2007年2月3日(土)掲載

◎下肢静脈瘤 レーザー治療…共愛会病院
 函館共愛会共愛会病院(函館市中島町7、福島安義院長)は、足の静脈血管が浮き出てむくみやはれなどを引き起こす「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」をレーザー光線で治療する最新機器を道南地域で初めて導入した。これまで皮膚を切開し、血管を直接引き抜く手術が必要だった症例も、静脈に挿入したファイバーを通じてレーザーを照射することにより、痛みや出血をほとんど伴わず短時間での治療が可能で、注目を浴びている。

 下肢静脈瘤とは足から心臓に送られる血液が、血管内の弁の破損により逆流し、足の静脈内に停滞し浮き出る病状を言う。見た目の悪さだけではなく、悪化した場合は皮膚炎を起こしたり潰瘍(かいよう)の原因にもなる。

 現在主流の治療法は、ストリッピング手術といわれ、逆流の起こっている血管を直接引き抜く手法。一度の手術で確実に完治し、危険性も少ないが、体にメスを入れなければならないため手術に踏み切れない患者も多い。

 今回導入されたレーザー機器は、道内ではこれまで札幌に2台あっただけ。逆流の起こっている血管内に直接ファイバーを挿入し、レーザーを照射して血管を収縮させて血管をふさぎ、血流を遮断する。局部麻酔を含めた手術時間は30分程度。傷跡として残るのはファイバーを挿入するためのごくわずかな部分で、治療後の痛みはほとんどなく、日帰り手術が可能。また、超音波を使って患部を確認しながらの手術のため安全性にも優れている。

 ただ、現時点ではレーザーによる下肢静脈瘤手術に健康保険が適用されないため約17万円ほどの治療費が必要となる。しかし、25万―30万円程度費用がかかる他地域に比べて割安な上、術後の入院が必要なく仕事にも即復帰できるなどメリットは大きい。

 同病院の折原暁外科部長は「下肢静脈瘤は、見栄えを気にしなければ痛みなども少ないのでそのまま放置してしまう患者も多い。しかし、症状が重くなってからでは手術は難しくなるので、早いうちに医師と相談してほしい。レーザー治療は痛みがほとんどなく、皮下出血や色素沈着、神経障害などの後遺症も心配ない」と話している。(小川俊之)


◎函館移住18組37人…市定住化サポートセンター開設2年
 函館市定住化サポートセンターが市役所内に開設され、2日で2年が経過した。これまでに電話や手紙、電子メールなどで365件の相談があり、首都圏や道内から18組37人が函館に移住した。担当する市企画部は「一定の成果が表れていると感じる。今後は体験移住の受け入れ態勢と情報発信の充実を2本柱に事業を進め、移住ビジネスの創出につなげたい」と話している。

 同センターを通した移住者の実績は、開設初年度が7組16人、本年度はこれまで11組21人となっている。世帯主の年齢は、2年間の実績で50代5組、60代11組、70代2組。

 相談方法は、電話が173件、来庁が112件で全体の8割近く。このほかは講演会などでの照会や電子メール、手紙など。複数にわたる相談内容を類型化したところ、住宅情報200件、市の移住に関する取り組み状況109件、体験移住(おためし暮らし)62件、就職情報51件、気候・積雪情報21件だった。

 3月末から定年退職が始まる「団塊の世代」を照準に移住促進事業を進めているが、若年層にも関心が広がっている。就職に関する相談が目立つのはその一例で、函館出身のUターン希望者が、同センターに相談するケースもあるという。

 同部は「就職相談は若年層だけでなく団塊世代にも幅広くある。函館に戻りたいという若者の意識と、定年になっても働き続けたいという団塊世代の気質があるのでは」と説明する。

 体験移住は本年度、予約を含め23組50人の申し込みがあり、利用者からは「函館の生活を体験できる良い制度」との評価があるという。現在は民間企業に委託して事業を実施。家財道具をそろえた市内のマンションやアパートを用意し、1週間から月単位で実施している。

 移住体験中に複数の物件を1社ずつ見て回る参加者もいることから、今後は体験中に複数の物件を案内し、レンタカーなどの移動手段も用意する多面的なサービスを加え、移住体験をビジネスや産業として根付かせることを目標としている。

 市の移住施策は、人口流入のほか、ビジネス創出による雇用・経済効果で、若者をはじめとした人材の流出を防ぐ狙い。同部は「1人でも多くの希望者がサポートセンターを利用してもらえるよう、ホームページの利便性を高め、情報発信機能の充実を図りたい」と話している。(高柳 謙)


◎函館市が再調査へ…社協元職員の着服隠し
 函館市社会福祉協議会(谷口利夫会長)が、元職員の男性(故人)の着服に絡み、新たに判明した被害額を隠していた問題で、市は6日以降に再調査する方針を固めた。同日の市議会民生常任委員会で方針を伝える。

 着服されたのは、一時的な生活困窮者に無利子で貸し付ける「応急生活資金貸付事業」の貸付金や償還金。原資は市が貸与している。

 道の監査や市の調査結果を踏まえ、同社協は着服額を186件806万6000円と確定したが、新たに58件97万円あることがその後、判明した。

 福祉部によると、市の前回調査は元職員の在職期間(1999―2002年度)に重点を置いた部分的なものだったという。今回は同事業が始まった1968年以来の全件を対象に、会計帳簿類の整合を確認することにした。

