2007年2月18日(日)掲載

◎函館高専公開講座・蝦夷錦通し交易学ぶ
 中国製の絹織物でサハリンアイヌが朝貢で清王朝から下賜された蝦夷錦(えぞにしき)について学ぶ函館高専公開講座が17日、函館市末広町の市北方民族資料館で開かれた。同校の中村和之教授(北東アジア史)が講師を務め、市立函館博物館所蔵の蝦夷錦2点を鑑賞し、大規模に行われていたアイヌ民族の交易の一端を学んだ。

 市民ら20人が参加。蝦夷錦は竜や牡丹(ぼたん)の文様があり、朝貢で反物として下賜され、衣服のほか仏壇の内敷などに形を変えて残っている。展示された衣服は18世紀から19世紀にかけての清王朝時代の作で、首の周りを巻く竜の文様が特徴。中村教授は「松前や江差の旧家や寺院に内敷として残っており、当然、函館にも確認されないで眠っている蝦夷錦があるはず」と述べた。

 進貢はサハリン対岸のアムール川河口で行われた。アイヌの朝貢の品はクロテンで、毛皮1枚につき清から蝦夷錦1枚が与えられた。「価値は蝦夷錦の方がずっと高く、政治的にアイヌを支配する中国の朝貢交易。相手が頭を下げることで何倍もの品を与え、供宴でもてなし、力を見せ付けた」と説明した。

 特別に展示された蝦夷錦を間近で見ながら、中村教授が解説。金糸をはじめ彩り豊かに織られた錦に、参加者からはため息が漏れた。(高柳 謙)


◎桧山管内のラスパイレス指数 5年で4・4ポイント減少
 【江差】桧山管内では2006年度、財政難や行財政改革の推進に伴い、自治体職員の給与水準を示すラスパイレス指数が02年度と比較し、全町平均(旧町の数値を含む)で4・4ポイント減少した。奥尻町では80%台まで低下。財政状況が厳しい町は、新年度以降も独自の給与削減措置を講じる方針で、低下傾向は今後も続きそうだ。

 同指数は、同等の職種や経歴に当たる国家公務員の給与額を100とし、地方公務員の給与額を比較して算出する。06年度の全道町村の平均は95・0%だった。

 02年度の管内10町平均(合併した旧北桧山、瀬棚、大成の3町、八雲町と合併した旧熊石町を含む)は96・53%だが、各町では行財政改革や財政難による給与削減が進んだ結果、06年度(せたな町を含む。旧熊石町を除く)には02年度比4・4ポイント減の92・13%に低下。全道平均を2・87ポイント下回った。

 町別に02年度と06年度を比較すると、02年度は99・7%と管内で唯一、全道平均を上回った江差町は、04―05年度と続いた給与削減に伴い、7ポイント減の92・7%。奥尻町は95・7%から9・3ポイント減り、管内で唯一90%台を割り込む86・4%になった。

 早くから財政健全化の取り組みを進めてきた厚沢部町は3・4ポイント減、乙部町は2・3ポイント減と下げ幅が小さく、今金町は増減ゼロだった。

 一方、江差町では、新年度にも追加措置として、今後3年間にわたり、基本給の2%削減を柱とする人件費削減について労使が合意。新年度は90%前後に低下する見通し。歳入減少や地方交付税の削減で、厳しい財政運営を余儀なくされている他町でも、新たな給与削減に向けた動きが予想され、国家公務員との格差はさらに広がる公算が大きい。(松浦 純)


◎新入学商戦ピーク
 もうすぐ1年生―。函館市内のデパートや大型スーパーなどでは、新入学生向けのランドセルや文房具などが多数並び、週末には親子連れらで混雑している。子どもたちは目を輝かせて売り場を歩き回り、学校生活への夢を膨らませている。また、写真館では新入学生だけでなく、人生の節目を写真に残そうとする人でにぎわっている。

 棒二森屋(若松町17)では、昨年10月にランドセルコーナーを設置。段階的に商品を増やし、現在は8メーカー、30種類を陳列している。人気の品は4万円前後。付属品に防犯ブザーや、子供の居場所をパソコンなどに知らせる機能付きの商品も登場している。例年、3月上旬に販売のピークを迎えるという。

 メンズウェア・ベビーチャイルド部の三ツ石誠課長は「男の子は緑や紺、女の子はピンクが人気」と話す。オレンジなどのカラフルな色はかつて、目立ち過ぎるなどと評判はいまひとつだったが、5年ほど前から人気が出てきた。「鮮やかさと、皆がそろって買い始めたのとで、違和感がなくなってきたのでは」と三ツ石課長。

