2007年2月26日(月)掲載

◎ミスはこだてに笠井、氏家、松本さん
 函館の観光親善大使を選出する「第28回ミスはこだてコンテスト」(函館国際観光コンベンション協会主催)が25日、ホテル函館ロイヤル(同市大森町16)で開かれた。栄冠を勝ち取ったのは、いずれも函館市内在住の会社員で、笠井絵美さん(22)、氏家香菜子さん(28)、松本彩さん(23)の3人。今回から任期が変更となり、4月1日から1年間、市内の催しをはじめ、全国各地に出向き函館の魅力をアピールしていく。

 コンテストには36人の応募があり、前回より18人多い32人が出場。会場では家族や同僚が見守る中、同協会の沼崎弥太郎会長や市商工観光部の桜井健治部長ら12人が審査員を務め、8人4組で1次審査を行い、10人を選出した。

 2次審査では一人ひとりがステージへ上がり、緊張した面持ちで、志望動機や意気込みなど30秒で自己PR。その後、審査員から「健康を維持する秘訣(ひけつ)は何」「とびっきりの笑顔で一言どうぞ」などとプロフィルを基に質問され、最終チェックを受けた。

 審査結果が発表され、スポットライトを浴びると、3人は喜びと驚きの表情を見せ、認定書やトロフィーなどの記念品のほか、第27代ミスはこだての3人からティアラとたすきを引き継いだ。

 3人は「函館の良さを知ってもらい、3人で力を合わせていきたい」「函館のゆったりとした時間をPRしたい」などと意気込みを見せていた。4月に山形県で開く物産展でデビューする予定。(工藤康行)


◎第3次道長期総合計画・道南の推進状況/水産分野の産学官連携進む
 道はこのほど、第3次道長期総合計画(計画期間1998―2007年度)の「第4回推進状況報告書」を発表した。道南圏の取り組みでは、農林水産物の統一ブランドの確立や、水産・海洋分野での産学官連携による地域産業の振興が進んだ一方、医師の地域偏在、第一次産業の担い手不足や高齢化の進行、観光客数の減少傾向への対応の遅れなど、さまざまな課題も見られる。

 同計画は「恵まれた環境の中で、だれもが主体的に多様なライフスタイルを選択し、豊かで安心して暮らせる活力のある地域社会の実現」を目標に、1998年度からスタート。計画の実効性を確保し、道と道民が情報を共有しながら計画を推進するために、これまで99年度、2001年度、04年度に推進状況報告書を公表してきた。

 4回目の公表となる今回は、第3次計画の最後の報告書であるとともに、08年度からのスタートへ向け策定が進められている第4次長期総合計画の重要な指針にもなる。

 道南圏の施策は「だれもが安心して暮らせる地域づくり」「青函経済文化圏を核とした地域間交流・連携の拡大」「創造性豊かな人材の育成と歴史・文化や国際性を生かした地域づくり」「地域を支えるたくましい農林水産業の展開」「地域の特性と技術力を生かした多様な産業の展開」「道南の自然や歴史を生かした魅力ある観光・保養エリアの形成」「道内外を結ぶ交通・情報ネットワークの形成」の7項目を柱に進められている。

 06年度までの主な取り組み実績としては「道南四季の杜公園」の全面開園(函館市、05年)、北海道新幹線新青森―新函館間の着工(05年)、江差いにしえ街道の整備完了(江差町、05年)、「噴火湾パノラマパーク」の一部開園(八雲町、06年)、函館市産学官交流プラザの開設(函館市、06年)、北海道縦貫自動車道・国縫―八雲間開通(06年)などが挙げられる。

 また、期間内の生活関連施策の進ちょく状況を数値化した生活関連指標の状況では、高齢者在宅支援体制や生活排水施設などの整備が順調に進んでいるのに対し、文化団体数や国際交流実施市町村数などでの遅れが目立っており、最終年度に向けての推進努力が期待されている。(小川俊之)


