2007年2月27日(火)掲載

◎函館元町ホテル3日オープン
 昨年12月に新たな買い手が見つかった「ホテル元町倶楽部(くらぶ)」(函館市大町5)が3月3日、「函館元町ホテル」として生まれ変わり、開業する。同ホテルの営業は約3年ぶりで、室数はすべて洋室で20室。1912年(大正元年)に建築され、「景観形成指定建築物等」に指定された、隣接する土蔵蔵も同時に喫茶店としてオープンする。

 営業を始めるのは、ホテル「海の時計」(同市宇賀浦町7)を経営する遠藤浩司社長(46)。2005年に同ホテルを開業させ、「異国情緒あふれる函館らしい街並みの中でホテルを経営してみたい」と、元町倶楽部のある土地を購入。正月明けから外壁の塗装やカーペットの張り替えなどの改修工事を急ピッチで進め、22日付で「株式会社函館元町ホテル」を設立した。

 函館元町ホテルは鉄筋3階建てで、延べ床面積約1100平方メートル。シングル、ツインは主に1室約23平方メートルで、今後ファミリールームとコンドミニアムも1室ずつ用意する予定。

 2階にはベイエリアの景観が満喫できるレストラン&カフェ「エリシャ」(30席)を設けた。「団塊の世代」を見据え、「プチ移住」に対応した宿泊プランも企画している。また、地域住民に利用してもらおうと、1階の一角を展示スペースとする考え。

 土蔵蔵は、内部がひのき造りの2階建てで、延べ床面積70平方?。2階にレトロな雰囲気で一休みできる喫茶店「茶房 蔵」(14席)をオープンさせ、1階は4月中旬に女性向けエステサロンを開業させる。

 総事業費は約6000万円。年間約6000人の宿泊者を目指す。遠藤社長は「元町を散策するには最適な場所で、まちにマッチングした改修工事を行った。函館を好きになってもらえる温かみのあるサービスを提供していきたい」と話している。

 なお、4月27日まで特別宿泊プランを用意しており、26日現在、数十件の予約がすでに入っているという。

 問い合わせは同ホテルTEL0138・24・1555。ホームページのアドレスはhttp://www.hakodate-motomachihotel.com(工藤康行)


◎福祉のまちづくり条例への適合状況報告、駐車場など整備に遅れ
 函館市福祉のまちづくり推進委員会(委員長・柳谷勇函館臨床福祉専門学校長)が26日、市役所で開かれ、市福祉部は2005年度に新築、増改築された公共的施設の設備で、福祉のまちづくり条例への適合状況を報告した。出入り口や階段、廊下などで基準への適合率が高いが、駐車場や受け付けカウンターなどで整備の遅れが目立っている。

 対象は、届け出があった121施設で、各種店舗や福祉施設、病院など14に分類。整備基準は16項目に分けられ、高齢者や車いす利用者らが、安全かつ円滑に利用できるよう、同条例で努力義務として設定している。

 整備対象個所別の適合状況では、出入り口は対象117施設中111施設(構成比94・9%、全項目適合44施設、一部適合67施設)が条例を満たしていた。廊下などは85施設中80施設(同94・1%、同21施設、59施設)。便所は109施設中81施設(同74・3%、同17施設、64施設)―など、整備の割合が高かった。

 一方、案内表示やカウンターなどは、適合率が低く、未整備施設が8割以上を占めたほか、福祉車両用などの駐車スペースがない施設は73施設中18施設(同24・7%、同15施設、3施設)。

 施設の区分別では、病院や福祉施設などではおおむね整備が進んでいるが、販売業やサービス業を営む店舗、飲食店では整備の遅れが目立った。

 市福祉推進課は「民間施設のため改善を強制できないため、難しい点はある。対象個所にばらつきがあるが、おおむね、出入り口や廊下には努力が見られる」と話している。

 このほか、同委員会ででは、昨年12月に施行されたバリアフリー新法についての概要が説明され、北海道コンシェルジュの岩塚晃一副社長が、昨年実施した「旅行介助事業」について報告した。(今井正一)


◎函館市中央図書館入館100万人突破
 函館市中央図書館(五稜郭町26、中山公子館長)の入館者数が26日、開館から1年3カ月で100万人を達成し、節目の入館者に認定証と記念品が贈られた。年間目標を51万5000人と設定していた同図書館の予想を半年も早く突破した。

 100万人目となったのは、同市深堀町、無職計良英利さん(79)。午前11時すぎに妻美代子さん(74)とともに訪れた。前日までに99万9472人が来館し、予想より2時間ほど早く記録。井上博司市長から認定書、記念品の五稜郭をかたどったステンドグラス、花束が手渡された。

 計良さんは「(入館の際)呼び止められてびっくりした。普段は午前9時半ごろに来るが、今日は病院に寄った後でちょうどよかった」と笑顔。2週間ごとに夫婦で本を借りに来館するといい、「図書館は使いやすく、十分満足だが、新刊をもっと増やしてほしい」と話していた。

 同図書館は2005年11月27日に開館し、1周年を前に昨年7月で年間目標を達成した。26日までの稼働日は377日。1カ月当たりの入館者数は6万人程度で、一日平均では平日で2300―2600人、土・日曜で3000人程度。多くの市民でにぎわう一方、私語による雑音や、荷物を置いて長時間座席を占領するなど、モラルを欠く行為も見受けられるという。

 利用好調の理由について中山館長は、立地条件の良さやリピーターの多さ、座席が多くゆったりと読書できる館内の雰囲気を指摘。「繰り返し利用していただいた結果」と喜んでいる。(宮木佳奈美)


