2007年1月30日(火)掲載

◎南渡島消防職員協が集団災害に備え訓練
 北斗市や七飯町などの消防職員でつくる南渡島消防職員協議会(伊藤和宏会長)は29日、函館市梁川町のホテルテトラで集団災害に備えた訓練を行った。参加者に想定事態を事前に知らせない“抜き打ち”訓練で、大惨事が起きた際の初期活動を学んだ。

 災害発生直後の30分間に、最小限の人員と資機材で効率のよい現場活動を実施しようと、同協議会が初めて開催。南渡島消防事務組合や函館市消防本部の消防職員のほか、病院の看護師、グループホームの介護福祉士ら約70人が参加した。

 国道228号で大型トレーラーが対向車線にはみ出し、デイサービスのバス(20人乗り)に衝突、バス車内に多数のけが人がいるとの想定。参加者は、けが人や救助隊、通報者などの「役」に分かれ、症状の重い順に搬送するトリアージなどに取り組んだ。

 消防隊らは全員が別室で待機し、目撃者の通報後に初めて現場の状況に直面する実践形式。参加者は運転席に閉じ込められたバスの運転手を救出したり、倒れているけが人に声を掛けたりして本番さながらの訓練に真剣な表情で臨んでいた。

 訓練後には、録画したビデオ映像を見ながら意見を交わす検討会も実施。同協議会の田中春樹事務局長は「南渡島は消防職員の数が少なく、初期活動の難しさが課題の一つ。今回の経験を糧にして災害時にベストの選択ができるようにしたい」と話していた。(森 健太郎)


◎公立高校出願状況
 道教委は29日、2007年度公立高校入試の出願状況を発表した。道南の全日制普通科で最も倍率が高かったのは七飯の1・8倍で、前年度より0・4ポイント上がった。函館東・北両校が統合し、4月に新設される市立函館は1・3倍。函館中部、函館西、函館稜北、戸井、南茅部の函館市内5校はいずれも倍率が上がった。職業科では函館工業の電子機械科が2・2倍と最も高かった。

 渡島管内では、全日制が募集定員2800人に対し、3346人が出願し、平均倍率は前年度と同じ1・2倍。定時制は、募集定員240人に対し109人が出願し、平均倍率は前年度と同じ0・5倍。桧山管内は全日制だけで、募集定員440人に対し366人が出願し、平均倍率は0・8倍だった(前年度比0・1ポイント増)。

 05年度から全日制普通科でも推薦入試を実施できるようになり、07年度から函館稜北、南茅部、市立函館が新たに導入。函館稜北では40人の枠に71人が、市立函館では64人の枠に107人が出願した。

 渡島管内の全日制普通科で最も倍率が高かった七飯高校の齋藤崇校長は、高倍率の理由について首をかしげなら「願書の受け取り希望も例年に比べて多く、高倍率は予想していたが、多くの人に入学を希望していただき大変うれしい」と話す。

 渡島管内全日制普通科ではこのほか、函館中部、函館西がともに1・5倍。職業科では、函館工業の電子機械科が2・2倍(前年度比0・9ポイント増)、同電気科が2・1倍(同1・1ポイント増)とそれぞれ大幅に上がり、昨年2倍を超えた函館商業の情報処理科は1・0倍(同1・0ポイント減)にとどまった。

 03年度以来、管内全校の定員割れが続いている桧山管内では江差、桧山北で出願数が定員を上回った。(笠原郁実)


◎福祉施設建設問題/市長「再検討の指示ない」
西尾前助役の主張と対立
 函館市が1度は建設できないと判断した市街化調整区域内への老人ホーム立地を、井上博司市長と福島恭二市議会議長が後日、福祉部へ再検討を求めたとする一部報道があり、井上市長は29日、記者会見し「これまでの経緯を聞くため、福祉部長に『何とかならないか』という質問はしたが、再検討や意見書の差し替えを命じたことはない」と述べた。昨年末に辞職した西尾正範前助役も同日、函館市政記者クラブで会見し「再検討の余地はないのに強く再検討の指示があった」と述べ、両者の主張は対立した。

