2007年3月20日(火)掲載

◎タンチョウ初の越冬確認
 【知内】知内町内で、国の特別天然記念物タンチョウが1羽、姿を見せている。主に道東で生息するタンチョウが道南に飛来するのは極めて珍しく、同町内での越冬が確認されたのは初めて。

 最初に目撃されたのは昨年11月22日。以来、田んぼや川辺などで姿を見せ、函館市内などからも多くの人が見物に訪れた。道が1月26日に実施した2006年度第2回タンチョウ生息状況の一斉調査で、越冬が確認された。

 19日は民家近くなどで、美しい姿が見られた。黒い首をすくめ、赤い頭を地面に近づけては餌を探していた。(山崎純一)


◎横津岳周辺へ区域拡張…恵山道立自然公園
 鐘状活火山の恵山(標高618メートル)を中心に、渡島半島東部に点在する恵山道立自然公園(函館市、2637ヘクタール)の拡張区域として、函館市、七飯町、鹿部町にまたがる横津岳(1157メートル)と袴腰岳(1108メートル)周辺1640ヘクタールが、5月初旬までに指定される見通しとなった。今後は地元自治体や民間業者も含め、自然保護を主体としながら効果的な活用法が期待される。

 恵山道立自然公園は、さまざまな高山植物や樹木に富む恵山地域、玄武岩や安山岩の柱状節理や奇岩など独特の景観を有する海岸地域、渓流と森林が美しい景観を織りなす森林地域からなる道南を代表する景勝地として、1961年に道の指定を受けた。

 道は社会情勢の変化などを踏まえ、このほど公園区域と公園計画の点検を実施。横津岳と袴腰岳周辺地域にもワタスゲ、ヤマハハコ、ミヤコササなど数多くの高山植物が生息しており、これらの保護と適正な利用の必要性から区域を拡張することにした。このほか、同市豊崎町の一部13ヘクタールも拡張区域となる。

 一方、将来的な利用が見込めず公園としての保護の必要性を失ったなどの理由で、同市臼尻町と双見町の一部163ヘクタール、同市豊崎町の一部3ヘクタール、同市道有林渡島東部管理区の一部3ヘクタール、同市柏野町の一部5ヘクタールを削除することになり、変更後の同公園面積は4116ヘクタールとなる。

 指定されれば、道道立自然公園条例に基づき、拡張地域では知事の許可なしに木材の伐採や建築物の設置、決められた道路以外での乗り物による移動はできなくなる。

 また道は、同市虎沢町(アヤメ湿原)の植生復元施設建設や、横津岳から同市亀田大森町への歩道計画なども変更計画に追加。今後は地元自治体や民間業者と協議を進めながら活用方法を検討していく。(小川俊之)


◎美原のアミューズメント施設建設断念…函館バス
 函館バス(函館市高盛町10)の寺坂伊佐夫社長は19日、同社で記者会見を開き、7月20日開業を目指して旧昭和ターミナル(同市美原3)に建設計画を進めていたシネマコンプレックス(複合映画館)などを備えるアミューズメントビルについて、駐車場にする土地を確保できなかったことなどを理由に断念すると発表した。バス事業の減収分を穴埋めする抜本策として打ち出しただけに、同社は経営基盤の強化に向け、早急な計画の練り直しを迫られることになった。

 昨年7月下旬に同社が示した計画によると、総工費は約13億4700万円。約1万725平方メートルの敷地に、鉄筋3階建て、延べ床面積約1万574平方メートルのビルを建て、店舗のほか、立体駐車場を併設し、駐車台数は屋外駐車場を含めて340台分を見込んだ。

 店舗部分には、スガイ・エンタテインメント(札幌)がシネマコンプレックスとゲームコーナーを、鈴屋商事(函館市本通2)がカラオケ店と飲食店を運営。このうちシネマコンプレックスは最大320人を収容できる一室を含む7つのスクリーンで、全1115席を完備し、函館バスは賃貸収入として2社から年間約1億4200万円を得る予定だった。

 記者会見に同席したスガイの藤直樹社長は、採算ベースに合う駐車台数を500台と試算。「滞留時間を2、3時間とした場合、駐車場がどうしても足りず、せっかく良い設備にしても満足してもらえなければ意味がなく、今回は残念だが撤退したい」と語った。

 寺坂社長は「土地の獲得に向けて懸命に交渉したが、駐車場の収容台数を伸ばせなかったのは事実。社運をかけて取り組んできた事業だったので、断念することになったのは非常に遺憾」と述べた。また、遊休地の活用法については白紙とした上で、「業種はシネマコンプレックスやアミューズメントにこだわらず、新しい事業に向けて早急に多方面と折衝していきたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎春から1年生…万年橋幼稚園などで卒園式
 函館市立幼稚園4園で19日、修了式が行われた。はこだて(千歳町15)、万年橋(吉川町6)、日吉(日吉町4)、戸井(小安町523)合わせて111人の園児が、小学校生活への希望や期待を胸に旅立った。

 このうち万年橋幼稚園(鈴木祐司園長)では、16人が卒園。はかまやタキシードを着て、りりしい表情の子どもたちが入場。鈴木園長から一人ひとりに修了証書が手渡され、「ありがとうございます」と元気良く受け取った。そのまま在園児や父母らの方に振り返り、「一輪車を頑張る1年生になります」などと抱負を語った。

