2007年1月27日(土)掲載

◎1番ニラの出荷ピーク
 【知内】知内町内では、特産のニラの出荷が盛んに行われている。ニラブランド「北の華」の「1番ニラ」で、同町重内の野菜集出荷貯蔵施設では、この時期としては例年より多い連日約2・5トンを梱包(こんぽう)。食欲をそそる香りが辺りに立ちこめている。

 種をまいてから最初に出た若芽を収穫するこの時期は、特に1番ニラと呼ばれ、2番目以降と比べて葉が柔らかいのが特徴。香りも良いとされ、同町内ではニラ本来の味が堪能できるおひたしが好まれる。

 集荷されたニラは、100グラムずつの束にまとめてセロハンをかけ、50束ずつ箱詰めされる。例年、1番ニラの出荷のピークは3月ごろだが、ことしは気温が高く、少雪のため育ちが良く、2月下旬ごろに最盛期を迎える見通し。(小泉まや)


◎市内の65歳以上、独り暮らし1万5000人突破
 函館市内で独り暮らしをする65歳以上の高齢者が1万5000人を突破し、高齢化が確実に進んでいる。20年前の3倍に当たる1万5297人で、過去最多を更新。急速に進行する核家族化を背景に、安否確認や閉じこもり防止など、関係機関や地域による支援の必要性が高まっている。

 2005年10月1日現在で実施した国勢調査によると、65歳以上の高齢者人口は05年が7万459人で、前回調査(2000年)から8604人増えた。総人口29万4264人に対する割合(高齢化率)は23・9%で、全国の20・1%、全道の21・4%を上回る。

 特に独り暮らしの高齢者の増加は顕著で、前回調査から2858人増え、1985年の3倍、75年の6・4倍に達する。高齢者夫婦世帯は1万1480世帯で、単身世帯と合わせて全世帯の20・9%を占める。

 市内では現在、市社会福祉協議会(谷口利夫会長)が町会・自治体単位で設置する「在宅福祉委員会」や、民生委員、町会などが定期的に安否を確認。市内に6カ所ある地域包括支援センターを核に、それぞれが連携し、地域ぐるみで支援体制の確立を進めている。

 市は健康に不安がある独り暮らしの高齢者を対象に、緊急時に消防本部につながる緊急通報システムを設置。閉じこもりがちな高齢者の外出を促す生きがい活動支援通所事業などにも取り組んでいる。市福祉部は「核家族化が進む中、地域のネットワーク機能の充実が重要」と指摘する。

 また独り暮らしの高齢者の孤独死や火元管理の対策も課題。市町会連合会(敦賀敬之会長)は「町会の加入率が低下しており、未加入者の情報が把握しにくい。孤独死については今後理事会でも課題として取り上げていきたい」としている。(宮木佳奈美)


◎臨海研、入居6社決定 新産業の創出目指す
 函館国際水産・海洋都市構想を推進する研究拠点施設となる、函館市臨海研究所(大町13)の研究室6区画に入居する6企業・団体が決まった。水産・ゲノム(遺伝子)関係や健康食品、海洋計測などの企業で、開所する4月から研究を始める。市企画部は「研究成果から起業化や新産業の創出までを狙い、地域雇用に結び付けたい」と話している。

 健康食品や化粧品を開発しているバイオクリエイト(函館市)は、道南に生育する海藻由来の機能性成分の応用研究を進める。共和コンクリート工業(札幌)は、研究部門のアルガテックkyowaが函館に進出済みで、海藻生物由来の酵素に関する研究開発を進める。

 海洋系の有限責任事業組合スペースフィッシュ(函館市)は、水産海洋情報サービスと、人工衛星を使った魚群の分布情報などを伝えるソフトウエアを開発する。函館初進出となるカイジョーソニック(東京)は小型で低価格の魚群探知機の研究開発、同じく環境シミュレーション研究所(埼玉県川越市)は水産海洋データの収集と配信システムの開発を進め、事業展開を図る。

