2007年1月24日(水)掲載

◎大沼で氷切りスタート
 【七飯】七飯町内の大沼公園広場で2月3、4両日に開かれる「第41回大沼函館雪と氷の祭典」(実行委主催)で使用する氷の切り出し作業が23日、会場近くの大沼湖で始まった。

 氷は会場に設営するジャンボ滑り台やアイスキャンドルなどに使う。毎年、祭典の10日ほど前から切り出し作業を始めていて、この日はスタッフ約20人が作業に当たった。

 氷面上にはあらかじめ縦横60センチの溝を引き、スタッフは溝に沿って電動のこぎりで湖面に張った厚さ約30センチの氷を切断。水に浮いたところを氷ばさみで手早く引き上げ、次々と運び出していた。

 昨年末から年明けにかけて温暖な気温が続き、作業開始の遅れが心配された。しかし、今月中旬から冷え込みが続いた結果、透明感のある厚い氷ができ、例年通りに始めることができた。

 28日ごろまでに約3000個の氷を切り出す予定で、「11日の事務所開設から順調に準備が進んでいます」と実行委。26日からは、中雪像コンクールに出場するチームの雪像造りが始まる。(鈴木 潤)


◎拠点施設4月オープン…地域交流まちづくりセンター
 函館市が景観形成指定建築物の旧末広分庁舎(末広町4)を一部解体し、建設を進めている地域交流まちづくりセンターが4月にオープンする。情報発信、市民交流、市民活動支援の3つの機能を備えた施設で、まちづくり活動の拠点施設となる。市総務課は「3つの機能を複合的に発揮することで街のにぎわいや潤い、人の流れを創出し、西部地区の活性化に結び付けたい」と話している。

 建物は1923(大正12)年に3階建てで建設され、30年に5階建てに増設された旧丸井今井函館店。62年の同店移転後、市が購入し、水道局が2002年まで使用していた。大正、昭和期の意匠を再現して整備する。

 1階は情報発信機能を持たせ、函館市の観光や歴史、祭り、定住、不動産などの各種情報を提供する。観光客が無料で気軽に立ち寄り、観光や定住などの相談を受け付けるインフォメーションコーナーを設けるほか、喫茶を併設した休憩コーナーも配置する。

 2階は市民交流の拠点とし、ギャラリーの機能を持ったフリースペースや、25人程度の会議ができる研修室2つを配置する。フリースペースは1日1万円で貸し出し、市民と観光客がゆったりと絵画や芸術品を鑑賞できるような空間とする。研修室は1時間500円で利用でき、文化活動や美術、工芸などの各種講座を開くことができる。

 3階はNPO(民間非営利団体)やボランティアなどの公益的な市民活動を支援する場。市民団体向けに約4平方メートルの貸しオフィス(月額3000円)を8室備え、まちづくり活動の拠点機能を持たせる。

 また、市役所4階にある市民活動サポートセンターの機能を移し、印刷スペースを設けるほか、無料のミーティングスペースや25人程度の収容が可能な会議室2つ(1時間300円)も用意する。

 工事は順調に進み、2月末に市へ引き渡しされる。民間が施設の管理を代行できる指定管理者制度を導入し、NPOサポートはこだてグループが管理・運営する。

 少子高齢化が著しい西部地区に観光客や市民が集い、若者を中心としたまちづくり活動団体が交流する中で、函館の新たな魅力や活力を創造していく。(高柳 謙)


◎授業力向上へ行政と連携…道教育大附属函館4校園 新事業スタート
 道教育大附属函館4校園(函館市美原3)は、教員の資質向上や各学校、教育委員会の取り組みを支援、交流させようと、新たに「授業力向上研修交流センター事業」をスタートさせた。道教委が本年度から3カ年実施する「小・中学校学力STEP(ステップ)アッププロジェクト」にも指定された。行政と手を携えながらの事業に附属函館中学校の土谷敬副校長は「道南地域の実態に合った研修などを提案していきたい」と意欲を見せている。

