2007年2月23日(金)掲載

◎環境と食のフォーラム
 環境問題や食の循環型社会について考える「環境と食のフォーラム2007」が22日、函館市内の湯の川観光ホテルで開かれた。市民ら約130人が参加。次世代につなぐ環境づくりと食の関連をテーマに、基調講演やパネルディスカッションを通じ、それぞれの立場でできることを討論した。

 NPO法人(特定非営利活動法人)ソーシャル・エイジェンシー協議会(榊清市代表理事)が主催。基調講演では、公立はこだて未来大の鈴木克也教授が「函館はクリーンな環境づくりの最先端都市になる力がある。そのためにも農家、販売者、消費者の関係で循環が大切」と説いた。七飯町で無農薬野菜生産に取り組む松本久さんは「次世代の生活環境を整えるのはわれわれの責任」と訴えた。

 パネルディスカッションでは、鈴木教授がコーディネーターを務め、榊、松本両氏のほか、ラッキーピエログループの王一郎社長、だるま食品本舗の小島節弥社長、函館消費者協会の米田イツ会長、同ホテルの佐藤和宏支配人らが意見を述べた。

 現在の物流システムでは、食の循環型環境を構築するのは大きな困難を伴うことが指摘された。しかし、実現に向け、無農薬農業に取り組む農家を消費者が応援したり、地産地消に努めたりし、それぞれの立場でできることを積極的に行うことが大切と確認した。 (山崎純一)


◎函館市長選、西尾氏 事実上の出馬表明
 函館市前助役の西尾正範氏(58)は22日、同氏支援団体「子ども達の笑顔と未来の会」の齊藤裕志会長(58)から、4月の同市市長選への立候補要請を受けた。西尾氏は「立候補しなければ、立つ人はもういないと思う。重く受け止め、真剣に検討する」と述べ、前向きな考えを示した。24日に出馬表明し、具体的なマニフェスト(選挙公約)を発表する見通し。市長選に立候補を表明しているのは、現職の井上博司氏(70)だけで、選挙戦となることが確定的になった。

 同会は、西尾氏の高校時代の同期生有志が中心となり、18日に発足。同会の齊藤会長と星野裕副会長(58)ら5人が、西尾氏の自宅を訪れ、齊藤会長が「全力を尽くして応援する」と西尾氏に要請書を手渡した。

 これを受けて西尾氏は、昨年末の助役辞職後、出馬を望む声が多方面からあったことを明らかにした。「行政は、さまざまな問題で利害が絡むので、公平、公正、社会正義を踏まえなくてはならない。残念ながら、悪い方向に向かっている」と、市政運営への思いを述べた。

 また、「候補を擁立した時のために、自分なりに函館市に必要な政策を書きためてきた。マニフェストを掲げるのは有権者に対する責任」とし、出馬表明と同時に公約発表の準備があることを明らかにした。

 さらに、仮に立候補となればと前置きした上で、(1)議会、経済界と密な関係にある市長の政治倫理(2)水族館建設の是非と時代認識(3)人口減少、市民所得の低下など、地域の閉そく感―の3点を課題として挙げ、市民に信を問うとして、現職候補との対決姿勢をあらためて示した。

 西尾氏は、函館ラ・サール高、京大文学部卒。1973年旧亀田市に入庁し、2003年7月、助役に就任した。任期を6カ月余り残し、井上市長の行政運営を批判して辞職。その後、市長と市議会議長の関係に疑義を唱えたり、市長選の候補擁立を模索したりしていた。(今井正一)


◎“乙部ブランド”確立へ、新年度から新商品開発スタート 
 【乙部】特産のタラコやスルメイカの高付加価値化や食品加工業の新展開を検討する、乙部町商工会(三上岩雄会長)の「地域資源有効活用促進活性化検討委員会」(委員長=馬渕悟・道東海大教授)が22日開かれ、新たな“乙部ブランド”の確立に向けた新商品開発などを柱とする地域振興計画をまとめた。

 同計画は、高い品質や鮮度を誇りながら、原料供給に徹してきた町内の水産業や加工業者の在り方を改め、厳選した原料によるブランド商品の開発を提言。高品質を前面に打ち出した水産物の高付加価値化や事業者の経営安定化などに取り組むほか、ブランド商品の販売を通じて乙部のPRやイメージアップを図るよう促している。

 具体案では、タラコを原料とした「無添加釣りタラコ」「美味(おい)しい明太子」をはじめ、スルメイカを使った「イカしゅうまい」「イカのすり身・カマボコ」の開発を柱に据えた。開発スケジュールは漁期に合わせ、イカは6月以降、タラコは12月以降に着手。年度内にも商品販売をスタートしたい考えだ。

 カタログやインターネットでの情報発信、食品見本市やデパートの物産展参加、商品パッケージ開発なども同時に進める。ブランドの定着や差別化に向け、商標登録や産地証明の徹底、道特産品認証制度への応募なども検討する。新年度の事業費は1200万円程度を見込んでおり、国や道、全国商工会連合会の支援制度や補助事業を有効活用する方針だ。

 同商工会の敦賀正春事務局長は「検討委の活動を通じて事業者の連携や意識改革を図ることができた」と、今後の展開に期待している。 (松浦 純)


◎私立高校で合格発表
 一足早く「春」到来―。函館市内の私立高校8校は22日、一斉に合格発表を行った。平日のため、保護者や教員らが各校の発表に合わせ続々と来校。わが子の番号や名前を確かめ、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

