2007年3月18日(日)掲載

◎函工吹奏楽局とOB・OG 五稜郭タワーアでミニコンサート
 第3回函工吹奏楽局ミニコンサートが17日、五稜郭タワー1階アトリウム(函館市五稜郭町)で開かれた。部員、OB・OG合わせて31人が、日ごろの練習の成果を披露。観光客ら集まった約300人の聴衆を楽しませた。

 温かな日が差すガラス張りの広場で行われた同タワー初の一般コンサート。同局の工藤のぞみさん(17)が「大勢の人を目の前に緊張しますが頑張ります。最後までどうぞゆっくり楽しんでください」とあいさつ。

 映画音楽「パイレーツオブカリビアン」で幕開けし、演歌「函館の女」や人気ポップスなど、アンコールを含め全8曲を約1時間にわたって演奏。曲が終わるごとに会場からは大きな拍手が送られた。ステージをひと目見ようと、館内のらせん階段にも人が並ぶほどの盛況ぶりだった。

 一番前の席でステージを楽しんだ石島美知子さん(70)は「すごい迫力で感動した。よかったの一言」と興奮した様子。工藤さんは「演奏の最中、お客さんの笑顔に励まされた。とても気持ちよいステージだった」と声を弾ませていた。(田中陽介)


◎道新幹線地域づくり懇談会 「戦略、現実性ポイントに」
 渡島・桧山管内の関係機関で構成する「北海道新幹線の開業を活かした地域づくり懇談会」(座長=成田一憲・渡島支庁長)に設置された「観光振興部会」(部会長=鈴木克也・公立はこだて未来大システム情報科学部教授)による検討結果報告書がまとまった。観光振興方策として5本の柱を示すとともに、さまざまな具体策を提案している。成田座長は「実現可能な取り組みから随時手がけ、新幹線開業までには十分な態勢を整えたい」と意欲を見せている。

 報告書は16日に鈴木部会長から成田座長に手渡された。同部会は、新幹線開業に伴う経済効果のうち、もっとも波及効果が期待される観光関連分野を掘り下げる目的で、昨年8月の第2回地域づくり懇談会で設置を決定。学識経験者や観光関連事業者ら17人で構成され、これまで5回にわたり道新幹線開業効果拡大活用検討会議の吉見宏座長らと意見交換を重ねてきた。

 報告書では、道新幹線開業予定の2015年度に向けた「戦略性」や「現実性」にポイントを定め、(1)広域観光への拠点づくりの推進(2)地域連携による広域観光ルートの開発推進(3)観光情報発信力の強化(4)大都市圏市場へのマーケティング活動の強化(5)青森県や北東北との連携による広域観光の推進――の5つの柱を掲げるとともに、それぞれについて想定される取り組みの具体例を示した。

 「広域観光への拠点づくりの推進」では、これまで通り函館を道南観光の拠点と位置づけながら、さらに大沼(七飯町)、松前、江差、奥尻など各地域ごとの特性を打ち出し、体験型観光の創造などで長期的滞在への活路を見いだしていく。

 「地域連携による広域観光ルートの開発推進」では、観光拠点間を結ぶ移動ルートそのものの魅力を発掘してアピールする。例えば函館から二股ラジウム温泉(長万部町)間を国道5号で移動する場合、赤松街道(七飯町)や噴火湾パノラマパーク(八雲町)など、ルート上の観光ポイントを開発し、付加価値を高める。

 「観光情報発信力の強化」では、携帯電話やパソコンなどのモバイルを活用し、リアルタイムで大量の観光情報を発信し、顧客への浸透を図る。また観光客からの多様なニーズを分析し、戦略づくりに役立てる。

 「大都市圏市場へのマーケティング活動の強化」では、道南圏全体での統一PRテーマやキャッチコピーを創出し、継続的に大都市圏でプロモーション事業を展開。首都圏における特産品フェア会場や通信販売のホームページなどと連携した情報発信も視野に入れる。

 また、2010年には東北新幹線が新青森まで延伸されることを踏まえ、「青森県や北東北との連携による広域観光の推進」にも取り組む。特にイベントやフォーラムの共同開催などを通じ、郷土芸能や職人芸などの文化交流の推進に力を入れたいとしている。(小川俊之)


◎亀田本町支署が改築 防災体制強化 新たな拠点に
 函館市北消防署亀田本町支署(亀田本町4)が改築され、4月1日から本格的に運用を開始する。広さは旧庁舎の約3倍。昨年4月に「出張所」から「支署」に格上げされた組織再編に伴い、職員や消防車の数も増強される。個室型の仮眠室や、市民向けの救命講習会などに利用できる講堂が設置され、新たな防災拠点として期待が高まっている。

