2007年3月13日(火)掲載

◎「友好、親善に貢献したい」極東大で卒業式
 ロシア極東国立総合大学函館校(イリイン・セルゲイ校長)の卒業証書授与式が12日、同校講堂で行われた。卒業生は在校生や保護者ら約100人が見守る中、それぞれの思い出を胸に巣立った。

 卒業生は、4年制のロシア地域学科の5人(10期生)と2年制のロシア語科の2人(12期生)。式では、日ロ両国の国歌を斉唱した後、一人ひとりがイリイン校長から笑顔で賞状を受け取り、握手を交わした。また、「校長賞」や「函館市長賞」など優秀な成績を収めた学生に特別賞も贈られた。

 式辞を述べたイリイン校長は「日ロ関係の発展に活躍することを確信している。これまで培った知識と経験を生かし、人生の成功を祈る」と激励した。

 在校生が「新天地での活躍と健康を祈っています」と送辞。卒業生を代表して荒木梨馨(26)さんが「恵まれた環境でロシアの言語と文化を学ぶことができ、学ぶ楽しさと柔軟な物の考え方を養えた。両国の友好、親善のために微力ながら貢献していきたい」と答辞を述べ、久田賢明さん(23)がロシア語に通訳し、感謝の気持ちを伝えた。

 ことしで開校13年目の同校の卒業生は、これで165人になった。(工藤康行)


◎128→88に議席削減…桧山6町の町議選
 【江差】桧山管内では4月17日告示、同22日投開票の統一地方選挙第2ステージで、江差町を除く6町が町議選を予定している。自治体合併や行財政改革の影響で選挙を行う6町合計で3割に当たる40議席が削減され、管内7町の議員定数は現行の128から88に減る。統一選後の7月に選挙を行う江差町でも、16を12に減らすことを求める請願を特別委員会が採択。12日開会の定例町議会で議論する。削減が決まれば7町の議員定数は84になる。

 町議選を実施するのは上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻、今金、せなたの6町。定数は上ノ国が14から12、厚沢部は16から12、乙部は16から10、奥尻は12から10、今金は16から12に削減。合併で在任特例を適用したせたな町は初の選挙で、38から16に減らす。

 削減の背景には、合併や財政難、合併に頼らない単独自立に向けた行財政改革の影響がある。16から10に削減する乙部町は新年度、議会費が本年度当初比で18%減少。金額では5890万円の削減効果がある。

 議席削減に伴い、議会機構をめぐる論議も活発化しそうだ。町議会には産業や教育などの分野ごとに議論を行う常任委や特定の政策課題を扱う特別委がある。2つの常任委を持つ町は、議席削減で1委員会5人前後の構成に。正副委員長を選出すると委員は3人前後の小世帯。削減反対派からは「これだけの少人数では議論が尽くせない」との声も。だが、改正地方自治法は1人の議員が1常任委だけに所属しなければならない規定を見直し、複数の常任委に所属することを可能にした。

 こうした動向を先取りして今金町議会は議席削減を進める一方、委員会制度の見直しや、議会の質的向上に向けた、全国でも数少ない「町議会基本条例」を議員提案で制定。町議会の最高規範となる同条例は、開かれた議会への基本理念をはじめ(1)傍聴者への審議資料提供(2)委員会の原則公開(3)議会主催の町民会議開催(4)参考人や公聴会制度の活用―などを規定。質疑では町長らの反問権を認め、議長の許可で町長らが議員に逆質問できることも定めている。(松浦 純)


◎2万キロワット級 風力発電計画…江差北部
 【江差】濱谷一治江差町長は12日に開会した第1回町議会定例会で、国内外で風力発電事業を展開するベンチャー企業・日本風力開発(東京、塚脇正幸社長)が町内北部で出力2万キロワット級の風力発電事業を計画していることを明らかにした。同社は2010年3月までの運転開始に向けて町に協力を要請している。

 町によると、同社は2月中旬に北海道電力(札幌)が実施した抽選による買電枠の募集(2万キロワット)に応募し、1位で当選。北電との協議で正式に売電事業者に決まった。同社は町内北部に出力1500キロワット級の風車を最大13基(出力1万9500キロワット)設置。10年3月までに運転開始を計画していることを町に伝えた。具体的な立地場所や工期は未定。