 同事業は幼稚園の子育て支援や中学校の免許外指導研修、養護学校の特別支援コーディネーター研修など、各校園が取り組んできたノウハウを生かし、4校園での研修受け入れや指導に関する相談、教員派遣など要望に応じて対応する。教員は道内一律の研修事業から選ぶのではなく、要望を伝え、専門性の高い研修に参加することが可能になる。

 一方、道教委が本年度から始めた「小・中学校学力STEPアッププロジェクト」で、渡島教育局は4つの推進プロジェクトのうち、教員(Teacher)の授業力向上を図る「Tプロジェクト」に同事業の研修を指定、協定を結んだ。

 同校園はすでに中学校数学教員を対象に2月14日、第1回授業研究会(数学)を予定。遠方の参加者に配慮し、午後からの実施で約1時間のディスカッションの後、同校教員が即興で授業を行い、生徒のつまずきや理解した子への働きかけなどを話し合う。今後、年2教科ずつ研修を続ける予定。

 また、各校園への受け入れは、短期・中期・長期が可能で、すでに山形県内の教員が中学校で短期研修を行ったほか、2月に岩手県内の教員の受け入れも決まっている。

 土谷副校長は「初年度は初任者や若手教員を対象にし、今後は中堅、実技教科教員などに活用してもらえる研修を企画したい。この事業で地域間の指導力格差や環境格差を解消していければ」と話している。(笠原郁実)


◎脇本氏 無投票で5選…知内町長選
 【知内】任期満了に伴う知内町長選挙は23日告示され、午後5時に締め切った結果、無所属で現職の脇本哲也氏(72)以外に立候補の届け出がなく、無投票で脇本氏の5選が決まった。脇本氏の無投票当選は、2期目以降4期連続。

 知内町重内の事務所を兼ねた脇本氏の自宅には、午後4時半すぎから続々と支援者や、近隣自治体の首長らが到着。立候補締め切りの午後5時すぎに電話で当選の報告が入ると、満面に笑みを浮かべる脇本氏に大きな拍手が寄せられた。

 万歳三唱で当選を祝った脇本氏は「時代が変わりゆく中、何としても知内町民を守り育て、町の発展のため頑張りたい。これがわたしの人生かもしれない」と町政への意欲を語った。さらに「国に対する提言に力を入れるとともに、住民サービス維持や産業振興に尽力する」と決意を述べた。

 脇本氏は知内高校卒。1950年に知内町役場入りし、総務課長などを経て、91年に初当選。現在4期目で、渡島町村会副会長や全国山村振興連盟副会長などを務める。(小泉まや)


◎「裁判員制度の理解を」…大鶴新検事正が会見
 函館地検の大鶴基成(もとなり)検事正(51)が22日に着任し、23日、同地検で記者会見を開いた。「警察など関係機関と協力し、管内の治安確保に努めたい。裁判員制度の実施が近づく中、制度を理解してもらうよう地道に努力していきたい」と抱負を述べた。

 大鶴検事正は1955年大分県生まれ。78年東大法学部卒。東京地検を振り出しに、福岡、大阪の各地検などで勤務し、法務省刑事局公安課長、東京地検交通部長などを歴任。前任は東京地検特捜部長で、ライブドア事件などの捜査を指揮した。

 裁判員制度の周知では、「自分たちとは関係ないと思っている人が多いのでは」と述べ、「市民に自分たちの暮らしの安全を確保するため、裁判員裁判で自らの常識を反映させる機会や、反映させていこうと思えるよう広報したい」と、制度の理解促進に力を入れる考えを強調した。

 道内赴任は85年から87年までの釧路地検以来2度目。「学生時代に旅行で訪れたが、きれいなマチ」と函館の印象をり、「市内や管内の美しい自然や名所などを散策したい」と話した。 (原山知寿子)