◎道議選桧山支庁区/自民が佐々木俊司氏擁立
 【江差】4月の道議選桧山支庁区(定数1)の候補者擁立をめぐり、自民党道8区支部桧山支庁区連絡会議(議長・中村勉支部長)は25日、厚沢部町の建設業で新人の佐々木俊司氏(41)に出馬を要請。佐々木氏は要請を受諾して出馬表明した。現職の福原賢孝氏(58)=無所属、民主推薦=の再選を目指す民主党と、議席奪還を狙う自民党が激突する選挙戦の構図が固まり、両氏の一騎打ちによる激戦は必至の情勢だ。

 佐々木氏は「候補がいなければ自分がやろうと思った。若さで桧山を元気にしたい」と語った。中村氏は「人選は難航したが、桧山の将来を託せる地元の候補を探した結果だ。短期決戦で必勝を期す」と述べた。8区支部役員会を経て党道連に公認申請する。

 佐々木氏は厚沢部町出身。江差南高、道測量専門学校卒。佐々木総業社長。桧山青年会議所理事長などを歴任した。

 難航した候補者選考をめぐっては19日、各町の党支部が中村氏に対応を一任。知事選への影響や空白区を認めない党道連の意向から、中村氏と地元支部が時間的制約を前にギリギリの調整を図り、経済界から待望論があり、経営手腕や行動力に定評がある佐々木氏に白羽の矢を立てた。党内では「民間の若手擁立はサプライズ効果が大きい」との声も。

 告示目前の本格的な対立候補擁立に、民主陣営には衝撃も。「知事選と連動した本格選挙として引き締めを図る」(関係者)構え。上ノ国町では2002年の町長選で、工藤昇町長に敗れた福原氏が道議にくら替えして両氏がすみ分け。03年の道議選では、福原氏が自民党候補に圧勝したが「上ノ国は両陣営の天王山。町内を二分するのでは」(関係者)との見方も。佐々木氏の地元・厚沢部町でも町長選の構図に変化を及ぼす可能性もありそうだ。(松浦 純)


◎暖冬の影響あちこちに
 間もなく3月。今冬はこれまで、平均気温が例年より高く、降雪量も平年の約半分。暖冬のまま冬が終わろうとしている。町はすでに春の商戦に入り、大沼のハクチョウも北へ帰り始めている。「暖かく楽だった」との声が多く聞かれるが、暖冬・少雪は良いことばかりではない。この冬の気象状況とさまざまな影響を探った。(山崎純一、田中陽介)

◆少雪、ササラ電車出動ゼロ

 函館海洋気象台によると、12月1日から2月24日の86日間で、函館の平均気温が平年値を下回ったのは18日間。2月はこれまで真冬日がなく、このまま推移すれば、1931年以降、初めて2月の真冬日がゼロになるという。

 この冬(12―2月)の降雪量は157センチ。平年値は309センチで、現在のところ平年の約半分。昨年は大雪で過去最高となる367センチを記録しているだけに、さらに少雪の印象が強い。

 雪は降ってもすぐに解けた。函館市内各町会の在宅福祉委員からは「高齢者宅を訪ねるのに足元が良く楽だった」と喜びの声。

 市土木部によると、今冬は75台ある除雪車の本格的な出動は1回もないという。また、市交通局によると、レトロな除雪車「ササラ電車」も今冬の出番はゼロ。1937年に除雪車として活躍を開始した以降、一度も出動しないのはこれまでにないという。

 だが、除雪の手間が省けたことは、良いことずくめとは言えなかった。函館市シルバー人材センターでは、医療施設や一般家庭から除雪を請け負い、60歳以上の高齢者を派遣しているが、ことしの除雪に関する売り上げは約300万で、昨年の2000万円を大きく下回っている。同センターの早瀬登喜男事業課長は「売り上げ減より、高齢者にとって冬の働き場が減るのは大きな問題」と話す。

