2007年1月31日(水)掲載

◎ヒツジの群れのように規則正しく/高積雲現れる
 30日の函館市内は、一年で最も冷え込みが厳しいころとされるが、日中の最高気温は3月下旬並みの5・8度まで上がり、暖かな一日となった。

 同市内では午後になると、上空に白い雲の固まりが幾つも並ぶ現象が見られた。函館海洋気象台によると、この雲は中層域(上空2000―7000メートル付近)にできる高積雲。秋によく見られるが、冬にも現れることがあるという。

 一つ一つの固まりが、規則正しく並んでいる様子がヒツジの群れのようにも見えるため、「ヒツジ雲」とも呼ばれている。

 高積雲が現れると天気が崩れるともいわれるが、雲の形や厚み、流れ方により天気の変化は異なる。

 同気象台によると、31日は低気圧が近づく影響で、渡島地方は雨か雪で、昼すぎから曇り。檜山地方は曇り時々雪か雨。ともに昼前まで雷を伴う所がある見込み。(山崎純一)


◎五稜郭公園でサクラのせん定作業
 函館市の五稜郭公園ではサクラのせん定作業が早くもピークを迎えている。同公園管理事務所によると、作業は毎年12月に始まり、年が明けてから本格化し、3月上旬に終了する。ことしは暖冬で天気の良い日が続き、作業は例年より早く進んでいるという。

 同公園にはソメイヨシノを中心に約1600本のサクラがあり、このうち約1560本でせん定を行う。作業に当たるのは、市住宅都市施設公社の職員や市シルバー人材センターのスタッフ約8人。木にはしごをかけ、のこぎりやせん定ばさみで枯れた木などを手際良く切っていく。

 最近は木の整理が進み、切り取る枝が少なくなったことや、ことしは暖かい日が続いているおかげで、作業は順調だ。同事務所では「例年は北西の冷たい風を受けながらの厳しい作業でなかなか進まないが、ことしは好天のおかげで、2月中には終わりそうだ」と話している。(山崎純一)


◎委員会再編決まる…函館市議会
 4常任委員会を3に再編することを決めている函館市議会の各会派は30日、委員会を総務、民生、経済・建設とすることを決めた。現在の経済、建設委員会を統合する内容。議会改革の一環で、各委員会の委員の所管を増やすとともに、一定の委員数を確保することで議論を活性化させる狙い。2月定例会に委員会条例の改正案を議員提出する。

 同日開かれた市議会議会運営委員会の委員協議会で、能川邦夫座長(民主・市民ネット)が再編する委員会の名称を提案し、全9会派が同意した。

 現在は、総務、民生、経済、建設の4常任委員会。経済委員会は商工観光部や農林水産部、交通局などを、建設委員会は都市建設部や土木部、港湾空港部、水道局などを所管している。

 経済と建設を統合することで、新委員会が所管する分野は幅広くなる。

 常任委員会の委員の任期は2年で、1期4年で議員は2つの委員会委員を務めることもできる。

 市議会は現在、合併旧4町村の議員が加わり77人の大所帯で、4委員会には18―20人が所属。ただ、4月の市議選後は38人(旧市内34、旧4町村4)となるため、4委員会では1委員会当たり9―10人の所属となる。正副委員長を除けば7―8人となり、議論を活性化させる目的からも3委員会とし、1委員会当たり12―13人で構成する。

 このほか、市長改選期の2月定例会での代表質問廃止を早速、今議会から始めることを確認。市長改選期の新年度予算案は政策予算を除いた骨格編成となるため、新しい市長が政策予算を肉付けし、市政執行方針演説を行う6月定例会で代表質問をする。改選期の代表質問はこれまで、2月と6月の2回行ってきた。

 議会改革は、議会運営委員会の委員で組織するワーキンググループが昨年2月から協議を続けてきた。ワーキンググループの座長も務める能川座長は「達成できなかった課題もあるが、一定の成果は出ていると思う。新委員会の名称を産業委員会とする案もあったが、経済・建設とする方が市民にも分かりやすいと判断した」と話している。(高柳 謙)


◎「潜在自然植生」生かして 上ノ国町のグリーンベルト構想
 【上ノ国】25日に推進協議会が発足した上ノ国町の日本海グリーンベルト構想―。従来の植林事業の常識を破り「潜在自然植生」と呼ぶ、植物の自生力を生かし、半世紀という長い時間をかけて森林の回復を目指すユニークな取り組みだ。

 「潜在地域植生」は、宮脇昭・横浜国立大名誉教授が提唱。自然環境に根差した強い樹木を選んで植樹や種子を植えることで「本物の森林」の回復を図る手法だ。

 同町は、下沢孝桧山森づくりセンター所長が見いだした、この地域の潜在地域植生とされるカシワの種子(ドングリ)と、種子から育てる苗木を、荒れた海岸沿いの台地に植える。周辺の希少植物などに配慮して、現地に生い茂る数十センチのササを1・5メートル幅で刈り、ドングリは1000平方メートルに3000個、苗は1000本の割合で手作業で植える。両側のササは風よけとして残してカシワを守る。ササの背丈を超えたカシワは風雪にさらされ成長は鈍るが、厳しい気候に耐える丈夫な森になる。植栽は20年、森が育つには50年を要する壮大な構想だ。

