2007年2月15日(木)掲載

◎「ペアーレ函館」を魚長食品が落札
 3月で閉鎖される函館社会保険健康センター「ペアーレ函館」(函館市乃木町8)が、魚長食品(函館市豊川町12、柳沢勝社長)に売却されることが14日までに分かった。同社は昨年11月に行われた一般競争入札で2億250万円で落札。プールをはじめ各種スポーツ、トレーニング設備の充実した同施設の、新年度からの活用法が注目されている。

 同施設は、社会保険健康事業財団が「心と体の健康づくり」を目的に1997年にオープン。3階建て、延べ床面積1900平方メートルで、トレーニングルームやプール、多目的ホールなどを完備。スポーツやトレーニングなど幅広い講座が開かれ、市民の健康づくりの拠点の一つとして親しまれてきた。

 しかし、年金や社会保険制度の合理化を目的に、国は2005年6月に年金・健康保険福祉施設整理機構法を制定。全国の年金福祉施設480件は09年度までにすべて売却することになり、同施設は昨年9月8日から入札が公告されていた。

 魚長食品を母体とするはこだてマルカツグループは現在、北斗市で「スパビーチスポーツクラブ」(七重浜8)を運営しており、ペアーレ函館でも既存設備を活用し、フィットネスやスポーツ教室などこれまでの事業を引き継ぐことが期待されている。

 ペアーレ函館では現在、3月までを期限とした本年度後期の約100講座に1500人ほどが通っている。現時点では4月以降のスケジュールは白紙で、同施設は「運営体制が変わっても、事業が可能な限り継続されることを期待したい」と話している。 (小川俊之)


◎パブリックコメントで市、体系導入へ要綱策定
 計画や条例制定時のパブリックコメント(意見公募)の体系的な導入に向け、函館市は手続き要綱を策定した。意見公募する対象や期間、意見の提出や回答方法などについて統一の基準を定め、4月からの適用を予定している。市企画部と総務部は「市民の市政への参画を促進し、計画や条例案を公表することで市政運営の公平性や透明性が向上する」としている。

 意見公募は2003年度から、市の各部局が独自に実施。男女共同参画推進条例(市民部)や水産振興計画(農林水産部)、文化芸術の振興に関する基本方針(教育委員会)、都市景観の形成(都市建設部)、国民保護計画(総務部)などがあり、現在は企画部が新総合計画について市民から意見を公募している。

 市行政改革課によると、これまで実施中を含め、14件の計画や条例制定で行っている。実施した中では男女共同参画推進条例の意見が40人182件と最も多く、国民保護計画は2人8件と少なかった。計画や条例により、意見や関心の濃淡がありそうだ。

 手続き要綱では、意見公募できる対象を市内在住者や市内への勤務・在学者などとした。手続き対象となるのは、市の基本的な政策を定める計画や基本的な制度を定める条例などで、計画などを緊急に策定する必要がある場合は手続きを実施しないことも定めている。

 意見公募する計画や条例などは市のホームページ(HP)や広報誌、各機関での閲覧などで示し、意見の提出期間は30日以上設けることとした。計画策定に当たり市は、寄せられた意見を十分考慮することや、意見に対する考えを公表することも規定した。

 公募意見はこれまで、各種計画に反映されなかったケースもある。指摘の内容がすでに計画案に盛り込まれていたり、意見が公募の趣旨と違っていたりと、さまざまだ。一方で文化芸術の振興に関する基本方針修正案では、寄せられた意見を踏まえ、文言を改めたり、新たな施策を追加したりした。

 同課は「HPでパブリックコメントの実施状況の一覧を掲載し、随時公表していくので、制度の周知や市民の関心も高まるのでは」と話している。

 手続き要綱は15日の市議会総務常任委員会に報告する。(高柳 謙)


◎文化芸術振興の基本方針、「函館らしさ」重点に
 函館市教委は「市文化芸術の振興に関する基本方針」の修正案をまとめた。昨年4月に施行した市文化芸術振興条例に基づき、文化芸術の振興に向けた具体的な考えや取り組みを体系化した。合併した旧4町村地域を含めた「函館らしい文化芸術」の保存・継承・振興を重点化しているのが特徴。15日の市議会総務常任委員会に報告する。

 昨年2月に素案を議会に示し、議会の声のほかパブリックコメント(意見公募)、市文化団体協議会や大学の学生、社会教育委員、教育委員らの意見を取り入れ、修正案とした。

 文化芸術の振興を図る対象範囲の一部として、素案で「地域における文化芸術」としていたのを、広範でイメージしやすい「函館らしい文化芸術」に改めた。通常の文化や芸術のほか、函館の歴史を踏まえ、さまざまな地域の土壌や風土で培われてきた郷土芸能や伝統文化の振興を目指す。

 基本方針を大綱で6点掲げ、5点目に「歴史的文化遺産やその他の伝統的な文化芸術の保存、継承、活用、発展」をうたっている。施策として▽歴史的文化遺産を活用した文化事業の開催▽地域固有の祭り、民話、食物など生活文化調査の実施▽伝統文化講座の開催―などを例示した。

 素案に対するパブリックコメントは11人から16件が寄せられた。「郷土意識を高める学習が必要だ」とする意見を受け、新たに「函館の伝統(ふるさと)文化の保存・継承・活用」を施策の方向に加えるなど、市民意見を反映した修正案となっている。

 市教委は議会への報告と3月の定例教育委員会の議決を経て、同基本方針の年度内の成案化を目指している。(高柳 謙)