 ジャンボイエロー金堀店(同市金堀町1)では、除雪用商品の売り上げは昨年の半分以下。山内雅人店長は「暖冬だからといって、逆に売れる商品はない」と苦笑い。店内は22日から自転車コーナーが始まり春を感じさせている。

 冬物バーゲンも苦戦した。長崎屋函館店(同市美原1)では、例年は5割引きで売れるような品は、ことしは7割引きで販売したという。店も春の商戦に入った。営業担当の浦田圭造次長によると、同店では冬から春への商品の変わり目となる指標は、タイツとストッキングの売れ具合。「ことしは、例年に比べ2週間ほど春商品の展開が早まった」と話す。

 ホクレンショップ昭和店(同市昭和1)では、例年通り鍋物の人気はあったが、冷やし中華など、冷たい麺類がよく売れたという。タラの芽、ウドなどの春の山菜が約1カ月早く店頭に並んでいる。

◆農業・漁業者「春以降不安」

 農業・漁業者にとっては、暖冬の影響とこれからの天候に不安が大きい。各地の農家では「ハウス栽培では除雪の手間が省け、暖房費が少なくなった恩恵はあるが、それ以外は畑の土壌など、今後の不安でいっぱい。しばれるときにしばれないのは、春以降どうなるのか心配」と言葉が重い。市銭亀沢漁協(同市古川町13)によると、今のところ、魚種、量ともほぼ例年通り。だが、外崎正専務理事は「暖冬の影響が春、夏に向けてどう出るかが心配」と語る。

 大沼国定公園で越冬するハクチョウも、飛来数は例年の約7割ほどの約70―80羽にとどまった。例年は3月上旬に生息地のシベリアに向かうが、ことしはすでに帰り始め、見物に来た人をがっかりさせている。

 財団法人日本さくらの会「桜守(さくらもり)」の浅利政俊さんは「暖冬の影響でサクラの開花は早まりそう」と話す。だが「これからの気温の動向が大切。暖かいと害虫発生などの問題もある」と話す。函館植物研究会の宗像和彦会長も「暖冬だったが、ここにきて寒い日もあり、植物は混乱していると思う」と指摘。人間、自然にとって、暖冬は悪影響も大きいようだ。


◎HFIと函教大が市民活動フォーラム
 道教育大学函館校と道国際交流センター(HIF)は25日、サン・リフレ函館(函館市大森町2)で道南市民活動フォーラムを開いた。市民ら約110人が参加。講演と分科会で民間非営利団体(NPO)や非政府組織(NGO)などの市民活動の一端に触れた。

 大学と地域社会が互いのノウハウを生かして協力することで、市民活動のネットワークづくりの第一歩にしようと、初めての開催。意見交流の場として4月14日に「道南NPO・NGOネットワーク」設立も予定している。

 各国への派遣事業に取り組む国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長の下澤嶽(たかし)さん(48)は「NGO・NPOが地域も世界も変える」をテーマに基調講演。ボランティアに携わった約30年の経験から、日本のボランティアの歴史や市民社会、ボランティア社会の現状と課題を分かりやすく説明した。

 下澤さんは「人との出会いを喜び、人と人とをつなぐことこそが活動のエネルギー」とし、「自分ができることを続けられる方法で、好きな場所でボランティアに参加してほしい」と訴えた。

 来場者は下澤さんの言葉に大きくうなずくなど真剣な表情で聞き入っていた。その後、地域活動や国際交流事業にかかわるパネリスト4人を迎えた分科会では、活発な意見が交わされた。

 フェアトレード(公正貿易)について研究するなど、国際協力に興味を持つ冨樫千尋さん(道教育大4年)は「さまざまな考え方を聞き、世界が広がった。市民活動には参加したことがないが、機会があれば挑戦してみたい」と話していた。(笠原郁実)