2007年3月19日(月)掲載

◎渡島保健所、飲食店に「禁煙」ステッカー貸し出し
 渡島保健福祉事務所保健福祉部(渡島保健所)は、事業所や飲食店などに対し「禁煙お試しグッズ」の貸し出しを行っている。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙防止の観点から、禁・分煙対策を講じる施設は多くなってきているが、飲食店の中には、客離れを心配し、踏み切れない背景がある。「禁煙試行中」と書かれた各種表示グッズ、アンケート用紙などを用意。“保健所のお墨付き”をきっかけに、禁煙対策の本格実施に取り組んでもらいたい考えだ。

 同保健所では、施設管理者に受動喫煙防止の努力義務を定めた健康増進法第25条に基づき、飲食店を対象にした「空気もおいしいお店推進事業」や、そのほかの施設を対象とした「受動喫煙防止対策推進事業」を展開。ともに認定登録制度を設け、ステッカーの交付やホームページ上での事業者名紹介など、同法の普及啓発や受動喫煙防止の取り組み支援などに務めている。

 現在、同管内の8市町で、医療機関や薬局などを中心に「受動―」に登録した施設は98件。しかし「空気の―」への登録はわずか9件にとどまっている。飲食店からは、禁煙を実施したいが、顧客減少のリスクや喫煙者からのクレームを懸念する声があるという。

 貸し出しをするお試しグッズにはすべて「渡島保健福祉事務所」の名が入っている。禁煙実施の賛否を問うアンケート用紙や回収箱も用意。アンケート用紙のみを設置したある飲食店の店主からは「客の反応や考えが分かって良かった」との声があったという。

 同保健所は「4月からは、合同庁舎の保健所区画のみを禁煙とする試みも始める。グッズの設置をきっかけに段階的にでも分煙や禁煙に取り組んでもらいたい。事業所や店舗だけではなく、個人の禁煙にかかわる相談も受け付けているので、気軽に声を掛けてほしい」と話している。

 問い合わせは、健康推進課TEL0138・47・9542。(今井正一)


◎管内公共施設など完全禁煙は半数
 渡島保健所は、昨年10月に、管内8市町の公共施設や医療機関、保育所、学校など子どもが利用する施設271件を対象に、禁煙対策についてのアンケートを実施した。(回答・227件、回収率83・8%)。

 それによると、敷地内の完全禁煙を実施している施設は全体の16%。施設内完全禁煙は、全体の33%で、合計すると約半数を占めた。場所を限定するなど、何らかの喫煙制限を加えている部分禁煙施設を合わせると、全体の92%に上った。

 制限導入のきっかけに、健康増進法を挙げた施設が107件と最多。同法の施行により、禁煙に対する取り組みが浸透しつつある結果となっている。


◎指定管理者導入「熱帯植物園」など、新年度は経費21%減
 函館市が新年度から指定管理者制度を導入する戸井ウォーターパークと市営熱帯植物園の2施設は、直営に比べ年間1640万円、21%の経費縮減効果を生んだ。新規に開設する地域交流まちづくりセンターと西桔梗野球場は比較の対象がないが、管理委託の上限価格を38万円、0・86%下回ったことも分かった。

 公の施設を民間が管理代行する制度。民間のノウハウを活用した施設のサービス向上と維持管理費の縮減を図る。本年度は415施設で約9000万円、平均2・8%の経費縮減効果があった。 このほど開かれた市議会予算委員会で井田範行氏(はこだて市民クラブ)が、新年度から導入する各施設でのサービス向上例や、一層の導入拡大についての考えをただした。

 市総務部は、戸井ウォーターパークが、映画鑑賞会や温泉入浴と健康づくりの講演会開催など、市営熱帯植物園は温室内の展示植物の解説板作製や、小中学生や親子を対象にした体験学習会の開設が提案されていることを報告した。

 市はこれまで、対象となる約720施設のうち約420施設で同管理者を導入している。管理者は公募して選定委員会で決定するが、市営住宅や市民会館、芸術ホールなど399施設は特例措置として、市住宅都市施設公社や市文化・スポーツ振興財団が継続して管理者となった。

 残る約300施設のうち、約100施設は小中学校や民営化を予定している保育園などで、約200施設は児童館や市営墓地、斎場、市電、病院、上下水道など。市は約200施設について、地域性や公共性が高く、サービスの安定供給などから市の直接管理が望ましいとしたが、「引き続き導入を検討し、課題が整理され次第、指定管理者を導入していきたい」と答えた。

 管理者の選定委員会は助役2人、企画・総務・財務の3部長、弁護士と教育関係者各1人の計7人。井田氏は応募者のチェック機能や選定の透明性を高める観点から、民間委員の拡大を求め、市も「前向きに検討したい」と答えた。(高柳 謙)


