2007年1月9日(火)掲載

◎函館市成人祭、3035人が大人への第一歩
 「成人の日」の8日、函館市成人祭(市、市教委主催)が市民体育館で開かれ、あでやかな振り袖や羽織はかま、スーツ姿の新成人が大人としての第一歩を踏み出した。晴天に恵まれたものの時折強い風が吹く天候の中、約2200人が集まり、再会した旧友らと記念撮影するなどし、喜びを分かち合った。

 同祭出席の対象となることしの新成人は1986年4月2日生まれから87年4月1日生まれ。昨年12月末現在、男性1474人、女性1561人の計3035人で、前年より126人減少した。全道では6万1087人、全国では推計で139万人。

 式典で井上博司市長は「苦難、苦行を乗り越えて、強い勇気を持って自らの夢に向かって進んでもらいたい」などと激励。新成人を代表し、同市上野町、函館大2年の山田志朗さん(20)と同人見町、函館医療保育専門学校2年の森本直美さん(20)が「先人が築き上げ、培ってきた地域の文化や伝統をこれからも守り、愛する郷土である函館市の発展に努めます」と誓いの言葉を述べた。

 式典に続いて行われた祝賀行事は、新成人6人が参加する実行委員会が企画、運営を担当。旅行券などが当たる抽選会や、駄菓子が入った「想ひ出の詰め合わせ」の配布(先着500人)などさまざまな催しが行われた。

 南茅部地域のタイムカプセル返還コーナーでは、臼尻、尾札部の両中学校出身者が中学2年時に書いた「20歳の自分への手紙」を受け取り、懐かしそうに目を通していた。尾札部中出身の同市山の手3、販売員芝井彩乃さん(20)は「“自分の夢を忘れないで”と書いてあったが、今は夢をかなえて洋服の販売員になれました」と笑顔だった。

 近年、全国的に成人式でのトラブルが話題となっているが、函館市では式典中の私語や携帯電話の使用など一部マナーの悪い新成人もいたが、全体を通じ、目立った混乱はなかった。(宮木佳奈美)


◎転倒防止へ「冬道歩きガイドブック」無料配布
 函館開発建設部は、冬道転倒防止啓発パンフレット「函館冬道歩きガイドブック」を作製した。JR函館、五稜郭両駅、函館空港、バスターミナル、観光案内所、病院などで無料配布している。観光地の滑りやすいポイントを具体的に示すとともに、転びにくい歩き方を図解入りで紹介し、冬道での転倒事故防止につなげたい考え。

 函館市内では昨シーズン(2005年12月―06年3月)、救急車が出動した冬道の転倒事故が約170件発生。手関節、股関節、脊椎(せきつい)などを骨折し重傷を負うケースもあった。

 特に目立つのが転倒事故の6割を占める60代以上の高齢者と、雪の少ない地域から訪れた観光客。これらを防ごうと函館開建は、道開発局が雪道の道路環境改善に向けて取り組んでいる「雪みちプロジェクト」の一環として、函館土木現業所と共同して同ガイドブックを作製した。

 A4判見開きで、函館の観光地をイラスト化し、「坂道」「ロードヒーティングの切れ目」「建物入り口のぬれた床」などと、滑りやすい個所を紹介。歩き方のポイントとして「つるつる路面では靴の裏全体をしっかりつけて」「坂道では横歩きで山側に体重をかけて」など、雪国ならではのアイデアを分かりやすく説明している。

 さらに函館市街地に約300基設置されている「砂箱」の利用方法についても詳しく紹介していて、市民らに積極的な砂まきの協力を呼びかけている。(小川俊之)


◎函館市「市史年表編」3月発行/あすから予約受け付け
 函館市が1970年から編さん作業を続けてきた「函館市史」が、3月に発行する「年表編」で完結する。これまで発行してきた「通説編」(1―4巻)などで補い切れなかった事項も含め、約1万6000項目を年表でつづる。A6判、約700ページで1冊3780円。10日から予約を受け付ける。

 市史編さん室の紺野哲也参事は「この1冊で函館が分かる『読む年表』を心掛けた。各事項の出典資料も明記したため、興味を持った方が原典に当たり、さらに研究を深めてもらえるのでは」と説明する。

 658年、阿倍比羅夫が現在の秋田地方の蝦夷(えぞ)を征伐したことから始まる。文献は日本書紀、新羅之記録、吾妻鏡などからペルリ提督日本遠征記、新聞記事までと多彩だ。

