2007年1月8日(月)掲載

◎移住企画(5)・福田郁夫さん・友子さん
 2005年11月に函館市美原地区に移住して1年。初めての冬は記録的な大雪に見舞われたが「除雪のことを考えて一戸建てではなくマンションを選んだので、特に苦労することはなかった。気候的には本州よりずっと住みやすい」と振り返る福田郁夫さん(61)。

 札幌市に生まれ道内の大学を卒業後、東京の電機メーカーに就職。その後、名古屋市内の病院に勤務し05年10月に定年を迎えた。「名古屋は長い歴史がある地域なので、よそ者には閉鎖的な面があってなじめなかった」と数年前から定年後の生活場所について思いをめぐらせていた。

 「夏は涼しく冬は雪が少ない海に面した地域」「医療機関や交通アクセスが充実した30―50万人程度の中都市」を条件に、千葉県銚子市、仙台市、福島県いわき市、岡山市などいくつかの候補地が挙がったが、当初は生まれ故郷である北海道は念頭になかった。「観光地としては素晴らしいが、冬の寒さと雪の多さを考えると老後を過ごす場所とは考えにくかった」。しかし、福田さんと、妻の友子さん(57)双方の両親が札幌に暮らしていることもあり、「何かあった時にすぐに駆け付けることができる場所を」と考え、函館が最終候補地なった。

 退職直前の05年2月に仕事の関係で初めて来函。夜、居酒屋で函館のおいしい海の幸をつまみに地元の人と意気投合し、おいしい酒を酌み交わしながら函館の素晴らしさを聞かされるうちに、移住の決意が固まったと明かす。

 インターネットを通じて函館市定住化サポートセンターで本格的な家探しをスタート。当初は本通や中道地区の物件を探していたが、なかなか見つからず、美原地区にようやく条件に合う新築のマンションを見つけた。「美原は町から離れているイメージがあったが、実際には病院や大型店も近くにたくさんあり、生活場所としては問題ない」と話す。

 現役時代は仕事に追われていた福田さんだが、「定年後は地域とのつながりを大切にしたい」と考え、昨年4月からは五稜郭病院で週に2回ボランティアサポートの活動を開始。また市亀田老人大学にも入学し同年代との交流も深めている。今年からはパークゴルフにも挑戦する予定だ。

 「農水産物も本当においしいものばかりで、食生活に関しては大満足」と話す福田さんだが、心配な点も少なくない。「今は私も妻も車を運転できるので移動についての苦労はないが、体の自由が利かなくなった場合、現在の函館の公共交通体系では不安が大きい」と漏らす。また本州に住む友人らを招待する機会も増えてくるが「函館は観光資源に恵まれているとはいえ、子どもや若い人たちが楽しめる場所や施設が少ない。ウオーターフロントも十分に活用しきれていないのではないか」と厳しい意見を向ける。

 「とりあえず10年間ここで生活し、一生を函館で過ごすかどうかを判断したい。それはその時の環(小川俊之)


◎勇壮!消防出初め式
 新春恒例の函館市消防出初め式が7日、函館市市民会館で行われた。市消防本部の職員や消防団員ら約960人、車両9台が参加。伝統の技「はしご乗り」や子どもたちの放水訓練などが披露され、市民の安全と火災のない一年を願った。

 消防車のサイレンに合わせ、特別救助隊員6人が市民会館の屋上からロープで降下。市消防音楽隊のファンファーレではしご車の先端に掲げられたくす玉が割れ、屋外式典は華やかに幕を開けた。

 婦人防火クラブや少年消防クラブ、消防団員らの行進に続き、火消し装束をまとった市消防団「町火消し」のメンバー約80人が伝統のはしご乗りを実演。木やり歌や纏(まとい)回しにのって、高さ6.5メートルのはしごの上でバランスを取りながら次々と繰り広げられる妙技に、集まった市民らは歓声を上げ、拍手を送った。

 このほか、少年消防クラブ・少年消防隊長の対馬祐平君(10)=鱒川小5年=による「訓練開始!」の号令で、子どもたち4人一組の放水訓練を実施。水の幕の中からは末広がりに栄えるように函館市の地形をイメージした大きな扇も登場した。

 屋内の式典では、長年の防火活動への貢献をたたえ、北星小学校少年消防クラブ、鱒川小中学校少年消防クラブ、木直少年消防隊の3団体に井上博司市長から感謝状が贈られたほか、優良消防団員19人が表彰を受けた。(森 健太郎)


◎1年の無病息災を祈る…函館八幡宮でどんど焼き
 古いお札や正月のしめ飾りなどを焼き、無病息災を祈る「どんど焼き」が7日、函館市谷地頭の函館八幡宮(中島敏幸宮司)をはじめ、道南各地の主な社寺で開かれた。

 全国的にどんど焼きは小正月の1月15日に行われるが、道南では「松の内」の最終日となる7日となっている。同八幡宮の境内に設けられた「忌床」(いみどこ)には、朝早くから訪れた市民らが持参したお守りやお札のほか、正月の松飾りなどが山積みにされた。