 事業は2026年までの20年間にわたり町ぐるみで推進。学校教育や住民活動に取り込み、町民の環境意識や自治意識、郷土愛を盛り上げたい考えだ。

 これまで、海岸地域の森林造成は、苗木を守る防風さくや垣根が欠かせなかった。風雪にさらされる同町沿岸では技術的なハードルも高い。「日本海沿岸での植樹は誰もが必要性を認めていたが、膨大な予算を要する難題を前に誰も着手できなかった」(下沢所長)。同町は厳しい財政事情の中でも、長期にわたり実現可能なアイデアを模索。カシワが持つ自然の力を生かした同構想の実現に踏み出した。

 推進協には、ひやま漁協上ノ国支所所属の漁業者約30人が加盟。初会合では「農林業者との連携を深めて陸海一体の取り組みとすべきだ」「事業を通じて山や海の環境を良くする運動の引き金にしよう」と活発な議論が交わされた。同漁協の市山亮悦組合長は「恋人である森と海を結ぶきずなが切れかかっている。黒潮と親潮がぶつかる、世界有数の好漁場でありながら漁獲量の減少は深刻。気付いた時に着手しなければ後世に汚点を残す」と力説する。

 工藤昇町長も「ドングリ拾いからすべて人力で行う事業。町民の全員野球でなければ実現できない。桧山から日本海沿岸の全市町村に構想を発信したい」と意欲を見せる。(松浦 純)


◎故郷の味を届けたい…新谷さん母娘 「さっぽろ乙部会」に三平汁振る舞い13年
 【乙部、札幌】懐かしい故郷の味を札幌に―。乙部出身者でつくる「さっぽろ乙部会」(渡辺鶴雄会長)の総会では13年間欠かさず、乙部町花磯の新谷祐子さん(63)が腕を振るった「スケトウダラの三平汁」を振る舞っている。“浜の母さん”による心づくしの三平汁は、故郷を離れた会員にふるさとのぬくもりを届け続けている。

 同会の第21回総会は27日に札幌市のホテルノースシティで開催。新谷さんは第9回総会からボランティアで参加している。ホテルの調理場では、持参の包丁で70匹ほどのスケトウダラを豪快にさばいた。調理場を提供してくれるホテルは市内でここだけ。顔なじみのホテルマンが親身に面倒を見てくれる。「だから会場は変えられないね」と寺島光一郎町長が語る。

 乙部・豊浜両船団提供のスケトウダラは、新谷さんが自宅で下ごしらえ。味を引き立てる肝やタチ(精巣)も欠かせない。「新鮮なスケトウは身が崩れないのでみそ仕立てが一番」

 同市に住む長女の小田島明美さん(42)も12年間連続の参加。新谷さんをてきぱきと手伝う。味付けは長年の勘だ。「みそはこれぐらいだね」「いい味だよ」。母娘の連携プレーに多くの言葉はいらない。味見に参加するホテルのシェフも舌を巻くほどのおいしさだ。

 総会が始まると三平汁のコーナーには長蛇の列。「三平汁が楽しみで欠かさず出席してます」。懐かしい顔触れと会話を楽しみながら盛り付ける。30分ほどで大鍋は空になった。

 漁協の婦人部長を長年務め、夫を海難事故で失ってからも浜に出て、はえ縄漁の準備や漁師の給仕を手伝う新谷さん。昔と変わらぬ浜言葉が飛び交う会場を「魚が取れて体が続くまで三平汁をやりたいね」と、優しい笑顔で見つめていた。(松浦 純)


◎運転中の携帯電話使用で道南初の逮捕者
 函館西署は30日、函館市北美原3、会社員の男(49)を道交法違反(携帯電話使用)の疑いで逮捕した。運転中の携帯電話使用による逮捕者は、2004年11月の同法改正以来、道南で初めて。

 調べによると、男は昨年11月14日午後2時半ごろ、同市港町3の国道227号でワゴン車を北斗から函館方向に運転中、右手で携帯電話を持って通話した疑い。

 交通取り締まり中の同署員が発見。停車を求められ、男は免許証を提示した後に「仕事中で急いでいる。後で交番に来る」などと話して走り去った。その後、男は電話や文書による再三の出頭要請に応じなかったため、同署は逮捕に踏み切った。

 男は「(交通反則)切符を切られたくなかった」と容疑を認めているという。

 同署は「運転中の携帯電話は事故に直結する危険な行為。軽微な違反だからといって『逃げ得』は許さない」と、今後も厳しく取り締まる方針だ。