◎北電データ改ざん問題で知内発電所に道が行政指導
 北電が火力発電所において環境測定データを改ざんしていた問題で、道は26日、立ち入り検査を実施した知内町と砂川市の両発電所に対し、原因解明と再発防止策を3月末までに報告することを求め、文書による行政指導を行った。

 知内発電所(知内町元町)では(1)冷却海水量(2)温排水温度差(3)ボイラ排出ガス量(4)発電機出力――の各データが改ざんされていたことが判明。このうち道は大気汚染防止法に基づき、22日にばい煙に関するデータ処理に関する立ち入り検査を行ったところ、1988年4月から2006年12月まで、1、2号機合わせて報告回数159回中106回のデータ改ざんがあったことが確認された。

 行政指導は渡島合同庁舎で行われ、成田一憲渡島支庁長が岡田所長に文書を手渡した。成田支庁長は「地元住民の不安を払しょくするためにも納得できる原因解明を徹底してほしい」と話していた。


◎道が移住促進へ意見交換会
 定住・移住の促進に向けた意見交換会(道主催)が26日、函館市総合保健センターで開かれた。民間企業や自治体関係者ら約30人が出席。移住促進事業を今後、行政の手から民間主体で進めていく必要性や、スキル(技術)を持つ退職者を呼び込むことで会社の人材が厚くなる効果などを確認した。

 3月から退職が始まる「団塊の世代」をマーケットとしてとらえ、今後のビジネスチャンスを探る目的で、帯広や小樽でも開く。

 今後の移住促進について道知事政策部の大山慎介主幹が「医療や買い物などの豊富な生活情報発信や、一層の受け入れ態勢の整備が必要となる」と説明。また、移住は個人の趣味や趣向に基づくため、その判断材料や体験メニューを行政が提供していくことには限界があり、民間がビジネスとして成功させていく必要性を強調した。

 道内64市町村で組織する道移住促進協議会(会長・井上博司函館市長)の事務局(市企画部)が、移住体験者の4割は、完全移住や季節移住の考えを持っているとの調査結果を報告した。

 意見交換では「団塊の世代だけでなく、若年層の移住まで視野に入れた企業誘致や地域振興が必要」「国内だけでなく、東南アジアなど海外との競争もある。会話ができる地域コミュニティーの親近感も大事では」などの声が寄せられた。

 また、北海道への移住のネックを問う声もあり、大山主幹は「最大のネックは冬と雪だが、移住相談者で高気密・高断熱住宅を知っている人は少ない。そうした情報を広く発信していくことも大事」と述べた。(高柳 謙)


◎亀田農協1億強盗、元課長を追起訴
 函館市亀田農協(山岸栄一組合長)で昨年12月、金庫室から現金約1億円が盗まれた事件で、函館地検は26日、同市西桔梗町、同農協の元金融部運用課長今正光被告(57)=詐欺罪で起訴済み=を盗みと業務上横領の罪で函館地裁に追起訴した。

 起訴状によると、今被告は昨年12月4日午後7時半から同8時15分ごろまでの間、同市昭和4の同農協で金庫室内から現金9995万8000円やバッグ(時価約2000円相当)を盗んだ。また、昨年9月27、28両日、同市内に住む無職の女性顧客(78)から預かっていた現金計約50万円を着服した。

 同地検の調べによると、今被告は盗みの犯行前、同農協内に潜み、警報装置を解除後、金庫室内にあったバッグに現金を詰めて運び出した。数日前から犯行を計画していたことも明らかになった。今回の追起訴で今被告に対する一連の捜査は終結した。

 調べに対し、今被告は反省の態度を示しているといい、動機は「ギャンブルなどでできた借金返済のため」とし、起訴事実を認めているという。


◎日明小で閉校式、129年の歴史に幕
 【江差】3月に閉校する江差日明小学校(瀬川要三校長、児童39人)の閉校式が25日、同校で開かれ、地域とともに歩んだ129年に及ぶ歴史に幕を下ろした。江差町内では日明小など3校が4月に江差北小として統合する。3月4日には江差朝日小でも閉校式が行われる。

 会場の体育館は、地場産材を使ったぬくもりあふれる木造体育館。長年にわたり住民に親しまれてきた。式典には全校児童と教職員、同校ゆかりの地域住民約200人が出席した。

 濱谷一治町長は「自然に囲まれた日明小は文化発祥の地として発展を続け、卒業生は3000余人に上る。日明小の歴史と栄光を語り継ぎながら、新しい校風と伝統を作り上げて飛躍することを願っています」と式辞を述べた。

 瀬川校長は「かつての日明小は小中連携と複式学級による一貫した教育が、管内の教職員から尊敬を集めた。本校の教育を支えてくれた地域の皆さんに感謝します」とあいさつ。加藤修PTA会長は「学校から響く子供たちの声が地域の元気の源だった。保護者と住民は断腸の思いで統合を決断した。素晴らしい歴史を財産として心に刻んでほしい」と呼び掛けた。

 続いて、児童が行事や校舎の思い出を合唱と朗読で披露。壇上に並んだ全校児童は「僕たちは新たな出発をします。ありがとう日明小学校、さようなら日明小学校」と声を合わせて地域とともに歴史を刻んだ校舎との別れを惜しんだ。

 同校は1878(明治11)年に旧泊村で開校した日進小がルーツ。1906(同39)年には明倫小の合併で日明尋常小が開校。98年に120周年を迎えた。(松浦 純)