2007年2月9日(金)掲載

◎清尚高校、中国の留学生と食文化交流会
 清尚学院高校(土家康宏校長、生徒222人)の調理科3年生21人は8日、中国からの留学生5人と食文化交流会を開いた。21人は留学生のアドバイスを受けながらギョーザ作りに挑戦した後、全員で会食。料理を通じ、両国の食文化への理解を深めた。

 同校姉妹校の青島旅游学校などからの留学生で、1―2年間、生活デザイン科に所属し、今春、卒業に当たる修了を迎える。これまで、茶道や華道など日本文化を学んできたが、中国の食文化を「味で記憶に残してほしい」(同校)とギョーザ作りを依頼した。

 留学生を1人ずつ配置して5グループに分かれて調理に当たった。野菜や肉は歯応えを残すようざく切りにし、ニンニクはタレに入れるなど本場の作り方に生徒は興味津々。丸く広がらない皮に悪戦苦闘しながらも留学生との会話を楽しみ、水ギョーザを完成させた。

 福士美香さん(18)は「(調理科の)わたしたちより調理が上手で驚いたけど、楽しかった。教えてもらったギョーザを家でも作ってみたい」と話していた。 (笠原郁実)


◎エアトランセ・江村林香社長会見、チャーター方式転換も
 地域コミューター航空、エアトランセ(函館市高松町511)の江村林香社長は8日、同社で今後の運航計画などについて記者会見した。江村社長は、現存する函館―帯広、函館―女満別の2路線を「運航形態にこだわりはなく、毎日運航するということが大前提」と説明した上で、現在の定期便一日2往復から同1往復への減便や、乗り合いチャーター方式への転換などを含む、新たな事業展開に乗り出す考えを示した。

 同社は、2005年3月に函館―帯広を就航して以来、新たに開設した路線を含めて搭乗率の低迷が続き、厳しい財政状況を余儀なくされている。5路線のうち運休していた帯広―新千歳、函館―新千歳間と女満別―新千歳の3路線と、同社の新千歳運航整備基地を4月1日付で廃止するのをはじめ、現存2路線の運航を継続するとしながらも、便数や運航ダイヤの調整で採算性の向上を図ることが急務となっている。

 選択肢の一つとして挙がっている乗り合いチャーター方式は、出発時刻を設定せず、予約状況によって出発時刻を決める点が定期便との大きな違いだが、「定時制を保つ」(江村社長)としている。

 コスト削減の観点から(1)函館以外の帯広や女満別に常駐させていた整備士が運航便で移動し、到着地で作業に当たる(2)函館以外には無線を常設せずに民間のものを使用(3)往復とも予約が無い場合は運休できる―などのメリットがあるという。

 また、新路線の計画として東北や北陸、沖縄でのチャーター便就航のほか、社屋や航空機といった資産のリース方式導入なども検討中。江村社長は「今後も変わらず、函館の本社で業務を続ける」とし、現路線については「違う形にせよ、必ず残していきたい」と述べた。 (浜田孝輔)


◎次世代育成支援行動計画策定推進委、第3次保育計画案示す
 本年度2回目の函館市次世代育成支援行動計画策定推進委員会(三浦稔委員長)が7日夜、市役所で開かれた。市は年度内に策定する第3次保育計画案の概要を示し、委員に意見を求めた。

 市の保育施策を具体的に進めるための計画で、期間は2006―15年度の10カ年。人口減少や少子化に加え、市立保育園の民営化や、保育所と幼稚園の機能を一体化した「認定こども園制度」の創設など、保育を取り巻く環境の変化を踏まえて策定する。「認可保育所等の施設整備」「認可保育所の定員の適正化」「保育サービスの充実」「認定こども園制度への対応」の4点を柱に進めていく。

 案では、市立保育園の民営化について、旧市内は09年度までに統合を含め6園で実施し、新年度に10年度以降の後期計画を練るが、旧4町村でも統廃合や認定こども園の設置を検討する。銭亀沢支所管内の季節保育所についても、入所者数の増加が見込めないため、統廃合で拠点となる季節保育所を選定し、需要に対応する考え。

 認可保育所の定員は、人口減や少子化が進行しても、経済的な事情などで働く女性がおり、入所数は減少しないと判断し、15年度まで現定員と同じ3805人とした。

 また認定こども園は、幼稚園、保育園それぞれの認可を受けた「幼保連携型」、いずれかの認可の「幼稚園型」と「保育所型」、認可外の「地方裁量型」の4類型に分かれる。

 道が条例に基づき認定するが、地域の状況などを市町村から意見聴取することになっている。案には認定の際、市は教育、保育の質確保のため、より設置基準が厳しい幼保連携型を提案する方針を盛り込んだ。

 委員からは「障害のある子どもに早期対応できる施策を実施してほしい」「認定こども園制度を進める上で、混乱のないよう保育園と幼稚園のバランスに配慮してほしい」「就学前の子どもへの教育、保育は小学校入学を見据えて、連動して考えていくべきだ」などの意見があった。 (宮木佳奈美)


