2007年2月7日(水)掲載

◎児童の力作ずらり…文雅堂・YWCA造形教室作品展「ドリーム・チャイルド」
 函館市内で図画工作活動を展開する文雅堂・YWCA造形教室(田辺三知子講師)の作品展「ドリーム・チャイルド」が11日まで、文雅堂ギャラリー(同市杉並町20)で開かれている。版画や水彩画など、園児や児童計35人の作品約130点が並ぶ。

 ことしで17回目。作品は、約半年かけて制作した。小麦粉のりと紙・紙粘土で作った鬼のお面は表情豊か。「怖い鬼を想像しながら作ったけれど、出来上がりは優しくなってしまった」と苦笑いする子も。つぶらな目や先の丸い角などが愛らしい。版画は線の繊細さが特徴のシルクスクリーン版画。塚本純一郎君(函館柏野小5年)の版画作品「ぞう」は、明るい茶色の色を使い、像の皮膚のシワを巧みに表現している。「夢」を製本した漫画で紹介するコーナーも。来場者は「子どもならではの発想だね」などと、笑いながら作品を楽しんでいる。

 田辺講師は「みんなで一生懸命に取り組みました。愉快な作品ばかりです」と来場を呼び掛けている。

 11日の午後2時半からは、函館ギタースクールの左信悟さんによるアコースティックギターライブも行われる。(田中陽介)


◎保守系候補また乱立…07統一地方選
 4月に行われる道議選函館市区(定数6)の自民・保守系4人目の候補として、大日向豊吉氏が名乗りを挙げた。保守系5候補が乱立し、自民公認の川尻秀之氏1人しか当選できなかった2003年の前回選挙、欠員2に対し保守系3候補がそろって落選の憂き目を見た昨年1月の補欠選挙と、保守陣営にとっては厳しい結果が続いている。各陣営の攻防は今後激化が予想され、民主、公明、共産5候補を交えた超激戦となるのは必至だ。

 自民党は03年の前回選挙で、公認3候補中2人が落選するという大失態を演じた。佐々木俊雄氏ら新人2人を公認した昨年1月の補選は、最低でも1議席を確保し、今回の選挙に弾みをつけたかったが、公認2人の落選に加え、公認から外した元職、畠山博氏にも得票数で競り負ける最悪の結果となった。

 自民党にとって、まさしく背水の陣となる今回は、現職の川尻氏、新人の佐々木氏に公認を絞り、まずは2議席奪回を命題としてきた。しかし、ここにきて自民党に公認申請中の大日向氏が出馬表明したことで、情勢は混とんとしてきた。

 党函館支部長と党道連選対委員長を務める川尻氏は「これから残る公認申請(畠山、大日向両氏)の扱いを決めなければならない」と語っており、今後の対応に含みを残す。建設業や水産業などを中心に強力な基盤を持つとはいえ、自身の当選と党勢拡大という難しい判断を迫られそうだ。

 一方、佐々木氏は補選で悔しい思いをしたとはいえ、元渡島支庁副支庁長の経歴から道とのパイプを強みに、水産関係を中心に支持拡大を図っている。大日向氏の出馬についても「これまでの活動方針に影響はない。自分の考えを多くの人に理解してもらうよう、地道に動いていきたい」と話す。

 畠山氏は「これまでの基盤、支持固めを継続することに変わりはない」と静観の構え。同氏の後援会幹部は「大日向氏の立候補は想定内のこと。票の流れを分析するのは難しいが、保守系だけが影響を受けるとは考えられないので、特に心配はしていない」。

 他候補に比べ出遅れた感のある大日向氏だが、「福祉政策に関しては誰にも負けない自信がある。強力な基盤を持たない分、草の根運動で地道に支持を広げていきたい」と独自の活動を強調。公認については「もし得られなくても、無所属として戦いたい」と一歩も引かない。

 安倍政権の支持率低下や柳沢厚労相の失言問題などで、自民党は地方選挙で苦しい戦いを強いられている。逆風と乱立の中、函館でも自民・保守系がどこまで議席を確保するか、注目されそうだ。(道議選取材班)


◎歴風文化賞発表
 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、落合治彦会長)は、2006年度の「歴風文化賞」を発表した。函館市内・近郊の歴史ある建造物などを後世に残そうと、毎年、表彰している。本年度は函館市と北斗市の建築物3件と、両市の2団体、函館市の1風景が選ばれた。表彰式は23日午後6時半から函館市末広町の五島軒本店で開かれる。