 14世紀終わりごろに完成した手紙などの教科書「庭訓往来」には、諸国名産品に「宇賀昆布」が登場する。「現在の函館市志海苔地区で採れた昆布で、18世紀に入ると献上昆布として最高位になる。現在の南茅部地区の昆布が最高になるのは19世紀に入ってから」と紺野参事。

 開港期から文献資料が厚くなり、史実を詳細に伝える。1854年の箱館開港では、4月15日に3隻が入港し、同21日にはペリーが乗った旗艦ポーハッタン号とミシシッピー号も入港、松前藩との交渉が始まったことを紹介している。終わりは2004年12月1日の函館市と旧4町村の合併。

 検索に便利なCD―ROMも付いている。700部を発行し、頒布予定は3月上旬。予約は10日から2月28日まで、電話かファクス、はがき、電子メールで。市史年表購入希望と記し、住所、氏名、電話番号、予約部数、受け取り場所(本庁と7支所)を明記する。

 〒040―8666、(住所不要)函館市市史編さん室、TEL(兼ファクス)0138・21・3813、電子メールhensan@city.hakodate.hokkaido.jp(高柳 謙)


◎妙心寺で初祈祷会
 函館市谷地頭町の日蓮宗妙心寺(若松知泉住職)で8日、ことしの国土安泰、交通安全などを祈る「初祈祷会(きとうえ)」が開かれた。同寺の若松誨泉副住職と檀家(だんか)9人の計10人が水をかぶる「水行式」で身を清めた後、法要が行われた。

 例年、初縁日に当たる1月8日に実施しており、この日は檀家約100人が参加した。水行式が始まる正午になると、本堂前に檀家が続々と集まり、お題目を唱えながら若松副住職や、年男、厄年の人を迎えた。

 10人は水が張られた4斗だるの前で下帯一枚の姿になり、経を唱えて精神を集中。手おけで20回にわたり、頭から水をかぶった。例年より暖かめとはいえ気温は約4度。雪が舞う中、飛び散る水の音が境内に響いた。

 同寺では昨年11月1日から2月10日までの100日間にわたり、水行場で僧侶や檀家が水行を実施しており、2月3日は屋外で行われる。(笠原郁実)


◎低気圧 各地につめ跡/作業船浸水、倒木でけが人
 台風並みに発達した低気圧の通過に伴い、猛烈な風に見舞われた道南では、一夜明けた8日、停電や道路の通行止めが復旧した。しかし、函館港に係留中の作業船が浸水したほか、函館市内の男性が倒木でけがをするなど、各地につめ跡を残した。また、荒天が続いた地域もあり、函館と道内各地を結ぶフェリーや空の便には欠航が相次いだ。

 函館海洋気象台によると、今回の低気圧は6日から7日にかけ、台風並みに勢力を強めながら北上し、7日午後から西高東低の冬型の気圧配置に変化。このため、道南地方に北西の猛烈な風が吹きつけたという。

 同日は潮位が最も上がる大潮の期間で、低気圧の接近が満潮時刻(7日午後5時8分)と重なり、同市内の豊川町から末広町にある金森赤レンガ倉庫群の道路に海水が流れ込んだとみられる。

 同市西桔梗町56の市道では、7日午後5時25分ごろ、付近の住宅にあった高さ3・5メートルの木が倒れ、歩道を歩いていた男性(75)を直撃、頭を切るなどした。

 同市消防本部によると、住宅のトタン屋根がはがれ飛んだり、店舗の看板が落下するなど、7日午後4―9時ごろをピークに、約80件の出動があったという。

 JR函館駅近くの函館港若松ふ頭には、富士サルベージ所有の作業船(約100トン)2隻が高波を受け、それぞれが半分ほど浸水した。同社は9日にも排水や応急処置をした上で、引き揚げる予定。

 停電は同市内や北斗市、七飯町、森町で最大約2000戸で発生したが、8日午前7時54分にはすべて復旧。通行止めとなっていた道道赤川函館線は、道路内に倒れ込んだ木を撤去し、7日午後11時半から片側通行が可能となった。

 空の便では8日、エアトランセの函館―女満別便が女満別空港の悪天候で全4便が欠航。函館―新千歳間の3便が機材繰りがつかずに欠航した。全日本空輸(ANA)は8日に発生した機材故障の影響で機材繰りがつかず、函館―丘珠間の1便が欠航した。

 東日本海フェリーは、しけのため江差―奥尻間の全2便が欠航。