2007年1月18日(木)掲載

◎函館公園の観覧車は現役”国内最古”
 函館公園「こどものくに」(函館市青柳町17)の観覧車が、国内で稼働する現役の観覧車として最古であることが、観覧車研究家福井優子氏(59)=東京都在住=の調査で判明した。関係者や当時の新聞報道などを基に全国の情報を精査。同観覧車は1950(昭和25)年に七飯村(当時)の大沼湖畔東大島に設置され、65年に現在地に移設されたことを特定した。福井氏は「構造がシンプルで部品交換も簡単だったと思うが、現存するのは管理者のおかげ。古い物をいつまでも大切に使うことは素晴らしい」と話している。

 福井氏は「観覧車通信」東京支局長の肩書きを持ち、「観覧車物語」(平凡社、2005年)の執筆に当たり、国内初の観覧車を調べた。同書では、従前の1907年説を覆し、「06年の大阪博覧会」で設置されたものが国内初の観覧車であると紹介。刊行後、読者からの反響もあり、現役最古の追跡を始めた。

 全国約200基の観覧車をリストアップし、設置年が不明のもの、小型で古いものを中心に調査を開始。函館公園も候補に挙がったが、開園時に設置記録がなく保留とした。その後、兵庫県姫路市や京都市など各地で調べたが、いずれも最古ではなかった。

 函館を再検証すると、大沼からの移設説が浮上。七飯町での聞き取りや、渡島支庁などで資料を集めたが確証は得られなかった。同時に国立国会図書館で「函館新聞」(当時)のマイクロフィルムを調べ、50年8月5日付の同紙に「空中遊覧車」の記述を発見。製造年が判明した。

 福井氏は「現役最古については資料が少なく苦労した。それらしき観覧車が分かると現地に足を運んだり、マイクロフィルムで当時の新聞をチェックしたりと大変でした」と振り返る。

 こどものくにを管理運営する北海興業(加藤絋捷社長)によると、いすの部分は部品がないため手作りで替えてあるが、メンテナンス状態は良好。過去に停電で運転できなかったことがあるが、故障はないという。

 同社の熊谷有未係長(30)は「古い古いと言われ続けていたが、最古というお墨付きでレトロを売りにできる。幼児ら小さな子が楽しめる場所だが、観覧車は大人でも乗れます」と話している。(佐々木司、今井正一)

 函館公園「こどものくに」 1954年7月に北洋漁業再開を記念し、同公園と五稜郭公園で開かれた北洋博覧会で使用された遊具を活用して56年5月に現在地で開園。園内のメリーゴーラウンドや飛行塔は当時から稼働している。観覧車は、直径10メートル、高さ12メートル。箱形でなく「長いす式」であるのが特徴で、2人乗りのベンチが8台ある。製造業者は不明だが、アメリカ製の移動式観覧車には同タイプのものがあるという。


◎七五郎沢廃棄物最終処分場、4月1日から廃発泡スチロールの搬入禁止
 函館市は4月1日から、産業廃棄物として製造・流通の過程で排出される包装材や断熱材などの廃発泡スチロールについて、七五郎沢廃棄物最終処分場(東山町150)への搬入を禁止する。

 民間処理施設へ持ち込まれるようになり、同処分場の埋め立て量が削減される。当初見込んだ計画埋め立て期間を確保でき、2016年度まで使用できる見通し。さらに長く使用できるよう、廃発泡スチロール以外の産廃の廃プラスチック類についても10月からの搬入禁止に向けて検討する方針。

 同処分場は産廃のうち、同市内・近郊に処理施設がない品目を受け入れるが、産廃の搬入量増に伴い、計画埋め立て期間の確保が課題だった。

 容量がかさばる廃発泡スチロールなどの廃プラスチック類は、民間処理施設の稼働状況を見極めながら、搬入禁止を検討してきた。このうち廃発泡スチロールは年間100トン程度搬入されるが、これを処理できる民間施設が4月までに2カ所稼働するため、先行して搬入禁止とする。市環境部によると、年間で約20%の埋め立て量削減が見込めるという。

 同部は年間5700トン搬入される廃発泡スチロール以外の廃プラスチック類も搬入禁止を検討し、「16年度以降も(同処分場を)使用できるようにしたい」としている。

 同処分場では木くずやがれき類などの民間処理施設の増加を受け、05年度から一部産廃の搬入を禁止。併せて家庭ごみの分別変更も実施した結果、05年度の搬入量は前年より57%減少した。(宮木佳奈美)


◎函館市内の小中学校などで3学期始業式
 函館市をはじめ渡島管内の多くの小中学校で17日、3学期の始業式が行われた。児童・生徒は、25日間の冬休みの思い出を胸に元気いっぱいに登校。級友や担任教諭と久々に再会し、新学期をスタートさせた。

 函館千代田小学校(大平洋校長、児童133人)では午前10時半から式が行われた。大平校長は「3学期はあっという間だが、これまでやってきたことをまとめ、次の学年の準備をする大切な学期。どのように過ごすか、目当てを持って過ごしてほしい」とあいさつ。

 各学年代表者が壇上で「そり滑りが楽しかった」「数字をきれいに書きたい」「100点満点を増やすよう頑張りたい」などと、冬休みの思い出と新学期の目標を発表した。

 式の後は教室に戻り、3学期最初の学級活動へ。1年1組(児童23人、澁谷佳世教諭)の教室では、特殊学級の児童1人を含む24人が集まり、各自が工夫を凝らした自由研究を紹介。毛糸や綿を使用したマスコットやリサイクル品で作った恐竜、文字と写真を組み合わせた「正月すごろく」など、ユニークな作品の数々に大きな拍手が送られた。(笠原郁実)


