2007年3月2日(金)掲載

◎函北・東高で最後の卒業式
 道内の公立高校で1日、卒業式が行われた。渡島・桧山管内の高校でも、全日制28校、定時制3校で一斉に卒業を迎え、合わせて3137人(1月末現在)が希望や夢を胸に学びやを巣立った。統合し新年度から「市立函館高校」として新たなスタートを切る函館東(森武校長、生徒757人)と函館北(小島修二校長、同558人)の両高校では、在校生や父母らが見守る中、はかまやドレスなど思い思いの姿の513人が晴れやかな表情で式に臨んだ。

 函館東高校では7クラス278人が卒業を迎え、各クラスの代表者が壇上で森校長から1クラス分の証書を受け取った後、別れの言葉を述べた。大谷和也君ら2組の42人は、森校長に「函館東高校の課程を修了したことを証する」と記された卒業証書を手渡すパフォーマンス。森校長はにこやかに受け取り、固く握手を交わした。

 森校長は「今後、壁に突き当たると思うが、夢を持つことや挑戦する勇気を表す東高校の基本精神『青雲魂』『青雲の志』があなたたちの背を押してくれるはず」と激励。卒業生代表の吉川知里さんは「市民の学校として期待され誕生した高校、未来への伝統をつなげた先人、それらへの感謝を忘れることなく、何らかの形で返していくのが私たちの務め」と閉校の寂しさと未来への期待を答辞に込めた。

 函館北高校では、小島校長が235人一人ひとりに卒業証書を手渡した。中には小島校長に握手を求めたり、壇上で写真に収まったりする姿も。小島校長は「伝統に押し潰されることなく、最後の卒業生として頑張ってくれた。しばらくすると校舎もなくなるが、新しい統合校を母校として応援してください」と呼び掛けた。

 卒業生を代表して野口賢清(けんせい)君が「入学時から最後の卒業生なることは知っていたがひとごとのようだった。だが今日現実として重く感じた。学校がなくなろうが、この3年間での経験で何事にも乗り越えたい。在校生は新しい学校をつくっていく。北高の面影のある学校づくりをしてほしい」と述べると、にぎやかだった会場は静まり、卒業生らは3年間を振り返り、目頭を熱くさせていた。

 函館東の卒業生総数は2万4572人、函館北は1万397人。函館北では留学中の卒業生が函館に戻り次第、最後となる1万398号の卒業証書が発行される。(笠原郁実、山崎純一)


◎エム・ティー・エスがコールセンター開設
 パソコンや無線LANなどIT(情報技術)機器の訪問設定などのサービスを有償で提供するエム・ティー・エス(名古屋市、松橋敏雄社長)は1日、三井生命函館若松町ビル(函館市若松町6)にコールセンターを開設した。24時間体制で、全国から業務を請け負う。現在、東京都内にあるコールセンター業務を将来的に函館に集約する方針で、年内に地元から100人規模の人材確保を目指す。

 同社は、パソコン周辺機器大手のバッファローと同じ、メルコホールディングスの子会社。企業のネットワークシステムの構築業務のほか、個人のパソコン設定なども受注し、全国の工事店に発注している。同分野の業務では国内最大手で、月間2―4万件を請け負っているという。

 函館進出は、昨年夏から検討し、同社の協力企業であるみのり(同市昭和4、加藤進社長)や、市の協力で実現。松橋社長は「気候条件や方言の問題などで、九州や道内他都市と比べて検討した結果、優秀な人材が確保できると判断した」と説明する。国内の景気回復を受け、中部圏や東京での人材確保が困難になっていることも函館進出の背景にあるという。

 地元採用はみのりが担当し、業務を委託する。今後ハローワークや求人情報誌などを通じ、6月ごろまでに40人、年内には100人規模で採用する考え。

 加藤社長は「基本は正社員で採用し、函館の雇用機会を増やしていきたい。長く勤務できる人材を確保したい」と話している。(今井正一)