 新たな判明分を隠し、着服額増がなかったかのように管理職2人が私費で弁済した点など、一連の同社協の対応や処理方法の在り方について、市は専門家の意見を聞くなどして検証するほか、業務執行について徹底指導する考え。

 また1月31日の同社協理事会、評議員会では、職員が弁済した分の52件93万5000円を2人に返還し、同社協の責任で、判明分と確定済み分とを合わせた903万6000円を弁済することを確認した。(宮木佳奈美)


◎高橋VS荒井 桧山で火花…道知事選
 【江差】4月の道知事選で再選を目指す高橋はるみ知事(53)が10日に江差入りする。同じく知事選に出馬する民主党の荒井聡衆院議員(60)=比例代表道ブロック=も、出馬表明直後の昨年12月末に続いて2度目の檜山入りを13日に予定。桧山支庁統廃合問題をめぐって荒井氏は、14支庁存続と権限機能強化を掲げている。支庁存続運動で全道の中心となっている江差町で、高橋知事がどのような意向を示すのかが注目される。

 高橋氏は10日午前10時から、江差町のホテルニューえさしで、自身の後援団体「北海道を愛するみんなの会・桧山南部連合後援会」(若狭大四郎会長)が主催する「新春の集い」に出席し、2選に向けた支援を呼び掛ける予定だ。町内では高橋氏を支持する自民党支持者を含め、支庁存続を求める声が根強く、知事選を目前に控えた高橋氏の発言に関心が高い。

 高橋氏の江差入りは、05年5月の後援会設立総会、同年10月に同町などで開いた公務によるタウンミーティングに続いて3度目。

 一方、荒井氏は13日午前に桧山入りする考え。厚沢部町をスタート地点に管内各町を北上する。奥尻町を除く6町すべてと八雲町熊石地区を巡り、午後6時半には、せたな町北桧山区の「町民ふれあいプラザ」で国政報告会を開く方針という。

 荒井氏は昨年12月26日に、札幌市内で知事選出馬を表明。27日には奥尻町を訪れ、和田良司町長や支持者らと会談。同日夜には江差町で国政報告会を開き、桧山支庁存続や権限機能強化の実現などを呼び掛け、支持を訴えた。(松浦 純)


◎渡島・桧山管内、全域で平均気温過去最高…函館海洋気象台
 函館海洋気象台がまとめた1月の渡島・桧山管内の気象状況によると、桧山のほぼ全域で平均気温が過去最高となり、一部で降雪の深さが過去最少であることが分かった。渡島では松前などで平均気温が過去最高を記録した。

 1月は寒気の入り込みが少なく、各地で気温は上がり、日照時間は多く、降雪量が減った。 檜山の平均気温で平年値との差が最も大きかったのは厚沢部町鶉で、2・6度高い氷点下1・3度だった。せたな同0・2度、今金同1・5度、江差1・2度で、いずれも過去最高の高さ。

 渡島の平均気温は、八雲町熊石が氷点下0・1度、木古内で同0・2度、松前で1・3度でいずれも過去最高。

 日照時間は八雲町熊石の平年比182%(62・1時間)を最高に、各地で平年を上回ったが、函館市美原は96・2時間で、平年の107・5時間を下回った。

 降雪の深さで過去最少となったのは、桧山では今金24センチ、厚沢部町鶉25センチの2カ所。渡島では、八雲町熊石が14センチで記録を更新した。

 函館市美原は平均気温が氷点下0・4度で歴代9位の暖かさ。降雪の深さは75センチ(平年119センチ)だった。(山崎純一)


◎アクションプランまとまる…地域づくり交流連携フォーラム
 【乙部】渡島西部4町と桧山南部4町の広域連携の在り方を話し合う「地域づくり交流連携フォーラム」(室谷元男委員長)の第7回会合が2日、乙部町民会館で開かれた。「シーニック・バイウェイルート」の形成に向けた準備会の設置や、8町の地域資源を生かした長期滞在型観光の実現に向けた「滞在観光情報ネットワーク」の設置などを提言するアクションプランをまとめ、2年間に及ぶ議論を締めくくった。

 「シーニック―」は、道路を中心に、美しい景観や地域資源の活用などを、沿道の地域連携で進める構想。本年度で議論を終える同フォーラムを母体に、8町の地域づくり団体による緩やかなネットワーク作りを提案。国へのルート申請に向けた議論促進を求めている。

 滞在観光情報ネットワークについては、両地域で活動するNPO(民間非営利団体)などを中心に、行政、農漁協、観光協会などの賛同を得て、長期滞在観光客の誘致、体験型観光に携わる人材育成などを進めるよう指摘。また、8町に住む工芸や芸能、農水産加工技術などを持つ優れた人材をデータベース化し、起業や観光資源としての活用を求めた。

 ファシリテーター(促進者)として参加した奥平忠志氏(NPO法人どうなん『学び』サポートセンター理事長)は「全国でも縄文時代から中世につながる、特異な歴史的背景を持った8町を差別化する必要がある。2つの新組織を柱に実現してほしい」と話した。

 同フォーラムは、3月2日午後3時から、木古内町中央公民館で「地域づくり交流連携フォーラムin木古内」を開き、同プランの内容を地域住民に報告する予定だ。(松浦 純)