 昨年2月、地元政財界情報誌の主宰者が、調整区域内への老人ホーム建設を当時の西尾助役に求め、助役は拒否した。主宰者は老人ホームを運営する会社の顧問を務めていた。同7月には井上市長と福島議長が福祉部幹部2人を呼び、再検討を指示したと、一部で報道された。

 井上市長は、福島議長が同席したことについて「議長から福祉部が施設建設をめぐりばたばたしているようだが、大丈夫かと話があった」と語り、担当者を呼んであらためて経緯を確認することにしたという。

 市長は、2月の段階で建設できないという報告を受けていたが、調整区域内の建設を開発審査会にかける方法もあることを伝えた。ただ、仮に認めると調整区域全体で同様の許可をしなければならなくなり、「私は認めなかった」と強調した。福島議長も取材に対し「報道されているようなことはない」と述べた。

 西尾前助役は市長に先立って会見。2月に情報誌主宰者へ「建設はできない」と答えた後、自身を中傷する記事が掲載された。7月の会議について「なぜ1度決まったことを再検討するよう言い出したか、真意を測りかねる」と批判した。

 会議の内容は、出席した福祉部幹部から報告を受けているとしたが、「報告を受けた文書は公文書ではない」と述べた。(高柳 謙)


◎2006年函館港貿易概況/道内の輸出入 過去最高
 函館税関は29日、2006年の道内と函館港の貿易概況を発表した。道内の輸出は、自動車部品や鉱物性タール・粗製薬品などが好調で、前年比17・5%増の3096億1800万円、輸入は原・粗油や石油製品などが大きく伸び、同29・7%増の1兆2513億6100万円と初めて1兆円台に乗せ、ともに過去最高を記録。また、函館港の輸出は同11・1%増の144億5300万円、輸入は同17・4%減の152億3200万円だった。

 道内の輸出を品目別で見ると、米国向けトランスミッションなどの自動車部品が同58%増の285億6700万円、ペットボトル用の粗キシレンなどの鉱物性タール・粗製薬品が同50・8%増の282億7300万円と大きな伸び。加熱用・冷却用などの一般機械が同5%増の466億8400万円、韓国やインドネシア向けの鉄鋼が同10・8%増の456億1700万円と、堅調に推移している。

 一方の輸入は、原油価格高騰の影響で、中東からの原・粗油が同60・1%増の6585億2200万円、灯油などの石油製品が前年の2倍以上に相当する411億7000万円。総額では、4年連続で過去最高を更新した。

 また、函館港では、輸出が3年連続のプラス。中国向けの冷凍サケ、タラといった魚介類・同調製品が前年の2・2倍に当たる11億6400万円、パナマや香港向けの船舶が同5・6%増の116億3100万円などと好調だった。

 しかし、輸入は、石炭が同14%減の33億1700万円、魚介類・同調製品が同13・6%減の79億5200万円と不調。総額で、3年ぶりにマイナスに転じた。

 なお、昨年12月の道内の貿易概況は、輸出が自動車部品や電気機器などが増加したことで、前年同月比7・3%増の271億1100万円、輸入が原・粗油や木材などが好調で、同6・6%増の1107億2000万円を記録。

 函館港の輸出は、同3・1%増の2億2000万円と3カ月連続のプラス。輸入は、ロシアからの石炭や中国、ロシアなどからの魚介類・同調製品が減少するなど、全体では同35・5%減の8億9400万円と2カ月連続でマイナスとなった。(浜田孝輔)


◎市スポーツ賞/9個人・3団体受賞
 地元スポーツの普及発展への功績や、全国規模の競技大会で優秀な成績を収めた個人・団体をたたえる2006年度の函館市スポーツ賞の受賞者が29日、発表された。9個人・3団体が選ばれ、功労者部門に函館地区バドミントン協会会長の加藤清郎さん(72)、道南陸上競技協会審議員の田口純子さん(68)、今回創設された特別表彰には陸上競技の京谷萌子さん(潮光中3年)が輝いた。2月21日午後3時半から、函館国際ホテルで表彰状の贈呈式が行われる。

 全国的な大会で3位以上の成績を収めた個人・団体に贈る成績部門には、相撲競技の白取孝友さん(28)、陸上競技の渡邊和弥君(的場中2年)、中原元子さん(北中1年)、加藤辰弥君(椴法華小6年)、水泳競技の狩野理紗さん(亀田中1年)、小野寺未来さん(鍛神小4年)の6人と、函館大学ボウリング部男子チーム、同大少林寺拳法部上山・佐藤組、本通中陸上部女子400メートルリレーチームの3団体が選ばれた。