◎函館市、防犯情報をメール配信
 函館市は1日から、不審者情報や消防出動情報を電子メールで配信する「ANSINメール」サービスを開始した。携帯電話やパソコンのメールアドレスを登録すると、児童への声かけ事案の発生や火災出動などの最新情報が届く。地域の防犯意識向上や安全・安心なまちづくりに向け、効果が期待される。

 情報のカテゴリー(分野)は「安心・安全」「防災・消防出動」「緊急市政」の3つ。カテゴリー内には不審者情報や「振り込め詐欺」などの消費生活情報、災害緊急情報、消防出動情報、インフルエンザ流行などの緊急市政情報、交通局情報などがあり、登録時に必要な情報を選択する。

 担当部局が情報を書き込むほか、不審者出没や振り込め詐欺などは、警察や市消費生活センターが提供している情報を入力し直して配信する。

 メール配信の登録はパソコンと携帯電話からでき、利用者が登録するのはメールアドレスだけ。住所や氏名は不要で、画面の指示に従って登録する。

 パソコンはhttps://ansin.city.hakodate.hokkaido.jp/Community/携帯電話はhttps://ansin.city.hakodate.hokkaido.jp/Community/mobile/から。市のホームページからもアクセスできる。

 運用開始の1日は火災出動のほか、北斗市で発生した児童への声かけ事案などが配信された。市は「関心のある分野を登録してもらうことで市民生活の安全に役立ててほしい」と話し、システムの周知を進めながら内容の充実も検討していく。

 2005年12月に市の若手職員が発表した各部局の共通課題解決策として評価され、昨年2月に関係部局でプロジェクトチームを立ち上げ、準備を進めてきた。システムの維持費を含め、予算は年間約100万円。 問い合わせは市広報課TEL0138・21・3630。(高柳 謙)


◎亀田と東商工会・広域連携に関する協定締結
 函館市亀田商工会(大角正治会長)と函館東商工会(関根弘会長)は1日、業務効率化による経費負担の軽減などを目的に、広域連携に関する協定を締結した。5月中に予定されている両商工会の総代会での正式決定を経て、6月1日から連携をスタートさせる。

 道からの補助金減額により財政難に陥る問題に直面し、両商工会に市銭亀沢商工会(中浜八郎会長)を加えた3者は、昨年6月に組織体制に関する検討会議を開催。同9月に銭亀沢商工会が、函館商工会議所(高野洋蔵会頭)との統合を理由に離脱したものの、亀田と東の両商工会は、合同会議や互いの理事会などで協議を重ね、このほど基本合意に達した。

 同市内で開かれた会議には、両商工会役員と道商工会連合会(札幌)の職員合わせて16人が出席。協定書に署名、押印した大角会長は「今回の広域連携は地方の特徴を生かしながら、中小企業を支えていくための最大の知恵」とし、関根会長は「会議所から一つになろうという声が出てくると思うが、まずは会員を守っていくための広域連携に向けて心を一つにしていきたい」と述べた。

 両商工会は今後、経営に関する講習会の合同開催や、専門分野に特化した経営指導員の交流などの事業計画を議論しながら、会員へのサービスを低下させないことを前提に経費節減策を模索する。2月28日には、同会議所と銭亀沢商工会が4月1日の統合に向けた協定書を交わしたばかりで、市内の経済団体を取り巻く環境は大きな変革期を迎えている。(浜田孝輔)


◎公立高校入試の最終出願状況発表
 道教委は1日、2007年度公立高校入試の最終出願状況を発表した。推薦から一般選抜への再出願により一部の学校で実質倍率が上がり、渡島・桧山管内の全日制普通科で最も倍率が高かった七飯は、さらに上昇して管内全日制普通科としては05年度の函館西(2・0倍)以来の2倍超え。管内職業科では、函館水産の品質管理流通科が3・2倍、同機関工学科が3・1倍の高倍率となった。

