2007年3月14日(水)掲載

◎積雪21センチ 今冬最高
 13日の函館市内は、低気圧の影響で前日に続いて断続的に雪が降った。函館海洋気象台によると、同市美原の積雪は同日午前4時55分に21センチとなり、昨年12月以降で最高となった。市民は朝から自宅や会社前の除雪に追われ、繁華街では雪解けの水たまりを避けながら歩く買い物客らの姿が見られた。

 同気象台によると、同市の今月の降雪量は、同日午後5時現在63センチ。平年値を10センチ上回り、3月としては6番目に多い。2006年は上旬と中旬にまとまった雪があり、1カ月の降雪量は65センチ、05年も62センチ。過去最高は1970年の93センチ。

 ことしは暖冬で2月22日から3月5日まで積雪がなかっただけに、「春の大雪」の印象が強い。同市本町で買い物をしていた主婦(66)は「函館の3月はまだ冬だから、最近の雪の多さは仕方ないですね」と話していた。

 同気象台によると、同市内は14日は未明まで雪が残り、その後17日ごろまで曇りや晴れの日が続くという。(山崎純一)


◎レジ袋削減キャンペーン マイバッグの利用呼び掛け
 函館市は、スーパーやコンビニエンスストアなどのレジ袋削減を進めるキャンペーンを始める。地球環境保護やごみ削減に向けた取り組み。小売店や消費者団体の協力を得ながら市民への意識啓発を進め、マイバッグの利用を呼び掛ける。市環境部は、5月30日の「ゴミゼロ」の日に、函館消費者協会(米田イツ会長)と合同で啓発イベントを実施することを検討している。

 容器包装リサイクル法の一部改正で今年4月から、レジ袋を含む容器包装廃棄物の排出抑制対策が強化される。市も1997年度に「市簡易包装等推進懇話会」を設置。他都市の事例を参考に、袋などの削減に向けた取り組みを協議している。

 レジ袋は全国で1年間に300億枚が使用され、家庭ごみの6%程度を占めているとされる。

 全国の一部都市や生協などでは、袋の有料化による排出抑制対策に取り組んでいるが、市環境部は「全事業者が一斉に取り組まなければ、消費者からサービス低下と受け取られる問題がある」とし、まずは行政と小売団体のほか、消費者団体にも協力を求めながら削減運動に取り組んでいく考え。

 具体的にはスーパーやコンビニ、大型小売店などに対しエコバッグを展示・販売してもらい、店内放送やポスターなどで袋削減とマイバッグの持参を呼びかけてもらう。また、市政はこだてや環境部ニュース、出前講座、環境フェスティバルなどで市民一人ひとりの意識の啓発、高揚に努める。

 市リサイクル推進課は「23日には函館消費者協会のフォーラム、27日には本年度初めての簡易包装等推進懇話会があり、レジ袋削減運動について理解や関心を深める。各種団体の協力を得ながら運動を進めていきたい」と話している。

 レジ袋削減についてはこのほど行われた市議会一般質問で板倉一幸氏(民主・市民ネット)が取り上げ、市環境部がキャンペーンを実施する方針を伝えた。(高柳 謙)


◎風力発電で桧山が脚光
 【江差】北海道電力(札幌市)が募集していた風力発電からの売電事業者に、江差町で発電事業を計画している日本風力開発(東京)が決定した。桧山管内では同社を含む複数の電力事業者が風況調査を進めるなど、風力発電の好適地として脚光を浴びている。

 北電は2月に抽選枠(2万キロワット)と入札枠(3万キロワット)で事業者を募集。抽選枠は23社が応募した。同社は江差町で1500キロワットの風車13基(1万9500キロワット)を設置する計画。北電の購入条件は1キロワット時の単価が3・3円。受給期間は2010年3月から17年間。

 一方、上ノ国町で3万キロワット級の風力発電を計画していた電源開発(東京)は、入札枠で応募したが、40社以上の入札があり落札には至らなかった。同社は風況調査を行った夷王山周辺を全国的に優良な立地条件と評価。今後も前向きに建設を検討する方針を町に伝えた。

 日本海に面した桧山管内は、国際的な二酸化炭素排出規制などの影響もあり近年、複数の電力事業者が好適地として注目。両町をはじめ乙部町など各地で風況調査が行われている。

 管内では先発組として1998年―2002年に上ノ国町(1000キロワット)、エコ・パワー(800キロワット=江差町、1200キロワット=せたな町)、江差ウインドパワー(2万1000キロワット)が風力発電を開始。後発組では03年に旧瀬棚町(1200キロワット)、05年に電源開発(1万2000キロワット=せたな町)が新たに参入した。だが、ウ社はずさんな立地計画が原因で経営難に陥ったほか、技術の発展途上期に参入した先発組は多くの機械トラブルにも悩まされた。

 また、クリーンエネルギーとして脚光を浴びるが、予想を超える落雷、景観や環境への影響、風車への野鳥の衝突、廃止後の跡地問題など、さまざまな“逆風”が吹き始めたのも事実だ。先発組が苦戦する中、最新の技術やノウハウを蓄積して参入する日本風力開発による事業だけに、新展開に関心が集まりそうだ。(松浦 純)


