2007年1月25日(木)掲載

◎附属中の青い目の人形が長崎へ“出張”
 青い目をしたお人形はアメリカ生まれのセルロイド―。道教育大附属函館中学校(冨田幸雄校長、生徒359人)にある青い目の人形「ウエンディちゃん」が近く、長崎市へ“出張”する。長崎歴史文化博物館で4月7日から開かれる企画展「青い目の人形80年展」に出展されるためで、同人形が同校を離れるのは1989年に母国・アメリカに里帰りして以来。同校は2月9日に壮行会を開き、人形を見送る。

 青い目の人形は1927年、日米友好の祈りを込め、アメリカから1万2000体余りが送られてきた。返礼として日本は市松人形(通称、答礼人形)を全州にプレゼント。だが、プレゼントされた人形は戦時中、「敵国のスパイ」として多くが処分され、現在では全国で約300体が残るだけになった。函館市内では同校のほか、函館臼尻小や遺愛旭岡幼稚園などで確認されている。

 道教育大附属函館中学校では73年、旧校舎の一室に無造作に置かれていたところ、生徒が注目。調査を進め、貴重な青い目の人形であることを突き止めた。以来、ガラスケースに入れて大切に保存してきた。

 89年、仲間とともに里帰りを果たした同人形は、ワシントンやサンフランシスコなど4都市を巡回。里帰りを機に、“パスポート”を紛失して名前が不明だったため、生徒が「ウエンディちゃん」と名付け、以来、「日米親善の象徴」として授業などでも扱ってきた。

 同博物館で行われる企画展では、6月まで全国に残る青い目の人形や答礼人形を一堂に展示。両国の友好や国際交流、世界の平和について考えてもらう。

 ウエンディちゃんの壮行会は、3年生118人の受験壮行会に合わせて行われる。生徒会が趣向を凝らしたプログラムで送り出す予定。(笠原郁実)


◎函館バスが3月下旬から新バスロケーションシステム
携帯やパソコンで運行情報
 函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は3月下旬から、携帯電話やパソコンでバスの運行情報を知ることができる新しいシステム(バスロケーションシステム)を導入する。併せて、函館市役所や市立函館病院など4カ所で、46型大型ディスプレー(画面)を使って同様の情報を提供するほか、函館空港などに観光情報も分かるタッチパネル式の端末を設置する。

 鉄道などと比べ、バスは天候や道路の混雑状況によって定時運行が難しいことから、自宅や外出先に居ながら携帯やパソコンを使い、運行時刻表のほか、あと何分で到着するか、どのぐらい遅れているかなどの情報を入手できるようにする。

 バスにGPS(衛星利用測位システム)受信機を搭載することで、車両の正確な場所や各停留所への予定到着時刻などが分析できる。同社は「リアルタイムで運行状況を知らせることで、時間の有効活用や待ち時間の短縮などにつながる」とメリットを説明する。

 料金は通信料のみで、携帯やパソコンで乗降する停留所などを入力することで、運行状況や到着時刻などが分かる。

 また、市役所、函病、JR函館駅前バス案内所、市中央図書館では、大型ディスプレーで各系統や経由、行き先別に運行情報を伝える。市役所などではこれまで、大型掲示板で発車予定時刻や遅れなどの情報を提供(現在は新システム移行のため停止中)しており、3月下旬からはテレビ画面式に変わる。

 停留所でも引き続き、接近や遅れなどを知らせる。市は市営バス時代の1994年に市内69カ所のバス停に運行状況を伝えるシステムを導入。新しいバスロケーションシステムでは、利用の多い棒二森屋前や松風町、五稜郭、渡島支庁など22カ所のバス停で「あと5分で到着」などの情報を表示する予定。

 このほか「キヨスク端末」と呼ばれる装置を函館空港と1カ所に設置。タッチパネル式で、バスの運行情報のほか観光情報も用意する。

 総事業費は約2億4000万円。2001年の市営バスの民営化で函館バスの事業として盛り込まれ、市が財政支援を決めた。国や道の補助も受け、新システムの構築を進めている。 (高柳 謙)


◎道議選渡島支庁区に石田廣紀氏が出馬表明
 【七飯】七飯町の前会計課長、石田廣紀氏(58)は24日、4月に行われる統一地方選挙の道議選渡島支庁区(定数3)に立候補することを正式に表明した。同町本町に構えた後援会事務所で記者会見し、「道南各市町で連携を強化し、住民生活に密着した政策を進めたい」と抱負を語った。

 石田氏は「多くの町民からの後押しがあり、決意した。渡島支庁区の選挙が無風となっては地域のためにならない。自分ができることで力になりたい」と立候補に至った経緯を述べた。

 主な公約として、児童・高齢者・障害者のバランスが取れた福祉政策や、北海道新幹線の整備振興など5項目を示し、「特に新幹線問題や産業振興を積極的に手掛けたい」と意欲を示した。後援会会長には同町議の秋田ハチエ氏が就任した。

 石田氏は17日に自民党道連に公認申請したことも明らかにした。

 石田氏は函館市生まれ。函館大学卒業後の1971年4月、七飯町役場入り。商工観光課長、総務課長、企画財政課長などを務め、16日付で退職した。

 道議選渡島支庁区にはこれまで、自民党の川村正氏と民主党の岡田俊之氏の現職2人に、前七飯町議の新人、冨原亮氏が立候補を表明している。 (鈴木 潤)


