2007年1月19日(金)掲載

◎私立高校で推薦入試/7校で305人受験
 高校入試の幕開けとなる私立高校の2007年度推薦入試が18日、函館市内7校で一斉に行われた。7校合わせた受験者数は前年より33人少ない305人。受験者は緊張した面持ちで面接や筆記試験に臨んだ。

 同市内8校の私立高校のうち、函館ラ・サールを除く7校がこの日、推薦入試を実施。

 清尚学院高校(土家康宏校長)では、午前9時から同校で試験を開始。調理科には11人、新年度入学者から3年生の授業に集中実習「スイーツデザイン」を取り入れる生活デザイン科には06年度を大幅に上回る6人が志望した。

 作文では「わたしが目指したいこと」をテーマに文章を作成。面接試験では「志望した理由は」「好きな教科・苦手な教科は」「将来の夢は」などと質問され、緊張した表情を見せながらも、はきはきと答えていた。

 合格発表は19日。函館ラ・サールの推薦入試は20日、私立高校の一般入試は2月16日に8校一斉に行われる。(笠原郁実)


◎道開発局・地震津波対策アクションプラン作成
 道開発局は、巨大津波が発生した際の人的被害を最小限に抑えることを目的とした「地震津波対策アクションプラン」を作成した。5年以内に、函館市と北斗市などを含む道内43市町村を中心に防災情報共有システムを充実させるなど、21の施策を盛り込んで整備を進めていく。

 アクションプランは2004年4月に交付された「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係わる地震防災対策の推進に関する特別措置法」に基づき、道内の太平洋岸6市34町3村が防災対策の「推進地域」に指定されたことを受け、道開発局が従来の「防災業務計画」に追加して規定。最大で15メートルを超えると想定される巨大津波発生時の「人的被害の最小化」を目標に、(1)「迅速かつ的確な避難を支援するための施策を実施」(2)「冬期『積雪寒冷』対策の実施」(3)「『選択と集中』による施設整備」―の3つの基本方針を掲げている。

 今回発表されたアクションプランでは基本方針を踏まえた上で整備方針を設定。2010年度をめどに21の具体的施策を進めていく。具体的施策の代表事例は(1)では、各自治体への情報提供による「津波ハザードマップの作成支援」や、避難行動支援のための「河川や海岸へのスピーカー設置」(2)では、道路利用者などの一時的避難場所として沿岸部の「道の駅」の防災拠点化を目指すとともに、代表する10の「駅」については冬期使用も年頭においた整備支援を進める(3)では過去の津波襲来により、係留して漁船などが漂流物となり港湾背後地域に被害を及ぼしていることから、推進地域の漁港を中心に整備を目指す。

 このほか「港湾・漁港における緊急物資輸送体制の確保」や「地方自治体等への防災資機材の円滑な貸与」なども盛り込まれている。

 道開発局では、アクションプランを基盤に、各自治体の取り組みに応じて内容を見直すなど、「柔軟性を持ちながら、相乗的な地震津波対策を進めていきたい」としている。(小川俊之)


◎乙部でIT人材育成プロジェクト始動
 【乙部】豊かな自然や心の通った人間関係がある地方で、最先端のソフトウエア開発技術者を養成する「IT(情報技術)人材育成プロジェクト」の実施主体となる、町雇用対策委員会の初会合が18日、乙部町役場で開かれた。

 初会合では、工芸家で日展会員の中川眞一郎氏を委員長に選出。中川氏は「第2のビルゲイツを乙部から―を合言葉に英知を結集しよう」とあいさつ。寺島光一郎町長は「地方で農漁業体験などを通じて人間性を重視したIT技術者を養成する取り組みは全国初だ。地方にも明るい未来があることを乙部から示したい」と意欲を見せた。

 町が検討中の同プロジェクトは、中川委員長、町職員、町内の若手経営者ら9人で作る同委とIT企業が協力し、町内でIT技術者を養成する。厚生労働省の地域提案型雇用創造促進事業の認定申請を行う方針で、認定されれば事業費は3年を限度に国が負担する。

 同町出身の笹谷隆氏が経営するグローバル・コミュニケーションズ(函館市)を中心に、ジェイジェイエス北海道(札幌)、日本オラクル(東京)などの企業に研修を委託。年間15人程度の研修生を町内をはじめ全国から募集。研修期間は1年間。基礎研修からプログラム開発までの専門研修を経て「基礎情報技術者」の資格取得を目指す。

 技術研修と併行し、農漁業や植林活動への参加、イベントなどを通じた町民との交流などで人格形成教育を盛り込むのが特色。中川委員長は「ライブドア事件で分かるようにITには営利至上主義など光と影がある。人間性と高い能力を持つ技術者を育てたい」と語る。