 民間企業などでつくる海藻増養殖技術研究会(函館市)は、砂浜地帯でのガゴメ(トロロコンブの仲間)の増養殖に関する構造物の開発を進める。

 同部によると、6企業・団体から7区画の応募があったが、1社が最終的に1区画でも研究を進められると回答。有識者5人による資格審査委員会に諮問し、研究目的や内容、研究体制などを審査し、市へ答申した。

 同研究所は1926(大正15)年に建設された旧函館西警察署(景観形成指定建築物)を解体し、同じ外観やデザインで再現する。4月3日に開所式を行う予定。(高柳 謙)


◎「函館野外劇」の会 土方歳三ら末えいの出演企画
 節目の「野外劇」に土方歳三や高田屋嘉兵衛ら登場人物の“末えい”が特別出演―。NPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)の通常総会が25日、函館市芸術ホールで開かれ、7月6日に開幕する第20回公演の記念事業の概要を決めた。函館ゆかりの人物に出演してもらい、野外劇の魅力をアピールする。

 1988年に創立した同会はことし、20周年を迎える。節目を飾ろうと、記念事業の一環として、野外劇の登場人物の末えいらの出演を企画した。

 このほか、同会が火種を受けたフランス最大の野外劇「ル・ピディフ野外劇」との交流を図り、視察団をフランスに派遣するとともに、ル・ピディフ野外劇の関係者を函館に招へいする予定。国の特別史跡・五稜郭跡での開催に尽力した文化庁の植木浩元長官や函館市の関係者らを招いての講演会も開く。

 また、総会では、2006年度(1月1日―12月31日)の収支決算報告と07年度の事業計画を承認。06年度の入場者数は、全10日間で1万306人と前年より1166人増えた。ポスター効果やインターネットによる券売で、当日券入場者が前年比245人増の1038人となったことや、同年度から導入した親子券利用者や修学旅行団体入場が伸びたことが、全体を押し上げた。

 しかし、売れたチケットは1万4247枚で、目標の1万5000枚(2500万円)に届かなかった。フラッグダンスなど演出刷新の舞台制作費もかさみ、収入合計4839万2863円に対し、支出合計4879万1930円で、約40万円の赤字が生じた。05年度に続く黒字とはならなかった。

 07年度予算は本年度と同じ5000万円を計上。入場料は昨年と同じで、目標とする観客動員総数を1万2000人に設定。市内・近郊の学校からの参加や修学旅行生の誘致などで券売活動に励むことを確認した。

 輪島幸雄理事長代行は「学生参加などですそ野が広がりつつあり、入場者は増えているが、なお目標の1万2000人には達しておらず、厳しい状況。会員獲得と観客動員の増加にご協力を」と呼び掛けた。


◎都市計画審議会 容積率緩和案示す
 2007年第1回函館市都市計画審議会(会長・韮澤憲吉函館高専教授、委員15人)が25日、函館市役所で開かれた。市は中心市街地への定住促進などを目的に、住宅系建築物の容積率を緩和する案を示した。緩和により、最大で現行の1・5倍までの大型共同住宅が建てられるようになる。2月下旬の同審議会で諮り、都市計画決定後4月に施行する予定。

 02年の建築基準法一部改正に伴い、混在系用途地域内での容積率緩和が可能になった。

 今回、市内の商業地域と近隣商業地域の一部約470ヘクタールに同法を適用する。主に十字街電停から湯の川電停までの電車通沿いや、産業道路沿いなど約10キロの区間が対象となる。

 緩和条件として、1000平方メートル以上の敷地に40%以上の空き地が必要。市電などの交通手段、下水道などのインフラが整った地域に共同住宅の建設を促すことで、人口流出を抑え、街の活性化を図る。

 市都市建設部は「移住者にも中心市街地に住んでもらえる環境が整えば」と話している。

 緩和区域案は2月1日から14日まで、市役所で縦覧できる。

 このほか、国際水産・海洋都市構想の拠点研究施設建設予定地の既存都市計画廃止などの議案10件について、同意または可決した。(今井正一)