◎06年市消防本部まとめ 火災過去5年で最多 
 函館市内で昨年1年間に起きた火災は前年に比べ20件増の93件で、過去5年間で最多だったことが市消防本部のまとめで分かった。同本部は「昨年からごみ収集車の火災についても集計を始め、建物以外の小規模な火災の増加が数字を押し上げたのでは」と分析。また、火災による死者全員が70歳以上の高齢者だったことから、万一の際、逃げ遅れがちなお年寄りは特に火の元に注意するよう呼びかけている。

 火災の内訳は、「建物火災」が65件(前年比4件増)と約7割。次いで「車両火災」が17件(同8件増)で、枯れ草や屋外の物品が燃える「その他の火災」が10件(同7件増)だった。車両火災のうち、今回から新たに火災として集計されることになった、ごみ収集車の火災は7件に上った。

 収集車の火災は、ガスが残ったままのスプレー缶などが主な要因。収集車内で缶が圧縮されて漏れ出したガスが、金属同士が接触した時に生じる火花に引火するという。同本部予防課は「整髪料などのスプレー缶や、カセット式コンロのガス缶などは、中身を完全に使い切ってから捨ててほしい」と、ごみの分別マナーの徹底を訴える。

 原因別では、放火(疑いも含む)が17件(同8件増)でトップ。一昨年最も多かったコンロは9件(同2件減)で、たばこも前年同数の9件だった。このほか、ストーブが5件(同3件減)と続く。

 火災による死者は3人(同4人減)で、お年寄りの逃げ遅れが目立った。3人はいずれも70歳以上の高齢者で、うち2人は独り暮らしだった。「特にお年寄りに多いのが仏壇のろうそくの火の消し忘れ。使用する際には十分な注意が必要」(同課)。また、古くからの木造住宅はいったん火が付くと、瞬く間に燃え広がるため、火災警報器の設置を奨励している。

 焼損床面積は、前年比横ばいの2471平方メートル。昨年4月に発生した西桔梗町の納屋3棟を全焼した火災と、若松町の連続火災では、それぞれ約400平方メートルを焼いた。損害額は約4660万円で、一昨年より約350万円減少した。

 同本部は「火災のほとんどが人為的ミスで発生する。暖房器具の周りに燃えやすい物を置かない、鍋に火をかけたら目を離さないなど、基本的な防火対策を実践し、万一に備えてほしい」と話している。(森 健太郎)


◎未来大研究用カメラ撤去と慰謝料を求め、大学院生の男性が提訴
 公立はこだて未来大(函館市亀田中野町、中島秀之学長)の研究棟内に設置されたカメラはプライバシーの侵害に当たるとして、東京都在住の医師で同大大学院生の滝沢清さん(68)が、大学を設置・運営する函館圏公立大学広域連合(連合長・井上博司市長)を相手取り、カメラの撤去と500万円の損害賠償を求める訴えを24日、函館地裁に起こした。

 同大によると、カメラは研究棟供用開始の2005年4月までに設置し、その前後に試験稼動したが、実際には運用されていないという。滝沢さんは「十分な説明もないままカメラを設置したのは、情報化、IT(情報技術)化を扱う大学の情報管理として問題」と指摘している。

 訴えによると、滝沢さんは「(心電図のデータ解析という個人情報を扱う)研究を、同大学で継続して実施することが困難になり、精神的苦痛は筆舌には尽くしがたい」とし、カメラの撤去と慰謝料などの支払いを求めている。

 滝沢さんは05年から複数回、大学や同連合に対し、カメラ設置の経緯やプライバシー、肖像権侵害問題に対する説明を求めた。しかし、大学側から納得のいく説明はなく、同連合からは回答がなかったという。

 カメラは、人間の動きをコンピューター処理・分析することで、人間とコンピューターの調和について研究するのが目的という。特定の部分を写すカメラ24台と全方位を写すカメラ6台。4年間のリース契約で、設置費用は約1660万円。

 同大によると、カメラ設置の前後、3月から5月にかけ、数回テスト稼動した。実際には研究目的に撮影は行われていないという。批判を受け、現在は一部のカメラ部分が取り外され、16台(うち全方位4台)が設置されている。

 「設置には大学全体の合意が必要」という一部の教授や学生らの声を受け、同大は05年5月と10月に計3回、説明会を開催。昨年2月には、使用には倫理委員会の可否審議や、学生に対する実験実施の周知などを盛り込んだ指針を策定した。

 提訴を受けて同連合は「訴状の内容を承知していないので、コメントを差し控えたい」としている。


◎電停命名権第一号「魚市場通 函館信金本店前」が供用開始
 函館信金(黒滝啓洋理事長)を副呼称とした市電の電停「魚市場通 函館信金本店前」が24日から、供用を開始した。市民や観光客が多く乗降する同電停は、地域に根差した金融機関を顔に据え、新たなスタートを切った。

 函館市交通局(若狭正男局長)が、収入確保の新たな方策として、既存電停名の後に企業名などを付ける権利を販売する「ネーミングライツ(命名権)制度」として導入。市内26電停の第1号に同信金が選ばれた。年間の契約料は73万5000円。

 同信金本店(同市大手町2)で同日、セレモニーが開かれ、黒滝理事長は同電停などに寄贈した照明灯、あんどん各2基の目録を若狭局長に手渡した。黒滝理事長は「市電は市民や観光客から親しまれている乗り物で、当金庫の名前を受け入れてもらえるきっかけになるはず。市電利用者のためになるよう、今後も協力を続けていきたい」とあいさつした。

 また、同日からは同信金の車体広告をあしらったカラー電車も運行を開始。午後2時すぎ、同信金や同局の職員らが見守る中、同信金のイメージカラー緑色を配した電車が、同電停に到着した。 (浜田孝輔)