 小雨の中、午前9時に祭礼が始まった。神職が祝詞をあげ、氏子代表が玉串をささげた後、点火。瞬く間に大きな炎に包まれ、訪れた人たちは勢い良く燃える炎に手を合わせ、今年1年の無病息災などを祈った。

 竹製の熊手がパチッっと大きな音を立てる中、煙を頭に浴びようとする参拝客も見られた。市内から訪れた女性は「ことしも健康で過せるようにと、火に祈りました」と話していた。(山崎純一)


◎65人大人の仲間入り…江差で成人式
 【江差】2007年江差町成人式(町教委主催)が7日、町文化会館大ホールで開かれた。65人(男性24人、女性41人)がスーツや振り袖姿で出席し、二十歳の誓いを胸にした。

 小林優幸教育委員長は「怯懦(きょうだ)と安易を退ける勇気を持って欲しい。困難に背を向けてはいけない。近道を好まず意味のある遠回りを選んで欲しい」と式辞を述べた。

 濱谷一治町長は喪中のため欠席し、飴谷逸男助役が「人生は冷たい雨風も吹くが、嵐を堪え忍ぶことも必要。時には敢然として挑戦する勇気も必要だ。800年の歴史と文化を持つ江差に生まれたことを誇りに思って欲しい」と、町長のメッセージを伝えた。飯田隆一町議会議長、福原賢孝道議(檜山管内)も新成人にお祝いの言葉を贈った。

 新成人を代表し山本聖貴さん(姥神町)と藤谷望美さん(津花町)が小林委員長に、「江差町民として自覚と誇りを持ち、郷土の発展に努めます」と宣誓文を朗読。新成人全員で唱和した。続いて「20」の数字をかたどったキャンドルに点灯して、大人の仲間入りを喜び合った。

 檜山教育局によると同町の成人該当者(1986年1月2日―87年1月1日生まれ)は84人(男性40人、女性44人)。成人式参加対象者(86年4月2日―87年4月1日生まれ)は79人(男性34人、女性45人)。(松浦 純)


◎金森倉庫前の道路冠水…低気圧通過で道南大荒れ
 急速に発達しながら北上した低気圧の通過に伴い、道南は7日午後から猛烈な風雨に見舞われるなど大荒れの天気となった。函館海洋気象台によると、函館市美原で1月としては観測史上最大、年間では歴代4位となる最大瞬間風速40.1メートル(午後5時33分)を記録。江差でも24.5メートル(同3時6分)を観測した。各地で停電や冠水などの被害が相次いだほか、フェリーや空の便などの運航ダイヤが大幅に乱れた。

 同気象台によると、道南では風、波ともに8日午前まで荒れ模様が続く見込みで、引き続き、暴風・高波への厳重な警戒や、海岸や河口付近で高潮による浸水に注意するよう呼び掛けている。

 函館港に面した函館市の万代ふ頭や同市末広町の金森赤レンガ倉庫などでは、潮位が最も高まる大潮を迎えた7日午後5時すぎ、道路上まで波が打ち寄せて冠水した。このため周辺の市道は一時、全面通行止めとなった。

 同倉庫の従業員らは海側の入り口に土のうを積むなど対策に追われた。午後4時半ごろには全テナントの来店客を避難させ、同倉庫も閉店時間を繰り上げた。同倉庫内にある函館ビアホールの後藤敏一支配人は「勤め始めてから18年間、これだけの波が店まで迫ってきたのは初めて。身の危険を感じた」と話していた。

 このほか、函館市内各地で、屋根のトタンや看板、シャッターがはがれ飛ぶなどの被害が出た。

 北電函館支店によると、強風による倒木や飛来物などで高圧線が断線したため、函館市の亀田中野町、赤川町などの一部で最大約1000戸が一時停電。七飯町の大中山、大川、北斗市市渡の一部でも最大約1000戸が一時停電となった。同日午後10時現在、函館市赤川町の一部を除きほぼ復旧した。

 交通機関にも乱れが生じた。JR北海道によると、同日午後6時ごろ、JR函館線の国縫―中ノ沢駅間で、函館発長万部行きの普通列車(乗客11人)が線路内の倒木と衝突。乗員、乗客にけがはなかった。復旧作業を終え、同10時40分、運転を再開した。

 東日本海フェリーは江差―奥尻間の全便が欠航。東日本フェリーは函館―大間間の3便が欠航した。函館―青森間でも最大で約2時間の遅れが出た。

 空の便では、エアトランセの函館―新千歳間の3便、函館―女満別間の往復2便が欠航した。全日空(ANA)は函館―中部間の1往復2便と、函館―丘珠間の1便も欠航。合わせて約300人の利用客に影響が出た。

 函館山ロープウエイは強風のため、午前11時10分から運転を取りやめた。

 また、道道赤川函館線は同市亀田中野町320付近で数十本の倒木があり、一部区間(約100メートル)が同5時半ごろから通行止めとなった。(森健太郎、佐々木 司)