2007年3月15日(木)掲載

◎ホテル函館ロイヤルの木村さんの中国料理がグランプリ
 ホテル函館ロイヤル(大森町16)の中国料理「ぎょくらん」の調理師木村祥吾さん(34)が「第5回ヨーロッパのワインを楽しむ中国料理コンクール」(欧州連合など主催)の熱菜(ねっさい)部門で最高位のグランプリに輝いた。同時にフランスのローヌワイン委員会が、ローヌワインに合う料理を選ぶローヌ賞も受賞。昨年に続く2回目の出場での栄冠に木村さんは「まさかグランプリを受けるとは。いまだに信じられない」と喜び、関係者も祝福している。

 ヨーロッパワインに合う中国創作料理を競う同コンクールは先月20日、東京調理師専門学校(東京)で開かれた。ことしのワインは、アルザス、ローヌ、シェリーの3種で、熱菜部門の食材は、豚バラ肉またはサケを使った。

 1月中旬に第1次選考が行われ、全国から120点が応募。レシピと料理の写真が審査され、熱菜部門で8人が本選に出場。1次選考に提出した料理で腕を振るった。

 木村さんは、昨年の同コンクールで努力賞を受賞。「見た目は良かったが、味付けが評価されなかった」と分析。ことしのメニューは、夏伐(なつぎり)弘治同ホテル料理長のほか、市内のホテルに勤める調理師からアドバイスを受け、ワインについても雑誌や資料を参考に、3種の独特の風味などを徹底的に研究。料理との相性に試行錯誤した。

 「ワインに合う濃い味付けで勝負」。木村さんは考えた。料理は3つの彩りと味・香りが楽しめる「参味彩香猪肉」(サンミーツァイヂュウロウ)、スペアリブのスモークと豚ひき肉豆腐包み、バラ肉の黒酢入り甘酢掛け。これらを彩りよく、一皿に並べた。スペアリブは香り、豆腐包みは食感、甘酢掛けは食欲をかき立てる。

 本選では、夏伐料理長から受けた「いつものように落ち着いてやれば大丈夫」のアドバイスを胸に、平常心で料理を進めた。「風味、食感、見た目が上出来で、満足のいく仕上がりだった」と振り返る。表彰式で、最後にグランプリとして名前を呼ばれた時、「ことしはだめだと思ったが、まさかの思いで一杯だった。夏伐料理長、職場の仲間、家族の支えがあってこその受賞。皆に感謝です」と喜びを話す。

 同ホテルではグランプリ受賞を祝うイベントを29日午後6時から行う。問い合わせは同ホテルTEL0138・26・8181。(田中陽介)


◎富岡の男性殺人初公判、内縁の妻が起訴事実認める
 同居していた無職男性(当時41)を殺害し、遺体を空き地に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた函館市富岡町、無職の女(46)に対する初公判が14日、函館地裁(柴山智裁判長)で開かれた。女は「間違いないです」と起訴事実を認め、弁護側は被害者の男性の暴力からの過剰防衛の成立と情状酌量を求めた。

 この裁判は、公判前整理手続きが適用されており、過剰防衛の成否と情状面が争点となった。

 検察側は冒頭陳述で犯行に至った経緯を「男性からの度重なる暴力に耐えかねて、長男(16)に男性の殺害を打ち明け、一緒に犯行を決意した」と説明。「1週間ほど前から複数回、男性の食事に睡眠薬を混ぜるなどして機会をうかがい、男性が寝入った犯行当日の深夜に殺害に及んだ」など、犯行状況を明らかにした。

 弁護側は、被害者の男性が、女らと同居を始めた5年ほど前から、ささいな理由で女や長男らに暴力を振るうようになったと指摘。男性が暴力団員であることから、報復を恐れて警察などへの相談を思いつかないほど、精神的に追い詰められた状態だったと主張した。

 長男=殺人・死体遺棄罪で起訴済み=も証人として出廷した。「(男性からの)暴力は1時間は続き、『殺すぞ』などと言われて刃物を見せたりされた」と述べ「母親を助けたかった」と殺害を決意するまでに至った複雑な心境を証言した。「殺す以外に選択肢はなかったのか」との問いには「素直に家から出て行く人ではない。誰も立ち向かえないと思った」などと語った。

 冒頭陳述などによると、女は昨年10月19日午前零時半ごろ、同市富岡町の自宅1階和室で、長男と共謀して、同居していた、無職阿部喜代美さんの左胸を小刀(刃渡り約13・5センチ)で刺し、首をネックレスで締めるなどして殺害。遺体を富岡町3の空き地に放置した。


◎函館市長選まで1カ月/井上、西尾氏の一騎打ちか
 任期満了に伴う函館市長選挙は、4月15日の告示(同22日投開票)まで1カ月となった。現時点で立候補を表明しているのは、無所属の現職で3選を目指す井上博司氏(70)と、無所属の新人で前函館市助役の西尾正範氏(58)の2人。両陣営とも支持者獲得に全力を挙げており、井上、西尾両氏の一騎打ちとなる見方が広がっている。第1回函館市議会定例会が閉会する22日から、前哨戦は一気に過熱しそうだ。

 独自候補の擁立を模索している共産党は「過去に直前に候補を立てたこともある」(党函館地区委員会)と含みを持たせているが、函館市区の現職道議の再選を最重点課題としており、擁立は難しいとの見方がある。立候補の可能性を示唆していた自民党道8区の前支部長、佐藤健治氏(49)も出馬は見送る構え。