 鈴木園長は「この2年間で皆さんはとってもいい顔、堂々として大きく成長しました。万年橋幼稚園を思い出したらいつでも来てください。4月からそれぞれ小学校の1年生。活躍を期待してます」と式辞を述べた。

 卒園生は「ドキドキドン!1年生」「ありがとう心込めて」などの歌を披露しながら、「いままお弁当作ってくれてありがとう。分からないことを教えてくれてありがとう」と父母や先生にお礼の言葉を送った。

 来場者の温かい拍手を受けながら、卒園生は在園生と手をつないで2人1組になって退場した。(佐々木 司)


◎惨事二度と…注意促す 「函館大火の日」前に
 1934(昭和9)年3月21日に発生した「函館大火」にちなみ、函館市消防本部は19日、市内の木造住宅が密集する地区を重点に、住宅防火診断を行った。消防職員が住宅の火の元などを点検して回り、火災予防の徹底を呼びかけた。20日までの日程で、東、北両署で市内9町、約5570世帯を訪問する予定。

 同年の大火では、死者2166人、焼失建物1万1105棟、焼失面積約4万1600平方メートルの被害が出た。こうした惨事を二度と繰り返さないよう、同本部は3月21日を「函館大火のあった日」に指定し、毎年、各種火災予防運動を展開している。

 東消防署では、2日間で延べ約60人の職員が2、3人一組の9班に分かれ、宇賀浦町と高盛町の全約2900世帯を巡回。屋外の灯油タンクや排気筒のほか、室内のストーブやコンロなどの取り扱いについて注意を促す。

 同市高盛町16の山田菊乃さん(82)方では職員3人が立ち入り調査を行い、台所のガスコンロや居間の石油ストーブの設置状況を確認。「きれいに清掃してあるので、現状維持を」とした上で、「仏壇のろうそくの火の扱いに注意を」などとアドバイスした。

 山田さんは小学生の時に大火を経験。「火事はいつも気を付けているつもりでも、ちょっとしたすきに起こるもの。鍋に火をかけたまま台所を離れないなど、目を光らせたい」と話していた。(森 健太郎)


◎希望胸に旅立ち…未来大で卒業式
 道南の国公立大学のトップを切り、公立はこだて未来大学(中島秀之学長)で19日、卒業式と同大学院修了式が開かれた。合わせて264人が後輩から贈られた桃色のカーネーションを胸に付けて登壇。受け取った証書を見つめ、新生活への決意を新たにしていた。

 スーツやはかま、ドレスに身を包んだ卒業生は、教職員や父母らが見守る中、一人ずつ壇上へ。仲間からの声援に壇上からおじぎを返すパフォーマンスを行う学生の姿も見られた。

 中島学長は「大学で学んだ成果を発揮し、不足を補う『Needs(ニーズ=必要)』ではなく、本旨の『Want(ウオント=欲するもの)』で実社会をデザイン・設計してほしい」と激励。

 学部生を代表し、森郁海さん(22)が「オープンな環境で学んだ大学生活は一生の財産。期待や不安はあるが、大学の体験を支えに頑張りたい」とあいさつした。森さんは博士課程(前期)へ進学予定で「卒業の日を迎え、大変うれしい。入学当初に想像できないぐらい情報処理などの技術が身に付いた」と晴れやかな表情で話していた。

 道教育大函館校は23日、北大水産学部は24日、それぞれ午前10時から卒業式が開かれる。(笠原郁実)


◎津軽海峡のイルカ情報満載…北大鯨類研究会がリーフレット作製
 北大水産学部の学生研究団体「北大鯨類研究会」(北村志乃代表、会員30人)はこのほど、リーフレット「フェリーに乗ってイルカを見よう」(A4判カラー)を作製した。津軽海峡で確認できるイルカの種類や時期をイラストや写真で示した分かりやすい構成。発行した1万部のうち9000部を19日、函館―青森で運行する東日本フェリー(函館市港町3)に寄贈した。

 同会は毎週末、津軽海峡でイルカやクジラなど鯨類の目視調査を行っている。研究内容を広く市民らに知ってもらうとともに、フェリー乗船時間を楽しく過ごしてもらおうと企画。斉藤毅一郎さん(3年)が中心となり「読んで分かりやすい・見て楽しい」を目指し、2月からデータ集計や内容選定に取り組んだ。この取り組みは「北大元気プロジェクト」にも指定されている。

 同海峡で頻繁に見られるカマイルカ(体長2メートル)については「高くかま型の背びれ」「動きは活発で頻繁にジャンプ」など身体的特徴や泳ぎ方を詳解。鯨類は5月によく観測されることや、航路と観測ポイントを記した地図なども掲載しており、乗船が待ち遠しくなるような内容に仕上がっている。

 斉藤さんら会員は「イルカは肉眼でも見ることができるので、ぜひフェリー上から姿を確認してほしい」と声をそろえ、顧問の松石隆助教授は「修学旅行でフェリーを利用する子どもたちの事前学習などにも活用してもらいたい」と話している。

 リーフレットは東日本フェリーのほか、同大窓口でも配布している。(笠原郁実)