◎大黒通で活躍する有志ら ちんどんグループ「遊源会社大黒笑事」結成
 函館市弁天町の大黒通りを中心に町おこしに取り組む有志らが、ちんどんグループ「遊源会社・大黒笑事」(嶋崎正雄代表)を結成し、演奏練習に励んでいる。普段は個別に練習していて、月に1回は合同練習の場で互いの成果を確認している。今後はレパートリーを増やしながら、メンバーの増強も図っていきたい考えだ。

 少子高齢化が急速に進む同町で5年ほど前から、地域活性化を願う有志が集い、来場者が楽しめるよう趣向を凝らしたイベントを展開している。イベントを盛り上げるために購入していた、ちんどん太鼓を有効活用しようと、昨年10月に演奏グループの結成を思いついた。

 時期を合わせるように、埼玉県川越市で開かれていた、関東近郊のちんどん屋チームが参加したイベントの模様を収めたビデオを入手。「やるからには遊びではなく、本格的に取り組もう」(嶋崎代表)と、楽譜や衣装、楽器の手配と、急ピッチで準備を進めた。

 メンバーは現在7人。楽器は、ちんどん太鼓のほか、三味線、ギター、ウクレレ、アコーディオン、ドラム、フルート。活動開始から約2カ月半を経過し、個々の練習と3回の合同練習をこなした結果、サーカスの呼び込みとしてなじみ深い曲「美しき天然」を習得した。

 メロディーに華やかさと幅をもたせるため、クラリネットやサックスを演奏できる人を募集するほか、レパートリーを最低3曲にまで広げていく。初披露の場は、7月末に予定しているイベント「大黒通りフェスティバル」となる見込みで、活動の場を求め、メンバーを増やすことも視野に入れている。

 嶋崎代表は「古き町並みに合った活動として、地域の人に喜んでもらうとともに、子どもたちに楽器の楽しさを伝えていければ」と話している。

 メンバー募集に関する問い合わせは、嶋崎代表TEL090・7059・7373。(浜田孝輔)


◎脳神経セントラルクリニックが準優秀賞…医療画像の全国大会
 東京国際フォーラムで1月14日に行われた東芝メディカルシステムズ主催の第14回「ザ・ベスト・イメージ」で、脳神経セントラルクリニック(函館市梁川町16、松崎隆幸院長)が1・5テスラMR部門の準優秀賞を受賞した。同クリニックは第12回大会でも、8―16列マルチスライスCT部門で優秀賞を獲得。小規模なクリニックとして2度の受賞は極めて珍しく、松崎院長は「自分たちの技術が全国的に認められたことはとても励みになる」と話している。

 「ザ・ベスト・イメージ」はMRI(磁気共鳴画像装置)、CT(コンピュータ断層撮影装置)、超音波による優れた撮影技術や革新的な利用法などを競う全国規模の大会で、今回は6部門に585施設から応募があった。このうちMRIを使った1・5テスラMR部門には102施設が応募し、最優秀賞1施設、優秀賞5施設、準優秀賞11施設が選ばれた。

 準優秀賞を受賞した同クリニックの画像は、脳梗塞(こうそく)検査のために来院した50歳台の男性患者を撮影したもの。脳を水平方向に撮影して梗塞部分が確認されたため、正確な位置を確認するために技術的に難しい正面からの撮影に挑戦。立体視することで運動神経への通り道である錘(すい)体路に接触していないことが分かり、緊急入院の必要性がなく通院治療で回復が可能と診断された。

 撮影を行った放射線技師の砂子豊晴さんは「患部の位置をより分かりやすく撮影することによって患者にも自分の状態を理解してもらいやすくなるとともに、通常より撮影時間を短縮できたため、身体的負担を減らすことができた。(大会に)応募目的で撮影した画像ではないが、自分たちの工夫したことが専門家から評価を受けたことはとても心強い」と喜ぶ。

 松崎院長は「現在の医療において最先端の医療機器は不可欠だが、それを十分に使いこなせる技術がなければ何もならない。砂子技師とともにこれからも患者さんが安心して検査や治療を行うことができるように、日々技術を磨いていきたい」と話している。(小川俊之)