 卒園(業)・入学式用の服は男女ともに黒や紺を基調にしたモノトーンが人気。シンプルで落ち着いたデザインが好まれているようだ。値段は1万5000円から3万円前後。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)では「新入学用品フェア」と題し、鉛筆やノートなどの文房具を豊富にそろえている。文具・玩具担当の佐藤友章マネジャーは「学校説明会で必要な文房具の説明を受けた後、まとめ買いする人が多い」と話す。

 佐藤マネジャーによると、函館では小物を入れたりする「おどうぐ箱」の人気が、全国のイトーヨーカドー他店に比べて高いという。キャラクター商品の売れ行きも上々で、「学校で決められているデザインなどの規定が、他地域に比べて緩和されているのでは」と分析する。

 キダチ写真館(宝来町10)では昨年5月から、新入学児の記念写真について問い合わせがあったという。「家族全員で新入学の準備を楽しんでいるようですね」と木立久美子社長。記念撮影のピークは3月に入ってからだが、早い時期に撮影を終え、あいさつ回りの際に一緒に写真を渡す人もいるという。

 大学進学の記念撮影も増えている。地元を離れ、首都圏などに向かう人が多く、家族がそろう機会が少なくなるかためとみられる。木立社長は「色あせない思い出を残してほしい。家族というかけがえのない存在を考える機会になれば」と話している。(田中陽介)


◎白乙女の納豆 スーパーで試験販売
 【乙部】乙部町で生産が始まった大粒大豆・大莢白乙女(おおざやしろおとめ)を原料とする納豆の試験販売が17日、乙部町内の食品スーパー「乙部フードセンターブンテン」(館浦490、打越冨貴夫社長)で行われた。

 同店では午前11時すぎ、50グラム入りパック3個入りの納豆98個が店頭に並んだ。パッケージには「乙部町の皆様が作った大莢白乙女を使用した納豆です」とのラベルが張られ、価格が書かれたポップでも「乙部産おおさや白乙女使用」の大きな文字でPRした。

 続々と訪れる買い物客は、興味深そうに手に取り、数パックまとめて買い求める姿も。店頭に並べてから1時間ほどで30個近くが売れるなど、出だしは好調だった。

 試験販売に協力した同店の能代仁・副店長(39)は「だるま食品本舗の協力で、価格を安く設定できたこともあり、なかなか好評です。味を覚えてもらい、評判が広がれば幸い。地場の大豆ということで、アピール力もあり商品化が期待されます」と話していた。

 1センチ近い大粒で、高品質を誇る白乙女の生産は、本年度から町内で始まり、約3トンの生産があった。納豆や豆腐などの原料として販路開拓を模索する町は、函館市の納豆メーカー・だるま食品本舗に依頼して納豆を試験製造。16日には町内の学校給食で提供された。(松浦 純)


◎函館中島小で遠隔授業/テレビ電話で東京、神戸の小学校と交流
 函館中島小学校(森武由美子校長、児童201人)で16日、海を越えた3校による交流遠隔授業が行われた。函館、東京、神戸の3小学校をテレビ電話でつなぎ、学校紹介や天気の様子などを発表しながら、交流を深めた。中島小の4年生28人と、町田本町田東小(東京都)の4・5年生、神戸井吹西小(兵庫県)の4年生が参加した。

 同授業は、町田市教育委員会などが進める学校教育情報ネットワーク事業の一環で、他地域の文化などを情報通信技術(テレビ電話)を用いて学ぶのが目的。データ通信事業のNTTデータ関西(大阪府)が協力した。

 3会場の様子がスクリーンに映写機で映し出されると、児童は手を振り、大きな声でマイクに向かってあいさつ。

 中島小児童は「函館では給食にスルメやイカ飯がでます。みなさんの給食の名物メニューは何ですか?」と質問。神戸の児童が「タコ飯が出ます。明石名物のおいしいタコです」と答え、3会場から大きな笑い声が起こった。

 「雪は多いですか」と東京から中島小に質問があり、児童は「函館では少ないですが、札幌はいっぱい積もってるようです」と答え、地元の暖冬ぶりを伝えた。また“いか踊り”を元気に披露し、函館をPRした。

 中島小の森裕行君(10)は「いろいろな話が聞けて勉強になりました」、佐々木麻衣さん(10)は「とても楽しかったので、また、この授業を受けたい」とそれぞれ目を輝かせていた。(田中陽介)