 井上氏は自民党と民主党道8区総支部の推薦を取り付けた。公明党にも推薦を申請している。水産、医療、建設などの各種団体から推薦を受け、足元を固めている。

 主要施策に、きめ細かな福祉施策で子どもからお年寄りまで安心して暮らせる環境づくり、北海道新幹線開業を見据えた産業振興などを掲げる。海の生態科学館(水族館)は財政再建のめどを見極め、市民理解を得た上で進めたい考え。議会答弁で、乳幼児医療費助成を就学前から小学校6年生まで拡大する考えも示している。

 市長の公務が優先され、本格的な支援者回りはこれから。推薦企業・団体へ支持を訴えるとともに、その社員や職員に対して後援会への入会を呼び掛け、支持拡大を狙う。井上氏を批判する形で助役を辞職した西尾氏の発言の余波など、逆風はあるが静観の姿勢。「きちんとした政策を訴えて正々堂々と戦うしかない」(後援会幹部)と信じる。

 西尾氏は昨年12月に市政運営の在り方に異議を唱え、助役を辞し、市長選候補者の擁立を画策したが作業は難航。2月末に、高校時代の同期生らでつくる後援団体の後押しで出馬を表明し、「無風」と見られていた状況が一転した。

 西尾氏が掲げるマニフェスト(公約集)は、人材育成に重点を置き、水族館建設反対や、500人規模のコンベンション施設建設など、現職との対決軸を明確化。すでに3万枚を配布し、さらに増刷をかけ市民への浸透を図る。

 西尾氏は、連日市内の教育や福祉関係などの団体・機関、地元企業を中心に足を運び、支援を訴えている。地域の実情について「閉そく感が強い」と語る。

 後援会はホームページ(HP)を開設し、公約や活動状況など積極的に情報を発信。インターネット上のブログ(日記風サイト)では勝手連的な支持層の広がりも見られている。(市長選取材班)


◎江差町議会、議員定数16→12へ
 【江差】江差町議会は14日、議員定数を16から12に削減する定数条例改正案を賛成多数で可決した。任期満了に伴う7月の町議選から適用される。

 定数条例改正案の採決は記名投票で行われ、町政与党会派の協政会(打越東亜夫会長、議員7人)と社民党(大井寿子氏)の8人が賛成。野党会派の緑政会(小笠原満会長、同5人)と共産党(沢野健三団長、同2人)の7人が反対した。

 採決に先立ち、町民663人が提出した、定数を16から12に削減するよう求める請願を与党会派の賛成多数で採択。緑政会は定数を16を10にする定数条例改正案を提案したが、12議席案を提案した与党会派と共産党の反対で否決した。

緑政会は請願の採択は「定数削減は委員会運営を困難にする」(村上雅文氏)と反対する一方で10人の条例改正案を提案するなど歩調が乱れた。

 定数条例改正案の可決に伴い、桧山管内では7町すべてで町議定数の削減が決定。管内全体の定数は128人から84人に減る。

 定例会は同日、総額50億8846万円の新年度一般会計当初予算案、学校給食費健全化対策負担金を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案など36議案を可決、閉会した。(松浦 純)


◎石油製品小売価格調査、ガソリン6カ月連続で下落
 函館市がまとめた3月の石油製品小売価格調査結果によると、ガソリン(レギュラー1リットル、現金)の平均価格は前月比1・42円安の130・53円と6カ月連続で下落した。2005年4月から上昇傾向の最高価格は、前月比5・0円安の142・0円に下落。最低価格は前月と同じ118・0円だった。

 家庭用灯油(1リットル、ホームタンク用)は平均価格が前月比1・34円安の73・68円で昨年9月から下落が続く。最高価格は同5・0円安の83・0円、最低価格は前月と同じ68・0円。軽油はいずれも下落し、平均価格が前月比1・1円安の110・88円、最高価格は同5・0円安の120・0円、最低価格が同2・0円安の100・0円。

 重油は平均価格が前月比0・35円安の73・27円。最高価格は前月と同じ84・0円、最低価格は2月に下落したが再び上昇に転じ、前月比3・0円高の67・0円に。プロパンガスは平均価格が5立方メートル当たり前月比10・87円高の5027・61円、10立方メートル当たり17・61円高の8046・4円で続騰傾向。

 調査は12日、市内の卸しまたは小売りを兼ねる13店、小売りのみの17店を対象に実施した。(宮木佳奈美)


◎民主、対応に乱れ/連合がきょう対応決定
 井上氏の推薦を決めた民主党道8区総支部(支部長・金田誠一衆院議員)内で、市長選への対応に不一致が見られる。複数の関係者によると、道議選や市議選の一部後援会関係者らが西尾氏の支援に回っている。

 道8区総支部は井上氏からの推薦申請を受け、2期目の4年間の市政を検証。1月下旬に推薦する方針を固めた。しかしその後、西尾前助役が老人ホーム建設をめぐる市の疑惑を指摘。2月8日に推薦を正式決定したが、一部の民主系市議や労働組合内から「疑惑の真偽をめぐる検証や確認が十分なされないまま、推薦を急いだ」との不満が漏れて伝わる。

 総支部の板倉一幸幹事長は「推薦に対する意見はいろいろあったが、支持まで駄目だという声はなく、議論を重ねた中で決定した。道議選の函館市区3人必勝に向けた足並みは一切乱れていない。市長選への対応もいずれ一定の方向に向かうと信じている」と話している。

 15日には民主党の最大支持母体である連合函館・渡島地域協議会(渡部正一郎会長)が市長選への対応を決定する。(市長選取材班)