 同賞は1983年度に創設され、本年度で24回目。建造物の貴重性、持ち主の保存に対する努力や、郷土文化、景観へ寄与した団体をたたえる。昨年12月28日、会員約15人が審議し、3日までに決定した。

 「保存建築物」として選ばれた3件は、「函館どつくレンガ倉庫」(函館市弁天町20)、「島津京子邸」(北斗市中央1)、「種田英治邸」(同)。

 函館どつくレンガ倉庫は大正初期以前に建設。全長は100メートル以上もある。レンガの積み方はイギリス、フランス積みなどさまざま。明治末期から大正初期に建設された函館の倉庫の歴史を伝えている。

 島津京子邸は19(大正8)年に建てられた木造2階建て住宅。2階の瓦ぶきの大きな入母屋(いりもや)屋根や、1階の出格子窓(でごうしまど)など、豪快で繊細な造りがしっかり保存されていることが評価された。

 種田英治邸は1897(明治30)年以前に建てられた、切妻妻入(きりづまつまいり)形式の伝統的な町屋。函館付近には明治中期以前に建てられた住宅はほとんど残っておらず、同時代の歴史を知る上で貴重な建築物。

 「団体賞」は、旧大野町(現北斗市)の文化財を後世に伝承する活動を展開する「大野文化財保護研究会」(木下寿実夫会長)と、函館山にある三十三観音や観音コースの清掃、環境美化に努める「函館山三十三観音清掃ボランティア」(山下寿津子代表)が選ばれた。

 また、引き継がれる景色の「原風景」には、洋風の耐火建築物が並ぶ函館市末広町の「銀座通り」が選ばれた。(山崎純一)


◎緩やかに持ち直し…12月の道南 日銀函館支店金融経済動向
 日本銀行函館支店(服部誠弘支店長)がまとめた昨年12月の道南地方における金融経済動向によると、管内は公共投資が減少しているものの、個人消費の一部や住宅を含む民間建設投資に明るい動きが見られ、同支店は5カ月連続で「緩やかに持ち直している」とした。

 公共投資は、渡島・桧山管内の公共工事請負額が前年同月比8・5%減の26億4200万円と、2カ月ぶりにマイナスに転化。本年度累計(4―12月)でも、728億1000万円と前年同期を14・0%下回っている。

 個人消費は、小売店(主要10社)の売上高が、暖冬による少雪の影響からか、衣料品や身の回り品が不振。食料品は引き続き好調で、大型テレビやゲーム関連商品などの家電販売も堅調に推移している。

 設備投資は、単月で棟数こそ同14・3%減の12棟だったものの、非住宅着工の床面積では前年同月の7・3倍に当たる9035平方メートルと大幅に増加。函館市内で商業施設や医療・福祉施設などの新築・増築が目立ち、本年度累計では、棟数が前年同期比1%増の203棟、床面積が同51・5%増の15万1000平方メートルとなっている。

 新設住宅着工(同市内のみ)は、持ち家が前年同月を下回る一方、貸し家や分譲が前年同月を上回り、全体では前年同月比7・5%増の129戸だった。

 観光は、五稜郭タワーが同63・5%増の5万4100人と10カ月連続のプラス。しかし、函館山ロープウェイが同11・8%減の14万7400人と2カ月ぶりに前年割れとなったほか、ホテル(主要17社)の宿泊客数が同11・1%減の11万9000人、函館空港の乗降客数が同6・0%減の14万4700人にとどまっている。(浜田孝輔)


◎ガソリン値下がり…2月石油製品価格調査
 函館消費者協会(米田イツ会長)は6日までに、函館、北斗両市内のガソリンスタンド25店を対象に実施した、2月の石油製品価格調査結果を発表した。ホームタンク用の灯油(1リットル当たり)の平均価格は、前月比2・82円安の74・14円。レギュラーガソリン(同)は同2・73円安の129・27円と、2005年7月以来の120円台になり、ともに値下がり傾向が続いている。

 灯油の高値、安値は前月から横ばいで推移。レギュラーガソリンの高値は同4・60円安の134・40円、安値が同3円安の123円。平均価格は、ともに4カ月連続の値下げとなった。