 卒業生の受け入れや社員の教育研修などで、プロジェクトに参画する企業に、町内に支店などの開設を呼び掛け、卒業生が町内で就職や起業ができる環境を整える。

 町の小石裕之企画室長は「雇用創出や企業誘致にとどまらず、特産品ネット販売やホームページ管理会社設立などITを中心とする新産業育成に取り組みたい」と話している。町は同プロジェクトを、ブロッコリーや黒豆などの産地育成や商品開発を進めている「町農業再生プラン」に続く、自立に向けた基幹プロジェクトに位置付け、財政面を含めた全面的な支援を検討。新年度予算に必要な経費を盛り込む方針。(松浦 純)


◎はこだて冬フェス「雪像すべり台」制作中止
 2007はこだて冬フェスティバル実行委(沼崎弥太郎委員長)は18日、2月10、11両日に同フェスティバルの一環として函館市五稜郭町の五稜郭公園で開催するイベントの呼び物の一つ「雪像滑り台」の製作を断念することを決めた。雪不足のためで、製作を取りやめるのは2000年、04年に続いて3回目。

 同フェスティバルは昨年12月1日に開幕。市内の二十間坂や二十間坂通、八幡坂でイルミネーションを点灯している。

 実行委は同日正午、製作に携わる陸上自衛隊第28普通科連隊と協議し、中止を決めた。滑り台の大きさは高さ8メートル、幅12メートル、滑走距離40メートルで、毎年、多くの子どもたちから人気を博している。

 実行委は「雪不足は仕方がない。家族で楽しめるよう、ほかの催しを充実させたい」と話している。

 同フェスティバルでは、恒例の「赤ふんダービー」や「尻相撲大会」などを予定している。

 また、2月1日には基坂と元町公園でもイルミネーション点灯を始め、日没後から午後10時まで、計5万個の電球がともる。(工藤康行)


◎江差で移住体験・道内外から5人が参加
 【江差】都市部の団塊の世代をターゲットに、長期滞在観光や定年後の移住の可能性を探る「ステイタス―長期滞在地域コミュニティー参加プログラム」の実証実験が江差町で行われている。道内外から5人の参加モニターが訪れ、町内の住宅に1週間の予定で宿泊。江差追分体験や伝統料理の夕食会といった地域交流プログラムに参加する。

 モニター受け入れは昨年12月にスタート。これまでに札幌、東京、千葉の3地域から4人が来町。空き住宅に町民が寄贈した家電製品などを備え付けて宿泊先を確保。みそ造り体験、伝統料理の夕食会といった交流プログラムを提供している。

 千葉県八千代市の小林茂さん(64)、正子さん(64)夫妻は、15日から滞在。17日には江差追分会の青坂満上席師匠の歌唱指導を受けた。青坂師匠は、江差追分のルーツや町の歴史を解説。小林さん夫妻は「歌は難しいですね」と言いながら耳を傾けていた。

 初めて訪れた江差について「歴史がたくさん詰まった町ですね」と印象を語る。JR東京駅で行われていた北海道フェアで同プログラムを知り、モニターに応募。夫妻は「全国を転勤で歩いたので、定年退職後は海外旅行が中心でした。腰を落ち着けてじっくりと日本各地を知ることも良いですね」とにこやかに話す。

 案内役を務める町総務政策課の小田島訓主幹は「これからも北海道旅行の際には気軽に立ち寄ってください。いつでも歓迎します」と笑顔で応えていた。

 同プログラムは、中小企業庁の「地域資源∞全国展開プロジェクト」の一環。大手旅行代理店のJTBが参加モニターを募集した。道内では江差町と根室管内中標津町、道外では山形県西川町、山梨県北杜市、三重県志摩市の5カ所で実証実験が行われている。(松浦 純)


◎北斗市の新函館駅整備計画、駅前通沿い含む1ヘクタールを除外
 【北斗】北斗市は18日、市が実施する北海道新幹線新函館駅(仮称)周辺の区画整備事業計画の対象区域として予定していた14・4ヘクタールのうち、メーンストリートの南駅前通に面する部分を含む約1ヘクタールを除外することを明らかにした。昨年10月に着工した大野平野の国営かんがい排水事業の受益地であることが分かったため。市は西側に代替地を広げたい考えだが、場所は未定。

 同日開かれた市議会道新幹線の建設を促進する調査特別委員会(野呂義夫委員長)に示した。

 市は、昨年11月21日の同委員会で最終案を提示。国道227号から新駅南側に至る南駅前通の両側に、縦100メートル、横50メートルを基準とした17区画を整備する内容だった。

 かんがい事業の受益地であることが判明したのは、この南西に位置する商業地と住宅用地。同事業が完了する2014年度以降8年間は、市街化区域に転用した場合、補助金の返還を伴うため、事実上開発が不可能となる。

 委員会ではこのほか、南駅前通の中央帯を公園化して憩いの場とする案が複数の委員から提示されたが、費用などの面から市は採用しない意向を伝えた。(小泉まや)