対応への芽が確実に生まれている」と分析。さらに、「国内外にこだわらず、観光客の受け入れについて、ホスピタリティーを高めることが大切。今後も地道な努力を精力的に行っていきたい」としている。(今井正一)


◎いじめ撲滅願い大川中全生徒がつづった心の詩発刊
 「光は目の前にあるんだ。家族、友だちという光。」(1年・鳴海佳基「光りのガード」一部抜粋)―。函館大川中学校(大西正光校長、生徒232人)はこのほど、全校生徒が「命の大切さ」をテーマにつづった心の詩を冊子にまとめた。生徒一人ひとりがテーマを真剣に受け止め、感受性豊かな詩ばかり。同校は市内全中学校や地域にも配布し、いじめ撲滅を訴えている。

 いじめによる児童・生徒の自殺が相次ぐ中、同校生徒会(小林怜藍会長)が中心となり企画した。

 詩を選んだのは、思いついた単語を並べるだけで作成でき、本当の「心」を詩に反映できると考えたから。学級代表が生徒一人ひとりに優しさや思いやり、温かくなるような詩を作ってほしいと提案し、授業内で全員が取り組んだ。

 出来上った詩約240編は1冊にまとめて製本。各クラス内で読み合ったほか、約2週間、校内放送で1―2編ずつ紹介された。

 冊子はA4判36ページ。200部を印刷し、市内全中学校、町会、民生児童委員にも配布された。詩集を読んだ三宅純子函館人権擁護委員連合会長は「いじめられていた生徒は心が癒やされたり、気持ちが軽くなったり、いじめたことがある生徒は反省の気持ちを持つ良い取り組み」と賛辞も送った。

 小林会長は「いじめは実際に起こっていること。この機会に、多くの人に見てもらいたい。大川の発信が全市に広がってほしい」と話している。

 「(中略)あなたはジグソーパズルなんだ 誰かがかけたら完成しない

 助け合って生きていく、強くなる みんなで大きくなっていく、支えあう 誰かの毎日の『ありがとう』を伝えるために 今日も生きている。」(3年・鎌田麻衣「生きる」)―。 (笠原郁実)


◎こころの病自助グループ「ぶどうの木」設立
 こころの病を持つ人たちやその支援者が、回復や社会復帰に向けての情報交換を試みる自助グループ「ぶどうの木」がこのほど、函館市内に立ち上がった。自らうつ病患者である吉越義広代表(25)は「こころの病は現代に生きる人たちは誰もが患う可能性がある。一人でも多くの人たちに実態を知ってもらうための幅広いネットワーク作りを目指したい」と話している。

 吉越さんは函館市内の専門学校で介護福祉士の資格を習得後、東京の福祉施設で社会福祉主事として勤務した。しかし、仕事の激務に加え、職場内で受けた言葉の暴力などによってうつ病となり、一時は常に自殺を考えるほどまで悪化したという。

 函館に戻り「こころの病」ついて書かれた書物をひも解くうちに「この病は決して一部の人間だけの問題ではない。一人でも多くの人たちに情報を伝えていかなければ」と考え、「ぶどうの木」事務局を自ら立ち上げた。

 吉越さんは「ぶどうの木」の最初の活動として、自らもうつ病を患いながらアメリカで心理学を学び、全国各地で心の病に対する講座などを開催している心理学者の阿部ゆかり氏(中標津町在住)に協力を要請。阿部氏は「ぶどうの木」の活動に賛同し、函館での心理学講座の開催を行うことを約束してくれた。

 吉越さんは「講座は全7回の予定で年内には開催したいが、そのためにはボランティアが必要。こころの病に対して理解のある人の協力を願いたい」と訴える。

 また、吉越さんは「ぶどうの木」の活動内容に関するニュースレターも作成。「全国にはこころの病に関する自助グループは数多くあるが、函館地域は非常に少ない。一人でも多くの人たちが活動内容を理解し、地域全体の活性化につながってくれれば」と期待する。

 「ぶどうの木」事務局の活動内容はホームページに掲載している(http://blogs.yahoo.co.jp/yoshikoshi1566/MYBLOG/yblog.html)。

 「ぶどうの木」の活動に関する問い合わせは吉越さんTEL0138・57・1537(FAX兼用)まで。(小川俊之)