2007年2月14日(水)掲載

◎一般会計1221億5000万…函館市の2007年度予算案
 井上博司函館市長は13日、2007年度予算案を発表した。4月に市長選を控えているため政策的な経費を盛り込まない骨格予算となり、一般会計は1221億5000万円。函館臨海研究所の整備など大型事業が終了し、前年度当初比で3・6%減少した。財源不足は2億円で、財政調整基金から繰り入れる。特別会計と企業会計を合わせた総額は同0・9%減の2733億7700万円。28日開会予定の第1回市議会定例会に提出する。

 歳入は、市税が国からの税源移譲や定率減税の廃止などで前年度比9・0%増の344億5600万円。個人の所得水準が低迷する中、市外や道外に本社がある金融保険業や卸小売業の法人市民税が伸び、ホテルや住宅の建設による固定資産税・都市計画税が増加傾向にあるという。

 地方交付税は同1・2%増の327億2800万円。高齢者人口や生活保護受給者の増加が数字に表れた。税制改正で譲与税・交付金は同30・7%減の53億8900万円。市債発行は同15・9%減の98億7000万円となった。

 歳出は、事業費が88億5000万円で、地域交流まちづくりセンター整備や昭和小学校校舎の建て替えなどが終了したため、同28・2%減少した。職員費は退職手当が増加するが、行財政改革による職員削減などで同5・1%減、13億1000万円圧縮し、245億8500万円となった。

 市町村合併による議員の在任特例期間終了に伴い、議員が78人から38人となるため、議会費も同16・5%減の5億100万円。公債費は同0・3%減の137億2800万円。

 行政運営の基本的な経費を中心とした骨格予算とする一方、市民サービスや地域経済に与える影響を考慮。井上市長は「骨格予算でも緊縮型と言えるが、緊急性や継続性のある事業には手を打っている」と述べた。

 継続事業では、弁天地区など函館港の国直轄港湾整備事業7億6600万円、ガゴメ(トロロコンブの仲間)の養殖・増産試験事業6700万円、義務教育施設整備3億7150万円などを計上。

 新規事業では貿易振興に向けた民間からの専門職員登用や地域放課後児童健全育成事業の学童保育所への児童用教材費加算などを盛り込み、地域経済の活性化や公共事業の確保、子育て支援などに配慮した。(宮木佳奈美)


◎12検体、基準値上回る…亀田農協 カボチャ残留農薬
 昨年8月、函館市亀田農協が出荷したカボチャから、残留農薬基準を超えるヘプタクロルが検出された問題で、同農協が委託していた土壌分析検査の結果がまとまった。全39戸のカボチャ栽培農家の農地各5地点から深度別に採取した全115検体の土壌を検査した結果、12検体から残留量の基準値0・03ppmを超える農薬が検出された。市は15日の市議会経済常任委員会で報告する。

 同検査は昨年10月、原因調査のため茨城県内の民間機関に依頼。同農協管内の全カボチャ栽培農家39戸、作付面積33ヘクタールを対象に行った。土壌については残留農薬の基準はないが、カボチャの基準値0・03ppmを準用してまとめた。

 各農地の5地点から深さ別に土壌を採取。不検出は35検体、0・03ppm以下が68検体だった。基準値を超えた12検体のうち、最も大きい値は0・07ppmだった。

 検査の結果を受け、同農協ではことし、カボチャの作付けを全面自粛。一部農地では、ヘクタプロルなど有機塩素系農薬の吸収率が低いとされるトマトやナスなどの作物に転換して栽培する。また、残留が確認された農地では、カボチャやバレイショ、ダイコンなどの作物を植え、ヘプタクロルの吸収試験やや、吸着剤を使用して土壌の改良効果を検証する試験を行う。

 市では、残留農薬基準の見直しや農薬の解消技術の開発など、関係機関と連携し、国や道に働きかける方針。(今井正一)