 その上で(1)単独経営で町に出資要請はしない(2)発電所基礎工事などは可能な範囲で地元業者に発注する―などの方針を町に示し、理解と協力を求めた。濱谷町長は「同社から提出される事業計画書を基に議会と協議したい」と、協力に前向きな意向を示した。

 同社は風力発電の専門企業として豊富なノウハウを持ち、国内外15カ所で風力発電所を所有。05年には経営再建中の町の第3セクター・江差ウインドパワーに経営支援を打診。前後して町内北部の柳崎町、越前町の農地2カ所と田沢町の町有林の合計3カ所に風況調査用の鉄塔を設置。風速や風向などのデータ測定を行っている。町によると「詳細な報告は受けていないが良好な結果を得ている」という。

 経営支援は発電所施工業者JFE(東京)との補償交渉やウ社と株主の斐太工務店(名古屋)との利益配分契約が障害となり実現しなかった。

 町内ではウ社が道南最大の出力750キロワットの風車28基(2万1000キロワット)を運転。エコパワー(東京)は五厘沢地区に400キロワットの風車2基を設置している。(松浦 純)


◎足掛け37年「函館考える原点に」…市史完結、年表編を発行
 「函館市史」の完結となる年表編が完成し、市が12日から頒布を開始した。1970年の市史編さん事務局設置以来、足掛け37年にわたる事業。市史編さん室の紺野哲也参事は「読む年表を心掛け、歴史の流れが伝わる内容とした。これで終わりでなく、函館の将来を考える原点や出発点になれば」と話している。

 約1万6000項目あり、検索に便利なCDを付属したのが特徴。関心のある人物や事柄を検索することで、何年にどういうことがあったかを知ることができる。

 例えば最後の箱館奉行、杉浦兵庫頭(ひょうごのかみ)=1826―1900年=は、幕府が倒れた後も箱館にとどまり、混乱なく新政府に体制を引き渡したことで知られる。「杉浦のそうした人物像のほか、妻が難産の末に子供を産んだこと、その子が亡くなり無量庵に埋葬されたことなどの私生活も分かる」と紺野参事。

 苦労した点も多い。同じ事項を記した複数の文献があり、史料や文献を精査して正しい方を採用するなどした。通説編では依拠する史料を記していなかったケースもあり、今回の年表編で項目ごとに出典史料を明記した。

 これまで通説編4巻、史料編2巻、統計史料編、都市・住文化編、亀田市編、銭亀沢編を発行し、11巻で完結。市制施行50周年と70周年を記念した写真集なども発行している。

 A6判、757ページ。1冊3780円。販売用に700部を作製し、300部ほど余部がある。問い合わせは市史編さん室TEL0138・21・3813。(高柳 謙)


◎はこだて検定 907人が挑戦
 「第1回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」(函館商工会議所主催)の初級試験が11日、函館市高丘町の函館大学で行われた。申し込みのあった1002人のうち907人が受験。100点満点の70点以上が合格で、合否の結果は30日に本人に送られる。

 函館で初めての「ご当地検定」で、昨年12月中旬に公式テキストブックが発売され、受験の応募を開始。B5判192ページのテキストは3000冊発行され、同市内の主要書店や一部コンビニエンスストアなどで取り扱い、2月中旬ごろにはほぼ完売した。

 応募者を地区別で見ると、函館、北斗両市、七飯町で897人と全体の89・5%を占めた。このほかの道内が6・0%、道外が4・5%で、最も遠方の申込者は神戸市からだった。平均年齢は45・7歳で、最高齢が83歳、最年少が12歳。職業別では、会社員や公務員、自営業などの就業者が67・5%と最も多く、無職・その他が29・0%、学生が3・5%だった。

 試験は87題あり、解答項目は100問。テキストに網羅された内容から出題され、「かっぱがす」「ほんずなし」といった方言の意味をはじめ、遺跡や箱館戦争などの歴史関係、函館ゆかりの作家を問う文化関係など多岐にわたった。