 新庁舎は鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は約940平方メートル。1階には車庫やトレーニング室、消毒室のほか、身障者向けのスロープやトイレを設けた。庁舎裏の電機室・資機材倉庫棟は、鉄骨造り2階建て延べ143平方メートル。総工費は約3億7000万円。

 2階には事務所のほか、個室化された休憩室や、約40人が収容できる講堂を新設した。12室ある仮眠室にはそれぞれベッドが備え付けられている。職員のプライバシーに配慮したり、病気などの感染を防止したりする目的で、将来的には女性署員の配置にも対応する。講堂は市民向けの防災・救命講習での利用に加え、大災害時の署員の緊急招集にも備える。

 耐震強度も高められ、「震度6、7程度の地震でも崩れない設計」(市消防本部)。大地震でライフラインが途絶えた場合でも、無線や照明などの電気設備を40時間稼働できる自家発電設備もある。

 同支署の署員は現在26人。4月1日からは消防隊員26人、救急隊員10人の計36人体制に強化する。昨年4月から管轄地域に加わった港町周辺の工業地帯での燃料火災に備え、消防車も1台から3台(化学車を含む)に増やす。救急車は従来通り1台。

 同支署の管轄地域は昨年3月まで、亀田本町、富岡町など住宅地中心の6町だったが、支署への移行に伴い、港町、吉川町、浅野町など函館港に面した工業地域を加えて計17町に拡大。北消防署管内最大の約1万8600世帯、3万7500人が対象となっている。

 4月3日に開庁式を行い、新庁舎の完成を祝う。同本部は「新たな防災拠点として、地域の消防力が強化された。市民向けの講習会を積極的に開くなどコミュニティー機能を最大限活用し、地域の防災意識を高めていきたい」としている。(森 健太郎)


◎地域住まいづくりフォーラム 「町並みの在り方考えて」
 【江差】「地域住まいづくりフォーラム―江差らしい建築の生かし方」(桧山支庁、江差町共催)が17日、江差町のホテルニューえさしで開かれ、参加した檜山管内の建設関係者や住民ら約150人が耳を傾けた。

 江差町出身の南谷正巳・函館市シルバー人材センター理事長が「江差ルネッサンス―歴史的建造物・街なみを利用して」をテーマに講演。南谷氏は「江差では『いにしえ街道』の整備だけでなく上町でも町並みの在り方を考えてほしい」と提言。その上で「都市では孤独死が社会問題になっている。江差でも人間関係が希薄化してはいないか。町並みに血が通っていないと感じることがある。江差の再生は住民が主役だ」と呼び掛けた。

 パネルディスカッションでは、南谷氏、井端明男氏(日本建築家協会)、辻正勝氏(江差の家づくり協会)、森昌廣氏(江差町建設課)が「古建築を生かした住宅づくり」をテーマに意見交換。

 井端氏は「江差では姥神(うばがみ)大神宮渡御祭りで客をもてなすため、2つの大きな8畳間や台所が必要との考え方が根強い。外見だけでなく多彩な家の様式と技術を伝えることも大切」と指摘。辻氏は「江差はかつて『大工の町』と言われたが、後継者をどう育てていくのか課題だ。他地域の人が懐かしさを感じるような、木材で作られた町並みや住宅にこそ江差らしさがある。若い世代にどう伝えていくのかを考えていきたい」と語った。

 森氏は「風土に適した町屋、商家、土蔵が江差には数多い。新技術も取り入れながら町全体で江差らしい家造りを考えるべきだ」と述べた。また、南谷氏は「江差では北前船が文化を運んできた。函館の西部地区にも、古い函館が成華を極めた時代が残っている。昔の家は冬、寒い。外観は残して内部は新技術で使いやすく直していくことも必要」と訴えた。(松浦 純)


◎超低床電車20日に運行開始
 函館市交通局は20日、新型車両「超低床電車9601号」の運行を始める。初日は、午後零時45分に駒場車庫前電停を湯の川電停に向けて出発。湯の川―函館どつく前を往復する。初便の1往復に限り、利用客には記念乗車証明書が発行される。

 超低床電車は、函館市電では初めてとなる2連接式の車両。乗降口の段差解消や、車内も床全面を平らにするなど、高齢者や幼児、障害者らすべての人の利用に配慮したユニバーサルデザイン仕様になっている。

 21日以降は、奇数日は湯の川―谷地頭、偶数日は湯の川―函館どつく前電停をそれぞれ1日5往復する予定。

 同局運輸課は「初便は混雑が予想され、満員の場合は乗車をお断りすることもあります。できる限り譲り合って利用してほしい」と話している。

 詳しい運行予定は同局のホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/transport/)で。問い合わせは同課TEL0138・52・1273。(今井正一)