◎海自掃海艇が接触事故を海保に通報せず
 海上自衛隊函館基地隊所属の掃海艇「さくしま」(490トン)が1月、函館港内で起こした函館海洋気象台所属の観測船「高風丸」(487トン)との接触事故を、内部規定に反して海上保安庁に通報していなかったことが8日、分かった。

 同基地隊を統括する大湊地方総監部(青森県むつ市)によると、さくしまは1月6日午後11時15分ごろ、低気圧接近のため沖合に避難しようと、函館市弁天町の函館港西ふ頭を出港。直後に強風にあおられ、船尾に設置されたクレーンが、右隣に停泊していた高風丸の船首の手すりに接触した。手すりは約2メートルにわたり曲がったが、さくしまに目立った損傷はなく、両船ともけが人はなかった。

 海自の内部規定では、自衛隊以外の船との接触は事故として扱い、ただちに海保に通報することが義務付けられている。同基地隊は「通報基準に満たない軽微な損傷」と判断して通報せず、発生から約1カ月後の7日、函館海上保安部に届け出た。海自は民間業者を手配し、1月13日までに高風丸の手すりを補修した。

 同総監部は「当時は妥当な判断だと認識していたが、結果的に誤っていた。今後は同様の接触も艦船事故として扱い、適切な処置をしていきたい」と話している。


◎JR函館駅のジャンボ絵馬を奉納
 JR函館駅(松原光雄駅長)は8日、構内に掲示していた「合格祈願ジャンボ絵馬」を函館八幡宮(函館市谷地頭町2)に奉納した。松原駅長ら駅員19人は「絶対合格」などとびっしり書き込まれた絵馬を慎重に運び、受験生の合格を祈願した。

 ジャンボ絵馬は1982年から毎年設置していて今回で26回目。縦120センチ、横240センチの大きさで、1月5日から置かれていた。

 この日午前10時までに、高校、大学や専門学校などへの合格を願うメッセージが書き込まれ、昨年より500人ほど多い約4500人のメッセージが集まった。

 同八幡宮の本殿では、11枚(21面)の絵馬を奉納。社員一人ひとりが祭壇に玉ぐしをささげるなどの神事を執り行い、受験生に代わって合格を祈った。

 松原駅長は「しっかり奉納したので、受験生は心を落ち着かせて勉強に励んでほしい」と話していた。(工藤康行)


◎市長選で民主8区、井上氏の推薦決定
 民主党道8区総支部は8日、常任幹事会を開き、4月の函館市長選に立候補を表明している現職の井上博司氏(70)を推薦することを正式に決定した。

 市の民間福祉施設の建設計画に絡む問題で、井上氏から提出された回答書から、施設を設置できないとの判断を再検討するよう求めた事実はないと判断。4日の三役会議でも確認済みで、常任幹事から異論はなかったという。

 板倉一幸幹事長は「4年間の市政を検証した結果、推薦を否定する失政はなかったと受け止め、推薦する」としている。前回選挙では、井上氏からの推薦申請が提出されなかったため、「支持」としていた。今回は推薦申請を受け、より支持色を強める結果となった。

 同支部は近く、井上氏と政策協定を交わし、民主党北海道に上申する。(宮木佳奈美)


◎総合計画審議会分科会、観光の風評被害対策を
 函館市総合計画審議会の第2部会(溝田春夫部会長)と第3部会(嵯峨直恆部会長)が8日、市役所会議室で開かれた。第3部会では新総合計画(2007―16年度)素案の産業振興に関して意見交換し、観光振興の節に盛り込まれていない「風評被害対策」を記述するよう求める意見があった。

 2000年の有珠山噴火で、同年度の市の観光客数は500万人を大きく割る488万人まで落ち込んだ。大学教授の委員は「観光は風評被害を受けやすく、素早く対応できる組織体制を整えるべきだ」と述べた。観光団体の委員も「有珠山噴火で修学旅行客が落ち込み、PRを続けているがなかなか回復しない」と現状を語り、検討課題となった。

 農林業の振興では、地域ブランドの確立や後継者対策の充実、地産地消の一層の推進、食の安全確保などを求める意見が相次いだ。漁業の振興では、漁業生産の拡大と水産資源の維持、つくり育てる漁業の推進などの課題が挙げられ、産業全体では「国際水産・海洋都市構想を掲げる市として、観光と1次産業の連携が一層重要になる」との意見が複数あった。

 市街地や住環境の整備などを審議した第2部会では、歩いて暮らせるまちづくりの充実に向け、ウッドチップを利用した歩道整備を求める声があった。市は「公園などで整備している例があるが、市道では現在のところ予定はない」と答えた。

 また、安全・安心な住環境を求める市民のために、治安が良く自然に恵まれた旧4町村地域をPRし、定住施策の一助にすべきとする意見もあった。市は市街地整備の基本としてコンパクトなまちづくりを新計画に掲げており、委員から「産業道路の外側を通る新外環状道路の内側を市街地と定義すべきだ」との意見があった。(高柳 謙)