 前年同月との比較では、灯油の平均価格は4・74円安、ガソリンは2・73円安。前年は中東情勢の緊迫化などに加え、日本国内では大雪による需要の高まりから、高水準が続いていたとはいえ、前年同月を下回るのは灯油、ガソリンともに04年4月以来となる。

 道南の石油小売業社でつくる函館地方石油業協同組合(遠藤紘司理事長)は「昨年ピークだった原油価格が、値下がりのカーブを描き、さらにその傾向を強めたため」と説明。一方で、「暖冬で節約への意識も高まっているようだ」とし、小売店の売り上げ低迷を懸念する声もある。

 米田会長は「昨年3月ごろから続いていた高値からようやく脱した感がある。しかし、大幅な値動きがいつ起こるのか分からないので、注視していきたい」と話している。(浜田孝輔)



◎応募者数1002人…函館歴史文化観光検定
 函館商工会議所は6日までに、3月11日に実施する「第1回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」の応募状況をまとめた。応募者数は1002人に上り、同会議所が見込んでいた500人の2倍以上に当たる盛況ぶりで、歴史ある函館に対する人気と関心の高さを証明する格好となった。

 申し込みを開始した当初の昨年12月中旬からは、一日当たり20人前後で推移した。1月21、24両日に受験予定者らを対象にした講習会「函館学講座」の参加者を呼び掛けたところ、定員各80人に応募者が殺到。定員を拡大したことで、結果的に307人が受講。その後、締め切りの1月末日まで、一日平均で窓口が40―50人、郵便振り込みが70人にまで達した。

 申し込み方法の内訳は、同会議所窓口が494人、郵便振り込みが508人とほぼ同数だった。札幌や京都など全国各地で行われている「ご当地検定」にならい、同会議所主催の検定としては初めて、郵便振り込みでの受験申し込みに応じたことで、遠方からの受験希望者も参加しやすくなったとみられる。

 受験予定者の所在地や年齢層、職業などの傾向分析は、受験票を発送する23日までには完了する見込み。同会議所によると、各地の検定では7―8割が男性で、シニア層に偏る傾向にあるが、観光産業が主要な地域柄にあってか、女性や中高年層の割合が高まりそうだ。

 親子で受験すると思われる小学生や、就職活動に役立てようとする高校生のほか、神戸や大阪、京都などからの申し込みもあるという。

 同会議所は「人口に対する比率からいっても、予想以上の反響。地域としての魅力が思ったよりも高く、驚いている」と話している。

 なお、今回の検定は初級のみで、3月11日の試験を経て、同30日に成績表が発送される。 (浜田孝輔)


◎「地域6次産業・ブランド化構想」策定…桧山地域活性化戦略会議
 【江差】桧山地域活性化戦略会議(座長・武内良雄桧山支庁長)は6日までに、管内を代表する三平汁などの郷土料理を活用した、加工食品の開発や飲食店・宿泊業者によるメニュー化などを柱とする「桧山地域6次産業・ブランド化構想」をまとめた。

 「6次産業」とは、農林水産などの1次産業、食品加工業など2次産業、旅館・ホテル事業者など3次産業の連携や相乗効果で、地域資源を生かした総合産業を育成する構想。

 管内には、特産のスケトウダラの三平汁、クジラ汁、ゴッコ汁などの鍋料理、かたこもち、こうれんといった菓子類、管内独特の豆漬け、飯ずしなどの郷土料理が豊富にある。

 同構想は、郷土料理や地場産食材の活用、ブランド化に向けて(1)地元業者によるレトルト食品などの加工品開発(2)飲食店・宿泊業者によるメニュー化と料理提供―を目標に掲げ、八雲町熊石地区を含む桧山地域全体で各産業分野が連携を深めるよう呼び掛けている。

 構想実現に向けては、桧山支庁を中心に企業、農漁協、商工団体などによる「ひやまの郷土食を食べてもらう会(仮称)」を設置。同会では、汁料理、菓子の2分野を中心に、地場産食材の調達や調理法の研究、イベントを通じたPRなどの取り組みを進める。

 また、同構想の効果的な実現やPRに向け、同支庁は3月中旬、旅行代理店や旅行情報誌の担当者をはじめ、地元の宿泊施設、飲食店、菓子店、食品業者などを招き、料理の試食や専門家のアドバイスを聞く「ひやまの郷土食・試食会」を江差町内で開く方針だ。(松浦 純)