2007年1月26日(金)掲載

◎高齢者らの所在把握 公益上必要な場合のみ…国民保護計画で市議会総務委
 函館市議会の総務常任委員会(板倉一幸委員長)が25日開かれ、市がまとめた国民保護計画原案などについて質疑を交わした。普段から高齢者や障害者らの所在を把握することに関し、プライバシーの保護を求める委員の声があり、市総務部は「町会などに公益上必要と認められる場合に情報を提供してもらい、プライバシーの保護にも配慮したい」と述べた。

 国民保護法に基づき、武力攻撃を受けた際の対処、避難、誘導、救護、復旧などについて、各市町村で計画作成が義務付けられている。原案の作成に当たり、市がパブリックコメント(市民意見)を募集したところ、2人から8件が寄せられたことを報告、意見の内容と市の考え方を伝えた。

 別の委員は「市民に計画を周知したとはとても思えない。あらためて地域別に説明会を開くべきだ」と求めた。同部は、2004年度の男女共同参画推進条例をはじめ本年度の文化芸術に関する振興条例、国民保護計画など10件でパブリックコメントを実施し、「意見の件数が少ないケースもあるが徐々に市民に浸透していると考えている」と答弁。市民との情報共有や行政の公平性、透明性の向上に向け、今後も努力していく考えを伝えた。

 このほか、青森県大間町に建設計画がある大間原子力発電所に対して想定される攻撃内容や函館市への被害、避難方法をただす声があり、同部は被害の想定については明言を避け、「避難実施要領の中で具体化していくが、あらかじめさまざまなパターンを作り、具体的な対策を示したい」と答えた。 (高柳 謙)


◎2年で1億円突破…契約栽培生産額
 【乙部】2005年に乙部町が策定した「農業再生プラン」に基づくブロッコリーなどの野菜類や極小粒黒豆「黒千石(くろせんごく)」の契約栽培による生産額が、計画2年目となる06年度で1億円を突破する見込みだ。同時に農地の有効利用も進んでいて、町や町契約野菜生産出荷組合(林義秀組合長)などは、新たな取り組みに自信を深めている。

 同組合による、06年度のブロッコリー、スイートコーン、カボチャなど野菜類の販売実績は8869万円。内訳はブロッコリー7277万円、スイートコーン1002万円、カボチャ385万円など。ひやま南部大豆生産組合(大川勲組合長)を中心に本格化している黒千石の栽培も順調で、06年度の販売額は種子・商品用合わせて約1290万円(概算)に上る見通し。

 野菜類と黒千石を合わせた販売額は、約1億220万円で、プラン策定から2年間で1億円の大台を突破することが確実。同町の稲作や畜産を含む農業産出額は5億円弱で、契約栽培の生産額が大きな割合を占めるようになった。また、05年度は33・1ヘクタールだった野菜類の栽培面積も06年度は51・9ヘクタール、07年度には約63ヘクタールと倍増する見込み。

 町農林課は「生産額拡大とともに農地の有効利用も進んだ。パート労働者などの雇用拡大や農業・こん包資材などの需要拡大といった波及効果も大きい」と話している。

 同町では05年2月、新規作物の導入や産地育成を盛り込んだ同プランに基づき、契約野菜生産出荷組合が発足。大手農産物卸商社のベジテック(東京)と連携し、首都圏向けのブロッコリーなどの契約栽培を始めた。05年度の生産額は5189万円だった。

 また、黒千石の栽培は、野菜類との輪作体系を確立する目的でスタート。大豆生産組合の取り組みは、全道4市8町の農家と食品メーカーが参加する、北海道黒千石生産組合連合会(村井宣夫組合長)結成の呼び水にもなった。

 25日に開かれた契約野菜生産出荷組合の反省会で林組合長は「町や農協の協力で大きな成果を挙げた。コスト削減も進んでおり、3年目も頑張ろう」とあいさつ。寺島光一郎町長は「補助金に頼らない農業実現が課題。乙部の取り組みは16日に会談した安倍晋三首相にも報告して高く評価された。今まで以上に信頼される作物を発信してほしい」と激励した。(松浦 純)


◎内定目指し94人臨む…新規高卒者就職面接会
 2006年度第2回新規高卒者就職面接会in函館が25日、市内の函館ハーバービューホテルで開かれた。来春の就職が決まっていない高校生94人が来場し、緊張した面持ちで企業の担当者との面談に臨んだ。

 函館公共職業安定所、渡島・桧山支庁、函館市が主催。参加企業は28社で、地域別で見ると管内が20社、道内が3社、道外が5社。求人数は175人で、産業別では、サービス業が9社、卸・小売業と飲食店・宿泊業が7社、運輸通信業が5社など。職種では、技能工が13人で最も多い。

 同安定所の梅津晴夫雇用開発部長が、参加企業に向けてあいさつ。「若い人材の確保と育成は、企業の発展にとって重要なこと。生徒の意欲を買ってもらい、ぜひ活躍の場を提供してほしい」と呼び掛けた。

 同安定所によると、昨年12月末時点で、来春に高校卒業を予定している4737人(前年4676人)のうち、求職者数は1261人(同1213人)。求人数1447人(同1211人)に対する求人倍率は1・15倍で、前年同期と比べて、0・15ポイント高い。

 また、就職者数は、777人(同672人)で、就職率は前年同期比6・2ポイント増の61・6%。就職者の内訳は、管内が同1・9%減の304人、道内が同8・2%減の145人、道外が同60・8%増の328人となっている。(浜田孝輔)


◎日本海グリーンベルト構想 推進協が初会合
 【上ノ国】日本海グリーンベルト構想推進協議会の初会合が25日、上ノ国町役場で開かれた。町が策定した同構想は、漁業資源の減少が続く日本海の自然環境を取り戻そうと、町民ぐるみの活動として、海岸の台地にカシワの種子(ドングリ)や苗木を20年間植え続け、豊かな海と森林をはぐくむことを目指している。