◎市長、議長へ質問状 市長選の公平公正、西尾前助役招致せず
 函館市議会の議会運営委員会(能川邦夫委員長)が13日開かれ、政治倫理について協議した。法律で認められない市街化調整区域への老人ホーム建設をめぐり、市長が再検討を指示したとされる問題について、総務、福祉、都市建設の3部長と保健所長が委員の質問に答えた。

 一連の問題は本会議の3氏による一般質問で平行線をたどり、同日の議運でも明確な進展はなかった。丸尾隆子氏(共産党)が疑惑の追及や真偽の確認のため、井上博司市長と福島恭二議長の出席要請と、問題を提起した西尾正範前助役の招致を求めた。

 市長と議長の出席について能川委員長は、これまでの経過から追及と否定に終わることが考えられるため、文書で質問事項を送り、回答をもらうことを提案し、賛成多数で合意。西尾前助役の招致については、共産党を除く8会派が「西尾氏が市長選への出馬を表明しており、公平・公正な選挙を期するため、参考人招致は見送るべきだ」と判断した。

 今回の市街化調整区域への老人ホーム建設が、市の開発審査会の付議基準に合致するかとの質問があり、野々宮勇都市建設部長は「基本的に許可基準に該当しないので、仮に申請されても不許可となる」と答えた。特例で認める場合は一定の要件を満たさなければならず、「市の福祉施策に支障を与えない」ことが要件。福祉部が「調整区域への建設は認めない」としているため、そもそも付議基準に合致しないという。


◎NPOわっとな HP開設、講演…活動本格化
 わたしたちが死んだらこの子はどうなるんだろう―。障害のある子どもとその保護者らを対象にした憩いの場「すきっぷ」と、余暇活動をサポートする「ちゃれんじ」の2つの事業を運営するNPO(民間非営利団体)「みんなのさぽーたー わっとな」(山口照美代表)が、活動を本格化させている。市民ら対象にした講演会をこのほど開き、「命の大切さ」を訴えた。

 同団体は、障害のある子どもの保護者らを中心に2006年5月に設立。東北地方の方言である「わ」(わたし)と「な」(あなた)を組み合わせた団体名には、地域の人と協力し、子どもたちが自立できる場を増やしていきたいという願いが込められている。

 山口代表(34)は夫の転勤に伴い道内を転々としていたが、長男(6)が自閉症と分かり、支援環境が整った函館市に移住。だが、学童の受け入れ体制や子育て支援、生活支援、就労などに対し依然、不安は尽きず、多くの人に障害について知ってもらう必要性を感じたという。

 現在、会員は3歳から中学生までの25人。会員の保護者や学生、主婦ら35人がサポーターとして登録し、月曜から土曜の午前10時から午後5時まで活動している。

 「すきっぷ」は、函館市内の事務所(宇賀浦町1)の一室を予約制で有料開放。サポーターやボランティアが見守る中、室内で遊びや食事などを楽しむことができる。

 「ちゃれんじ」は、同市内・近郊の利用者宅などにサポーターらが出向き、託児やサポートを行う。どちらも会員以外も利用できる。

 これら事業のほか、不定期に親子レクも行っていて、本年度はJRで大沼まで出かけたり、市電で市内を巡ったりするなど、積極的に外出した。

 間もなく設立1周年。今後は法人化や常勤体制づくりなどを目指す。また、ホームページ(HP)も新たに開設。保護者らの悩み相談を受け、情報交換の場となるコンテンツも増やす考え。アドレスはhttp://watona.web.fc2.com/

 山口代表は「子どもの豊かな将来像を願う姿はみなさんと同じ。子どもたちにはいろんな人と交流し、その環境に慣れ、安心感につなげてほしい」と話している。(笠原郁実)


◎児童虐待防止研修会 軽度発達障害知って
 児童虐待への対応や未然防止にかかわる行政や学校、警察などの実務者を対象とする第2回函館市児童虐待防止研修会が13日、市総合福祉センターで開かれた。子供の発達障害などに詳しい精神科医で、北大大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センターの田中康雄さんが「愛着・発達障害の養育者を支援する〜児童虐待防止の視点から〜」と題して講演した。

 函館市や学校、児童相談所、警察など32機関で構成する市要保護児童対策地域協議会の主催。各構成機関・団体の実務者45人が参加した。

 田中さんは注意欠損多動性障害などの軽度発達障害の特徴を挙げ、「周囲から見過ごされやすく、障害と認められず自己責任論へ向かいやすい。子供は傷つき、自己評価が低く、親も追いつめられやすい」と説明した。

 また1歳までに親から得る信頼感が基本となり心の自立へつながるが、「児童虐待によって阻まれる」と指摘。「虐待は親も子も孤立していることが共通点。自ら逃げられないゼロ歳から3歳までの低年齢に集中している」と実態を伝えた。(宮木佳奈美)