2007年2月24日(土)掲載

◎函館・西部地区と松前家城下町を選出…美しい日本の歴史的風土100選
 古都保存法の施行40周年を記念した「美しい日本の歴史的風土100選」(実行委主催)に、函館市の「西部地区の歴史的街並み」と松前町の「松前家城下町の遺産」が選出された。函館は開港都市としての異国情緒を感じる景観、松前は最北の城下町の面影がそれぞれ評価された。両市町は「地域のPRにつながる」とし、観光振興につなげたい考えだ。

 同法は、日本の歴史上、政治や文化の中心地だった、京都や鎌倉など10市を対象とし、建造物や自然環境など、風土の保存と次世代への継承を目的に、1966年に施行。昨年、古都保存財団など10団体で選定委員会がつくられ、全国各地の歴史的風土を選定し、観光や地域の活力発展につなげようと同事業が進められた。

 全国の自治体や団体などから計698件の推薦があり、審査の結果、100選に101カ所、準100選に116カ所、さらに京都の世界遺産などを中心に特別枠が選ばれた。

 函館市は、西部地区のほか、函館山緑地、大火慰霊堂などを含む約880?を推薦書とともに申請。同地区の洋風建築物や領事館跡、教会などが「坂道景観と相まって、異国情緒を醸し出している」と評価された。

 同地区周辺は、函館の観光産業を支える中心地。幕末の開港期から栄え、和洋折衷の建造物が数多く残る。明治から昭和にかけては、度重なる大火を踏まえた街づくりが進められた。函館市は「本州の長い歴史を持つ都市と比較しても引けを取らない魅力があると評価されたのでは」と話す。

 一方、松前は、松前城跡や寺町の風景が「日本最北の城下町の面影を今に伝えている」として評価。昨年、築城400年を迎えた松前城周辺は、道南随一のサクラの名所としても親しまれている。また、商店街の整備など、城下町の雰囲気を生かした街づくりも進められている。

 松前町産業振興課は「町として応募したわけではなく、思いがけない選出だが大変うれしい。情緒ある風景が評価されたのでは。これからの観光シーズンに向けて弾みになる」と話している。

 道内からはこのほか、小樽市も100選に選出された。準100選には江差町の「ニシン漁で栄えた港町のたたずまい」が選ばれた。(今井正一)


◎看護師の給料増額へ…函病の収支計画案
 函館市議会民生常任委員会(小谷野千代子委員長)が23日開かれ、市病院局がまとめた函館、函館恵山、函館南茅部の市立3病院の「当面の健全化策による収支計画」案について議論した。同局は、看護師確保に向け、看護師の給与体系を2007年度採用から見直し、医療職給料表を適用して給料を増額させる方針を示した。

 これまで、医療職給料表の適用対象となったのは医師だけ。同局によると、民間病院の看護師の初任給は20万円前後。市立病院との格差是正のため、行政職給料表に準じていた看護師や放射線技師、薬剤師などにも、医療職給料表の適用範囲を拡大することにした。看護師の場合、07年度の初任給は18万6700円となり、従来より2万7000円アップする予定。

 同案では増収対策として、看護師を増やし、診療報酬が高くなる看護体制の導入を打ち出している。入院患者に対する看護師配置を現在の「10対1」から、1日当たりの入院基本料が高い「7対1」とするため、08年度までに50人増員する方針。全国的な看護師不足の中、給与体系を見直すことで人員確保の一助としたい考えだ。

 委員からは「看護師の増員などによる人件費で赤字にならないか」との指摘があり、同局は「7対1」看護で4億9000万円の増収が見込め、人件費を差し引いても2億3300万円の増収につながるとの見通しを伝えた。

 このほか電子カルテの導入について同局は「07年度にソフトを導入し、08年度をめどに実施したい」と述べた。(宮木佳奈美)


◎魚介類など52%減…1月の貿易概況
 函館税関は23日、1月の函館港貿易概況を発表した。輸出は、船舶が微増したものの、鉄鋼のくずや魚介類・同調製品が減少し、前年同月比3・7%減の19億4300万円と4カ月ぶりのマイナス。輸入は、石炭や石油製品が全減するなどの影響を受け、同50・4%減の6億300万円で3カ月連続のマイナスと低迷した。

 輸出の品目別では、船舶が香港籍の貨物船1隻で同4%増の18億8700万円。魚介類・同調製品が、中国向けサケの減少で同52・6%減の5100万円だったほか、前年同月にあった韓国向け鉄鋼のくず6600万円が全減した。