◎函館市障がい福祉計画で報告書
 函館市障がい者基本計画等策定推進委員会(土方源太会長)は17日、「市障がい福祉計画」の策定に向け、市が示した素案に対する検討結果報告書を市に提出した。

 土方会長と東福洲二副会長が市役所を訪れ、工藤助役に手渡した。土方会長「行政ができることは行政で実施できるようお願いしたい」と述べ、工藤助役は「検討結果の趣旨を踏まえ、計画に反映させたい」と応じた。

 障がい福祉計画は、障害者自立支援法に基づき、本年度中に策定される。施設入所・入院から地域生活への移行や障害者の就労支援にかかわる数値目標をはじめ、福祉サービスなどのサービス見込み量とそれを確保するための方策が盛り込まれる。計画の達成目標時期は2011年度末まで。

 同委員会は医療、福祉、教育、障害者団体など各界から選出された委員30人で構成。昨年11月から12月にかけ、4回会合を開き、市が示した素案について意見を出し合った。

 同報告書によると、数値目標では、地域生活への移行について「十分な住居の場を整備する」「障害のある人の意向を尊重する」ことの必要性を指摘。就労支援では「現実的に目標値の達成が可能か不安」「健常者の雇用も厳しい中、市は十分な施策を講じる必要がある」との声も。

 サービス量の見込みでは、「広汎性発達障害は過去の実績をベースにした見込み量では不十分」「多様化するニーズの把握と反映が必要」などの意見があった。サービス見込み量の確保方策について、関係部局の連携や相談機関の利用促進、予算などの裏付けによる事業推進などが挙がった。

 委員の意見のほか、12月に実施したパブリックコメント(市民意見)や、障害者団体の意見も反映させる。さらに庁内協議や市議会民生常任委員会でも議論を深め、2月末までに成案化し、4月から施行する方針。(宮木佳奈美)


◎渡島支庁で知内フェア
 知内町の農水産物の展示即売と試食を行うイベント「知内フェア 山海の幸勢ぞろい」が17日、渡島合同庁舎1階食堂で行われた。カキ、ニラ、マコガレイなどの旬の味覚を求め、大勢の来場者でにぎわった。

 同町の味覚を函館市民にも味わってもらおうと毎年行っており、今年で7回目。午前10時からの物産展では全道一の出荷量を誇る知内ニラ「北の華」や、殻が大きく身が引き締まった知内カキ「海峡育ち」など、おなじみのブランドをはじめ、活ホタテ、マコガレイ、ホッケの一夜干し、べこもち、トマトジュースなどがずらりと並んだ。市販に向けて現在開発中の「カキカレー」と「ホタテカレー」のレトルト品の試験販売も行い、珍しさもあって瞬く間に売り切れた。

 同11時半からの試食会では、「カキコロッケ&フライ定食」と「カキカレー」をそれぞれ400円で販売。このうち「定食」は、カキがたっぷり入ったクリームコロッケと大粒のカキフライに加え、殻付きの味付けツブ、ニラのおひたし、松前漬け、シイタケと知内の食材がボリュームたっぷりに盛り付けられ、用意された500食はあっという間に売り切れた。

 同町農林水産商工課の大森正一課長は「昨年暮れは、ノロウイルスの風評被害でカキの値段が下落する打撃を受けたが、外海の海流で育った知内のカキは、安全性にも味にも絶対的な自信を持っている。今回のフェアをきっかけにカキをはじめとした知内の食材の魅力をよりアピールしていきたい」と話していた。(小川俊之)


◎「江差追分・みんよう教室」修了、参加児童の発表会
 【江差】江差追分会館(江差町中歌町)が初めて開いた「江差追分・みんよう教室」が16日、全4回の講座を終え、参加した児童13人による発表会が行われた。

 発表会は江差追分の実演や各種大会が開かれる舞台で開催。家族が発表を見学した。

 子供たちは「ソーラン節」「道南ナット節」「江差追分」を合唱。7節からなる江差追分は「かもめの鳴く声にふと目を」の3節まで挑戦。「ソイソイ」という独特の合いの手を入れる「ソイがけ」をはじめ、ほかの民謡では太鼓伴奏も行い、見事なバチさばきを披露し、オフシーズンの館内には元気な歌声が響いた。

 舞台では「江差もちつきばやし」に合わせ、きねをかざした踊りとともに元気にもちつきを行い、つきたてのもちを味わった。

 会館職員で講師を務めた寺島絵里佳さん(23)=第41回江差追分全国大会優勝者=と井上さつきさん(23)=2005年度全国ヤング民謡フェスティバル優勝者=も、司会や歌唱指導、太鼓や三味線などフル稼働。子供たちにとって“優しいお姉さん”の2人は「学校の先生の気分。続けて教室を開いてほしい」(寺島さん)、「子供たちが真剣。休み時間に練習したり、予習して来たりする子もいてうれしかった」(井上さん)と笑顔を見せた。

 修了した13人のうち、江差追分を習っているのは4人。民謡を初めて体験する子も。教室の終わりに行った寄せ書きには「いろんな歌が楽しかった」「先生が優しかった」「面白かった」と、元気な書き込みがあふれた。江差南が丘小4年の高田ちなみさんは「難しいけど面白かった。参加して良かった」と話した。

 町産業振興課の西谷和夫参事は「初企画としては大成功。若手実力者の2人が会館にいることで事業展開の可能性が広がり、将来の江差追分を担う彼女たちの成長にもつながる。今後も学校との連携で、子供たちが追分や民謡を体験する機会を提供したい。追分の伝承とともに会館の有効活用にもつながる」と語った。(松浦 純)