 このうち、函館大妻高校(外山茂樹校長)では午前8時半ごろから保護者らが次々と来校。午前10時、同校職員が合格者の受験番号と名前を掲示すると、顔を近づけ、番号を確認。番号を見つけるとカメラ付き携帯電話で撮影したり、祖父母らに、合格を知らせる電話をかけたりして喜んでいた。

 同市桔梗町の山崎春恵さん(40)は長女の福祉科合格を確認して顔をほころばせた。「障害のある兄弟がいて、以前からヘルパーになりたいと言っていたので応援していた。笑顔で帰ってくると思うので今日はお祝いします」と声を弾ませていた。(笠原郁実)


◎南茅部高校7月に「逆サマータイム」導入
 道立南茅部高校(工藤慶明校長、生徒119人)は新年度、同地区で主要な産業であるコンブ漁が最盛期を迎える7月に登校時刻を遅らせる。高校生が貴重な労働力という地域事情を考慮した、道内でも珍しい試み。札幌市などで導入する「サマータイム」の逆で、工藤校長は「地域の高校としてさまざまなニーズに応えられれば」と話している。

 同校生徒は全員が南茅部地区出身者。例年、同地区が天然コンブ漁の最盛期となる7―8月には早朝、漁を手伝う生徒の遅刻が目立っていた。校内で調査した結果、漁業に携わる家庭は約8割で、全校生徒のうち5人をのぞく114人が家族や近所の手伝いをしていて、「生徒が地域から頼りにされていることをあらためて感じた」と工藤校長。

 工藤校長はコンブ漁を手伝う生徒の様子などを見学しながら、宗谷管内利尻町でコンブ漁繁忙期(6―7月)の1カ月間、一部職員が1時間出勤時刻を遅らせている取り組みを参考に学習課程の調整を検討。同校PTA役員や学校評議員らに登校時間の繰り下げを提案したところ好感触だったため、1月末の職員会議で正式決定した。

 措置するのは、7月2日から夏休み前の同25日までの約3週間。通常午前8時半の登校時刻を30分遅らせて午前9時までとする。校内行事日を除く8日間は、授業時数も1時間削り5時限へ。下校時間は通常より30分間繰り上がる。削減した授業分は校内行事時間の調整や、冬休みを1日短縮するなどし、補習は行わない方針。

 同校は実施状況を踏まえ、来年度以降の継続実施を検討する予定。(笠原郁実)


◎北電のデータ改ざんで知内発電所を道が立ち入り
 【知内】北電による火力発電所でのデータ改ざんを受けて道は22日、原因調査や再発防止策の確立などの措置を行うよう要請するとともに、大気汚染防止法に抵触した知内町と砂川市の発電所で立ち入り検査を実施した。

 知内発電所(同町元町)には、渡島支庁環境生活課と知内、木古内、福島3町の担当職員合わせて6人が訪れた。検査は約1時間半にわたったがデータが膨大なため、同社の発表内容と食い違いがないか確認する程度にとどまった。

 道は、3月下旬までに同社がまとめる最終報告や再発防止策を受け、最終的な対応を決める。 知内発電所で改ざんされたのは@冷却海水量A温排水拡散B煙突から排出されるばい煙C発電機出力―のデータ。設置時に3町と結んだ公害防止に関する協定や地元漁協との協定で、取り決めた基準を守ることや報告が義務付けられている。

 地元漁業に影響がある温排水データ操作は、1983年の設置から2年後の85年度から昨夏までの長期にわたる。地元の60代の男性漁業者によると、「海水温の必要以上の上昇はコンブが早く枯れる」などの影響があるという。このため近接海域を漁場とする上磯郡漁協の本所(同町涌元)は22日、会議を開いて対応を検討している。

 ばい煙の排出ガス量は電気事業法や3町との協定に基づいて報告。しかし、1号機では報告106回中104回、2号機では53回中2回、データを改ざんしていた。

 知内町は、改ざんの多さにあきれながら「信頼関係が損なわれた」と落胆している。同発電所から数百メートルの距離に住む60代の女性は「小学生の孫がいるので健康面で心配」と不安を募らせていた。(小泉まや)


◎江差で「第1回新地はしご酒大会」
 【江差】景気低迷で客足が遠のいている新地町の繁華街に活気を取り戻そうと22日夜、居酒屋やスナックなど32店の飲食店をスタンプラリー形式で巡る「第1回新地はしご酒大会」(西川末廣実行委員長)が開かれた。

 大会には繁華街にある飲食店の約3分の2に当たる32店が参加。午後6時に開幕を告げる花火が打ち上がると、住民や仕事帰りのサラリーマンが詰め掛けた。スタートから1時間ほどで、参加者は150人を超える盛況ぶり。繁華街には久々の活気がよみがえった。

 大会の参加費用は3000円。同9時の終了時刻までに、実行委が指定した飲食店3店すべてでスタンプをもらうと、記念品や飲食券などが当たる抽選会に参加できる。参加者はコース抽選を行いスタンプカードを受け取ると早速、夜の繁華街に繰り出していった。

 新地町のスナック「ジュリエット」では、仕事帰りの町職員らが冷たいビールに舌鼓。同店は酒類1杯と料理2品を提供。飲み物の追加注文は100円引きのサービスも。各店での追加注文は自由とあって、お気に入りの店で制限時間いっぱいまでくつろぐ姿も。

 新地町の繁華街をこよなく愛する参加者からは「これだけのにぎわいは久しぶり」「定期的にイベントを開いて町全体で新地を盛り上げよう」と、力強い応援の声も聞かれた。 (松浦 純)