 推進協は町、ひやま漁協、連合町内会、校長会、上ノ国建設協会で組織し、檜山支庁が支援組織として参加。この日は関係者約30人が出席した。

 工藤昇町長は「上ノ国から始まる取り組みを松前から稚内まで日本海沿岸に広げたい。森が育つには50年かかる。きょう集まったメンバーは森を見ることができないが、後世に豊かな森を残そう」とあいさつ。ひやま漁協の市山亮悦組合長は「日本海沿岸はニシン釜の燃料として海岸林の伐採が進んだ。沿岸にある24の漁協でも森の大切さを認識している。ニシンの群れが北上したように構想を南から北に発信しよう」と、実現に向けた協力を呼び掛けた。

 同町沿岸では、海藻が消えて海底の岩盤が白く変色する磯焼け現象や、海中の栄養分が減る貧栄養化が進み、漁業資源の減少が深刻化。森林の荒廃や土砂流出などが、こうした現象に拍車をかけていると指摘されている。

 同構想では、江戸時代以降の伐採で植生が失われた大崎から小砂子までの約20キロ区間で、ドングリの採集、育苗、植樹を同時に進行。町内で拾い集めたドングリや、種子から育てる苗木を海岸から500メートルの範囲にある国道沿いの台地に植える。新年度から2026年度まで、1年間にドングリは1000平方メートルに3000個、苗は1000本の割合で植える。

 現地では、クマザサを風よけ代わりにして一切の施設を設けず、ドングリなどが持つ自然の力を生かし、過酷な気候に強い森作りを進める。カシワの成長に伴い「ほかの植物が生い茂り、野鳥や動物が住むことで豊かな森が形作られる」(下沢孝檜山森づくりセンター所長)。植樹を行わない区間でも、野鳥や動物による種子の拡散効果で、植生の回復を目指す。

 会議では、構想推進を全会一致で決定。役員選出では、同漁協上ノ国支所の花田英一理事が会長に、久末千里連合町内会長、廣部康則町校長会長、安田惠佐男建設協会長の3氏が副会長に選ばれた (松浦 純)


◎携帯・ネットの正しい利用法 パンフで紹介…道警函本 初の作成
 「出会い系サイト」による児童買春事件やネット上への中傷の書き込みなど、携帯電話やインターネットを通じた事件や「いじめ」が問題化しているのを受け、道警函館方面本部は、マナーを守った利用法を紹介するパンフレットを作成した。児童・生徒向けと保護者・教職員向けの2種類あり、悪質な書き込み例や犯罪の危険性を説明している。

 インターネット犯罪から子どもを守る対策の一環で、同本部生活安全課が独自に作った。同課によると、ネットの正しい利用に絞ったパンフレットの作成は、道警の5方面本部で初めてという。 子ども向けの「Security(セキュリティー)」では、カラーやイラストをあしらい、読みやすいように工夫した。18歳未満は出会い系サイトの利用が禁じられていることを紹介。誘Oサや性的暴行など、サイトを通じた犯罪を挙げ、「見ない」「書き込まない」「知り合った人と会わない」よう呼びかけている。

 保護者・教職員向けの「子供をインターネットから守るために」では、悪質な書き込みは名誉毀損や脅迫に当たるなど、触法性をより具体的に説明。有害情報から子どもを守るため、パソコンは家族共用とし、子ども任せにせず、一緒にインターネットの知識や正しい使用法を学ぶよう訴えている。

 各A4判の両面に印刷し、二つ折り。管内9署や自治体の教育委員会、渡島・檜山両支庁などに送付した。各署にはデータ送信し、必要に応じてプリントアウトして活用してもらう。また、学校現場での講話などの資料としても活用する。

 同課によると、児童買春事件の被害少女の多くが、出会い系サイトで男性と知り合い、事件に発展するケースが多い。また、「ネット上に実名入りで悪口が書き込まれた」など、保護者らからのインターネットに関する相談が増えている。同課は「希望者には配布しているので役立ててほしい」と話している。

 問い合わせは同課TEL0138・31・0110。


◎5漁協一丸 事故防ぐ…連絡協が交通安全宣言
 函館市内漁業協同組合長連絡協議会(会長・鎌田光夫南かやべ漁協組合長)は25日、漁協ぐるみで事故の根絶に取り組もうと、函館中央署で交通安全宣言を行った。同協議会に属する市内5漁協の組合長が、これまでに集めた漁協職員の署名文を高橋道夫署長に手渡し、無事故への決意を新たにした。

 同署管内では昨年、6件の死亡交通事故が発生し、計7人が亡くなった。このうち漁業関係者がほぼ半数の3人に上ったことから、各漁協が自発的に交通安全活動に取り組み、事故の未然防止を図る。

 この日は、函館市漁協、銭亀沢漁協、戸井漁協、えさん漁協、南かやべ漁協の各組合長5人が同署を訪問。鎌田会長が「悲惨な事故の犠牲者を出さないため、スピードダウンの励行、シートベルトの着用、高齢者など交通弱者の保護、飲酒運転の追放―の指導を徹底する」と力強く宣誓した。

 高橋署長は昨年起きた管内の事故状況に触れ、「(漁業関係者の事故は)水産のマチだからといって済まされることではない。事故抑止活動は終わりのない戦いだが、一丸となって死亡事故ゼロを目指そう」と呼び掛けた。

 市内5漁協は、昨年末から集めた漁協職員計168人分の署名簿も提出。今後は組合員にも署名を募り、交通安全の輪を広げていく考えだ。(森 健太郎)