◎公立高校で推薦入試
 2007年度公立高校入試の推薦選抜が14日、全道141校で一斉に行われた。道南では本年度新たに函館稜北、南茅部が導入。このうち南茅部では出願がなかったため推薦入試は実施されなかった。

 推薦出願数が107人(定員64人)と道南の公立高校で最も多い市立函館では、午前9時50分から函館東高校を会場に、英語の聞き取りテストと面接がスタート。

 面接官3人が志望動機や中学校での活動、趣味や性格などについて尋ねると、中学生は緊張した表情を見せながら「単位制高校ではさまざまな科目から自由に選択できるので、自分の夢を実現できると思った」などとはきはきと答えていた。

 合否は英語の聞き取りと面接をはじめ、推薦書、自己アピール文などで総合的に判断される。結果は21日までに中学校を通じ受験生に伝えられる。不合格となった生徒は再出願を経て、3月6日の学力検査を受けることになる。

     ◇

 市立函館高校推薦入試の英語聞き取りテスト(約25分間)で、少なくとも受験生1人の問題用紙の一部に落丁があったことが14日、分かった。

 同校によると、問題用紙は表紙を除く全4ページ。試験中、問題用紙2ページ目が白紙になっていることに受験生が気づき、試験監督の教員に申し出て判明した。

 同校は16日までに救済措置などを検討する考え。(笠原郁実)



◎24、25日に東京で「海峡都市物産展」
 【東京】津軽、関門両海峡に面する4市でつくる「海峡都市ブランド創設実行委員会」(委員長・鎌田慶弘青森商工会議所青年部副部会長)は24、25両日、JR新宿駅(東京)で「海峡都市物産展」を初開催する。実行委は、函館、青森、下関(山口)、北九州(福岡県)の官民で構成。各地の食材を詰め込んだ「海峡都市弁当」11品を限定販売するほか、特産品をそろえ、4市の魅力や観光をPRする。

 海峡ブランド開発をテーマに昨年8月、青森市で開催した「第18回日本海峡都市フォーラム」で物産展の開催を決定。弁当は、ブランド商品第1弾として同フォーラムで公開審査が行われ、採用された。

 弁当を製造するのは4市の9社。両日とも第1便で空輸し、数量限定で販売する。函館からは、ともに海の幸を豊富に使った、みかど函館営業所(若松町12)の「海峡の賑(にぎ)わい」と今井メディカル給食(昭和3)の「ともえしょうかどうべんとう」の2品。他の3市も特産を盛り込んだ弁当を出品する。

 会場では、弁当や特産品を1500円購入すると、4市の旅行や特産品が当たる抽選会も企画。両日とも各市のミスが参加し、各地域の魅力をPRする。

 実行委事務局を務める函館市港湾空港部管理課によると、同駅西口広場イベントスペースがある連絡通路は、一日当たり50万人の通行量があり、物産展などのイベントでは約1万人の人出が見込めるという。

 同課は「海峡都市ブランド第1弾の弁当が、首都圏でどれだけの需要が見込めるか判断したい。今後、4市合同物産展開催継続に向け、事業モデルとなれば」と成功を期待している。(今井正一)


◎江差沖揚げ音頭保存会が南が丘小にはんてん寄贈 
 【江差】道指定無形民俗文化財の「江差沖揚げ音頭」の伝承に取り組む江差南が丘小(田中正邦校長、児童156人)に、地域住民でつくる江差沖揚げ音頭保存会(辻隆次会長)が新調したはんてんや手ぬぐいなど上演用の衣装30着が寄贈された。児童は真新しい衣装を手に、伝統芸能の伝承に決意を新たにしていた。

 江差沖揚げ音頭は、江差に繁栄をもたらしたニシン漁から生まれた。船をこぎ、網を起こし、タモ網でニシンを船に揚げ、網に着いたカズノコを海に戻し、船が港に帰るまでの情景を勇壮な歌と踊りで伝えている。

 保存会副会長の菊地勲さん、船頭役の田中幹夫さん、事務局長の岩井慎さんの3人が、13日に同校で行われた贈呈式に出席。はんてん、パッチ、手ぬぐいなどからなる真新しい衣装を贈った。青色のはんてんの襟には学校名が入り、背中には「大漁」という赤色の文字と波の模様を染め抜いた。

 保存会は文化庁の「ふるさと文化再興事業」を活用して上演用の衣装を整備。伝承活動に取り組む同校にも新調した衣装を贈った。

 菊地さんは「江差には地域に密着したたくさんの郷土芸能がある。皆さんも後継者の一人になって町を盛り上げてほしい」とあいさつ。児童会長の若山侑菜さん(6年)は「江差の伝統芸能を受け継いでいきます。はんてんを大切にします」と、お礼の言葉を述べた。

 田中校長は「1958年の開校直後から、保存会の皆さんと学校の考えが一致して伝承活動を引き継いできた。これからも皆さんで受け継いでいってほしい」と、児童に呼び掛けた。

 同校は、総合学習の一環として、校区内の五勝手地区を中心に伝わる、道指定無形民俗文化財の江差沖揚げ音頭、五勝手鹿子(しし)舞、町指定無形民俗文化財の江差鮫(さめ)踊りの伝承活動に取り組んでいる。江差沖揚げ音頭は、5年生を中心に保存会メンバーの指導を受けながら、毎年秋の学習発表会で勇壮な踊りを披露している。(松浦 純)