◎函館地裁 来月1、2日に一般対象模擬裁判
 函館地裁(矢村宏所長)は3月1、2両日、同地裁で一般人を裁判員役にした初めての模擬裁判を実施する。裁判員は法廷で裁判官とともに、架空のタクシー運転手強盗殺人事件を審理し、評議、判決宣告までを行う。13日には、実施を前に同地裁で、事前に争点などを整理する公判前整理手続きが行われた。

 同地裁では職員や報道関係者らを裁判員にした模擬裁判を過去3回実施。昨年12月に裁判員裁判法廷が完成したことなどから、裁判員裁判の流れの検証や制度理解を目的に、一般対象の模擬裁判を企画した。検察官は函館地検の検事が、弁護士は函館弁護士会の弁護士がそれぞれ務める。

 事件は住所不定、無職の男が、乗車したタクシー運転手の男性をナイフで殺害し、売上金などを奪った架空の強盗殺人事件。公判前整理手続きは通常は非公開で行われるが、報道陣や法曹関係者に公開され、約30人が見学した。

 検察、弁護側双方が事前に交換した証明、主張予定事実記載書を基に協議。殺意の有無などの争点や証人や証拠を採用するかどうかなどを決めた。審理の迅速化や裁判員の負担軽減のため、証人尋問や論告などの所要時間なども詳細に検討した。

 裁判員役は函館市内・近郊の一般市民から選任する予定。裁判は2日間の日程で、初日に冒頭陳述や被告人質問などを行い、2日目に論告求刑、評議や判決宣告を行う。(原山知寿子)


◎市公民館 改修を…18日にコンサート 気運盛り上げる
 函館市公民館を音楽ホールに―。市内の音楽家や建築家らでつくる函館市公民館活性化ネットワーク「イキ!ネット」(松石隆代表)は18日午後2時から、市公民館(青柳町12)でクラシック演奏会「公民館マチネ」を開く。同団体は「昭和」の趣ある同公民館を市民会館や市芸術ホールに次ぐ音楽ホールとして活用することを市民らにアピール。長く使えるよう、コンサートでは出演者と聴衆に講堂の利便性や音響効果などについてアンケートを行い、公民館の現状を市に訴え、改修にこぎ着けたい意向だ。

 市公民館は1933(昭和8)年に完成。漆喰(しっくい)壁で落ち着いた雰囲気の講堂は全346席。音響が良いと演奏家に好評だが毎年、修繕が必要になるなど老朽化が進んでいる。遮音性の悪さや駐車場がないなどの課題も多い。

 98年の市芸術ホール(五稜郭町37)完成以降、地元演奏家の活動が活発化。同ホールの予約がなかなか取れない状況となった。松石代表は「演奏活動ができなければ、音楽文化が衰退してしまう」と危機感を強めて昨年、音楽家や建築家ら10人で「公民館の活用促進を」と同団体を発足させた。

 「マチネ」とはフランス語で「昼の公演」の意味。コンサートでは、指折りのメンバーが出演する。チェンバロ奏者の森洋子さん、ピアニストの畑中一映さん、畑中佳子さん、伊藤亜希子さん、フルートに松石隆さん、クラリネットに岩平尚子さんと豪華な顔触れだ。

 公民館はかつて函館の音楽活動の拠点で、「幼いころ、この講堂でピアノを発表したことがあります」(伊藤さん)と地元演奏家にとっても思い入れがある。また、客席数や2階建ての造りが「室内楽など中小規模コンサートにぴったり」と松石代表さん。「このままでは地元演奏家の活動が鈍ってしまう。市民の生の声を市に伝え、改修を求めたい」と話している。今後も2、3カ月置きに演奏会を開く予定で、第2回は4月8日を予定している。

 駐車場不足を補うため「カフェフォルテ元町」(元町20)、「ホテル函館山」(同19)、「新鮮喰味沙羅の月」(青柳町9)周辺飲食店3店とタイアップ。3店でランチを予約した来場者は、各店駐車場が利用できる。

 演奏会は午後1時半開場、同2時開演。入場料1000円(ランチは別料金)。チケットはカフェやまじょう(元町30)などで販売中。問い合わせは事務局TEL090・1389・2813。 (佐々木 司)