 出願者数は、渡島全日制が2771人で平均倍率は前年度と変わらず1・2倍。定時制は109人で平均倍率は同0・5倍。桧山は335人で平均倍率は0・8倍(前年度比0・1ポイント増)だった。

 渡島管内の全日制普通科で、15日発表の出願変更後に倍率が上昇したのは、函館西、函館稜北、市立函館、上磯、七飯の5校。推薦選抜の不合格者が一般選抜に流れ七飯は0・3ポイント、函館西は0・2ポイント、ほか3校は0・1ポイントずつ上がった。

 職業科は函館工業、函館商業、函館水産が全学科で実質倍率に変動が見られた。函館水産品質管理流通科は3・2倍、函館工業電子機械科は2・8倍、函館商業国際経済科は1・7倍と変更後、さらに狭き門となった。

 桧山管内では、連携型入試で31人の入学が確定した上ノ国に6人が出願し、実質倍率を0・1倍とした。

 試験は6日で、合格発表は16日。(笠原郁実)


◎松前町新年度予算、一般会計45億5030万円
 【松前】松前町は1日、2007年度予算案を発表した。一般会計は06年度当初比1・3%減の45億5030万円。財政健全化計画に基づき02年度から6年連続で減少する中、産業基盤整備のため新事業を盛り込んだ。国保など3特別会計と病院など2事業会計を含めた総額は、同1・0%増の100億8615万円。7日開会予定の町議会第1回定例会に提案する。

 同計画集中取り組み期間の最終年度で、歳出は極力抑えた。一方、将来を見据えた産業基盤整備事業として、町札前の町営牧場に家畜し尿処理施設を整備する畜産環境整備事業を始める。09年度までの3カ年計画で、総事業費約7000万円のうち219万円を計上。

 一般会計歳入の58・0%を占める地方交付税は、前年度当初比1・8%増の26億3769万円。同実績比では4・4%減を見込む。町税は、税源移譲などで06年度当初比12・2%増の6億769万円。繰入金は同38・6%減の1億円で、財政調整基金と減債基金を取り崩す。

 歳出は、史跡松前氏城跡福山城跡保存整備に2143万円、石切場跡の遺跡分布調査に1298万円を計上。新規では、老朽化した温泉休養センターの給湯設備改造に270万円を見込んだが、6月補正で総額7070万円とする方針。豊岡地区の公営住宅建て替えも着手する。(小泉まや)


◎上ノ国新年度予算案、一般会計36億円5966万円
 【上ノ国】上ノ国町は1日、2007年度予算案を発表した。一般会計総額は06年度当初比1・6%減の36億5966万円。特別会計を含む予算総額は同2・0%増の63億9963万円とほぼ横ばい。8日開会の第1回町議会定例会に提案する。

 主な新規事業は、町道駅前通線改良工事に4347万円を計上。JR上ノ国駅西側の町道350メートルの拡幅と舗装を2年間で行う。07年度は約150メートル区間の改良に着手。防火水槽2基の新設に1900万円、岡ノ沢・シヤミズの沢の小規模治山事業に計2601万円。

 町内産業の振興に向けた予算として、歳出削減対策とは別枠で標準財政規模の5%相当分を確保する「自立プラン枠」は、継続事業を中心に1億3800万円。06年度スタートのイカ内臓(イカゴロ)による集魚試験(80万円)やナマコの増養殖試験(450万円)を継続する。新たに地域資源を有効活用した町内特産品開発事業に100万円。

 継続事業では上ノ国診療所改築に1500万円、大留団地水洗化工事(3棟24戸)に1056万円。公共下水道事業特別会計は、設計費を除いた工事費ベースで1億2700万円を確保。簡易水道特別会計では、08年度に神明の給水設備を湯ノ岱と統合することが決まり、申請業務の委託費に550万円など。(松浦 純)