2007年2月19日(月)掲載

◎初春巴港賑/母子愛に喝さい
 道南各界の名士が歌舞伎を演じる「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」第29回公演(実行委、函館市文化・スポーツ振興財団主催)が18日、市民会館大ホールで開かれた。今回は「母と子」をテーマに、約40人の市民役者が熱演。満員の観客は、人情味あふれる物語に大きな声援や拍手を送り、函館の初春の風物詩を楽しんだ。

 出演者は、行政、経済、文化、医療などの分野で活躍する人たち。場内からは仕事で見る時の顔との違いや、プロ顔負けの演技へ感心の声が上がり、母と子の親子愛の芝居に涙し、懸命さのあまりに発生するハプニングに笑いが起こっていた。

 井上博司市長ら5人の口上の後、戯曲「瞼(まぶた)の母」の幕が開いた。函館出身の演歌歌手高田ともえさんが、生き別れた母をさがす忠太郎役を務め、殺陣や、格好よく立ち去るシーンを演じた。

 恒例の「白浪五人男」に続き、最後の「どんどろ大師」では、尼僧の2人のアドリブを利かせた芝居を展開。函館子ども歌舞伎の佐藤菜月さん(函館北美原小2年)の、母をさがして一人旅をする娘の演技などに盛大な拍手が送られ、約3時間半の舞台の幕が閉じた。(山崎純一)


◎函教大の小川助教授が自宅にデッサン教室開講
 道教育大函館校の小川誠助教授(45)=美術教育=はこのほど、函館市西旭岡町3の自宅アトリエを開放し、中学・高校生を対象にしたデッサン教室「アトリエ・ピエタ」を開設した。芸術大や美術大進学を希望する高校生たちに、美術の基礎として重要な「デッサン」を手ほどきする。道南の美術の底上げも視野に入れた活動となりそうだ。

 昨年4月、東京芸大を目指したいという高校生にデッサンの指導をしたのがきっかけ。美大、芸大への受験指導の場が少ないことを知り、「進学希望者の力になれば」と募ったところ、高校生から社会人まで7人が集まった。

 講師は小川助教授と妻芳子さん(31)。ともに東京芸大卒で小川助教授が彫刻、芳子さんが油画を学んだ(誠さんは大学院修了)。その後、美大・芸大の予備校講師を務めるなど受験にも明るい。

 デッサンは受験科目に欠かせない上、絵画のほか、彫刻、建築デザインなど立体的な美術制作に必要不可欠。対象物の正確さはもちろん、作者の美的感覚が養われるなど「一生を通じてするもの」(小川助教授)。教室名の「ピエタ」も、彫刻家ミケランジェロが生涯にわたって4体を制作した彫刻の名にあやかった。

 教室は今、受験シーズンに合わせ「強化週間」中。市内の高校生が週4、5回、デッサンに励んでいる。美術系大学合格を目指す金子ゆりさん(函館北高3年)や芸大志望の若山翔子さん(遺愛高2年)は「絵の描き方が変わった」と手応えを感じている。

 さらに小川助教授は「出張教室」も企画中。各高校の美術室でデッサン教室を開き、制作と講評をする考えだ。

 道教育大の課程再編で、函館校は06年度の新入生から美術科を廃止。若手作家減少の波が迫るのは必至で、小川助教授は「このままでは函館は衰退の一途」と危機感を募らせている。「両教室を通じて中学・高校生の美術教育の理解につながれば」と話している。

 受講生を募集中で「デッサン教室」は毎週土曜(午後1時から同5時)で体験入門も受け付けている。問い合わせや申し込みは小川さんTEL0138・50・3847。(佐々木 司)


◎100年の歴史に幕 水堀小で閉校式
 【江差】3月で100年の歴史に幕を閉じる、町立水堀小(吉田耕一校長、児童57人)の閉校式が18日、同校で行われた。児童と教職員、住民ら約100人が慣れ親しんだ校名に別れを告げた。水堀小は同じく本年度で閉校する朝日、日明両小と統合。新たに開校する江差北小の母体となり、校舎は新たな歴史を刻み始める。