 一方の輸入は、主力の魚介類・同調製品が同50・5%減の3億2000万円。ノルウェーからのサケ・マス(前年同月2700万円)と中国からのカズノコ(同1700万円)が全減するなど伸び悩んだ。このほか、石炭(同1億2600万円)や石油製品(同4300万円)が全減した。

 なお、道内の貿易概況は、輸出が鉄鋼や有機化合物などの増加により同30・4%増の241億1800万円と、2カ月連続で増加。輸入は、原・粗油やとうもろこしなどが大きな伸びを見せ、同18・2%増の1134億900万円と19カ月連続のプラスで過去2位の高水準だった。(浜田孝輔)


◎みち銀が26日から金利引上げ
 日銀の追加利上げを受け、みずほなどの大手銀行をはじめ、北海道、北洋、札幌の道内3銀行が相次いで普通預金金利の引き上げを決定したのに続き、みちのく銀行も23日、普通預金の金利を26日から年0・10%から0・20%に引き上げると発表した。

 みちのく銀行が、普通預金の金利を上げるのは、昨年7月21日以来7カ月ぶり。1995年6月5日時点の0・21%に次ぐ、高水準となる。なお、定期預金については、結論を先送りにしていて、時期は未定ながら「引き上げに向けた準備は進めている」(同行)という。

 また、道南に本店を置く信金や信組はいずれも、「他行の動きを判断してから」と慎重な姿勢を見せているものの、週明けには利上げに踏み切る見通しだ。(浜田孝輔)


◎函商 「全商簿記検定」1級取得者100人突破
 函館商業高校(三浦法久校長、生徒709人)は1月の「第63回全商簿記検定」(全国商業高校協会主催)で、資料が残る1973年度以降初めて1級取得者100人突破を果たした。1年生233人も全員同検定2級に挑戦して168人が合格。全員が合格したクラスも初めて誕生した。同校は「日々の授業と冬休み補講などの成果」と胸を張る。

 年2回の同検定1級は、2―3年の情報処理科以外は希望による受検。「会計」「原価計算」それぞれ90分の筆記試験で、2科目合格すると取得が認められる。今回「会計」のみの受検、両科目の受検者を含め1度に121人が合格。中でも、「会計」では受検者138人中121人が合格し、全道高校(100人以上)トップの合格率だった。

 同検定2級のクラス全員合格を果たした1年6組(情報ビジネス科39人)は、「全員合格!」を目標に冬休みや試験前の1週間、補講を実施。生徒同士、分からない問題を互いに教え合ったほか、直前補講では川村周(まこと)教諭(30)の指導で毎日3時間、過去の問題集を解いたり、苦手な分野を繰り返し教わったりして試験に備えた。

 学級代表の西谷貴広君(16)は「全員合格を聞いたときはうれしかった。毎日の積み重ねの大切さと、何事もあきらめないことを学んだ。来年は1級を目指します」と声を弾ませ、川村教諭も「今やれることを妥協せず取り組めば、最後に笑えると言い続けてきた。生徒が一生懸命やったことが全員合格につながったのでは」と生徒の頑張りをたたえる。(笠原郁実)


◎飯田団長が函館市に帰国報告…日赤ベトナムマングローブ植林事業
 日本赤十字社のマングローブ植林事業を視察するため、ベトナムを訪れた派遣団の飯田幸三団長(62)=七飯町在住サが23日、函館市役所を訪れ、福祉部の岡田芳樹部長に現地の状況を報告した。

 派遣団のメンバーは8人で、東北6県と北海道の日赤支部で構成。5日から10日まで、マングローブの植林が行われているハイフォン省ダイッポップ村を視察した。

 飯田団長は台風被害の減少や、マングローブ林に魚介類が集まり、漁業で生計が立てられるようになったことなど、植林の効果を説明。「当初は燃料に使うため無断で伐採する人もいたが、現地住民もマングローブ林の大切さを認識するようになってきた」と現状を伝えた。岡田部長は「ベトナムの自然、生活を復興させる素晴らしい事業なので、市民にも広く知ってもらいたい」と述べた。

 同事業は、日赤が災害対策として資金を提供。植林作業を行う住民に日当を支給している。マングローブ林は10年間で1000?に拡大した。(宮木佳奈美)