 受験した函館市内の男性会社員(30)は「ほぼ一夜漬けに近く、もうちょっと勉強しておけばよかったかなと思ったが、ほぼ想定していた内容」と手応えをつかんだ様子だった。

 なお、次回の検定は11月11日に初級と上級を実施する予定。試験に先駆け、改訂版のテキストブックが4月中旬にも販売される見込み。(浜田孝輔)


◎料理教室のメニュー公開…オンパクプレ体験会
 31日開幕の参加型イベント「第2回はこだて湯の川温泉泊覧会(はこだて湯の川オンパク)」(実行委主催)のプレ体験会が12日、湯の川観光ホテル(函館市湯川町)で開かれた。4月14日に予定されている「プロに学ぶ料理教室湯の川温泉オリジナル漁火(いさりび)鍋」で扱うメニューを公開した。10日から始まった予約状況も発表され、早くも定員に達するプログラムが出るなど、順調な滑り出しを見せている。

 参加したのは、オンパク開催を提言した湯の川温泉街活性化推進懇談会(金道太朗座長)のメンバーや報道関係者ら約30人。かつて同温泉街で旅館を営み、現在は料理講師として活躍する秋保栄さん(73)が、説明に当たった。

 漁火鍋は、函館名産のイカをメーンに、みそやイカゴロ(内臓)などで仕立てた風味深い一品。このほか、ガゴメ(トロロコンブの仲間)を用いたもちの磯辺揚げやババロア、クジラ汁、クジラの竜田揚げなど9品を、秋保さんが素材の特徴や調理法などを解説しながら、振る舞った。

 また、12日午後零時現在の予約状況は、定員約3400人に対して1301人が申し込み。予約率は約38%で、前回同時期(定員約2400人、申込数約300人)に比べて約26ポイント高い。

 全プログラム74のうち10が既に満席で、青森県大間町を訪れる日帰りツアー「海を越えてオーマの休日」は、予約開始30分ほどで定員(22人)に達したという。実行委の刈田眞司実行委員長は「1回に3つ4つの予約をする人が多いようだ。なるべく希望しているものに参加できるよう、実施施設と調整しながら対応していきたい」と話している。(浜田孝輔)


◎新幹線対策、圏域で調整…市議会総合計画特別委
 函館市議会の総合計画特別委員会(石井満委員長)が12日開かれた。市企画部の近江茂樹部長は、北海道新幹線の開業を見据えたまちづくりを圏域で調整し、道路網整備や並行在来線など個々の問題についても、関係する協議会などで対応していく考えを示した。

 七飯町の長期計画は策定済みで本年度から始まっているが、新駅が建設される北斗市は現在策定中で、2008年度からのスタート予定。函館市の予定は07年度から。

 市は総合計画の原案が固まり次第、北斗市や七飯町に示し、各市町の長期計画で方向性が大きく異なるようなことのないよう、圏域として調整し、発展を目指す考え。

 開業後にJRからの経営分離が決まっている並行在来線(五稜郭―木古内間)の問題や、開業効果を引き出す新外環状道路や道縦貫自動車道などの整備は関係機関で個別に協議しており、今後も連絡調整を図りながら一体となって地域の懸案解決を目指す。

 開業後の新駅と現駅のアクセスについて、近江部長は「快適で利便性の高いピストン輸送が望ましい」と述べたが、アクセス列車の導入に伴う市の負担については「まだJRとの協議に至っていない」とした。

 また、第1回定例市議会一般質問で、井上博司市長が、総合的体育施設の整備や市民会館の中期的な展望に立った改築、市民理解を得ての「海の生態科学館」(水族館)整備などの考えを述べた。基本計画素案にはこれら具体の事業は明記されておらず、同部長は「原案を示す際、10年間で検討が想定されるハード事業と事業費の概算を別に示したい」と述べた。

 同特別委員会の計画素案審議は終了。22日の本会議で石井委員長が審議経過を報告する。今後、市民の意見なども踏まえ5月下旬から6月をめどに原案を作成し、市は9月議会での議決を目指している。(高柳 謙)