 式典は統合に備えて新築されたばかりの体育館で行われた。濱谷一治町長は「春から朝日小、日明小の児童も通ってくる。地域のきずなを強くして、夢と希望ある新しい校風を築いて欲しい」と式辞を述べた。吉田校長は「水堀小は児童約120人の江差北小に生まれ変わる。長い歴史の1ページを刻んだことを誇りにして」と児童に呼び掛けた。

 児童代表の伊藤絢さん(6年)は「水堀海岸林での学習や、漂流瓶を通じて始まった福井県の雄島小との交流など、多くの思い出は水堀小だったからできた。この思い出は忘れません。ありがとう水堀小学校」と、お別れの言葉を述べた。式典では、校歌とともに式歌として歌い継いだ「我が大地の歌」を全員で合唱して、親しんだ校名との別れを惜しんだ。

 同校は1907(明治40)年に中崎、柳崎両尋常小(1882年開校)の統合により、水堀尋常小として開校。1947年に水堀小に改称。55年の泊町合併で江差町立となった。

 町内では25日に日明小、3月4日に朝日小が閉校式を行う。江差北小の開校式と入学式は4月6日に予定している。 (松浦 純)


◎ごっこに舌鼓、恵山でまつり
 函館市恵山地区の名物ゴッコ(ホテイウオ)の魅力を存分に堪能するイベント「第17回えさんごっこまつり」(実行委主催)が18日、同市日ノ浜町の道の駅「なとわ・えさん」で開かれた。天候にも恵まれ、ごっこ汁の試食や海産物の格安即売のテント前には、大勢の市民らが訪れた。 旧恵山町時代の1991年から毎年開いている恒例のイベント。2月が旬のゴッコは、近海では特に恵山産が美味とされている。同地区の家庭では、ごっこ汁のほか、天ぷらや甘露煮などに調理して味わうという。

 会場では試食用として、ゴッコの身をぶつ切りにし、ネギやジャガイモなどと一緒にしょうゆで煮込んだごっこ汁を、400食分用意。テントの前には長蛇の列ができ、早速白い湯気が立つ熱々のごっこ汁に舌鼓を打っていた。

 そのほか、生のゴッコ3匹が1000円など、ホタテやカキなど近海産の海の幸を格安で販売。実行委は「赤字覚悟だが、ゴッコの味をこの機会に広く知ってもらえれば」と話していた。

 函館バスの温泉入浴付きツアーで会場を訪れ、紅ザケのかまや、ぬかニシンなどを購入した市内昭和の主婦(53)は、「車もないのでバスツアーは大変ありがたい。値段も本当に安くて大満足です。ごっこ汁もおいしかった」と笑顔をみせていた。 (今井正一)


◎西尾氏の後援会発足、22日にも函館市長選出馬要請
 4月の函館市長選挙で同市の前助役、西尾正範氏(58)の擁立を目指す「子ども達の笑顔と未来の会」が18日、発足した。会長に就任した歯科医師の齊藤裕志氏(58)は「函館市政はよどんでおり、政治倫理が問われている。西尾氏は市政に熱い思いを持っており、立起して函館の将来を訴え、市民に信を問うべき」と設立の趣旨を説明。同会は、22日にも西尾氏に出馬を要請する方針。

 同会は、西尾氏の函館ラ・サール高校時代の同期生(1967年卒)有志ら14人で構成し、副会長兼事務局長には会社社長の星野裕氏(58)を選任。西尾氏が出馬を受諾後、政治団体として選挙活動を行う。設立後の記者会見には、齊藤会長ら6人が出席した。

 同会は、特定の政党や団体の公認、推薦などは受けず、「一般市民に直接訴え、幅広い支援がいただける草の根の活動を展開したい」と方針を説明。すでに市内外の同期生や同校OBらから、支援の申し出が届いているという。

 出馬受諾の見通しについて「長い間の信頼関係を信じ、かならず受けてくれると思う」と述べた。また、西尾氏の辞職にかかわる一連の福祉施設の許認可を巡る問題については、事実究明は議会でやるべきとし、「批判すべき問題だが(選挙の)中軸とはならない」とした。

 さらに、地域産業の停滞や人口減少など市の取り巻く状況を挙げ、西尾氏に期待を寄せた。 (今井正一)