 地域でスポーツ競技者の育成指導に貢献した個人・団体へ贈る功労者部門は本年度、個人のみの受賞。加藤さんは1992年から函館地区バドミントン協会会長、北海道バドミントン協会副会長に就任。日本リーグや全道選手権大会など全国・全道大会を誘致し、企画運営に尽力するほか、小中学・高校生を対象とした大会を増設し、市内のバドミントン競技人口の拡大に寄与した。

 田口さんは75年から道南陸上競技協会理事、少年少女陸上教室コーチなどを歴任。長年にわたり道南地域の青少年の陸上競技力向上に努め、多くの優勝・入賞者を輩出させるなど優れた指導実績を挙げた。

 特別表彰は本年度新設され、成績部門で規定する全国大会で、2年連続1位か3年連続3位以上の成績を収めた個人・団体が対象。同表彰を受けた京谷さんは2005年10月の第36回ジュニアオリンピック陸上競技大会(神奈川県)、昨年8月の第33回全日本中学校陸上競技選手権大会(香川県)で、いずれも女子走り高跳びで優勝し、2年連続で好成績を残した。

 成績部門の白取さんは同10月、第61回国体相撲競技(兵庫県)の成年男子A個人の部で3位、渡邊君は同月開催された第37回ジュニアオリンピック陸上競技大会(神奈川県)でB男子1500メートル2位、中原さんは同大会のC女子100メートルハードルで優勝した。

 狩野さんは同3月、第28回全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会(東京都)で、11―12歳の部女子100メートル、同200メートルの自由形でいずれも2位。加藤君は同8月の第22回全国小学生陸上競技交流大会(同)で男子走り高跳び3位、小野寺さんは同月開催された第29回全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季水泳競技大会(同)の10歳以下の部女子50メートルバタフライで優勝した。

 団体で受賞した函館大学ボウリング部男子チームは4年の鈴木大介さん(22)、宮川裕充さん(21)、庄司貴一さん(22)、松尾弘幸さん(同)、立和田充志さん(同)、2年の鈴木亮平さん(20)、千葉達也さん(同)の7人で構成。同11月に行われた文部科学大臣杯争奪第44回全日本大学ボウリング選手権大会(同)の男子チーム戦で準優勝した。

 同大少林寺拳法部は上山清美さん(21)と佐藤智恵さん(20)の2人組で、同10月に開催された少林寺拳法全国大会in北海道(札幌)の一般女子三段以上の部で優勝。

 本通中陸上部女子リレーチームは笠原亜梨沙さん(3年)、鷹彩乃さん(2年)、高村真衣さん(同)、高村祐衣さん(同)の4人で、同8月の第33回全日本中学校陸上競技選手権大会(香川県)の女子100メートルリレーで3位に入賞した。

 受賞者は市スポーツ振興審議会(柳沢勝会長)が、井上博司市長に答申した通りに決まった。(宮木佳奈美)


◎市長査定スタート
 函館市の2007年度予算編成で29日から、市長査定が始まった。井上博司市長は今春、2期目の任期が満了し、4月に市長選を控えているため、政策的な予算を盛り込まない骨格予算となる。最終的には新市長の下で、6月議会での補正を経て実質的な当初予算が決定する。人口減が続く中、少子化対策など市が抱える当面の課題に対し、当初予算として組み込まれるかなど、市長判断が焦点となる。

 予算編成を拘束するものではないが、市が昨年まとめた07年度から09年度までの中期財政試算によると、地方交付税の削減や市税の減収により、新年度は約31億円の財源不足が生じる見通しで、厳しい財政状況に置かれている。

 査定では、財政下の職員が市長に編成内容を報告。主な事業では、箱館奉行所復元整備、市立函館高校開設に伴う東高校校舎改修費、函館公園や見晴公園の整備事業など、継続事業費などが盛り込まれる見込み。このほか、生活保護費などの民生費や人件費など、義務的経費は当初予算に計上される。

 査定は2月2日までの5日間の日程で、新年度予算案は13日に発表される予定。(今井正一)