◎函館海保、区域外航行で潜水夫の男逮捕
 函館海保は18日、千葉県君津市北子安5、潜水夫高田一規容疑者(52)を船舶安全法違反(区域外航行)の疑いで逮捕した。同容疑者は小型船舶操縦免許証を持っていない疑いもあり、同海保は容疑が固まり次第、19日午後にも、同容疑者を、船舶職員及び小型船舶操縦者法違反(無免許航行)容疑と合わせて、函館地検に送致する予定。

 調べによると、同容疑者は2005年11月24日午前11時ごろ、航行する潜水作業船「第18米寿」(10・47トン)が、同法下で沿海区域の航行しか許可されていないのに、区域外である江差町鴎島灯台の北北西約7・8キロ地点を運航した疑い。

 不審な船があると情報を受けた、同海保の巡視船が現場海域で同作業船を確認、同容疑者と江差港で事情を聴く約束をしたが、同容疑者は入港後船のみを残して行方不明となった。同容疑者は道内外を転々とし、再三の電話連絡にも応じないことから、悪質性が高いとして、逮捕に踏み切った。

 同容疑者は同作業船の所有者の米寿潜水(函館市大森町、稲田一之社長)に雇用され、沿海区域である久遠港(せたな町)で潜水作業をし、江差港に向かう途中だったという。調べに対し、同容疑者は「時間とお金がかかるので、安易に区域外を運航してしまった」と容疑を認めているという。


◎函病で研修医がロビーコンサート
 第11回市立函館病院ロビーコンサート「チェロとピアノによるスプリングコンサート」が17日、同院1階エントランスホールで開かれた。同病院の研修医である中田麻子さんのチェロ、井上万梨絵さんのピアノにより、クラシックから童謡まで親しみやすい名曲が披露され、来場者約150人を楽しませた。

 同院では入院患者やその家族らを元気づけようと、3年前から様々な団体によるロビーコンサートを実施。中田さんと井上さんはともに昨年4月から同院に研修医として勤務してきたが、この4月からはそれぞれ札幌市内に移動して残りの研修を行う。中田さんは9歳からチェロを、井上さんは5歳からピアノを習っており、同院を離れる前に、患者さんたちに音楽の楽しさを味わってもらいたいと考え、コンサートを開催した。

 前半はユーモレスクやベートーベンのメヌエットなどクラシックの名曲を演奏。忙しい研修の合間を縫って1月から練習を重ねてきただけあって、豊かなチェロの響きとさわやかなピアノの音色が溶け合い、ホール内は美しい響きに包まれた。後半は早春賦やこの道などの童謡を来場者も一緒に口ずさむなど、終始なごやかな雰囲気でコンサートは進められた。

 演奏を終えた中田さんは「最初は緊張したけれど、みなさんが音楽を楽しんでくれている雰囲気が伝わってきて心地よかった。函館を離れる前にとても思い出ができた」と感慨深げ。井上さんは「顔なじみの患者さんがたくさん足を運んでくれてうれしかった。函館は大好きな町なので、研修後は医師としてまた戻ってきたい」話していた。(小川俊之)


◎厚沢部町長選 渋田前助役が出馬表明
 【厚沢部】厚沢部町の渋田正己前助役(63)=無所属=は18日、統一選(4月17日告示、同22日投開票)で行われる同町長選に出馬することを正式表明した。現職の澤田孝一氏(73)=同=も既に4選出馬を表明。同町長選は前回と同じ両氏の一騎打ちによる激戦が予想される。

 同日、町内で開いた後援会事務所(新町)の開所式で表明した。式には川口肇町議会議長ら支持者約300人が出席した。

 渋田氏は「町民は選挙のしがらみの無い住みよい町を求めている。このままでは借金まみれの町になる。農林業の衰退も放置できない。農林業が活性化しなければ町全体が発展しない。ふるさと厚沢部の発展に尽くしたい」と訴えた。

 後援会長には、前回選挙で澤田氏を支持した、福田久雄町議が就任。福田氏は「これまで町長選ごとに町を2分してきた。澤田氏は後進に道を譲るべきだ」と、澤田氏の高齢多選を批判。川口議長は「澤田氏は一生懸命やったが馬力もアイデアも尽きた。町長選があるたびに町民が派閥で色分けされるようなことを無くしたい」と訴えた。

 渋田氏は室蘭市出身。江差高卒。62年町役場入り。町教委次長、国保病院事務長、農林商工課長などを経て95年5月助役就任。2003年の前回町長選で澤田氏と争い138票差で破れた。今回の出馬に際しては、建設業者や商工業者を支持基盤に、徹底した草の根選挙を展開するほか、農業者など民主系の一部も取り込み支持拡大を図っている。(松浦 純)